オーダーメイド殺人クラブ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 2343
レビュー : 226
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453133

作品紹介・あらすじ

「私を殺してほしいの」中学2年生の美少女・小林アンは、同じクラスの「昆虫系」男子・徳川にそう依頼する。ふたりは被害者と加害者として「特別な存在」となる計画を進めるが…。(解説/大槻ケンヂ)

感想・レビュー・書評

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  • タイトルがすばらしい。
    そして、とても美しい小説。

    いかにもの中二的バンドである「筋肉少女帯」を聴きながら書かれたというこの小説。さすが安定のイタさだ。(安定してたらイタくないか…矛盾した表現だ)

    クラス内でも目立つグループに属するリア充女子・小林アンは、一方で死や猟奇的なものに惹かれている。女子のグループの中での人間関係のバカらしさに愛想をつかし、クラスの冴えない「昆虫系」男子・徳川に、自分自身の殺害を依頼する。二人が「作る」事件の結末は―。

    「これは、悲劇の記憶である。」と始まるが、連載ものだったこともあり、結末をわからず書いていたという。
    そのせいか、先が見えない感じが全編を覆っていて、ページを繰るたびに意外な展開。最後まで事件がどうなるのか、どのような「悲劇」なのか、わからない。

    小林アンと徳川は事件を計画している時、とてもイキイキして、キラキラしている。眩しいほどだ。
    中二はやたら自意識過剰だ。そして、美意識こそ中二の生きる基準だ。でも、美意識は持っていても、どうやって実現すれば良いかわからない。だから、そんな時期に美意識が共有できる友人(恋人?)に出会えるのはそれだけで幸せだ。充実した人生を約束されている、と言っても過言ではない。

    羨ましく思う。
    まあ、本人たちは死ぬほど必死なんだろうけれど。

    大槻ケンヂさんも解説に書いていたけど、辻村さんは優しい作家さんだなと思った。

  • 時間を作ってでも一日で読み終えたかった。二日に分けてしまったことをとても後悔した作品でした。

    『嫌なことがあったり、自分を不幸だと感じるときほど、世界が美しく見えるのは、何故だろうか』、生きている限り、辛い時間、辛い日々は必ず訪れる。吹き荒ぶ嵐の中にいるような、終わりがあるのかとも思える耐える日々。時計を見ても全く時間が進まないと感じる時間が続いていく。
    この作品では、そんな辛さが一つひとつリアルに感じられ出す中学二年生の小林アンの視点から、見えるもの、聞こえるもの、そして身体に感じる痛みが事細かに描かれていきます。一所懸命に考えた結論が裏目に出る瞬間、他人を思いやった気持ちが裏切られ行き場のない狭い路地に追い込まれて行くどん底の日々。周りが暗ければ、周りがが冷たければ、周りが闇であればあるほどにその向こうに垣間見える世界はあたたかくて美しい。届きそうで届かないもどかしさ、手を伸ばしてもあと少しで届かない現実。闇を彷徨っている時間、日々ほどそれが永遠に続くようにさえ感じられます。

    でも、やがて嵐は去る、夜は開ける、そして光がさす、エンディングの凪を漂うかのような描写の静けさ。嵐を抜けて大人になっていくアンの強さ、たくましさ、そして優しさの中に、苦しかったあの瞬間を懐かしく感じられる日々が彼女にも訪れたことを良かったな、本当に良かったと心から感じました。

    辻村さんの作品の中でも群を抜いて深い闇を彷徨うような作品だったと思います。だからこそ、読み終えた後の世界がとても美しく感じられるのだと思いました。当初、書名から読むのをかなり躊躇いましたが、結果、読んでとても良かった作品でした。

  • いや〜〜厨二病の代名詞というか、濃縮に詰め込んでます。厨二あるある、あり過ぎる。
    段々、徳川に感情移入してしまいハッピーエンドを願っていました。その後も気になるって思わせるくらいの、このまとめ方が一番いいのかも。
    この年代のリアルが描かれてる。
    やっぱ内面が魅力的な人が良いな。
    この作者さん初めて読んだけど、共感しながら思い出して、切ない気持ちになりながら、昔を懐かしみ、応援したくなる。なんか、リアルに感じて悲しくなりつつ未知の未来がある。

