光 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 327
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451214

作品紹介・あらすじ

天災ですべてを失った中学生の信之。共に生き残った幼なじみの美花のため、彼はある行動をとる。それから二十年後、信之の前に、秘密を知るもう一人の生き残り・輔が現れ──。(解説/吉田篤弘)

感想・レビュー・書評

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  • 島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と美花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は美花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮している信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、美花を再び守ろうとするが…。渾身の長編小説。

  • まいったなぁ。

    巻末の解説で、作家の吉田篤弘氏が書かれているとおり、読み終えた後の最初の一言は、まいったなぁ、でした。

    様々な形での容赦のない暴力。そこには許しも救いもない。

    それは自分の身の回りに、そして自分自身の心の中に、ひっそりと息を殺して棲んでいる。

    私たちは慎重にならなくてはいけない。
    気づかぬうちに、まやかしの光に目が眩み、何か大きなものの力で心を操られているかもしれないという可能性に。

    どこか東野圭吾の「白夜行」にも通ずる雰囲気を感じさせる作品。
    ページを繰るたびに、湿った土に足を取られ、逃げることもできず、ずるずると地中に引き込まれていくような怖さに背筋が凍ります。ホラー小説ではないので、比喩的な意味ですが。。。

    久々に強烈な一冊に出会ってしまいました。これはヤバイ。

  • 津波、暴力、理不尽、ただただ怖い。
    読むのが辛かった。。
    三浦しをんがこんなストーリーを書くとは、衝撃。

    心を失っている信之には共感できないが、もし自分や、自分の大切な人が、理不尽な暴力を受けたとしたら、殺意を覚えるほどの憎しみが生まれて、人生がどうでもよくなってしまうのかもしれない。

    南海子の心の闇は、なんとなく想像できる気もする。
    いつかマイホームが欲しいとか、子供をいい学校に行かせたいという想いは、他者に対しての見栄に過ぎないのだろうか。。

    強く感じたのは、自分以外の誰かに人生を預けることは不幸だということ。
    誰かに愛されたいという一心では、本当の意味で幸せになれないというのが私の価値観。

  • 白夜行を彷彿とさせるお話でした。焦がれる人には振り向いてもらえず、焦がれて欲しくない人に焦がれる。受容される為には事の良し悪しは関係なくなる。 色んな意味で切ないです。たった400ページ弱なのに、ぎゅっと詰まった読み応えのある話でした。

  • 違う作家の本を間違って買ってしまったのかと思った。
    同じ作家からここまで違う作品が生まれてくるのかと驚き、感嘆すら覚えた。
    解説にあったように、本当に容赦のない作品。
    暗いところへとひたすら向かう作品だった、それがいいか悪いかは別として。
    暗い共感の中から脱却できるか、三浦さんの他の小説をもう一度読み直したくなった。

  • うまい。恐ろしくうまい。

    こんなにも私が嫌いなストーリー。
    狂気と絶望しか無い。
    欺き合い、似たもの同士の夫婦。
    しかし、格言とまでは言わないが、妙に納得してしまうフレーズが沢山有った。

    じいさん二人のおちゃらけた話は他の人に書けたとしても、本書は三浦しをん氏にしか書けないと思う。

    本書でまともな人間は、ご近所のおばちゃん山内さんだけだった。

  • 過疎の島に生まれた中学生の信之、その唯一の同級生で恋人の美花、そして信之の遠縁で父親から虐待されている小学生の輔(たすく)。彼らの暮らす島をある日津波が襲い、たまたま山上の神社にいた3人と僅かな大人を除いてすべての島民は津波に飲み込まれてしまう・・・。

    今読むとどうしても311のことを思い出して遺体の描写などに胸が締め付けられるようになるし、ごく最近も台風による土砂崩れで伊豆大島では大勢の方が命を落とされたことなども思い出してしまいますが、この作品が連載開始したのは2006年。その5年後に本当にあんな惨事が起こるとは、作者もきっとビックリされたのでは。

    とはいえ、物語の主題は、災害そのものでもなく、その惨事から生き残った子供たちがその後どう立ち直り生きていくかという前向きな話でもなく、きっとその災害が起こる起こらないに関わらず、人はどうしようもなくダークサイドに引きずり込まれていくものだという、有無を言わせない悲しい現実のほう。

