ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 5452
レビュー : 343
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453270

作品紹介・あらすじ

モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。19世紀から20世紀にかけて活躍した美の巨匠たちは何と闘い、何を夢見たのか。彼らとともに生きた女性たちの視点から色鮮やかに描き出す短編集。(解説/馬渕明子)

感想・レビュー・書評

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  •  歴史上の人物を史実をもとにフィクションで描く大河ドラマのような感覚で読むと、4人の画家自身のキャラクターを掘り下げるのではなく、彼らが芸術作品に真摯に向き合っていたこと、そして周囲に実在したであろう人物を通して、まさに印象的に彼らの存在を浮かび上がらせていることが解る。

    まだ売れていない画家たちを、ただ応援したいという登場人物(語り手)たちの純粋な気持ちと、見守る距離感は、美しく温かい。

    タイトルとなったジヴェルニーの食卓については、料理欲を刺激させてくれる美味しそうなメニューがずらり。

    さて、美術館に行こう!
    作品の向こうの世界と史実を記憶に留めて、絵画鑑賞したら、少しは本質に迫れるかも?
    著作は、美術には疎くて…という私のような素人に、そんな希望を与えてくれる指南書かもしれない。

  • 『美しい墓』
    『エトワール』
    『タンギー爺さん』
    『ジヴェルニーの食卓』  の四篇

    マティス、ドガ、セザンヌ、モネの四人の芸術家にそれぞれまつわるお話し。
    『うつくしい墓』に描かれた、アンリ・マティスとパブロ・ピカソとの交流の話がとてもよかったです。
    年老いた修道女のマリアによる思い出話です。
    慈父のようなマティスの人柄がよく出ていたように思いました。
    マティスという画家は実はその作品をあまり見たことがなかったのですが、マティスの人となりを読むうちに、マティスの描いた明るい色彩に輝く絵が見えるような気がしました。
    語り手のマリアも、素晴らしい感性をもった娘さんだったと思いました。
    「この花をこの花瓶に活ければ、先生が、恋をなさるのではないかと」という言葉が印象的でした。
    ラストも素晴らしいとしみじみ思いました。

    • まことさん
      yyさん。
      こちらこそ、いいね!ありがとうございます。
      原田マハさんは、ほとんど全部の作品をブクログで読みました。
      アート系であれば、...
      yyさん。
      こちらこそ、いいね!ありがとうございます。
      原田マハさんは、ほとんど全部の作品をブクログで読みました。
      アート系であれば、私はちょっとライトな『アノニム』京都が舞台の『異邦人』直木賞候補になった『美しき愚かものたちのタブロー』あとちょっと不思議な『ユニコーン』。小説ではありませんが『原田マハの印象派物語』もよかったです。アート系以外でも『サロメ』『奇跡の人』。漫画原作の『星守る犬』は泣けます。

      yyさんは、フォローはされていらっしゃらないみたいですが、これからマハさんのレビューなど読ませていただきたいので、勝手にこちらからフォローさせていただきますね。
      2021/04/05
    • yyさん
      まことさん、ワクワクするようなお返事ありがとうございます。楽しみが増えました。ゆっくりになると思いますが、読み進めていきます。人生、楽しい!...
      まことさん、ワクワクするようなお返事ありがとうございます。楽しみが増えました。ゆっくりになると思いますが、読み進めていきます。人生、楽しい!

      フォローありがとうございます。私はタイムラインが入ってくると ”あわあわ” してしまうので、あえてどなたのフォローもしていません。よろしくお願いします。

      2021/04/05
    • まことさん
      yyさん。
      いいね!をたくさんありがとうございます。
      こちらこそ、これからもよろしくお願いします!
      これからも、マハさんの作品を楽しま...
      yyさん。
      いいね!をたくさんありがとうございます。
      こちらこそ、これからもよろしくお願いします!
      これからも、マハさんの作品を楽しまれてください。(ちょっと羨ましいです)
      私もこの5月に出る、マハさんの新作のゴッホを楽しみにしています。
      2021/04/05
  • 学生時代、気合を入れて勉強しても通知表に"5"がつくことのなかった美術。
    それ以来なんとなく絵画、芸術に苦手意識があり、敷居が高い世界だと敬遠していました。

    ですが、この本を読んで画家も自分と同じ人間で、一枚の絵にもストーリーがあると分かると途端に絵画に興味が湧いてきました。

    次は「美しき愚か者たちのタブロー」を読みたいです。

  • 印象派の画家たちの話。印象派の絵のごとく、多彩で色と光がきらめく文章で、まばゆい景色が脳裏に浮かぶ幸福な時間でした。

    短編形式で複数の画家(マティス、ドガ、セザンヌ、モネ)を紹介することで、印象派がどう始まり、どんな苦難を乗り越え、どう社会に認められていったかが描き出される。印象派について知っている断片的な知識が繋がって、勉強になった。(「絵の具チューブ」というイノベーションが印象派を可能にした、と思わせる文章とか、そうだったんだー!と思った。)フィクションであるにしても、ストーリーの語りかける力はすごいな。

