砕かれた鍵 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451689

作品紹介・あらすじ

警察官が関与する事件が続発した。警察庁特別監察官・倉木は、警察内部で巨大な陰謀が進んでいると踏み、捜査を開始する。その結果、“ペガサス"という謎の人物にゆき当たるが……。(解説/香山二三郎)

感想・レビュー・書評

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  • 「砕かれた鍵」
    MOZUシリーズ第3弾。


    MOZUシリーズとしては第2弾「幻の翼」で稜徳会事件は一段落した中、今回倉木達が挑む事件は、デカすぎます。


    麻薬密売を内偵中の警部補が殺害された一件から続く警察官絡みの事件が続発する。巨大な陰謀と闇が潜む事件のうねりは、倉木夫婦をも飲み込む。うねりの奥底には、警察官のモラル低下や労働組合結成、公安庁設置、そして民政党を巡る争いと警察組織に根付き蔓延る問題が埋まっているのだ。


    そして、今回の事件は今後を左右する大きなターニングポイントになっています。百舌とは違う種の狡猾非道さを持つ殺人者とそれを支えるもう一人の犯人と倉木達の死闘は、MOZUシリーズの中では最も危険で最も悲しいものとなっており、倉木の決心、美希の執念、大杉の愛情とどれも特大のインパクト。特に倉木と美希に関しては、イメージ撤回で謝らねばならない。それくらい2人のアイデンティティの強さを感じる。


    因みに、前作に続く倉木と美希の情交場面や美希の異常な性愛嗜好は、ジェームズ・H・チェイスに倣ったからなのですね。ハードな戦いや倉木のサディスティックな暴力も同様にチェイス趣向が盛り込まれたからとのこと。この趣向が早く続きを読むよう強烈な暗示をかけることに一役買っているのは間違いないです。


    読了後、思ったのはドラマ基準のMOZUシリーズとしてではなく、作者定義の公安シリーズとして捉えるべきだと言うこと(いや、そもそも公安シリーズが正しいわけで、こっちのアレなんですけどね)。


    秘密工作員のように謎めき情報を得難い公安警官キャラを主人公に据え、警察組織の矛盾と戦う。一匹狼じゃないと面白くないと考える作者の気持ちが倉木に乗り移っている。だからこそこれだけの吸引力があるシリーズなのだろう。これ読んじゃったら次を読まざるを得ない。

  • 劇場版のメイキングやらを観ている内に読みたくなって、1年ちょっと振りに第3弾を読了。

    いやー、裏切りませんなあ。やっぱり面白い、百舌シリーズは裏切らんよ。今回も一気読み。

    真相に辿り着くまでのプロット、伏線が見事。
    一緒に推理しながら読み進めていって、犯人とそれを取り巻く背景とラストの展開に、衝撃ー。

    倉木さん相変わらず今回もクールに、振り切れてる。
    美希さんは最大の危機にー。
    大杉さん結局この2人に振り回されるけれど、どこか楽しそうな。。。

    劇場版の話とは違うかもしれないけれど、こちらもオススメ!

  • 『百舌』シリーズ3作目。
    今回の主役は美希。復讐に悲しみ嘆く美希をはげまし、復讐に燃える美希を諭すも、美希の行動を否定はしない。
    不器用で愛想がなくても優しい思いやりのある人なんだと思う、倉木という人は。
    結末はまさかの結末でした。
    #読了

  • この本が面白いのは間違いないところで、茫然自失のラストを目の当たりにして衝撃に打ちのめされつつ、実は続きとなる「よみがえる百舌」と「鵟の巣」も読み終えておりまして、個々の面白さはいうことなし!

