残された者たち (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 63
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453249

作品紹介・あらすじ

第152回芥川賞を受賞した著者のいきなり文庫! 尻野浦という限界集落の代用教員の安奈。ただ一人の生徒と、英語を多用する自称・校長先生。そこへ、謎の少年が迷い込んできて…。(解説/西加奈子)

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物が皆、それぞれの役割をきっちりと演じているような感じがして、それでもその役割の中でどうにかして幸せであると言い聞かせているみたいだ。
    2018/10/14

  • 過疎化と高齢化によって限界集落となった地域に住んでいる5人の登場人物による奇妙な交流物語。
    ユーモラスなキャラクターははっきりしているものの、ファンタジーっぽいちょっと揺蕩うような心地よさのある物語。
    詳細に書かれた風景や心象の描写が美しい。
    繰り返し読んでみなければ理解しにくい小説かも。

  • よくわからなかった

  • 何が言いたいのかわからなかった。限界集落に生きる人々のほのぼのストーリーとは違うものだった。資格もないのに教師だったり校長だったり、限界集落に生きる家族は外国人や引きとられた子供で、本当の親子ではない。宇宙が急に出てきたり、いつも見逃しているらしき警察が急に捕まえに来たり。わけがわからん!もっと長い小説だったらとっくにギブアップ。

  • 限界集落の話で、人口も少なく寂しさを感じさせたり、子供の秘密基地ーー夢を感じたり、隣の村のガイコツジンことエトー君って一体……。
    物語、云々、情景を感じさせてくれる小説で景色が浮かんできた。
    ただ少し読み手に想像させるようなことが多かった気がした。

  • 2015 11/18

  • 各々皆明るいのに、少人数で暮らしているため寂しさがまとわりつく。
    杏奈先生が希望を語るからより切なくなってます。
    何となく言葉が上手く伝わらないような文章で、読みにくさを感じたので評価は低め。

  • ぐるぐるぐる。
    小さい、ほんとありえないくらい小さい世界で、互いを尊重しあって生きてきたけれど、
    一人一人過去に抱えた大きな闇が深すぎて、みんなの思うところが深すぎて、救いようのない気持ちになったし、最後もなんだかあ、待って。って気持ちになったけど、ひとつひとつの言葉が美しくて救われる気持ちにもなった。不思議。
    何回も読まなければいけない。
    悲しみだけで心はいっぱいになることはないよ。世界のひとつ丸ごと入るもんね。

  • いわゆる限界集落の小学校に通うたった一人の児童と女性教師。ふたりを中心に限られた生活圏であまりにも近い関係におかれた人たちのファンタジックなお話。不便な環境であるはずなのに登場人物がみな善人で幸せそうだ。

  • 読み終えて、「え・・なんで?」って思う。そして何とも表現しがたい何色ともわからない渦がもやもやと広がってくる。そのもやもやの広がりに抵抗したくて、何かを掴みたい思いで後戻りしページをめくる。

    外の世界と遮断されてしまったかのような小さな小さな集落で、そこに居るのは村最後の生き残りとも言える校長先生、村でただ一人の子ども かおる、肌の色が違う兄 純、兄妹の父であるトビタカ先生、そしてかおるを教えている杏奈先生。

    みんな血が繋がっていないし年代もバラバラで、肌の色さえ違っていたりするのだけれど、それぞれ心に何か暗いものを抱えていて、それ故に善良で優しく明るい。

    かおるが連れてきたガイコツジンのお友だちエトーくんだってそうだ。
    カタコトの日本語しか話せず、意思疎通が完全ではないと本人にもわかっているのだ。だけど彼の疑問形になってしまうカタコトの日本語は大人をあたたかく包み込む。

    ハッキリさせないことで、相手を優しく包み込み癒している。同時にそれは、得体のしれない何かへの不安を増長させることにもなる。
    それが大人には理解できることでも、子どもには説明がつかない。
    時におばあちゃんになり、時に宇宙船になり、説明のつかないそれは形を変える。

    子どもには大人が思っている以上に世界が見えていて、しかし彼らにとって説明のつかないそれは、時に深刻な事態を引き起こすことになるのだ。

    小さく静かなこの集落で子どもたちの存在はどれほどの光を放っていただろうか。
    一人二人と村の友たちを見送ってきたであろう校長先生の混乱と恐怖は想像して余りある。杏奈にしても、純にしても、トビタカ先生にしても、かおるの存在そのものが希望のようなものだったに違いない。
    彼らの健やかな成長がただひとつの楽しみとも思えるほど、この集落は生の息吹から遠いところにあった。
    子どもたちの素直で無垢な様子が鮮やかな光を放ち、読者を含めた大人たちの不安により濃い影を落とす。

    1回読んだだけではハッキリとさせない結末の喪失感は大きい。けれども、ただそれだけではない。
    2回読めば残された者たちには強い祈りと希望が湧き、3回読めばそれが明るい未来に続いているようにも思えてくるのだ。

    優しさも後悔も祈りも飲み込んで同化していく、まるで宇宙の銀河ように糢糊とした光と闇の間を行き来しながら。

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著者プロフィール

1970年、大分県生まれ。小説家、仏語文学研究者。現在、立教大学文学部文学科文芸・思想専修教授、放送大学客員准教授。2001年、「水に埋もれる墓」で朝日新人文学賞、2002年、『にぎやかな湾に背負われた船』(朝日新聞出版)で三島由紀夫賞、2015年、『九年前の祈り』(講談社)で芥川龍之介賞受賞。エッセイ集に『浦からマグノリアの庭へ』(白水社)、訳書にV・S・ナイポール『ミゲル・ストリート』(小沢自然との共訳、岩波書店)、ポール・ニザン『アデン・アラビア』(河出書房新社)、アキール・シャルマ『ファミリー・ライフ』(新潮社)ほか多数。

「2018年 『ヨロコビ・ムカエル?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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