朱鳥の陵 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452730

作品紹介・あらすじ

他人の夢を読み解く力を持った白妙(しろたえ)が、時の太上天皇讚良(ささら)、後の持統天皇の心の中に飲み込まれていく。強大な権力を手中にし、愛する者を次々と葬った持統天皇の真実に迫る。傑作歴史長編。(解説/細谷正充)

感想・レビュー・書評

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  • ★5なんて足りない。個人的に10以上付けたいくらい大好きです。
    讃良の強烈な怖さに脱帽です。
    ただ、この時代に全然興味がない人は(ある人でも難しい)、個人名称が大層難しく、巻き戻して読み直しても誰だったのか分からなくなること間違いないので、wikiとかまとめサイトなどで相関図や名前一覧を見たり、(この本にもあったかな?)とにかく、この人誰だっけ?と絶対になるので用意してから読んだ方が良いと思います。
    元々、聖徳太子没後から壬申の乱までの時代が大好きで、大海と讃良が好きなので、ワクワクしながら読みました。
    紙で購入しましたが、電子でも買おうかな。

  • 世にも恐ろしい物語。

    たしかに、大和言葉が多く、一部人名が教科書的な書かれ方をされていないため、最初はとっつきにくいが、徐々に物語のパワーに押され、数時間で読み切ってしまった笑。

    圧倒的な情報量と古代史の暗部を描いた内容は圧巻の一言!最後はものすごい無惨な結末だが、不思議とさわやかさが残った。


    とりあえず、
    天智天皇=中大兄皇子=葛城皇子=近江朝
    天武天皇=大海人皇子=飛鳥浄御原朝
    額田王=比売朝臣
    と、頭に入れてから読むとわかりやすい。 です。

  • この作家の特徴なんでしょう、文章の粘質さみたいなものは。これについては、読者の好き嫌いの問題になるでしょう。
    内容としては結構面白いのですが、結末が意外にあっさりしていて肩透かしを食らわされたな、というのが正直なところです。

  • ほとんど知らない時代の話なのに分かりやすい背景に引き込まれる文章。
    そして、全てに仮名があるのでどんな読み方だっけと考えずに読めるのでサクサク進む事ができる。
    夢を解くために常陸国からやってきて、讃良皇女の少女時代まで遡る。
    女の執念と強さも感じられる話だった。

    百人一首にある
    白妙の
    衣干すてす…
    にその解釈ができるとは想像力もすごく人なのだなぁと他の作品も読んでみたい。

  • 夢解きを頼まれた白妙。

    夢の核心に近づくにつれて、否応なく讃良皇女の心に対ってしまい、ついに…。

    時代背景と人間関係をつかんで読まないと、面白さが半減してしまう作品だと思う。白妙の視点と讃良皇女視点の書き分けとして、書体や一人称が違ったりする演出も小説ならでは。

    結局、白妙が同化していた讃良皇女=持統天皇なんだけれど、終盤の迫力が何とも言えない。読む前と後では、あの有名な、「はるすぎて~」の和歌ががらりと違う印象になっちゃうほど。

  • 西暦700年代初頭の古代が舞台。持統天皇の心の内に入ることができる白妙を借り、夫や息子を含めた周りの邪魔者を排除し、天皇に上り詰めていく過程をたどる。歴史上の人物や物事をうまく織り込み登場させながら、フィクションの面白さが存分に生きた小説。
    この著者の作品はハッピーエンドや報われたり悪が挫かれる終わり方にならない。途中からそれが読めてしまい、読み終えてみたらやはり。

  • ごめんなさい。ぜんぜん合わなかったです。文も人物の造形も好きになれず。歌についても、定説と違う解釈を出すなら、もっと飛躍させてほしかった。え、この程度の解釈で話進めちゃうの?感が。

  • 私の中で夭逝の惜しまれる作家ナンバーワンでした。本作はラストが衝撃的で、読み終わった後もしばらく現実に戻れませんでした。最初はふりがなだらけの文章と難しい名前の登場人物で読みにくいかと思ってましたが、すぐに話に引き込まれ、ほぼ一気に読んでしまいました。ふりがなの分、本の厚さのわりに文字量は少ないのですね。きっと。読みながら「もはや無用のゴミ扱い」の昔覚えた語呂合わせが頭の中にずっとありました。考えた人はすごいです。

  • 読み応えのある本だった。歴史、ミステリー、ホラー一つに定まらない内容を散漫にする事なく一気に読ませてくれる。ただ歴史オタとも言える私でも 冒頭の部分でやや腰が引けてしまうほど 当時の官職名、言葉使い、人名が忠実に再現されている。持統天皇については 永井路子「茜さす」「美貌の女帝」有名所では里中真智子「天上の虹」などである程度のイメージがあったけれどこの本では彼女の政治家としての部分ではなく どこまでも「女」としての情念の凄まじさについて書かれている。とても面白い本だけれど誰にでも薦めるとは言えない本かな

  • こわかった!!もうその一言。

    ・・・・百人一首のあの歌・・オソロシイ。
    昔あの歌に惹かれて天の香久山まで登ったんですが、この小説後は感じ方が
    変わりそうです。((笑))
    ちなみに地元で売っている「白妙の衣」をイメージした「鵜野讃良」という和菓子
    が好きなんですが・・今後うををを!と思いそうです。
    古語をちりばめた文体に最初は読みにくかったんですが、慣れてくると世界観が
    はっきりしてきてよかったです・・。
    ネタバレになりますが、後半のクライマックス。
    寝所で横たわる讃良が「お前を見つけたぞ」的な表情するのが・・オソロシイ。
    読み終わった後、トラウマになりそうでした。トラウマになりそうなときは
    同時に里中満智子先生の「天上の虹」の最終巻をお読みになるのをオススメします。
     歴史ホラーとしては面白いですが、バッドエンドすぎて・・★4つ。

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著者プロフィール

高知県生まれ。奈良女子大学卒業後、イタリアで建築と美術を学ぶ。ライター、童話作家を経て、1996年『桜雨』で島清恋愛文学賞、同年『山妣』で直木賞、2002年『曼荼羅道』で柴田連三郎賞を受賞。著書に『死国』『狗神』『蟲』『桃色浄土』『傀儡』『ブギウギ』など多数。

「2013年 『ブギウギ 敗戦後』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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