- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087451313
作品紹介・あらすじ
少年が小説家になった理由。ふたりぼっちの文芸部員のイタい青春。【物語を紡ぐ町】を舞台にひろがる、6つの物語。ミステリー、ホラー、青春、恋愛…乙一の魅力すべてが詰まった傑作短編集!
感想・レビュー・書評
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物語を紡ぐ町、文善寺町が舞台となって、乙一さんが投稿者の作品をリメイクしてパッチワークのように仕上げた6つの連作短編。
活字中毒の潮音さんが変態すぎる。読書に集中すると我を忘れて読みふける。雪山で読書したら間違いなく凍死してしまいそうだけど本人は死んだことさえ気づかないのかも。
この作品を読んでいて作者がサービス精神旺盛に読者を楽しませようと焦らして逸らして、アッと驚かせようと予想の斜め向こう側へずらして、もて遊ばれているのが癪にさわってイラッてするんです。
それを心地よく感じるかってゆうとどうなんだろう。
子猫なら好奇心旺盛にじゃれついてきそうだけど、スレてくると構ってくるのが面倒に思えたり。
どうだ凄いだろって、ガキ大将が捕まえた蛇を得意げに見せられるような作品でした。
最後のホワイト・ステップが秀逸でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった。
素人の小説を乙一氏がリメイクする企画から生まれた作品。
「僕は小説のアイデアが思いつかない人間。アイデアを募ってみよう。そしたら仕事します。書けます」と。(またまた〜笑)
6つの連作短編の舞台は、図書館のある文善寺町。
この町のキャッチコピーは、“物語を紡ぐ町”。
物語は、ミステリー、ホラー、恋愛、青春と現実的であり、はたまたファンタジーの世界にも誘われる不思議な感覚。
途中で、あ!これはファンタジーの分野なんだなと気付いたり、この先の嫌な予感に違ったりそうだったりして、なんだろう…読者の感情を静かに転がすのがうまいなぁ。
そして、あれ?この人って?…と読み終えるとまたページを戻り、確認することになる。
微笑ましくなったり、ゾッとしたり、良い意味で腑に落ちない余韻を残すのが良い。
そっか…これは素人作者さん×乙一氏が生み出した“箱庭”での物語なんだなぁ。
(特に良かった話)
「ホワイト・ステップ」☆
乙一の傑作“calling you” を彷彿とさせる叙情的な作品、と解説者。確かにっ!あの雰囲気が好きな方にオススメ!-
2023/10/22
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「小説家と夜の境界」(山白朝子名義)が残り予約番号1番まで来てますが、そっからがなかなか進まない(;´∀`)「小説家と夜の境界」(山白朝子名義)が残り予約番号1番まで来てますが、そっからがなかなか進まない(;´∀`)2023/10/22
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2023/10/22
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「オツイチ小説再生工場」から、読者のボツ原稿リメイク連作短編集。
途中まで、連作になっている事に気付かなかったけれど、特に問題はなしです。
“青色絶縁体”のイタさに追想し
“王国の旗”の異空間に幻想し
“ホワイトステップ”のパラレルワールドに夢想した。
古典から着想して、面白い小説を書き上げる作家さんは多い。一般の方の、小説をリメイクして自分の作風にしていくというチャレンジは、小説家の卵さん達にもご本人にも、楽しい時間ではないでしょうか。今回は、読者がお若めなのか、青くて痛くて脆い感じが多かったように思います。-
おびのりさん、何だか面白そうな感じですね
けど今は土瓶師匠からおすすめしてもらった乙一本がいっぱいで乙一渋滞です(^_^;)
忘れないように...おびのりさん、何だか面白そうな感じですね
けど今は土瓶師匠からおすすめしてもらった乙一本がいっぱいで乙一渋滞です(^_^;)
忘れないようにちょっとチェックしときます!
箱庭図書館とφ(..)メモメモ2023/02/22 -
2023/02/22
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2023/02/22
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乙一さんの作品をもっと読みたい!と思って手に取った本書、投稿作を乙一さんがリメイクするという、異色の短編集だった!
でもとっても楽しめました。
特に好きだったのは『青春絶縁体』と『ホワイト・ステップ』。
『青春絶縁体』は、隠キャが自分達の空間だけで楽しくやってて、フレンドリーな雰囲気のクラスでは全く喋れない感じのリアルさが、小中学校の時の自分を思い出してまあ赤面もの。共感性羞恥はすごいけど、主人公たちの悩みが切実に感じられて、ああこれが本当の青春だよなあと思う。
『ホワイト・ステップ』は、切なくて、愛しくて、すごく好きな短編だった。登場人物たちの幸せを願いたくなるような。特に森見作品に出てくるような腐れ大学生、近藤さんのことが大好きになった。
乙一さんのリメイク裏話が全話読めたのも面白かった! -
乙一さんの短編集(文庫本)を購入。
やっぱり好きだな〜。
最後の方にある友井 羊さんによる解説も面白かった。
お気に入りのお話は「ホワイト・ステップ」。
「失はれる物語」に収録されていた「Calling You」のお話みたいで面白かった。乙一さんによるSFファンタジー的なお話が好み。ちょっぴり切ないところも好き。
「コンビニ日和!」はコントみたいで面白かった。
「ワンダーランド」はずっとじとーっとした怖いお話でした。
【お気に入りの言葉】
手をやすめて町をながめる。いつもなら様々な色が氾濫している。ポストの赤色、カーブミラーのオレンジ、道路の黒。雪の降り積もった日にはそれらがすべて白色におおわらる。神様がまだ絵筆をふるう前の何も描かれていないキャンバスのようだ。雪という漢字は[雪ぐ]という動詞にもつかわれる。祓い清めるという意味だ。雑多な色をすべて真っ白に隠してしまう様子はまさに世界を祓い清めたかのようだ。(P.232)
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6作品の短編集、さすがは乙一先生。見事にまとまりもあるし、色々なパターンのオチが最高でした。
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どの話もちょっとだけ風変わりで、だれかの心の空白をのぞきみるような感じの独特なさみしさがあった。真冬にバス停留所のベンチで時を忘れて本に没頭する潮音さん、その弟で作家になった山里秀太がちょこちょこ顔を出す。全編読み通した後に第一話の「小説家のつくり方」に戻ると、もしかしてこの作品群は潮音さんが読んだもの?山里氏が書いたもの?って思っちゃう。そうすると「箱庭図書館」というタイトルがすとんときた。
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久々の乙一作品でした。
いやー、乙一さん面白いなぁと
再認識!
こういう連作短編集が、
好きだなぁ。
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この本は、「オツイチ小説再生工場」から生まれたもので、読者が自分で書いた小説の原稿を送って、それを乙一さんが、リメイクするというものです。6人のアイデアを、それぞれ小説にまとめた乙一さんの手腕が感じられます。読み進めていくと、あっと驚く展開が待っていて、とても面白かったです。
しかし、最も面白かったのは、潮音さんという1人の登場人物のおかげで、6つの話が1つの話に感じられるところです。
潮音さんは、第1話「小説家の作り方」で出てくる、小説家のお姉さんです。「本好きの下剋上」の主人公のような、無類の本好きで、この本の表紙にもその姿が表れています。
それぞれの話に、潮音さんが、チラッチラッと出てくるので、読み進めていくうちに、「今度の話は、潮音さん、どこに出てくるんだろう?」とワクワクしながら読みました。彼女の登場が、いいアクセントになっています。
この本は、温かい気持ちになったり、不思議な世界に連れて行かれたり、笑ったり、とても楽しく読める一冊です。