    親戚や施設に引き取られ大人になり、再会した3人の少年少女は、それぞれ救いようのない暗黒面を抱え込んでいる。彼らに関わる人々は悪人ばかりではないけれど、誰も彼らを救うことはできず、彼ら自身も互いを救うことはできない。タイトルにある「光」を、ではいったいどこに見出せばいいのか、というのが、投げかけられて終わった印象で、現時点で三浦しをん史上、もっともダークサイドの作品でしょう。

    こういう作品は、読むほうもしんどいけれど、書いたひとはもっとしんどかったのだろうなとは思いましたが、「暴力は帰ってくる」という作者の一番伝えたかったであろうテーマが、個人的にはイマイチ響いてこなかったのが残念。不愉快なものは読みたくないと思う反面、まだまだこの程度の設定や描写では生ぬるかったのかもしれません。

    そして島民が全滅するような災害、それが3人のトラウマになったから彼らがああいう性格になってしまったのかというとそうは受け取れず、輔の卑屈さは父親の虐待が原因だし、美花のしたたかさも、信之の冷淡さも、事件が起こる前からすでにあったものだし、その災害のあと彼らが遭遇した別の殺人事件、それすらも結局、それを引き起こすだけの異常さを、最初から彼らは持ち合わせていたわけで。そういう意味では、天災が現実の暴力や殺人とうまく連動しておらず、かえって中途半端になってしまっていたのかも。

    そして信之と美花や輔の歪んだ関係も既存作品ですでに描かれていた感が微妙にあって(「白夜行」とか「永遠の仔」とか)そこに新味も感じられず(とはいえどのキャラクターもけして憎くは思えないあたりは、さすがだなと思いましたが)、あえて三浦しをんという作家がこれを書く意味を見出すのは、ちょっと私は難しかったかも。いち読者の勝手な希望だけれど、やっぱりしをんさんには、読んだ後に元気になるような小説を書いて欲しいなあ。

  • 大きな暴力と小さな暴力に苛まされる人間之話。
    人は生きるためには光を見つけなければならない。
    これが東日本大震災の前に書かれたと知って驚かされた。
    三浦しをんの中では異質のサスペンス。

  • 『光』読了
    容赦無い暴力描写がすごかった。登場してくる人物誰もが自分の正当性を押し通そうとし、その手段として暴力を平然とやってしまうところがすごい。その正当性は生き残りをかけてだったり人を守ろうとしたりと人それぞれ様々な理由で
    なんだか背中がゾクゾクしたな。もう堪らなく快感だった
    快感だったっていうのは登場人物全員が心のうちで罵り合ってそれを読んでいる読者側からすれば「何やってるんだこの人ら罵り合って」って薄ら笑いが起こってしまった感じかな
    罵り合い、正当化、それをみてみぬふりできない神様が人間に天災を引き起こしたかのような…これは読んでるとしんどくなるわ
    救いのない内容で、結局のところ、解決することって一生ないということが思い知らせたな
    たかだか二十数年しか生きてないわたくしでも暴力ではないけど危機に瀕する出来事は何度もあって。ああ、またかみたいなことが何度もあった
    それを罵倒するのではなく受け入れるしかないのかなと考えさせられたな
    2018.4.14

  • まさかの休日夜中に一気読み。寝る前に少し読み始めたら止められなくなってしまった。これほど続きを読まなきゃ寝られない(というか、本を置いて電気を消す気に慣れない)状況になった本はほとんどないので、その意味で星5つ。
    内容は、えぐいし、後味も悪いし、思い出したくないような場面がたくさんある。災害、虐待、不倫、幼児へのいたずら、殺人・・・こう書いてみるとのっぺりしてしまうが、一つ一つに登場人物の心理状況がものすごいリアル感と重さと深さで書かれていて、もう、大げさにいうと、これって私の身に起こっていることなんじゃないかと勘違いするくらいだった。
    三浦しをんって、「風が強く吹いている」がものすごく爽やかなストーリーで大好き(こちらも星5つ)だし、「舟を編む」は穏やかなお話で、まほろ・・・も独特なゆったり感あるので、こんな小説を書くなんて想像も付かなかった。しかも津波。3.11の何年も前に。。
    ただし「人に勧めたいかどうか」という私の本来の基準では4だけど、あまりにも引き込まれたので5を付けておいた。

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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