マスカレード・イブ (集英社文庫)

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  • 集英社
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レビュー : 1142
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452167

作品紹介・あらすじ

ホテル・コルテシア大阪で働く山岸尚美は、ある客たちの仮面に気づく。一方、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる新田浩介は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名を言わない。殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。「マスカレード」シリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「マスカレードホテル」の前日談で、山岸尚美と新田浩介は直接会うことはないし、ニアミスもないが、なかなかうまい具合に二人を事件によって交錯させている。短編が3つと中編が1つだが、事件も面白いし、二人の描写も巧みだ。新田は自信家で鼻持ちならないところがあるのだが、新田と組む新人女性刑事とのやり取りがいい。女性刑事の方を応援してしまうなあ。

  • マスカレード・ホテルの山岸尚美と、新田浩介が出会う前の話。ホテルパートと警察パートが交互に続き、最後のマスカレード・イブでは尚美が新田の捜査している事件に間接的ながら協力することになります。

    『それぞれの仮面』
    ホテルコルテシアに勤めて4年、フロント業務を行う尚美の元に現れたのは、元プロ野球選手の大山将弘に付き人をする元恋人の宮原だった。
    夜、宮原は、尚美の携帯に電話をし、切羽詰まった声で「大変なことになった、部屋に来て欲しい」というーー。

    うーん、元恋人も今後出てくることなさそうだし、女に振り回されてるだけの小粒なお話でした^^;、

    『ルーキー登場』
    ホワイトデーの夜、男がランニングの途中に刺殺される。彼は複数の飲食店を経営する実業家だったが、職場での評判もよく、トラブルはなかったという。
    捜査線上にあがってきたのは、妻の美代子が開いている料理教室の生徒の男。偏執的に美代子に執着しており、夫を殺したら自分と幸せになれると考えていたと動機を語るが…。

    東野圭吾のお得意分野、訳ありな美貌の人妻です(笑)

    『仮面と覆面』
    怪しげな男性五人組が宿泊のために受付にくる。彼らはタチバナサクラという覆面美人作家がここに泊まることを知り、その姿を見るためにホテルのロビーでたむろしている。
    果たして、その作家に用意された部屋の受付に来たのは中年の男性だったー。

    オタクvsホテルマン!(何この構図)
    実際のところ、迷惑な客でもお客様には違いないので、こういう対応は気を使うし難しいだろうなと思う。最後には少し驚く展開も。

    『マスカレード・イブ』
    表題作。大学教授の岡島が殺害される事件が起きる。岡島と共同研究をしていた南原という准教授が容疑者として浮上する。
    南原は、10月4日のアリバイは完璧なのに、事件のあった3日については口を噤む。追及を受け、大阪のホテルコルテシアに人妻と密会していたと白状するも、その相手の名前は頑なに言わない。殺人の嫌疑をかけられても守りたい秘密は何か。
     
    大阪のホテルに派遣された若手の女性刑事の奮闘に、当時フロントクロークをしていた尚美が決して証言にはしないでほしいと条件付きで、ある記憶と推理を述べる…。

    表題作が一番ミステリーらしくて面白かった。昨日の記憶も曖昧な私には、3ヶ月前の客との会話を覚えているとか神業です…!

    お客様の仮面を守り抜くのが私の仕事。

    これが尚美の根底にある考え方なのだけど、なんだろう、北風と太陽を思い出した。

    客は仮面を被っている。でもその客の仮面には、ホテルマンの心からのおもてなしに甘えているうちに隙が生じる。自分からペラリと仮面を剥がしてしまうことも…。

    反対に、容疑者や関係者は、疑わしきを疑うを信条とする警察に対しては、何重にも貼り付けた仮面を、両手でしっかり押さえているから、あの手この手で剥がそうとしてもなかなか取れない。

    尚美がスパイになったら、「あなたになら」「ここだけの話なのだけど」「このことは内密に…」と言われながら色々な話聞き出せそうだし、いい仕事してしまうかも(笑) 

  • 「マスカレードホテル」に続くシリーズ第2作目。順番としては続作になるが、タイトルにある『イブ』からもわかるように、内容は前作「マスカレードホテル」の主人公2人・新田浩介と山岸尚美が出会う前のそれぞれの話しである。

    私は、フロントクラーク・山岸よりも刑事・新田の方にどちらかといえば思い入れがあるので(スクリーンでは、新田役は木村拓哉さんで、ハマっていると思ったのが理由)、今回2つ言いたいことがある。

    1つ目は、なんと言っても仕事の足を引っ張る彼女の存在。
    2つ目は、理解、配慮に乏しい生活安全課の穂積理沙とペアを組むことになったこと。
    理沙に『お願いだから、足は引っ張らないでね』と終始祈る気持ちでページをめくった。