    ただ、「百舌の叫ぶ夜」や「幻の翼」と同列に、これらを百舌シリーズとしてもいいのかという思いがふつふつと湧いてきております。
    主要な登場人物は引き継がれており(
    そしたら倉木&大杉シリーズではどうだ!?)、彼らも無関係ではいられぬ巨悪の陰謀という背景設定も引き継がれてますが(あるいは巨悪の陰謀シリーズ!?)、シリーズ名がそぐってないという、(ある種どうでもいい)モヤモヤはありますね(^◇^;)

  • 百舌シリーズ第3弾。

    夫婦となり子も産まれた警察庁特別監察官の倉木と美希。
    辞職後探偵となった大杉と難事件に挑む物語。

    序盤から難病を患う子が爆弾事件に巻き込まれ復讐に燃える美希と、表向き家庭に冷たいが家族思いで燃ゆる漢・倉木。
    そして暴走する美希を心配する大杉。

    前作より環境が変わり、新しい視点でのシリーズでした。
    やはりこのシリーズは面白いですね。

    過去作品を読んでまた熱くなりたい方にお薦めの作品です。

  • ドラマを見てるわけではないが配役のおかげで大杉は香川照之などなど勝手に脳内変換されて読むに至る
    香川照之は個人的に好きな俳優であるので特段問題なし
    とりあえず次巻は立ち読み程度に始めて購入を決定すると思う

  • 3作目もあっという間に読んでしまった!結論が知りたくてドンドンページをめくってしまった。

    結末は、辛いがなるべくしてなったのかと読み終えた今は思います。美希は無鉄砲過ぎる…とも思いますが、紅一点でもあるのでそのくらいがいいのかもしれない。

    またまた1992年に新興宗教の話を書いてるところに驚きです。当時から取り沙汰されたこともあったんでしょうが、社会派な一面 のある作風がとても好きです。

    動機(キッカケ)にしてはやや壮大な犯行を行いすぎるきらいがある作品ですが、怪しい登場人物が複数いるなかで最後に点が線になる感覚はどの作品も面白い。

  • これまたハードな展開である…ハード過ぎでしょ?

    そして、そして……げげーん!!
    こんなラストが許されていいんだろーか!?

  • 12月-9。3.0点。
    百舌シリーズ。難病を抱える倉木不在の子供。入院中に事件が。復讐を誓う妻と、冷静に捜査しようとする倉木警視。
    政治を巻き込んだ、大事件に発展していく。

    スピード感はさすが。但し、事件のスケールが大きすぎる気がした。
    次作も期待。

  • 百舌シリーズ第三弾。えーーーー!?と、思わず声に出してしまいました。今でもまだ受け入れられてないくらいです。。

  • 怒涛の結末。

    シリーズ物をランダムな順番で読んでいるので結末が分かっていたりするのだが,それでも面白くて一気読み。

  • 百舌シリーズ3作目。主要な登場人物にあまり変化はないにせよ、1・2作目とは違った雰囲気がある。それは結婚、辞職と倉木・明星・大杉の3人の配置の転換が物語の雰囲気をうまく変えているような気がする。ある種、前作とは別物とも感じられるシリーズ3作目。
    謎めいたシーンや入り組んだ展開にどうラストになだれ込んでいくのか非常に気になった。様々な展開を見せる終盤、散りばめられていた伏線が繋がり出す瞬間がたまらなく良い。
    そして悲劇の結末。シリーズにもまた新たな転換がありそうだ。

  • おお、倉木警視…!
    相変わらずハードだったし、夫婦のすれ違いがモヤモヤしたけど、実はすれ違ってなかったとか。
    大杉さんタフガイで格好いいとか。
    衝撃のラスト、今後はどうなる?

