名も無き世界のエンドロール (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 497
レビュー : 57
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452846

作品紹介・あらすじ

幼なじみの俺とマコト。「ドッキリスト」のマコトが、一世一代の作戦と位置づける「プロポーズ大作戦」とは……?「美学」と「企み」に彩られた衝撃作。第25回小説すばる新人賞受賞作。(解説/藤田香織)

感想・レビュー・書評

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  • 2021年映画化されると帯にあり、読んでみました。初めは、青春ラブストーリーなのかと思ってたんですが、違いましたね。でも、年代事のプロットの間に断片のプロットが入り、上手く構成されてて、面白かった。キダちゃん、マコト、ヨッチの関係。マコトの執念、マコトのドッキリにいつもビビるキダちゃん。映画では、どう表現するのか、気になります。

  • 喉が乾いたからお茶を一口飲んだ。
    また一人、凄い作家に出会ってしまったと動揺する自分がいる。
    読み始めは正直面白くなかった。
    月日の設定が凸凹していて繋がらないし、だいいち、いちいち「断片」っていうのが章の最初に付き纏う。
    何のことを言っているのかさっぱりんからない。
    誰の視点?
    誰の気持ち?
    それは物語の後半に判明する。
    全部読み終わって、これはどう捉えるべきなんだろう…なんて考えながら、11章の「断片」を最初から読んでみる。
    そういうことだったのか…と感慨深くなる。
    1番のドッキリストは行成薫だった。

    それにしてもこれは何エンドなんだろう…
    ハッピーな感じはしない。
    でもバッドでもない気がする…
    いや、キダにとってはこの上ないバッドな気もするけど、ラストを読むと、あの曖昧な描写の仕方は何かが始まる感じもしたり…

    「一日あれば世界は変わる。
    二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない」っか…。

    まぁ、仲良し3人組のお話です!

  • ドッキリストのマコトとビビリストのキダちゃん。幼馴染みの二人は30歳になり、マコトはキダちゃんを巻き込んで史上最大の「プロポーズ大作戦」を決行すると言う。


    青春爽やか系のお話かと思いきや、なんて哀しいお話なの…。読み終えて何日か経ってもまだ胸が痛い。
    ドリーミーな展開なのに、途中から読めてくる結末が切なすぎて、間違いであって欲しいと何度も思って、確かめるのが怖くて、でも読まずにいられないからページをめくる手は止まらなくて…。

    登場人物たちの抱える寂しさは、愛情が満たされることなく育った子供が抱える根源的な寂しさ。愛されて育った人には決して分からない。
    だからこそ、3人の繋がりの深さが強調されて、この結末に至るのだけれど。

    ちょっと描写がくどい部分もあったけど、すごく余韻が残る良い本だった。


    *以下引用*

    「なあ、俺たちはさ、そうやってガツガツ生きて、なんになるんだろうな」「さあな」「生きる理由ってのほ、必要なのか」(p80)

    「そんときゃ潔く死ぬさ。俺はな、生きている必要がなくなったら死ぬんだよ、きっと」「必要か必要じゃないかは、誰が決めるんだよ」「神様的なヤツだろ」「さっきいねえだろ、と言ったばかりだ」「いねえだろうが、いてくれたほうが楽だ」「なんでだよ」「誰にもぶつけようの無いことでイライラするときに、好きなだけ文句が言えるじゃねえか」(p100-p101)

    「でも、若いっていうのは、そういうことだろ。歳取ってよ、嫁さんとかガキが出来ると、大人になっちゃうわけよ。お前はさ、生きる理由が必要か、って聞いてたな」「はい」「死ねない理由が出来るんだよ、そうするとさ。若さから卒業して、なりたくも無かった大人になってることに気づくんだ。若者の狂気だ、無駄死にだ、と言って、結局命を懸ける、なんてことは思いもしない大人にさ。過去に、なんだかわからないけど無理矢理命を懸けなきゃ生きている気がしなかった時代があっても、だ」(p103)