    本作のキーワードは、公式サイトで以下の通り。
    「尚美が気づいた、昔付き合っていた彼の仮面」ー『それぞれの仮面』
    「新田が騙された女の仮面か。」ー『ルーキー登場』
    「お客様の仮面を暴いてはいけない。」ー『仮面と覆面』
    「アリバイという仮面を暴け。」ー『マスカレード・イブ』
    (集英社 マスカレード特設サイトCMより)

    本作に共通するキーワードは、『仮面』。 
    (これはシリーズを通して共通するキーワードだ。だから、全ての表紙に仮面が描かれている。)

    人は確かに仮面をつけている。ただ、私の考えとしては、一人の人間において多種多数の仮面を持っていて、遭遇している状況、例えば、対人、環境、心理等により色々と仮面を付け替える。なので、ホテル用の(と、言っていいのかわからないが)仮面をら剥がすというのではなく、ホテル用に仮面を付け替えるイメージだ。
    きっと、これは以前読んだ『分人』という考え方に影響を受けている。そして、そもそも作者が考える『仮面』の考え方自体が、『分人』と同じであると思った。でもそれは、それは『覆面』かもしれない。もし、素の自分を隠すと言う設定なら、『覆面』という言葉の方がぴったりとくる。そんなことに考えを巡らせ、仮面と人の心理について読みすすめたためにストーリーの展開を追っていくことよりも疲れてしまった。

    一流ホテルは、宿泊客に非現実的な空間を提供する。宿泊客は、その非現実的な空間との勝負のために『仮面』を着けるのだと思う。私の場合であれば、それはホテルに入っ時に感じるあの緊張感のせいである。


    それぞれの仮面
    ホテルマン・山岸尚美とかつて付き合っていた宮原隆司がホテル・コルテシア東京に宿泊に来る。

    ルーキー登場
    ランニング中に料理教室を主宰する田所美千代の夫・田所昇一が殺害される。美千代に好意を持っていた料理教室の生徒・横森仁志を刑事・新田浩介が疑う。

    仮面と覆面
    正体未知の人気女流作家・タチバナサクラ(玉村薫)は高校生。中間試験と重なり執筆活動をホテル・コルテシア東京で父・玉村ソウイチと共に秘密時に原稿製作を行う。ファンの執拗な追いかけから逃れるための画策に尚美が活躍する。

    マスカレードイブ
    大学教授・岡島孝雄の殺害で准教授・南原定之が捜査線上に上がる。一方で、美容サロンを経営する畑山玲子の父・畑山輝信の殺害が未解決となっていた。2つの殺人の関係性を刑事・新田が暴く。

    個人的には前作のマスカレードホテルの方が面白かった。ふたりがペアを組む前なので、ふたりの絡みがない。そのため、物語の展開は良しとしても、華やかさに欠けていると感じたからだ。

  • 「マスカレード・ホテル」の前日譚。
    4つの話からなる短編集で、東野圭吾さんの本は「読むぞっ!」と時間をとって一気に読みたいものが多い中、こちらは少しずつ気負わず読めた。
    新田や尚美がまだ仕事に慣れていない様子が描かれていたり、他にも「マスカレード・ホテル」に出てきた人物が出てきたりして楽しめる。
    新田や尚美が既に洞察力鋭い。

  • マスカレード•イブ 東野圭吾さん

    マスカレード•ホテルの続編。
    東野圭吾さんの小説の特徴の最後の最後に繋がっていくシナリオ。

    マスカレード•ホテルよりも緊張感は低めかもしれませんが、どうなる?の期待感は変わらず。

    休日に読書ができること。
    読み終えて、満たされるひとときはありがたいことです。

    いつも思います。

    書き手の先生方、ありがとうございます!

    #読書の秋

  • 『マスカレード・ホテル』が面白く、続けて購入。
    連作短編な感じで、すべてで4編。

    時系列的には全て「ホテル」より前の話ですが、
    舞台に大阪や京都をからめたりと面白くも。

    その表題にもなっている「マスカレード・イブ」もいいですが、
    個人的には「仮面と覆面」がなかなかに興味深く。

    作家の缶詰ってのはよくネタで聞きますが、
    実際にもこんな感じなんですかね~

    様々な“仮面”をどこまで把握しどこまで守るのか、
    その軸については相変わらずにブレない内容でした。

    広義で、人のため≒サービスと見れば意外な共通点も、
    そんなことも考えさせられた一冊です。

  • 「マスカレード・ホテル」の前日譚。
    ホテル勤めの山岸尚美と、刑事の新田浩介が出会う前、それぞれの仕事をしている時期の短編集です。

    「それぞれの仮面」
    ホテル・コルテシア東京に勤めて4年の山岸尚美。
    念願のフロントオフィスに配属されたばかり。
    謎めいた客の動きを観察し、お客様に良かれと思う方向へ、ひそかに立ち回ります。
    ホテルではお客様は仮面をかぶっている、ホテルマンはその仮面を守らなくてはならないと。

