雪男は向こうからやって来た (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 176
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451405

作品紹介・あらすじ

ヒマラヤ山中に棲むという謎の雪男、その捜索に情熱を燃やす人々がいる。捜索隊に誘われた著者は60日間にわたる捜索期間の中で、雪男を探す彼らの奇妙な体験談に引き込まれてゆく。(解説/三浦しをん)

感想・レビュー・書評

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  • 2013-12-20

  • 三浦しおんさんの解説が本書の性格を端的に表している。実は「雪男」的なものは世の中には結構あって、いつ自分がそれに絡め取られていくかは分からない。

    それ故に、高学歴のエリートと評していいような人でもオウムにはまったりしてしまう。そこまでいかなくても、ちょっとしたオタク的な趣味にハマるのもそれに近い事なのかもしれない。
    作者は一貫して冷静であろうと努めるが、それでも時折、それに絡め取られそうになる。それがまたなんとも人間的でいい。題名に込められた思いを考えると深いものを感じる。

  • 早大探検部の先輩である高野秀行とは違い、未確認生物に懐疑的だった著者。ツアンポー峡谷を探検する前に、新聞記者の職を投げ打った不安定な立場で偶然にであった雪男捜索隊への誘いという切っ掛け。それが適当に距離を置いてリポートでする視座を得たのかもしれない。しかし、それによって雪男を目撃する幸運に恵まれなかった……それが本書のタイトルとなった深い意味に繋がる。映像に収めようと意図しても、露出オーバーだったり、濃霧に阻まれたり。さて、雪男は実在するのか? 21世紀の現代でも謎なのだ!

  • 雪男がもしいたとしても見つからないでほしいなって思った。

  • 雪男、と聴くと、オカルトな分野のUMA(未確認生物)を思い起こすひとは多と思います。巨漢で白い毛で黒い顔で牙が生えて、ウワーっと両手を振り上げてこっちに襲いかからんとするイメージはないですか。ヒマラヤなど多くの山を制覇したなだたる登山家たちが、実は雪男を見ていたり遭遇したり、足跡を発見していたりしていたことが、本書で明らかになります。体験談が、その登山家の格を落としたり、登山話を聞く者、読む者を興ざめに追いこんだりしないためのように、ほんのちょっとだけだとか、そっとだとか語られたことがあるような雪男話が、彼ら登山家の、知る人ぞ知るサイドストーリーとしてありました。著者は青天の霹靂といった体で、雪男捜索隊の隊員になるよう頼まれ、雪男に魅入られた、個性豊かな山男たちに随行して、ヒマラヤのコーナボン谷を訪れる。はたして、雪男の痕跡、そして雪男そのものは見つかるのか。解説の三浦しをんさんが述べられているように、なにかに人生を賭けるようになることは、それが雪男だったにせよ、幸せなことかもしれないです。著者自身は、なにかに夢中になることと雪男に夢中になることをいっしょくたにせずに、「雪男に捉われてしまうなんて……」という反応でもって本書を書いていたりする。しかし、ぼくも三浦しをんさんといっしょで、それでいいんだ、と思うほうです。価値観や考え方、もっといえば正義だっていろいろあって、そのどれが真理かなんて、なかなか言えないと思うのです。

  • 雪男あるいは雪男探索家に対して、どこか冷めた視点から綴る著者。
    よく言えば冷静な、悪く言えば退いている感じが、読者の興奮を掻き立て切れないのが惜しい。

  • 空白の5マイルに続き2作目。個人的にUMAには大変興味があるが、雪男はいないと思う。
    雪男は実在する を前提にしていないため、説得力はある。

  • 2015/12/25購入
    2016/2/6読了

  •  UMAのなかでも実在する可能性の高いもののひとつが雪男らしい。とはいっても、体長3メートルもあるような巨大な生物で、牛や鹿を襲って食うような怪物ではなく、人間の成人より身長は低い150センチくらいの猿(猿人?)の一種。なんらかの理由で高地の雪山で生活するようになったんじゃなかろうか、と専門家?は見ている。

     はじめにお答えしましょう。雪男はやってきません。


     しかしながら、なんだ、つまんねえ、やっぱりいないんじゃねえか、期待させやがって、けっ! とはなりません。
     雪男に魅了された人々の体験記として読むと、それはそれは面白い。


     著者は半信半疑のまま雪男捜索隊に参加する。しかし雪男をみたという証言が多いことに加え、著名な登山家の中にも雪男を見たという人が多いことで、次第に雪男の存在を信じ始める。


     鹿や熊の見間違いじゃないのか。白銀の世界で目がやられ、岩が動いて見えただけじゃないか。
    ヒマラヤに足を踏み入れてことのない素人は様々な要因を挙げては雪男の存在を否定する。


     確かにそのようなこともある。そして初期の探検家が雪男の足跡などを偽造したりもしたので、どうせまた嘘だろうと思われるのは無理もない。


     例えば、類人猿の専門家に雪山でチンパンジーのような猿が二足歩行するように進化したとは考えられないですか?と著者は質問する。
     専門家は一刀両断。最初の人類が二足歩行するようになったのは平地であったためで、雪山のような斜面での生活で四足歩行を放棄するとは到底あり得ない。
     
     ふむふむ。常識的にはそうなんだろう。


     しかし、いるとしか言えない(徳川埋蔵金かっ!)


     面白かったのは、現地の人々は雪男を探しに来たというと、金づるがきたとした思っていなくて、明らかにそんなものはいるわけない、と考えていること。金にならないとわかると、鼻で笑って否定する。
     著者はこの状況を日本人にもわかりやすいようにこう説明する。
     フランスの探検家が霞ヶ浦に河童を探しにきたら、地元の人はどう思うだろう。


     一笑に付すのは簡単だが、なぜそう思うのか、それを想起させる何かがあったのか、よくよく聞いてみるのは面白いし、新事実に突き当たるかもしれない。


     そんな感じで読むといい。
     

  • 雪男はいない。
    しかし、疑わしいと思いつつ、雪男に準ずる生物はいるに違いない。
    と思えるジャーナリスティックな角幡ワールドのエンタメノンフ本

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著者プロフィール

角幡 唯介(かくはた ゆうすけ)
1976年、北海道芦別市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。同社退社後、ネパール雪男捜索隊隊員。『空白の五マイル』(集英社)で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『雪男は向こうからやって来た』(集英社)で新田次郎文学賞受賞。『アグルーカの行方』(集英社)で講談社ノンフィクション賞受賞。

「2014年 『地図のない場所で眠りたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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