    「俺やお前が理解できなかろうが、世間がバカだと誹ろうが、死ぬ瞬間に、俺はやりきった、ってそいつが思うんなら、それは無駄死にでも犬死にでもねえと思うよ」(p104)

    「でも、どんな話でも映画ってのは終わっちゃうんだよね。」~中略~「なんかもう、終わっちゃうのが嫌で。~中略~エンドロールが流れてくると、涙が出るんだ。涙が止まらなくなって、体が重くなって、やる気がなくなって、死にたくなるわけ」~中略~「現実に戻るのが嫌だったのかもね。」~中略~「そう。本当に何もかもが終わって、エンドロールが止まる頃、あたしはようやく立ち上がれるようになる」「なんでだ」「やりきった感があるからじゃないかな。誰かの物語の中に二時間くらいだけ入り込んで、同じ時間を生きて、同じ感情を抱いて、一緒に笑って、一緒に泣いたわけじゃない?あたしは傍観者に過ぎないのかもしれないけどさ、それでも映画の世界が終わって、自分だけが現実に弾き出されるのって辛いんだよね。だけど、もうほんとに物語がすべて出し尽くすのを最後まで見て、何もかもが終わったら」~中略~「あたしはあたしの物語を生きなきゃ、って気になるんだよ。生きなきゃ、って」(p122-p123)

    「忘れられることが怖いからさ、最初っから近づきたくないんだよね」(p148)

    「完璧主義者ってのはさ、結局は欠陥品だ」「欠陥品?完璧主義なのにか」「だって、人間なんて元々不完全で、完璧なんてものはこの世にないんだ。それなのに、理想どおりのきれいな人生じゃないと我慢できない。完璧に、完璧に、と追求してさ、不完全さを容認できないせいで、結局は完璧じゃなくなるんだ」(p211)

    「嘘は時に便利だが、真実に比べると脆弱だ」(p225)

    「俺は、自分の人生を生きるのが、面倒だ」(p239)

    「クリスマス・イヴってのは、クリスマス前日の日没から、日が変わるまでの間だ」(p256)

    「一日あれば、世界は変わるんだよ」胸が、ズキリ、という痛みを覚えた。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない。俺は思わずそう続けた。(p277)

  • 時系列がバラバラで頭の整理がつかないながらも、全体像は掴みやすい方だと思った。
    ストーリーの中の言葉が感慨深かった。

  • この作品に関しては、余り多くを語らない方が良いかと。

    壮大でとてつも無いやり切れなさが残るドッキリ。
    ラストは割と早い段階で分かってしまったけれど。

    今のこのタイトルも目を引きやすく好きなのだが、
    私は改題前の『マチルダ』の方が好きだな。

    些か切なすぎるが…。

  • 感想が揃うことはないだろう、という解説の通り、色々な捉え方ができる終わり方でした。

    私は、少し切なくてさみしかった。

    主人公である城田ちゃんと、腐れ縁のドッキリストの澤田マコトと、そして転校生ヨッチとの出会い。

    忘れられるのが怖かったヨッチが、城田ちゃんとマコトに出会って救われたように、城田ちゃんもマコトもヨッチに出会って救われてたんだろうな。

    プロポーズ大作戦の本当の意味が、途中でうっすらわかってくるんだよ。それに気付いていながら先を読まなきゃいけないのが辛かった。

    城田ちゃんの言葉や行動はヨッチとの思い出で成り立っていて、マコトの気持ちもずっとヨッチにあった。

    指輪…受け取ってもらえたのかな。
    澤田マコトは、これからどうやって生きていくのかな。

  • 先入観無しで読んだが、とても面白かった。

    幼馴染の俺とマコト。マコトはドッキリに命をかけるドッキリスト。俺はドッキリに引っかかってばかりのビビリスト。そんな二人が計画する「プロポーズ大作戦」とは?

