ばけもの好む中将 弐 姑獲鳥と牛鬼 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451610

感想・レビュー・書評

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  • ばけものが出てきそうで結局は出てこないんだよね。今回は伊勢物語の在原業平と伊勢斎宮恬子内親王のくだりを下敷きにしたお話。上手い具合に軽快な物語を展開したなあ。糞真面目な主人公の宗孝もそれなりに活躍するし、それに上の姉たちが大活躍。個性豊かな姉妹ばかりで面白い。最後の方の牛車レースなかなかいいかも。

  • 平安怪異譚<ばけもの好む中将>シリーズ第二作。

    頭脳明晰で容姿端麗な貴公子なのに何故か大の怪異好き中将・宣能と、十二人もの異母姉たちがいるせいか怖がりで奥手ででも健気な青年貴族の宗孝コンビが今回やって来たのは『泣く石』の噂の現場。しかしそこには『泣く石』ではなく、『泣く赤子』がいて…。

    第二作にして怪異は少なめ。さらに宣能の出番も少なめ。
    逆に宗孝と、宣能の妹で不思議な能力を持つ初草の君とのコンビがクローズアップ。さらには宗孝の姉たちも。

    『泣く石』の現場で赤子を拾ってしまった宗孝は、その赤子の産着の間から出てきた和歌の書かれた紙を手がかりに両親探しを始めるのだが、初草の君がその手蹟は兄・宣能の書簡の中にあったものと同じだと気付いたところから、宗孝はとんでもない想像をしてしまう。
    そしてこんな時に限って不在の宣能。探偵役がいない中、ワトソン宗孝は真実に辿り着くことは出来るのか。

    冒頭の禁断の恋のワンシーンからして、この赤子が表沙汰に出来ない存在であることはわかるのだが、宗孝の想像(決めつけ?)は無いだろうと思いつつ、見当違いな宗孝の行動を追う。
    しかしそこに新たな姉君たちの存在が絡んできて、見当違いだと思っていたことが見当違いではなかったのか?もしかして本当は宗孝は優秀な探偵だったのかと揺れ動く。
    初草の君の不思議な能力も後押しし、まさか本当にそうなのかという気持ちになってくるのだが、さてその結末は。

    結果的にはやっぱり美味しいところは宣能が持っていき、宗孝は宣能にやっぱり振り回されていたのだが、宗孝のそんな一人大騒ぎも結果的には決して無駄ではなかったことが分かってホッとする。

    今回出てきた四の姉君。あまりにモテすぎて辛くて寂しい場所へ引きこもったものの、それでも通ってくる殿方がいる。う~ん、羨ましいような面倒くさいような。
    そして十の姉君。こちらは八面六臂の活躍で毎回その登場振りには弟の宗孝もビックリ。今後も宣能と宗孝の前に意外な形で現れそうだ。
    他にもどんな個性的な姉たちが出てくるのか楽しみ。

    一方で宣能の方は妹の初草とは仲が良いが、父や叔母とは奇妙な距離感がある。何故なのか、そこも彼の怪異好きと関わるのか、そこは今後のお楽しみだろうか。

  • 怪異を愛でる左近衛中将・宣能と、彼に振りまわされる右兵衛佐・宗孝のシリーズ第2作。

    前作は、怪奇のうわさを聞きつけて現場に行く→トラブル発生という、オーソドックスな連作短編集の形態。

    同じパターンが続くのかと思いきや、今回は短編「華麗なる中将たち」「憑かれた女」2つと、中編「姑獲鳥と牛鬼」1つと、変化球。

    怪奇現象のかかわりも低く、〈ばけもの好む中将〉であることからは、やや離れたストーリーに感じた。

    怪奇現象探索がメインになるシリーズかと思っていたら、12人の宗孝の姉たちが何気に絡んでくるのが、意外。
    今後の話も、他の姉たちが登場するのかも。

    〈共感覚〉を持つ初草の君が、前作に引き続きかわいらしかった。

  • 第二弾。
    伊勢の斎宮(候補)との恋と隠し子の話。
    昔話をベースにしながらもアプローチは結構現代的。昔も今も人間がやることはそれほど変わらないよね、とも言えるような。

    伊勢に行った三の姉上はともあれ、色っぽい四の姉上とかは又出てこないかな。子だくさんの六の姉も何気に大活躍だったのか。

  • 宗孝の十二の姉たちが戦隊モノのレンジャーに思えてくる。弟のピンチに何かしらで駆けつけ解決してくれる。

    婚姻とか戸籍とかしっかりしてる現代より、平安時代の方がみんな恋愛に奔放だったのかもしれない。
    まだここまできて物の怪に怯える宗孝は純粋すぎやしない?笑
    手蹟に動きや色が見える初草の君が天真爛漫でかわいい。お気に入りキャラ。

  • シリーズ二冊目。少しずつお話もつながっているので、先が楽しみ。今回は中将さんが控えめだった気がするので、もっと怪異を探して楽しんでほしい。
    2018/2/11

  • 姉さんたち凄すぎるよ。隠し子騒動が盛り上がって化け物方面は押さえ目。

  • 「また行こう。また探そう。今度こそ、真なる怪異を求めて」
     まるで天と地の間で楽しく跳梁跋扈する物の怪たちが見えているかのように、宜能は言う。その横顔は思わず見惚れるほど優しい。
    (P.81)

  • 前作より、怪異にまつわる物語が少なかったので、少し残念だった。

  • 【収録作品】華麗なる中将たち/憑かれた女/姑獲鳥と牛鬼

著者プロフィール

1964年生まれ。91年『闇に歌えば』でデビュー。
「ばけもの好む中将」、「暗夜鬼譚」シリーズ(ともに集英社文庫)、『怪奇編集部「トワイライト」』(集英社オレンジ文庫)など著作多数。

「2019年 『百鬼一歌 菊と怨霊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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