- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087452037
感想・レビュー・書評
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麻耶さんにしては正統派のミステリー。とはいえ最後の目眩く展開はやっぱり麻耶さんならでは。
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麻耶成分補充。
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ミステリとしてはまぁあれだか、世界観が面白い。そっちをメインにした物語を読んでみたい。
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麻耶雄嵩は好きなミステリ作家だが、初期の作品はなんだか読みづらい…とデビュー作を読んで思ったが、4作目にあたる本作も同様、ページをめくる手が捗らない。
事件の展開も終盤がやたら慌ただしく感じるし、オチの付け方も麻耶らしいといえばそうだがインパクトに欠けるような…… -
犯人や諜報活動など面白くなる要素は多くあるのに、どれも盛り上がらないまま終わってしまった。
読後感はやはり麻耶作品というところ。 -
ミステリの構造と謎解きを楽しむことに主眼を置かず,物語としての軸が鮮明な点で読みやすい.できれば,登場人物達をもう少し立たせるための序盤構成があると,とっつきやすい.
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僕が麻耶雄嵩ファンなのかというと、言い切る自信はない。それでも不思議と手を出してしまうのは、なぜなんだろう。今回、絶版になっていた『あいにくの雨で』が集英社文庫より復刊されたので、読んでみたわけだが…。
以前、講談社のPR誌『IN☆POCKET』に麻耶さん自らが本作を語る文章が掲載されていたが、僕の記憶が確かならば、その文章のタイトルは、「あいにくの出来で」というものだった…。辛い作品だったとまで書いている。
そこまで言われると逆に興味がわくではないか。結論から言うと、他の麻耶作品同様、読後感がもやもやするのは同じ。麻耶さんらしいなあとは思う。『翼ある闇』などと比較すると地味なのは否めないが、特別悪くはない。そして、特別良くもない。
最初に密室の謎解きを配置するという特異な構成。メインの謎は、古びた塔での殺人事件なのだろうが、並行して描かれる生徒会の活動の方が興味深い。現実の政治も顔負けの勢力争い。諜報機関がある生徒会なんて嫌だ。
正直、生徒会の部分が必須の要素とは思えないが、そっちの方が面白い時点で致命的という気もする。いっそ生徒会を中心に据えた学園ミステリにすればよかったのに。本作は登場人物が覚え切れないほど多いが、中でも生徒会関係者がやたらと多い。
終盤の二転三転する展開の末に、真犯人が告白した事実が、一応驚くポイントなのだろう。このジャンルにあるまじき結末のはずなのだが、何だかどうでもよくなっていた。動機といい、突っ込みどころは多いはずなのに。正直、推敲不足な感はある。整理すれば、この構成をもっと生かせたはずである。弱点を補って余りあるパワーがあるわけでもない。
麻耶さんは、インタビューでご自身を短編向きと語っていた。『メルカトルと美袋のための殺人』、『メルカトルかく語りき』、『貴族探偵』シリーズなどを読むと、なるほどその通りだと思う。長編に関しては、いつまでも『翼ある闇』が立ちはだかるのだ。 -
集英社文庫版。
講談社文庫版が出たのはいつだったろうと調べてみたら、1999年だった。もうそんなに経つのか……。
最初に読んだ時は『夏と冬の奏鳴曲』や『痾』が好きで、本作はいまいちピンと来なかったのだが、集英社文庫版で再読してみると、秀逸な青春ミステリだった。当時はちょっと地味に感じたのが理由だったのかも……。