    特徴的なのは、全て「画家の近くにいた女性」の目線で語られること。画家目線で書くと存在が失われかねない女性に声が与えられていることを印象深く思った。短編の形式も、インタビュー、回想、書簡と形式を変えていて飽きさせない。

    満足の原田マハさん二冊目でした。
    ロザリオ礼拝堂(Chapelle du Rosaire de Vence)はいつの日か是非行きたい。

  • フィクションとはいえ、美術家の生活が垣間見えるようで
    とても新鮮。
    各ストーリーも面白く、よく考えてると感心する。
    心が洗われるような作品。

  •  たった一つの場面、それをなぜここまで美しく描くことができるのか。

     4編収録の短編集で、モネやセザンヌといった芸術家の人生の断片を、彼らの周りの人から描いた短編集。

     「うつくしい墓」でマリアが初めて、マティスの部屋に足を踏み入れる場面、表題作の「ジヴェルニーの食卓」の冒頭でブランシュが目覚める瞬間。

     この二つの場面を読んだとき、心がどうしようもなく震えたような気がします。

     絵画というものは、一瞬を永遠に閉じ込めるもののような気がするのですが、期せずして芸術家を描いたこの短編集も、同じように美しい場面を、そして語り手の感情を閉じ込め、昇華したもののような気がするのです。それは素晴らしい絵画を見て、思わず息をつくような感覚を、小説で再現したと言えると思います。

     読んでからしばらく経ってしまったため、それぞれの短編の印象は薄くなりつつあります。それでもこの二つの場面が美しかった、という事実だけは、自分の中で永遠に残り続けるに違いありません。

     筆力はもちろんのこと、キュレータとして裏打ちされた知識、そして何より、原田さん自身の絵画と、芸術家への愛と敬意があるからこそ、描くことの出来た短編集だと思います。

  • 絵画に詳しくない人にも、画家たちの人物像を知れるので、是非お勧めしたい一冊。

    ドガの躍動感のある構図が生まれた秘話や、ゴッホの絵で有名なタンギー爺さんの話を知った上で名画を観ると、絵からドラマティクな人間模様が語られてくる気がする。マティスの話では、マグノリアの彩りと南仏の煌びやかな日差しが感じられた。
    モネの話が個人的に1番衝撃的だった。

    美術館を訪れた際、名画の描かれた背景を想像しながら鑑賞する楽しみができた。

  • 海外の巨匠の巨匠たるストーリーだった。マティス、ドガ、セザンヌ、ゴーギャン、シスレー、ゴッホ、そしてモネ。これまでの古典的な絵画から印象派への開眼。この原動力となったのが上記の巨匠。印象派絵画は感覚的な美を追求し、それぞれの感性をカンバスに生き生きと自由に描写していて自分好み。いつの時代も若者の旧体制への反抗心は巨大なエネルギーが感じ取れる。その巨匠の生活においても興味深い。最後のモネの人柄を触れ、その器の大きさと才能、またその時代を生きた友人との関係性からあの睡蓮になったのだろう。

  • 代表絵画を通してでしか知らなかった巨匠たちが、良くも悪くもとても人間的で。彼らを取り巻く情景や人がまた、絵画的で。原田マハさんならではの表現なんだなと思う。特にモネの話は良かった。

  • 老齢のアンリ・マティスの最後の日々(そして老ピカソとの邂逅)を描いた「美しい墓」、メアリー・カサットに多大な影響を与えたエドガー・ドガが執念を燃やして作成した彫刻『十四歳の小さな踊り子』に纏わる物語「エトワール」、画材屋の主人で新進の貧乏画家達の熱烈な支援者、タンギー親父の娘がセザンヌに宛てた手紙を通じて印象派・ポスト印象派の隆盛前夜を描いた「タンギー爺さん」、ノルマンディー地方の小村ジヴェルニーに理想の庭を築いた老クロード・モネと助手で義娘のブランシュ、その穏やかな日常と若き苦節の日々を描いた「ジヴェルニーの食卓」の4篇。

    あれだけ素晴らしい作品の数々を残した印象派画家たちが、当時画壇や評論家から酷評されまくっていた(そのため、画家たちは報われず辛酸をなめていた)なんて! 結局、芸術というのは、人々の常識や固定観念によってその評価が大きく左右されてしまう "水物" なんだな。絵画が作者の死後も長く著作権で保護されている理由もここにあるのかも。

    どの作品も、登場する作品をスマホで見ながら読んだ。中でも、モネの風景画は鳥肌が立つほど素晴らしいかった。モネは睡蓮だけじゃないんだな。その美しく色彩豊かな自然は、昔に読んだ「赤毛のアン」の世界と何故か重なった。

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著者プロフィール

一九六二年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立、フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。二〇〇五年「カフーを待ちわびて」で日本ラブストーリー大賞を受賞し、デビュー。一二年『楽園のカンヴァス』(新潮社)で山本周五郎賞受賞。一七年『リーチ先生』(集英社)で新田次郎文学賞受賞。

「2021年 『モネのあしあと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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