  • まず、タイトルがいい。
    この中ニ病感丸出しな、これ、中ニ病な話ですから!!と全力で出してくるこのタイトルがとっても好きだ。
    そしてこの本を中ニ病を終えたあの時よりかは大人になった今の自分で読めたことが良かったと思う。
    きっと中学生の時に読んでも自分は響かなかったと思う…色々屈折した時季を自分なりに乗り換えて折り合いをつけ、色んなものから卒業した今だからこそ心に響く物があるのだと思う。
    学校が人生のすべての様に毎日を占めた中で、何かを心の拠り所に必死にやり過ごす気持ちは凄く分かる。屈折した日々を乗り越えて見える清々しい終わりが最高だと感じた。

  • 中学校のスクールカースト、親への反抗心理、鬱屈とした自己肯定感...。いやぁ、流石!後半、怒涛の事実暴露で、しっかりと最後まで描き切って、ラストは、まあ、そうなるだろうね...。スッキリ!途中、酔っ払って読んでいた箇所があるので再読せねば...。

  • 再読。
    辻村さんだと一番好きな作品。解説がオーケンなのも◎。
    (サブカル系)中二病というものをここまでリアルに描写した作品は類をみない。閉塞的な教室内とか、親のウザさとか、とにかく凡ゆるものがリアル。
    リアルさと、殺人の依頼という非日常がまた良い具合にマッチして、新手の悲劇の幕開けとなる。

    徳川みたいな男の子すきだなーー。

  • 前半で眠くなって、一晩持ち越した。
    ハブりハブられの中2の女子高生の話が長く、なかなか話が進まない気がした。リアル過ぎて疲れる。
    ネズミの死体の話以降はハラハラしながら読めた。好きな終わり方でした。

  • 図書館にたくさん辻村深月の本があったので、タイトルで1冊選んでみました。
    中学2年の女の子が主人公で、ふとしたきっかけから人には見せられない自分の趣向と同じものを持つ男の子と親しくなって殺人をオーダーメイドしていく。。。
    かなり常軌を逸した話なんですが、不思議とあーこういうことはあり得るよねーって思わされてしまいます。女の子の心情も巧みに書かれていて、後半にかけて話しのスピードが増していくことで引き込まれていきます。にしても、安定して面白いのはさすがですねー。

  • なぜ殺人の話(?)なのにこんなに愛しいと思ってしまうのか!!!不器用すぎてかわいい。



    それから、相変わらず心情を描くのがうまいと思いました。学校内のヒエラルキーだとか、女子の目まぐるしい勢力の移り変わりだとかにおける感情の動きは、いっそ痛々しいまでに覚えがあって、リアルだなと思います。

    殺してほしいとか、死体を美しいと思うだとかは、理解を超えているけれど、それでいて方向性が違うだけで根っこの部分ではそういう感覚もあるんじゃないかと思うような、複雑で痛いことがいっぱいあって読むのが苦しくなったりもしました。

    そんな中での淡い恋心とか後半部分に優しさがあって最後には読んでよかったと思ってしまうように纏まっているところはさすが!!!

    やっぱり辻村深月さんの小説が好きだな〜と改めて思いました。

  • 中学生や高校生の時の自分に感じる劣等感。1人になることへの不安。それなのに周りへの敵対意識が強くて、自分と一緒にしないでほしいと思ったり。憧れてるのにバカにしたり、狭い教室の中だけが本当に自分の世界の全てだったあの頃のことを思い出しまして、「あの頃は本当に苦しかったな…」と思い返しました。
    今ならわかる。あれは抜ける。それこそチヨダコーキの小説みたいに。もっと世界が広いことも、小さいことが自分を苦しめてたことも。そーゆうことを思い出させてくれるし、思い出して今どう思うかとか考えさせてくれます。
    自分をどう殺してもらうか、オーダーメイドの殺人事件を一緒に考えながら、自分だけじゃなく相手の痛みや気持ちを知り、これから生きていかなくちゃいけない途方も無い気持ち、絶望を共有して、乗り越えていくあの河原での出来事は、あそこまでじゃなくてもきっとあの世代の私たちが経験した出来事なんじゃないかと思えて、あの時の自分に、そして真っ只中の誰かに、これから迎えるであろう誰かに、「大丈夫、いつかきっと平気になる時がくる。だから、安心していいんだよ」と言ってあげたくなった。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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