貴族探偵 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 193
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451269

作品紹介・あらすじ

自称「貴族」で趣味は「探偵」という謎の男が、コネと召使いを駆使して事件を解決! 斬新かつ精緻なトリックと過去に例のない強烈なキャラクターが融合した、奇跡の本格ミステリ集。(解説/千街晶之)

感想・レビュー・書評

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  • 短編集です。
    というか、貴族探偵は推理しないんかい。
    とツッコミを入れたくなる面白い作品です。
    探偵の正体はわかりませんが、使用人たちの活躍には驚かされました。


    信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。自殺か、他殺か? 捜査に乗り出した警察の前に、突如あらわれた男がいた。その名も「貴族探偵」。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら使用人を駆使して、数々の難事件を解決してゆく。斬新かつ精緻なトリックと強烈なキャラクターが融合した、かつてないディテクティブ・ミステリ、ここに誕生! 傑作5編を収録。

  • 貴族探偵が、執事やメイドや運転手を駆使して、事件を解決する。そんなお話でした。
    思ってたのと少し違う所が面白かったです。
    でもしっかりと本格ミステリィでしたよ。

  • 貴族探偵と名乗りながらも、自分は貴族なのだから、自分の"所有物"である使用人達に捜査も推理も全て任せるという、ホームズとワトソンの関係性に重点を置く著者にとって突き詰め過ぎてなんか行くとこまで行ったなーと感じさせられた短編集。

    五話からなる短編のうち、やはり「こうもり」が白眉。
    読み終わった時は最初何が起こったか分からなかったけど、読み返してみて、作者の捻くれた企みに唖然とさせられた...
    今まで読んだ短編ミステリで一番面白かったと言っても過言ではないくらいの完成度だと思った。

    他4編もどれも作者らしい捻くれた真相が面白いけど、やはり「こうもり」のインパクトが強過ぎて霞んでしまいがちかな?

  • ドラマを先に観てしまい、なおかつ続編の『対女探偵』を先に読んでしまいました。
    愛香が出てこないのでは寂しいかな?と読み始めましたが、そんな事はなく楽しめました。

    何と言っても、貴族探偵登場の巻ですから、各キャラの位置づけや、個性や、お約束のセリフなど、舞台づくりがここで確立されていたのだなと思いました。
    ドラマは、本編を崩すことなく上手くアレンジが行われていたことに改めて感心しました。
    犯人が違っていたり、トリックが異なったものもありました。
    タイトルは、ヨハンシュトラウスの楽曲から。

    1.ウィーンの森の物語。
    どうして、愛人と妻に同じバッグを買い与えたんでしょうねえ…

    2.トリッチ・トラッチ・ポルカ
    死体の頭部と腕が切り落とされていた理由とは?

    3.こうもり
    北陸の老舗旅館に二人の女子大生が少し早い卒業旅行にやってきた。
    そこに有名作家が宿泊していて…

    4.加速度円舞曲(ワルツ)
    彼氏の浮気にむしゃくしゃしながら別荘地を車で走行する、編集者の美咲。
    目の前に突然大きな岩が転がり落ちてきた!

    5.春の声
    名家の令嬢・弥生の婿候補に選ばれた3人の青年。
    早く決断しろと、当主である祖父は言うが、どの青年も、家を継がせられるような器ではない。
    見守る従姉の皐月は弥生を気の毒に思い、「いっそのこと、みんないなくなってくれないかしら」などと物騒な発言をするが…

  • 良くも悪くも貴族頼み。

    TV5話まで見て、面白そうなので読んでみました。

    著者の本は「神様ゲーム」「さよなら神様」で一風変わった作風というのは知ってましたが、主人公が推理しないってのが秀逸。

    この本は貴族と執事達の会話を楽しむ本であって、
    貴族の出番が少ないと盛り上がりに欠ける所が残念。

    短編だから話が小粒ってのもありますが、
    推理・探偵小説としての醍醐味が少ない感じがします。

    とはいえ、コンセプトは最高なので、
    続編を読みたくなりますねー。

    ドラマを受け入れられた人は読んでみてもいいかも。

  • ドラマ化するので原作を購入しました。
    もともと推理モノが好きなので楽しく読了(*´꒳`*)登場人物も頭の中でドラマキャストに変換(笑)自分で推理をいっさいしないで使用人任せっていうのも斬新!
    御前の使用人は本当に優秀な人達ばかりで、どんな基準で採用されたのか気になります(笑)

  • とにかく設定が変わっている。
    自ら「貴族探偵」と名乗る主人公は、自分で捜査をしたり事件関係者から話を聞いたりはしない。
    彼の代わりに手足となって実際に動くのは、彼の使用人である執事や運転手、メイドたちである。
    使用人たちが事件のために動いている間、「貴族探偵」は優雅にお茶を楽しんでいる。
    だが、本当に彼は事件を使用人たちに丸投げしているのか?
    各話ともに必ずヒロインが登場するのだが、彼女たちと交わす会話から「貴族探偵」の人となりが浮かびあがってくる。
    鋭い観察力と洞察力、毒舌家でもあるが本質を見抜く力を持っているなかなか侮れない人物なのだ。
    言動はたとえ軽口をたたいても、貴族らしくけっして下品さを感じさせない。
    そして、無事に事件を解決してしまうのだ。
    事件に登場するトリックもよく考えられている。
    もう少しライトノベル的な薄いミステリーなのかと思っていたら、予想を良い意味で裏切ってくれた。
    王道のミステリーを歩いていると思えば、まったく違う路地に迷い込んでしまったような不思議さを持っている物語でもあった。
    それでいて目的地にはきちんとたどり着いている。
    読み終わったあとにすっきりとできるのもいい。

  • 二十代で口髭?“貴族”なのにコーヒーにコーヒーフレッシュで良いの?品の無さそうな女まで手当たり次第?お金はありそうだけどノーブルな印象は受けないw。いろいろと突っ込みたいw。非情に胡散臭い、使用人が謎を解く、何にもしない探偵さんという設定は奇を衒っていてTVドラマなんかに良いのではないでしょうか。

  • 「貴族探偵」が活躍(?)する連作短編集。
    最初の作品「ウィーンの森の物語」は悪くない。が、全体的にトリックが少々お粗末なように思う。
    とはいえ、この種類の作品ではキャラクターが大切。そして、貴族探偵というからには、見目麗しゅうなければならぬ。
    「背が高く色白のすっきりした顔立ち」うん、悪くない。「口許に髭を蓄えている」…って!えー!チョビ髭ぇ!?(「チョビ髭」とは書かれていない)好きじゃないのよねー、チョビ髭。(「チョビ髭」とは書かれていない)
    すべてがあと一歩といった感じ。

  • 2013年のミステリーランキングで上位に来ていた
    『貴族探偵対女探偵』が気になったので
    前作の『貴族探偵』から読んでみた。

    連作短編集なので、通勤時間の片道に
    電車の中で読むのにちょうどいい長さ。

    比較的軽めの雰囲気なので、じっくり腰を据えて
    という感じでもないし、軽く楽しむにはいい作品。

    出色はやはり「こうもり」で、他に比べてちょっと長い分
    人間関係が絡み合うストーリーとしての面白さが際立っていた。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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