泣くな道真 大宰府の詩 (集英社文庫)

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  • 集英社
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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452051

作品紹介・あらすじ

京から大宰府に左遷され泣き暮らす道真だが、美術品の目利きの才が認められる。大宰大弐・小野の窮地を救う為、奇策に乗り出すが……。朝廷への意趣返しなるか! 書き下ろし歴史小説。(解説/縄田一男)

感想・レビュー・書評

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  • 澤田瞳子さん、はじめましての作家さん。

    ふだん歴史小説はあまり読まないのですが、
    和歌好きなのと、
    この『泣くな道真』という響きが良くて読んでみました。

    一番印象に残ったのは、道真公と僧侶、泰成の場面。

    行き倒れの老人の枕元に掛けられた如来画…。
    それを見て、仏様の画の本来置かれるべき場所を知る。
    そして、”何とかという貴族”が詠んだ詩として、
    道真作の「寒早十首」を批判され、自分の都での生き方を悔いる。

    ”日本史上、最も有名な左遷された男”
    言われてみればそうですね。
    右大臣にまで出世しながら左遷され、
    憤死の後、怨霊にまでされ、
    果ては神様だもの。

    でも、その大宰府での日々が
    悲嘆にくれるばかりでもなかったとしたら…?

    欲を言えばユーモア小説として、
    もっと道真公にはじけてほしかった気もしますが、
    楽しく読めました。

    著者の他の作品も読んでみたくなりました。

  • 鬱蒼と木々が生い茂る森の中を歩くのが好きだ。

    樹木、野の花、小鳥、小川、湧き水、風、木漏れ日…
    どこまでも変わらない景色。
    でも、好き。
    特に何か面白い事が起こるわけではない。
    でも、どこまでも歩ける。

    稀に
    腰を降ろすのには丁度良い石の上に
    誰かが座っている事がある。
    彼らと触れ合う事はないけれど
    幸運にも眼が合えば、
    その口元は静かに開き、語りかけてくれる時もある。

    森を歩いていると
    時々そんな光る人と出会う。

    澤田瞳子さんという方の
    『若沖』という本が面白そうなので読んでみたいなぁと、思った。
    すでに予約がいっぱいだったので
    初読となる著者の本を適当に一冊借りて、
    読んだこの本の中に<光る人>はいた。

    なんかもう胸がいっぱい…
    『若沖』はきっといい本だろうな、と確信した。

  • 当時の太宰府は興味がありますし、左遷後の道真いうのは新鮮なテーマと思いました。でも、道真像に隔たりが大きく、児童文学を読んでいるようでした。彼女が選ぶテーマには惹かれますが、リアルさに欠けます。例えば、ユーモア歴史小説というジャンルを掘り下げる方向もあるのではと。

  • 道真、へんくつじじいでかわいい。こういうのもありかも。
    東風吹かば…の歌が好きなので大宰府行ってみたいなぁ。
    そして小町か!ってとこに気づいてなかったのが悔しい。

  • 確かに情けない道真ではあるけど、このタイトルはどうかなあ。骨董書画の目利きとか結構お役立ちだし。
    更に、小野小町が太宰府に居た、それも道真が左遷されて来たときに、ってのはちょっとやり過ぎかと。
    とは言うものの、庶民の現実を突きつけられて、自分の来し方を振り返って真摯に悩む場面は良かったな。

  • http://wp.me/p7ihpL-ki

    「学問の神様」「雷神様」「悲劇の平安貴族」「日本屈指の怨霊」・・・
    たくさんの二つ名をもつ菅原道真が左遷された太宰府でのお話。
    登場人物のキャラクターとユーモアがあって、全体的な雰囲気は明るく進む。
    表紙も可愛らしい感じでほんわかです。

  • なぜ男の子を死なせたし.史実なのかな.
    小野篁とか妹子とか絡むのはとても良い.

  • 菅原道真の太宰府での生活を想像して書かれた小説。道真が失意の底から元気を取り戻していく様子がおかしかった。

  • 政争に敗れて大宰府に流された菅原道真を、迎える大宰府の役人側から見た軽めの(を装った)古代歴史小説です。やっぱり瞳子さんは古代中世が本領ですよね。隠れ(?)テーマは地域格差みたいな感じで、都とそれ以外の都市の絶対的な格差を、都の人間は実は全然分かっていない。という、今も昔も変わらない苛立ちを含む。

  • 学問の神様・菅原道真、名前は有名だけれど、文学作品で語られる事はあまりないような気がする。

    そんな道真に血肉を与えたような作品でした。
    博多津のにぎわいが、作品が平安時代の設定と知っていても、半島に近いせいの異国情緒が、奈良以前も彷彿とさせて…
    歴史小説好きにはたまらない。

    さりげなく小野の小町さんも登場したり(206ページにしてやっと気づく)、道真が雷神と結び付けられるエピソードもあり。
    歴史の行間を興味深く埋めてくれる。

    まだちょっと荒削りな感もあるのですが、戦国幕末江戸時代に関しては書き手も多いこの頃、平安以前は手薄な分野になってしまった。
    個人的に期待したい作家です。

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著者プロフィール

澤田瞳子(さわだ・とうこ)
1977年京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院文学研究科博士課程前期修了。専門は奈良仏教史。母は作家の澤田ふじ子。時代小説のアンソロジー編纂などを行い、2008年、第2回小説宝石新人賞最終候補。2010年『孤鷹の天』で小説家デビュー。2011年同作で第17回中山義秀文学賞を最年少受賞。2012年『満つる月の如し 仏師・定朝』で第2回本屋が選ぶ時代小説大賞、第32回新田次郎文学賞受賞。2015年『若冲』で第153回直木賞候補。2016年同作で第9回親鸞賞受賞。2017年『火定』(PHP研究所)で第158回直木賞候補。2019年『落花』(中央公論新社)で第32回山本周五郎賞候補および第161回直木賞候補に。

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