狭小邸宅 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 377
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452839

作品紹介・あらすじ

第36回すばる文学賞受賞作。学歴も経験もいらず、特別な能力や技術もいらない。全ての評価はどれだけ家を売ったか。何も残らない仕事。なぜ僕は辞めずに続けているのだろう──。(解説/城 繁幸)

感想・レビュー・書評

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  • むかし、友達のコンサートのために降りた駅前で、何の気なしに不動産のサンドイッチマンからチラシを貰ったら、ものすごい勢いで追い縋られたのを思い出した。
    家なんて一生に一回の買い物だけど、ちょっとした小技や営業のトークなので判断力を失わせて、あっという間に買わせる、お客にとっても不幸だけれど、それを商売にしている人にとっても、なかなか辛く厳しい業界なのだなと思った。

  • 某東証一部上場ハウスビルダーがモデルと思われる小説。超絶ブラックな住宅営業のディティールは必見。ひとつの成功体験から徐々に自信を深めていく描写も上手い。

  • 同じ営業をしている者として、感情移入して一気に読めてしまった。

    不動産の営業の世界の過酷さと、営業としてやるべきことまで学べる小説。

    特にエース課長の淡々としたキャラクターが、的を得た営業アドバイスをズバズバ主人公に指摘するシーンは爽快。

    ただ、最後の終わり方が呆気ない…
    三部作の一部目のような終わり方だったのが残念。もっと主人公が活躍する姿が見たかった。

  • 前半は読むのを止めたいくらいの暴力の場面。
    不動産会社の営業マンってこんななの?それとも小説だから誇張してるのか?
    とにかくこんな会社イヤだ、早く辞めちゃえばいいのにとの思いでかろうじて読む。
    少し家が売れるようになってからは、主人公がこういう営業マンとしての在り方を管理職として改革してくれないかなとずっと思ってた。そういう小説だったらいいなと。
    でもなんだかだんだん染まっていくような感じがしだし、最後はなんだかよくわからない終わり方。
    楽しいお仕事小説ではなかった。

  • 新卒で不動産会社に就職した『松尾』。まったく物件が売れないことから、上司からパワハラを受け、それでも何となく営業を続ける日々。異動先でも退職を促されながら、何とか不人気の狭小住宅を売ることができた。その日を境に、上司からの手ほどきもあり不動産営業にどっぷりと浸かる。
    一方で大切なものを失い、言いようのない不安に駆られながら、今日も車を走らせる。


    とにかくのっけからパワハラの描写がひどくて、読んでいるこちらまで心臓がドキドキする。不動産営業は売ってなんぼ。「殺してこい!」。物件を売ることをそう呼び、押して引いてのテクニックでお客をその気にさせる。『松尾』がどんどん不安定になっていく状況は、もう見ていられません。ああ、こういう仕事、わたしには無理だ。強靭なメンタルが必要だ。

    なんでこの作品を読んだかというと、日大のアメフト問題だったかでどなたかのブログで紹介されていたからなのですが、こういった特殊な環境で追い込まれると、人間、変わってしまうものですね。その本人には為す術がありませんから、周囲がきちんとケアしていかなければいけませんね。

  • 主人公の松尾氏が入ったのが不動産屋さんで、そこでの会社の様子が書かれています。昭和時代ならまだしらず、今でもこのような体育会系の職場があるかとしたら驚きですね。少なくともこの小説の前半は、読むのも気が引けました。

    小説に動きが出るのは、松尾氏が恵比寿支店から、用賀支店に転勤になり、少し毛色の異なった上司の下で働くことになり、そこで個人的指導を受けたおかげで、周りの人たちが売ることができず、社長も気にしていた物件を売ることができてから人生が変わってきたようです。

    不動産業界の話あり、最近の若い人たちの仕事に対する考え方もでてきて、恋愛に関する話題もあり、楽しく最後まで読めました。でも、最後まで読み終わって、まだ結論に至っていないな、まだ話が続いているかのような終わり方でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・覚えることは意識して覚えるようにした、道路・物件・鍵、この3つのことを覚えるだけで、見える景色は変わった(p136)

    ・利便性、広さ、環境の三拍子を揃えることは難しい。(p145)

    ・ネックを潰すには、客が諦めるまで「まわし」の物件を案内し、勧め続けるのが鉄則である(P146)

    ・まわしの物件は、それがどれだけ気に入らないものだろうと勧める、本命はその逆、押しの営業と引きの営業の使い分けも大事(P153)

    ・仕事は何か、という答えは自分で見出すものであり、出来るだけ多くのビジネスマンに会い、できるだけ多くの経験を積み、そうして自分なりの答えを出せる土壌をつくるのが大事、この本を読むことで取っ掛かりは掴めるかもしれない(P190)

    2017年5月14日作成

  • 第36回すばる文学賞受賞作である本書、内容は不動産会社へ勤める主人公が、売れない営業マンからある切っ掛けで売れるようになり、しかし本来の仕事の意義は何なのか。これは物語であるが、不動産会社のブラックさは群を抜いていると言う印象。実際にこのような会社が有るかは不明ですが、もしかしてと思わせるストーリーも読み手を引き込む一つではないでしょうか。テンポよく書かれている内容は良いのですが、完結が今一つしっくりこない形で締めくくってある辺りが、少し消化不良な気分になります。その先がどうなのかと読み手に想像させる形です。

  • すばる文学賞受賞作品とのこと、これも初めて読む作家さん。主人公が新卒で入社した不動産会社は販売専門。きついノルマとプレッシャーの嵐。客に買わせることを業界用語で「殺す」と言うのだとか。興味を示した客を現地へ案内するテクニックなど面白い。家を購入したときに回った不動産会社数社を思い出し、なるほどこういうことだったのかと納得したり苦笑いしたりもして。結局わが家が購入を決めたのは、いちばん口の上手くない、正直すぎる不動産屋さんの物件でした(笑)。あ、もしかしてそう思っていることが向こうの思うツボ!?

  • ブラックな不動産の戸建て販売業者に入社した主人公の物語。
    上司の言葉が、私の心に良くも悪くも刺さります。似たような業種に勤めているので、感情移入できました。
    営業という仕事において、大事なことも書かれてあると思うのですが、本質はもっと深いところにあるようです。
    サラリーマンで先に希望を見出せていない方にオススメの本です。

  • ブラック企業の代表のような不動産会社で働く主人公は、まったく家が売れない。しかしなぜか会社を辞める気にはなれない。新しく配属された支店の課長の指導で徐々に売れる営業マンに変わっていく過程が面白い。しかしエース社員になった後の主人公の心には以前とは違う空虚感が広がっていく…。その描き方も上手い。

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著者プロフィール

1983年、京都市生まれ。神奈川県在住。慶應義塾大学環境情報学部卒業。2012年「狭小邸宅」で第36回すばる文学賞を受賞しデビュー。著書に『狭小邸宅』『ニューカルマ』、近刊に『カトク 過重労働撲滅特別対策班』がある。

「2018年 『サーラレーオ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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