  • 序盤から突き刺さるような場面が続く。
    生まれてきた我が子は難病に侵され、高額の治療費を工面するためにすでに借入額を超えているにもかかわらず、再度借り入れを申し入れるが断られる。
    病院で我が子の面倒を見てくれている母は父親としての倉木に不満があるが、忙しい中病院に見舞いに訪れていることを知り、久しぶりにあたたかな気持ちになる。
    が、我が子も母も、何者が仕掛けた爆弾によって命を奪われる。
    ターゲットは別人だったが、よく似た名前だったために間違われたのだ。
    復讐にもえる美希。
    暴走しそうな美希を何とか抑えようとする倉木。
    美希の態度に不安を覚える大杉。
    理不尽に奪われた我が子を思い、暴走していく美希の心情はわかる。
    だが、公安での経験もあるわりに、安易に罠にハマッていく様子がいまひとつ納得できなかった。
    焦りもあったのかもしれないが、結末に結びつけるための少々強引な展開が気になった。
    それにしても、こんな結末になっているとは…。
    「えっ??」と絶句してしまった。
    そっか、そうなんだ…。
    最後のあれは必要だったんだろうか?
    あの出来事のために、何となくすっきりとしない後味の悪さが残ってしまった。
    「許してくれるだろう」って、まだそれほど日が経っていないはずなのに意味がわからなくなってしまった。

  • モズシリーズの最終章。
    日本を舞台とするには現実感がないのだが、誉田哲也氏のジウシリーズとも取れる展開の早さにずいぶんと振り回された。
    あっという間に読み終わってしまうが、やはりテレビドラマよりも書籍で楽しむのが好きだなぁと思ってしまった。

  • 警察官が関連する事件が続発した。麻薬密売を内偵中の特捜隊の警部補とその同僚の巡査部長が射殺され、麻薬吸引者の元警察官に婦人警官が刺殺された。何か巨大な陰謀が警察内部で進んでいると踏んだ警察庁特別監察官の倉木尚武は、復讐に燃える美希、探偵となった大杉らと共に、執念の捜査を開始する。そして“ペガサス"という名の謎の人物にゆき当たるが……。シリーズ第3弾。
    (1992年)
    — 目次 —
    プロローグ
    第一章 挑戦
    第二章 決意
    第三章 虎穴
    第四章 消失
    第五章 憤死
    エピローグ
    解説/香山二三郎

  • うーむ。
    百舌は出てこないし、倉木は死んじゃうし。
    美希は尻軽だし。
    なにを信じたら良いのか。

  • びっくりだよ、、、まさかの展開、主人公じゃないの?続きあるのに、、、

    前作に引き続いて、公安省を目論む輩が、どこからか魑魅魍魎の如く湧き出てくる。

    警察の腐敗の様子はリアルで、実際警察嫌いになりそう。

    現職警察が、強姦致死事件を起こし、心神耗弱で大幅に刑期が短くなる。

    その後、出所して再度事件を起こす。

    倉木の妻、美希は病弱な息子と母を爆弾で一度に亡くす。

    この結びつきとその真相は、、、そして結末はびっくりする。

    にしても大杉のキャラ変わってきたよな。

  • MOZUシリーズ第3弾
    あまりにびっくりするストーリ!
    百舌シリーズなんですけど、もう百舌は出てきません(二人とも第1弾、第2弾で死んじゃったから)
    本作は美希がメインのストーリ!

    このコメントネタバレ含みます!

    麻薬密売を内偵中の警部補の射殺されたり、元警察官に婦人警官が刺殺されるなど、警察関連の事件が続けざまに勃発します。
    これを捜査するのが倉木。そしてペガサスという名の謎の人物にたどりつきます。
    一方で、前作で倉木の子供を身ごもった美希ですが、二人の子供は難病に。さらに子供の入院する病院で爆弾テロが発生し、子供とその子供を看護していた自分の母親を失ってしまいます。
    1作目同様、またしても爆弾テロ...どんだけ爆弾テロなの..

    復讐に燃える美希は独自で捜査を開始し、そこから、やはりペガサスにたどり着きます。
    大杉は警察をやめていて、探偵として美希や倉木をサポート。
    一連の警察関連の事件はペガサスによる警察への復讐で、最後、その正体が明らかになる。
    っというストーリ展開。






    途中、美希が復讐を果たして自殺したような展開もあり、どうなることかと思いきや、なんとシリーズものにもかかわらず、最後の最後で


       倉木が死んでしまいます。

    何じゃそれ!