    「ルーキー登場」
    ホワイトデーの夜の事件の捜査に、アメリカ帰りの新田浩介、登場。
    まだ警察内でもやや浮いている? 頭はいいということだけど~という。
    マスカレード・ホテルとは、ちょっと印象違いますね。

    「仮面と覆面」
    ロビーで不審な動きを見せる五人組の目的は‥?

    「マスカレード・イブ」
    大阪に来ている尚美が出会った事件。
    新田の手伝いに借り出された女性巡査が尚美に面会に来ます。
    山岸と新田がお互いに会うことはないまま、同じ事件に関わっているあたりが面白い。
    どちらも有能ではあるけど、まだ少し青臭い印象になってますね。

    期待通り、軽く読めて、事件のバラエティもあり、それぞれの活躍を楽しめました☆

  • 冒頭───

     午後六時を過ぎた頃から、フロントにやってくる客が増えてきた。殆どがビジネスマン風の男性だ。この時間帯にチェックインする客は概して表情が明るい、というのは上司のフロントオフィス・マネージャーの説だ。商談なり営業なりの仕事が順調に片付いていなければ、こんな時間にホテルに来ている場合ではないはずだから、というのがその理由だった。
     次々にやってくる宿泊客の顔を眺めているうちに、その説はある程度当たっているかもしれないな、と山岸尚美には思えてきた。

    二年ほど前に出版された作品「マスカレード・ホテル」で主役を演じたホテルウーマン山岸尚美と刑事新田浩介が出会う前の、それぞれの物語を描いた短編集。
    最初の三編
    「それぞれの仮面」山岸尚美
    「ルーキー登場」新田啓介
    「仮面と覆面」山岸尚美
    は片方の人物だけが登場するストーリー。
    最後の一篇「マスカレード・イブ」だけは二人とも事件でカギとなる役割を演じており、後の二人の邂逅を予感させる話となっている。
    ここは上手く、次の「マスカレード・ホテル」に繋げる仕立てとなっており、東野圭吾の腕を見せたという作品だ。

    内容全般も、最初の三編は短すぎて推理物としては物足りなさが残るが、「マスカレード・イブ」だけは、そこそこ長さもあって、充分に東野圭吾ミステリーとしての醍醐味を堪能できる。

    実業之日本社の“いきなり文庫シリーズ”と異なり、手抜き度の感じられない、まずまず満足できる文庫本でした。

  • 映画化が決まった段階で​「マスカレード・ホテル」​を読んで1年と3ヶ月、映画を観たこの段階が読む時期かなと思い紐解いた。1番知りたかったのは、「イブ」のあらすじではない。マスカレード(シリーズ?)は、刑事の新田とホテルフロントクラークの山岸の2人が「主人公」である。そう私は認識していた。ところが、「イブ」は「2人が出会う前のそれぞれの物語」と「あらすじ」に書いている。それでどうやって「マスカレード」の冠を被せることができるのか?その「からくり」が知りたいだけで、サスペンス部分は上手く創るんだろうな、というぐらいだった。

    なるほど、こういう「からくり」か!

    絶妙!と褒めるわけにはいかない。

    かなりあざとい編集者の思惑が透けて見えるからだ。雑誌「小説すばる」に「イブ」の物語が載り始めたのは2013年からである。一方、「ホテル」の単行本初出は2011年だ。
    「東野圭吾先生、ホテルが好評なんですよ。是非、シリーズ化しましょう」
    「そんな無茶言うなよ。山岸さんは、本来事件と関わりないホテルマンなんですよ。関わりない2人が、相棒になるからこそ、面白かったんじゃないですか」
    「でも、これで終わらすのはもったいないです。せめてあと2冊」
    「じゃあ、後日譚はあと一回無理やりこじつけるとして、前日譚というのは、どうです?」
    「えっ!?でも‥‥」
    「私にアイデアが無いわけじゃないです‥」
    と、まあこんなところだろう。

    こういう「売らんがための小説作り」つて、どうかなあ、と思う。なんやかんや、文句いいながら、買ってしまって、楽しんでしまった私もどうかなあ、と思う。「ナイト」の方も、文庫本が出たらつい買ってしまいそうだ。

    2019年1月読了

  • マスカレードホテルと一緒に購入したが、こちらを先に読んでも大丈夫だったかもしれない。
    二人が出会う前のお話。

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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