アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (455ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452297

作品紹介・あらすじ

19世紀、英国を出発したフランクリン隊は北極探検中にその姿を消した。彼らはそこでどんな光景を目にしたのか。その足跡をたどった壮大な冒険記。講談社ノンフィクション賞受賞作。(解説/東えりか)

感想・レビュー・書評

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  • エンタメノンフ作家・高野さんとの対談を読んで気になった本。トリッキーな主題よりも副題が読者の心に響いてくる。1800年代、世界の中の日本は幕末に、欧州ではポルトガルとスペインが主要航路を押さえてしまったがために、過酷な北極圏を航行する北西航路を開拓する必要性に迫られたことがフランクリン隊の悲劇を引き起こした。極寒の極北、乱氷帯を踏破する辛さ、ツンドラの不毛な大地を進む描写に、自分が安全な場所に居ながらも、旅をしている気分にさせてくれた。

  • 19世紀に北極海で消息をたったフランクリン卿のチームの亡霊たちの足跡を追う旅。
    見渡す限り、人っ子一人いない大地、音がしない大地、雪に閉ざされた大地を
    歩いていくときの精神状態は想像を絶します。
    実体験したら発狂しそうだ。
    20180531

  • 129人が全員死亡というフランクリン隊の伝説はどこまでも人を引きつける

    やっぱり思ったのは角幡唯介氏は文章が上手いなぁと言うことでひたすら変わり映えしない(?)氷原を歩く体験をよくここまで面白おかしく書けるものだと感心させられた

    角幡氏の本は空白の5マイルに続いて2冊目だが過去の冒険家たちの物語はやはり面白く、もっと読みたいという気持ちになった

  • 「ヨーロッパとアジアを結ぶ航路を発見せよ」。19世紀に大英帝国の
    期待を背負ったフランクリン隊は、北極探検中に全員が死亡した。

    フランクリン隊は北極で何を見たのか。冒険家・荻田泰永氏と著者が、
    フランクリン隊の足跡をたどった記録が本書である。

    著者たちの探検の行程とフランクリン隊が辿った運命が交互に記述さ
    れる手法は以前に読んだ『空白の五マイル』と一緒。

    どこまでも雪と氷。そこを北極での生活に必要なすべてを乗せた橇を
    引き引き、ひたすら歩く。しかも同行者とずっと一緒。

    ひとりで黙々と歩くよりはいいんだろうが、どんなに仲が良くても一緒
    に旅行などで長い時間を過ごすと相手の嫌な部分が目に付いて険悪に
    なるっていうのは女性同士に限るのかな。

    氷に阻まれて思ったように距離が稼げない日々が続いていても、著者と
    荻田氏が交わす会話がどことなくのんびりしているのが印象的。

    フランクリン隊の最後の生存者たちの命が尽きた「飢餓の入江」を越え
    てふたりの旅は続く。それは、イヌイットたちが「アグルーカ」と呼ぶ
    生き残り隊員の足跡を追う為だ。

    イヌイットの言葉で「大股で歩く男」を意味する「アグルーカ」と名付
    けられた探検家は何人かいた。自分こそ、イヌイットが言うアグルーカ
    だという探検家だと主張する人もいるが、著者同様に私も隊長であった
    フランクリン亡き後に隊の指揮をとった男こそ、イヌイットたちの間に
    伝わるフランクリン隊の「アグルーカ」だと思いたい。

    仲間のほとんどが死んでしまった後に、帰国する為に不毛地帯へ足を踏み
    入れてのち、消息の分からなくなったアグルーカは確かにいたのだと。

    現実の冒険の合間に描かれるフランクリン隊に関した考察は非常に参考に
    なった。しかし、著者たちの冒険の行程で私には何か所か引っ掛かること
    があって、心底楽しんで読めたかと考えると複雑なんだよな。

  • 「空白の五マイル」に続いて本書を読み終わった。
    今回は北極探検を題材にしているが、本作でも過去の探検家の歴史と、著者自身が自分の足で同じ場所を探検した体験を上手く織り交ぜて、興味深く読める内容になっている。
    また、前書に比べると執筆者としての技量が格段に上がっている。

  •  1845年、イギリスを出発して北極航路の探検へと向かった129人は戻ってくることはなかった。
     その後、数々の調査がなされて彼らの痕跡から129人全員死亡という判断がなされた。
     しかし、調査の中では何名かのイヌイットは「アグルーカ」という人物が南を目指したという証言した。

     アグルーカ、イヌイット語で歩幅の大きい人という意味の言葉は転じて「勇敢で果断な男」を意味する。
     その痕跡から人肉食すら起きていた極限の状況において、アグルーカは部下二人を連れて南のツンドラ地帯を目指したという。

