箱庭図書館 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451313

感想・レビュー・書評

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  • 集英社の乙一小説再生工場企画から生まれた、小説家のつくり方 、コンビニ日和! 、青春絶縁体、ワンダーランド、王国の旗、ホワイト・ステップ、の6つの書き下ろし短編を2011年3月集英社から刊行。2013年11月集英社文庫化。ホワイト〜がファンタジックで好み。全ての話が緩く連鎖しているが、そこにあまり面白みは感じなかった。

  • 6作品収録
    いずれの作品も何かしらのつながりがある
    つながりは人間的なものや場所的なもの
    中で最後の一番長い作品がよかったかなと思います
    積もった雪につく靴跡で感じる存在とは・・・

  • 短編…どれも ほんのりとホラーぽく恋愛ぽく。で温かかった。この短編…全てが他人のリメイクなんて やっぱり乙一さんはすごい!

  • 不思議な短編集。ボツ小説をアレンジしたものだが、独特な世界観や工夫された設定で物語に引き込まれる。最後のホワイト・ステップが1番良かった。

  • 343ページ。先が気になる度★4。
    久々に面白い小説を読んだ。

    〈目次〉
    小説家のつくり方
    コンビニ日和!
    青春絕緣体
    ワンダーランド
    王国の旗
    ホワイト・ステップ

    私は話が別々の短編小説が苦手だが、こういう箱庭的な同じ街が舞台の短編小説なら好きだと思った。
    読んだあとに答え合わせしたくなり、もう一度読んでしまう。
    2回読んでも面白い小説ってなかなかない。
    読むか迷っているならネタバレは絶対に読まないほうが良い。痺れっぱなしの本だった。

    乙一氏はひらがな多様するけどなんで?














    以下ネタバレ!!!














    【小説家のつくり方】
    物語は、新刊のあとがきから始まる。
    「小学5年生の時にノートに書いた物語を担任が読んでくれたおかげで小説家になれた」という内容。
    実際は担任に見せたら、これはお前の捏造だと突き返された。
    後悔させるために小説家になった。という話。
    物語の中の本を読むという不思議な感じ。
    小説家の本と少年のノートが物語で平行して進んでいて途中から少年のノートが変化するところに痺れた。
    やはり乙一氏は天才だ。

    【コンビニ日和!】
    コンビニ強盗日和だ。
    ブラックユーモアや伏線回収な感じが伊坂氏っぽいなと思った。
    しかし登場人物が伊坂氏のは陽キャで乙一氏のは陰キャという雰囲気が漂っている。
    小説のつくり方に出てくる小説家の姉が早速登場して痺れた。

    【青春絕緣体】
    絶縁体 (ぜつえんたい)
    電気や熱をきわめて通しにくい物質。
    「青春というものに対して、自分という存在は絶縁体であるようなイメージを持った」
    少年が高校生。陰キャの恋愛物語(?)だった。
    陰キャ特有の恋愛にまで踏み込めないナメクジな感じでハテナがついてしまうが多分これは恋愛物語。
    少年が力を入れた小説を先輩が読んでメロメロに。
    雨が傘に当たる音を電気がスパークするようだと書いてて、絶縁体に少し電気が通った瞬間なのかなと思った。痺れた。

    【ワンダーランド】
    ワンダーランド
    不思議の国。おとぎの国。
    ナイフで刺して肋骨が開いたら願いが叶うというのを信じ切っている狂人と、鍵を拾って鍵穴を探す子供の話。
    俺と一言も書いていないのに、なぜ私は犯人が男と思い込んでいたのか。口調とか女を殺すとかだけで男と決めつけて読んでいた。
    その決めつけのおかげで最後乙一氏の罠にまんまとハマった。痺れる。

    【王国の旗】
    大人が入れない子ども達の国に女子高生が来る話。
    「いまどうしてる?」「車のトランクなう」という衝撃的なメールのやりとりから始まる。
    ワンダーランドに出てくる鍵の開く場所がこの王国の鍵とか痺れる。
    子ども達がおとぎ話のような描写でロマンチックだなと思った。

    【ホワイト・ステップ】
    平行世界(パラレルワールド)を雪の靴跡や雪に書く文字を通じて意思疎通する話。
    君の名前が知りたいとかそういう単純な話ではない。
    雪の中の神秘的な雰囲気とSFがすごくマッチした。
    雪が溶けるとともに現実に戻っていく感じもすごく良かった。

    ーあとがきー
    「読者の方にボツ原稿をおくってもらって、それを僕が自由にリメイクさせてもらうという企画でした」
    乙一氏の完全オリジナルじゃなかったのか…と少し残念に思ったけど、ボツ原稿をここまで面白くできたなら、完全オリジナルの小説はどれだけ面白いのか期待してしまう。

    乙一氏最高。

  •  読み進む途中で、本書は複数の投稿作品を乙一氏がリメイクしたものであることを知りました。なるほど。そのように気づかされて読むと、ひとつひとつの物語の風味が異なるようにも感じます。

     オリジナルの投稿作品がどのようなものであったのか知ることはできませんが、文善寺町という町を設定し、全体のキャラクターを再構成して、一つの箱庭に仕上げていった手法は鮮やか。

     「あれ、この登場人物はあそこに出ていた」と、それぞれの物語のつながりを、読み返しながら確認する楽しさがありました。何度も出てくる、読書中毒の潮音さんのキャラクターには微笑んでしまいます。潮音ではないですけど、通勤電車を特快から各駅に変えて座って読んでいました。

     乙一さんの作品は初めてですが、解説を読むとホワイト・ステップに近い作風とあります。雪の中に残された足跡によるパラレルワールド同士の会話。雪に埋もれた白い街の風景、ことばのない会話、すこし切ない親子の思い、良い雰囲気でした。

     現実の世界は、ちょうど2週連続の大雪で、雪に残された足跡を探すどころか、膝まで埋まって大変な雪かきでしたけど。

  • 短編集なので、1つ1つに感想を書いていきたいが面倒なので省略することにした。個人的に特に好きだったのは青春絶縁体、ホワイトステップだ。
    青春絶縁体は高校生の多感な複雑な時期をリアルに描かれている。様々なペルソナを持っていることもあるし、特定の関係でしか出せないこと自己のアイデンティティの確立など丁寧に描かれていてほっこりとした気持ちで読めた。
    ホワイトステップは現実世界に入り込む非現実。ここでは並行世界と書かれていた。リアルを描写しながら段々と不思議な世界に入り込んでいく感覚が個人的にとても好きだった。

  • 他人の着想を借りて、乙一作品にしているという珍しい短編集。
    バスの中で読んだ記憶はある。
    人のボツになった作を乙一風にリメイクするなんて、どういうこと?
    ネタ切れ? 実験? 編集からのゴリ押し?
    読んだ作品に覚えはない。

  • 小さな箱庭のような空間でそれぞれ別の物語があって、どこかで繋がっている感じがとても良かった。どの内容も読んでいる内容をまた外から眺めるような題名通りの作品が多かった。予想を裏切られて考えさせるような内容がとても面白かった。

  • 私は最後のホワイト・ステップがお気に入りでした。
    現実にあったら素敵な出来事。
    自分の人生は間違いの選択で出来上がってるかもしれないと悩んだ時、そんな人生でも、悪いことばかりじゃない。
    何かのきっかけで何度でも変わることができるんだ、と思える話だと思います。
    切ないけれど、だからこそ生まれる物語もあるのだなあと。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乙一の作品

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