    さらには、

       美希が今度は妻子ある大杉とできちゃうような雰囲気で終わります

    いくらなんでもその展開はないんじゃないの?
    いったいどうなっているの?

    ってな感じです。

    ということで、★一つ減点で三つ!
    まずは3部作を読み終えましたが、この後、どうなるんだろ。
    このまさかの展開に、びっくりでした。

  • 夢中で読み終わった。でも、最後の箇所は個人的にはちょっと。。

  • 百舌シリーズの3作目。
    登場人物は多いですが、キャラの立ち方やまとめ方はとても洗練されていて、夢中になって読めました。
    “百舌”は出てきませんが、『百舌の叫ぶ夜』の匂い?雰囲気?が何となく出ていたように感じました。
    ただ…最後はいただけなかったです。ラストの数ページで高揚していた気分が一気に冷めました。あぁしなくちゃいけなかったのかなぁ。

  • 百舌シリーズ第3弾。夫婦になった倉木と美希、探偵になった大杉が、爆発事件を機に警察官が絡んだ事件に巻き込まれて行く。

  • 今作は完全に百舌からは独立してる。ちょっと噛み合わないようなとこがあるかな。しかし美希は前作もそうだがあまり優秀ではないな。公安にいちゃダメでしょ。倉木亡き後の大杉と美希関係が気になる。

  • えっ?
    と言うスタート
    大杉が警察を辞めた?
    と思いながら・・・

    途中中だるみ部分も有ったが
    最後は再び
    「え?」

    倉木警視好きだったから
    このシリーズ読むのやめちゃおうかとまで
    思ってしまった。

    でも、もしかしたら・・・
    エピローグで
    「病院のベッドで・・・」と
    最後のどんでん返しがあるか?
    と期待したが無かった。
    ちと悲しい。。

  • 前二作よりかは勢いは落ちる気がするけど楽しめた。
    ただ不幸過ぎて読むのが辛い。。。

  • これでもか、というほど事件が起こりまくり、つらくなるほど。中身が濃いです。一気に読みました。緊張感ある展開で面白く読めました。西島秀俊、香川照之、真木よう子がビジュアルでイメージできてよけいに楽しめました。この先のストーリーがあるんですか?

  • 百舌シリーズの第三作。百舌は全く登場せず、倉木警視と倉木の妻になった美希、警察を退職し、探偵になった大杉の三人を中心に物語は展開する。

    次々と倉木と美希を襲う事件。もうやめてくれと言いたくなるような艱難辛苦の中、倉木らは警察の信義のために内外の悪と対峙していく。第二作の衝撃的な内容に比べると少しおとなしい内容だが、意外性という点では本作が勝る。

    シリーズも残すところ後二作。この先、どんな展開があるのか非常に楽しみである。

  • まさかってな終わり方をします。
    こうなるとこのシリーズまだまだ続くんだろうな。
    警察の闇の部分が必ず出てくるこのシリーズ。
    次はどんな話なのだろう。

  • 百舌シリーズ。警察官が関与する不祥事が頻繁する。
    そのような状況下、倉木警視と美希の息子が入院している病室が爆破され、息子と美希の母が死亡する。
    美希は、自分の手で必ず二人の仇を討つと決意を固め、ひとり犯人を追い詰めていく。
    飽きさせる事なく、次々と進行していく。相変わらず美希が暴走し、ハラハラさせられる。
    百舌シリーズ第1部終了と言ったところかな。

  • 2014年42冊目。

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著者プロフィール

逢坂剛
一九四三年、東京生まれ。八〇年「暗殺者グラナダに死す」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。八六年に刊行した『カディスの赤い星』で直木賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞をトリプル受賞。二〇一三年に日本ミステリー文学大賞、一五年には『平蔵狩り』で吉川英治文学賞を受賞。「百舌」シリーズや「長谷川平蔵」シリーズなど著作多数。

「2022年 『最果ての決闘者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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