     はたして129人のうちに生き残りはいたのか。150年前のフランクリン隊の足跡を追い、彼らが見た北極を追体験する。


     冒険家という連中は日本にも生き残っている。本作はその道では有名な作者の出世作だ。

     現在の自らの極限状態と、150年前のフランクリン隊の探検とを重ねながら旅をする。

     乱氷帯の橇越え、飢餓状態で麝香牛の狩り、つかの間の休息の後に濁流と化したツンドラ地帯の踏破。

     「探検は土地の物語、冒険は人の物語」と筆者は別作品で語っている。
     この旅は冒険だ。アグルーカは隊長亡き後、生存者を率いた副長のクロージャーだったのか。

     真実は全て北極の雪の下だ。雪原に消えた最後の三人が最後に見た風景は何だったのか。
     失われた真実にこそロマンを感じる。

  • おもしろかった!
    小心者の僕にも、冒険の素晴らしさを感じることができた。

    氷点下30℃環境で一日歩き回るためには5000kcal/日必要ということに驚き。

  • 129名の隊員が全員死亡した19世紀の英フランクリン隊の足跡をたどり、北極圏を100日以上かけて徒歩で走破する冒険の記録。真夏の読み物として読むには最適の非現実的な本だった。
    著者は早稲田大学探検部出身1976年生まれ。

  •  冒険家であり、ノンフィクション作家の角幡唯介さんが1845年ヨーロッパとアジアを結ぶ航路を発見するためイギリスを出発し、総勢129名が全滅するに到ったフランクリン隊の足跡を辿るため、北極冒険家の荻田泰永さんと共に3ヶ月に渡って北極を旅する探検記。

     始めはそら大昔に北極旅するんやから全滅することもあるやろう、と思っておったのですが、少なくともフランクリン隊が出発した1845年当時は18世紀の劣悪な条件のもとでの探検ならいざ知らず数十人単位で死亡したりすることはなかったらしい。船は当時の最先端技術を詰め込んだ立派なもので、5年分の食料を備え、図書室や温水暖房まであったらしい。何か思ってたのとだいぶ違う感じ。しかも、隊を率いるフランクリンはかつての北極探検で極限の飢餓に襲われながらも“革靴”を食べて生き延びたといわれる北極探検界のスター、これが何で全滅したん???2人の旅と交互にちょっとずつ明かされるフランクリン隊の話がミステリを読んでいるみたいにドキドキして面白かった。

     そんな絢爛豪華なフランクリン隊とは対照的に2人の旅は重さ100キロの橇を飢えに悩まされながら延々引きながら歩く、というかなりストイックなもの。一日に5000キロカロリー摂っても食べた瞬間にお腹がすくらしく、飢えに苦しんだ2人が麝香牛を射殺して食べるところは圧巻やった。

     そして苦労の末、ジョアヘブンの村へ着き、氷の上を歩く旅は終わるんやけど、さらにその先フランクリン隊の生き残り「アグルーカ」と呼ばれた男が旅したかもしれない南へ再び出発。ここから先は詳細な地図もなく、ただ河をボートで渡れる場所を探してツンドラの湿地帯を歩くのみ。ただただ氷と飢えに格闘していたそれまでとは違い、湖で魚を釣ったり旅に彩りがでてきて面白かった。

     角幡さんのこの本も面白いけど、クレイジージャーニーという番組に出演された旅の相棒である荻田さん、「コラ〜ッッア」と叫びながら熊を撃退したり、ボコボコの氷の上で橇を引く様子なんかが映像で観れてまた違う面白さがあった。つぎは荻田さんの「北極男」を読んでみたい。

  • 冒険の話はとても面白かった。地形、地図・GPSとかの話はためになった。あとは、ペミカンの味付けにもこだわりがあるんだな、とか、レイクトラウトを食べてみたい、とか…
    極地冒険なので仕方ないのだろうけど自分語りが多くて、その語り調子がどうも苦手。解説にもあるけど、きれいにまとめられすぎて夢物語っぽい?のかな(特に、最初のほうと、あとがき)

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著者プロフィール

角幡 唯介(かくはた ゆうすけ)
1976年、北海道芦別市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。同社退社後、ネパール雪男捜索隊隊員。『空白の五マイル』(集英社)で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『雪男は向こうからやって来た』(集英社)で新田次郎文学賞受賞。『アグルーカの行方』(集英社)で講談社ノンフィクション賞受賞。

「2014年 『地図のない場所で眠りたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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