- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087452082
作品紹介・あらすじ
短大卒業後、口紅を手がける会社に就職し、仕事に恋に冒険する女性を描く長編小説。有吉佐和子が30歳の時に『週刊明星』で連載した単行本未収録作品を、没後30年を記念して刊行。(解説/有吉玉青)
感想・レビュー・書評
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1961年雑誌『週刊明星』連載の作品。有吉さん没後30年の月日が流れ、お嬢さんの有吉玉青さんによってはじめて単行本として収録されたというエピソードのある1冊。
連載は完結したものではあるが、単行本化の前に慣例である加筆修正や校閲などをなされぬまま世に送り出した玉青さんの心意気。
女性が今の立ち位置とは全く異なる戦後20年弱の頃の空気を有吉さんの筆から感じる。
当時珍しかった短大卒の女性晴子が、立ち上げたばかりの今でいうベンチャー企業のような口紅会社に職を得るところから物語が始まる。
家庭内工場では学歴のない「女工」さんたちが冷暖房もない環境でひたすらモノづくりの担い手となる。文句も言わず、向上することも目指さず、昨日、今日、明日が変化のない、連続体であることを信じて。
男性は野望のある者、現状維持を貴ぶ者、虎視眈々チャンスを狙う者等々、海千山千。
現在社会のように、白黒二元論が跋扈し、いつでも誰にでも高潔さばかりを求める弾力性のない雰囲気とは異なり、世間知らずの主人公晴子が、一線を越える出来事や癖のある人物たちとの交錯によって、変容していくさまが面白い。
有吉さんが当時言いたかったこと、書きたかったことはとても正直でそれを筆にしたまま、と巻末の解説での玉青さんの弁。
最近の女性作家の活躍は素晴らしいと思うが、ややもすると価値判断が安易に織り込まれ、被害者/犠牲者の轍から脱しきれないものや、「ほっこり」系に終始するものが多いことを物足りなく感じる。
人間のエゴや狡さ、脆さも含め、弾力的な人間や社会を描く作品をもっと読みたいのだよなあ。
だから昭和の作家のクラッシック作品はとても魅力的。
作中プロペラ機の高度が1万メートル以上だったので、そこはもう少し低いと思いました笑。些末なことだけれど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1961年、有吉佐和子が30歳の時に「週刊明星」に連載された小説が30年後に文庫に収められた。解説は娘の有吉玉青。
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春子の若さゆえの危なっかしさがおっさんにはたまらないんだろうな、、
近づいてくるおっさんたちにイライラしたわあ。
口紅会社っていう設定がおもしろくて好きだった。
虹色の紅、つけてみたい。 -
大好きな有吉作品。
半世紀前に描かれた小説だということにビックリ。
時代は感じますが、古さはそれほど気にならず。
口紅会社に勤める晴子。
少女から大人の女性へと少しずつ変化していく。
晴子が変にベタベタしておらず、好感を抱く。
そう言えば私、口紅って数えるくらいしか塗った事ないなぁ。
何だか無性に口紅が欲しくなりました。
作中で、一度口紅を付けてしまうと女の人は変わる
(付けずにはいられなくなる)と書いてあり、
何だか堪らなく口紅が魅力的に思えてしまった。
今までは興味なかったくせにー! -
時代が違うけど
おもしろかった。
おっさんは今も昔も
えろいな。。 -
男性ばかりの会社で働き始めた女の子が主役の恋愛小説。蝶々の羽化を見守るようなハラハラ感。
半世紀前のお話なんだよなぁ。
時代の違いをひしひしと感じつつも、意外とさくさく読めました~。 -
まぁ普通かなという感じですが、この作品が世に出た時には違った意味合いがあったのかなという気がしなくもなく。あくまで想像ですけれども。
女性の立場の変遷史という観点で参考になる作品かなぁと思いますが、先の筋の見立てが簡単につくこと含めてまぁ普通という感想です。 -
時代の違いはあるだろうけど、何かを開発する現場というのはさほど変わらないのかもしれない。何がヒントになるか、わからないもんだなぁ。何事にも興味を持っておくということかしら?
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恐らく天性の小悪魔なのだろう小河内晴子。思いの外すっきり読めました。
近くにいたらイライラしそうだけど、ヒロミさんみたいに面白がれる気もします。ここまであっけらかんとしていられたらいちいち気に病む方が馬鹿らしくなるかも。言い寄られまくってるけど私はモテる!みたいな変なところも無いし。
山野も住谷も既婚者なのにいけしゃあしゃあと…ってそっちのほうに苛々してしまいました。晴子に振り回されていい気味です。
室中さんとくっついてほっとしました。
虹色の紅…オパールみたいな唇になるのかな。ちょっと想像つかないです。