    紹介文からは想像も出来ないようなクライマックス。自分としては追加短編の『ポケット』まで読んでジーンときた。

    最初の明るくてバカやってる雰囲気から突然大人になった時代が描かれる。それからまた学生時代へ、また現代へ、と時代背景が行ったり来たりしながら物語の核心に近づいていく展開。
    現代での俺のあまりにダーティで暗い雰囲気と学生時代の眩しい雰囲気の対比が読む者に疑問を抱かせ続ける。
    一体何があったのか?と気になるから読み進めずにはいられない。

    ストーリー展開もいいが、この物語の中に出てくる言葉がいちいち心に残る。
    1日あれば世界は変わる。
    2日あれば宇宙が終わったっておかしくない。

  • 伊坂幸太郎に影響受けすぎ!!が第一印象。
    というか読みながらずっと、ここが似てる、そこも似てる、っていちいち気になってしまった…。
    私も伊坂幸太郎好きなので。

    どんでん返し系で紹介されてたから読んだけど、一文で衝撃!ではなく、じわじわ予測できてしまうので、自分の期待してた驚きは味わえなかった。

    伊坂幸太郎っぽいけど逆に伊坂幸太郎を読んでない人に読んでほしい。
    私はどうしても伊坂幸太郎(アヒルと鴨のコインロッカーあたり)がチラついて厳しめに見てしまったと思う。

  • 前から、気になっていたタイトルに手に取ってみた。
    どこにでもいそうな二人の高校生の会話、明日はまたこんな風に、だらだらと続くのかと… 思いきや、思いがけない展開と深い内容に目も見張った。主人公三人の、特に、マコトの存在感、鮮やかで一途で、飄々としていて…だから、最後にぐっと泣かされる。

    世界という映画があるとするなら、エンドロールの片隅にちょっと残るだけの、大衆の一人にすぎない彼らが、大切な人のために、本当に真剣に自分をかけて生きる姿が、とても愛しかった。

    要所要所に出てくる映画のタイトルとそのシーンがストーリーにからんでいて、映画好きにはたまらないかもしれません。

  •  「ドッキリスト」を自称するマコトとそのマコトに「ビビリスト」と呼ばれる幼馴染のキダ。マコトはキダを巻き込みプロポーズ大作戦と称する計画を進める。その顛末を描く青春小説。

     小説の構成はバラバラの時系列を少しずつ見せていくというもの。それを最後にどうまとめるのか、
    それぞれのエピソードのピースが綺麗にハマるのか、少し心配しながら読んでいたものの、しっかりと最後に向け収束し構成力の巧さを読んでいて感じました。

     そういう意味ではバラバラの時系列の書き方は成功しているのですが、一方で登場人物のかかわりをもっと濃く書いてほしいな、と思ったり、
    時系列のとび具合のため、全体的に読みにくさを感じてしまったのが少しもったいなくも感じました。

     作品のメッセージはとても心に響くものがあります。印象的な場面としてはマコトとキダがヨッチという女の子と共にヨッチを昔いじめていた男に会いに行く場面が思い浮かびます。

     その行動原理にあるのは「忘れられるとなかったことにされてしまう」という思いです。いじめっ子に限って自分がやったことを覚えていない、というのはよくある話ですが、
    マコトはそれを「悔しい」と思い行動を起こします。そしてこの「忘れない」「忘れさせない」はこの小説の大きなキーワードでもあるのです。

     読後の切なさは新人作家さんの作品ながら、とても心に迫るものがありました。上述したように、粗削りに感じた部分もありますが、次の作品も読んでみたい、と思わせるには十分すぎるほどのデビュー作だったと思います。

    第25回小説すばる新人賞

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著者プロフィール

1979年生まれ。宮城県出身。東北学院大学教養学部卒業。2012年『名も無き世界のエンドロール』(『マチルダ』改題)で第25回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。他の著書に『本日のメニューは。』『怪盗インビジブル』『ストロング・スタイル』『ヒーローの選択』など。

「2020年 『KILLTASK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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