- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087453287
感想・レビュー・書評
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主人公と重なる自分をみつけて一気読み。生き方を考えてしまう一冊。
ともあれ、本と触れあう時間を大切にしていこう。 -
良い子であろうとして、思い通りにいかないことは沢山あって、時代や環境に翻弄されて、それでも生きていく一人の女性の話。
そこにはいつも身近に本があって、本に救われたところで終わる。
舞台は現代ではないし、主人公の万亀の悩むところも自分が経験してないことばかりなのに、なんとなく共感してしまう。だから読んでいると万亀の姿にやきもきしたり、応援したくなったり。綺麗事ばかりでないのが好き。こんなに主人公の気持ちに入り込んで追いかけた物語はとても久しぶりだった。良い本に出会えたなあ。 -
今まで大正時代から戦後が舞台の小説を読むことを避けてきた。けど、タイトルが気になってジャケ買い。読み始めて「しまった」と思ったのに、気づいたら寝る間を惜しんで読み続けてた。自分でも驚くほどストーリーに引き込まれていて、社会の波に逆らって生きていこうとする万亀を応援したり、なんて天邪鬼なんだといじらしくおもったり、と、読み終わった時の心情は疲れてた。
万亀という読書好きの女の子が様々な困難を乗り越えて大人になっていく話。甲州弁が飛び交う田舎、お嬢様だらけの女大学、温かい空気の相馬での教師生活、満州に渡って味わう理想と程遠い現実。どんな時にも万亀の側には本があった。本に支えられ読むことの楽しさを忘れない万亀の力強い生涯は、響くものがあったと思う。
林真理子さんの作品にはこれからも触れていきたい。 -
面白い!林真理子さんはこの手の作品が上手いと思う。もちろんエッセイもいいけど。
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偶然にも新しいバージョンが発売したようだが、私が読んだのは古いバージョン。
昔この本を原作にしたドラマがやっていてその時に買ったので、早10年は経過している。
この人は林真理子のお母さんがモデル。
裕福な家に育って、教育もしっかり受ける。
教育も時代のせいで志望する学校に入れなかったり、やっと家を出られると思って教師になったら母に呼ばれて故郷に戻ったり、就職できたと思ったら戦争が始まるし、背丈や受けてきた教育とかで縁談が流れるわと結構苦労の絶えない人だが、最後は本屋を開業する、
ここまで自分のことを結構不自由な時代に決めてきたのはすごいこと。だからこそ、今っていろいろなことができる機会がたくさんある。うまく生かしたいと思える。 -
大正末期〜戦前を舞台にした小説が大好きです!
半年分の朝ドラを見たような満足感がありました☺
そして、周りからは優等生で完璧に見える主人公ですが、内面の葛藤が描かれていて一部感情移入しながら読めました! -
「私は宿命的に放浪者である」 不意にこの言葉がうかんだ。そうだ、林芙美子の言葉だ。いまは痛いほど万亀の胸にしみた。自分もいま親にそむいて北へ向かう。
しぶとい生命力を現すように、福の鼾はますます大きくなる。
二人の慰めの言葉は、万亀に少女時代の日を思い出させる。「小川さんは優等生だから」「小川さんは何でも出来るから」。この二つの言葉で、人々は自分にたくさんの犠牲を求めてくる。
ページを細かく裂きながら、「馬鹿やろー」と怒鳴ったらどれほど気持ちがいいだろうかと万亀は思う。けれど寝静まった階下を気にしている自分は、何をすることもできない。それはよくわかっていた。
人はどうして少女のままで生きていけないのだろう。
人はどうして大人になり、つらい苦役を背負わされるのだろう。 もう泣きはしない。腹立たしくもなかった。ただ純粋に不思議だと思う感情で、万亀はぼんやりしていた。
大人ひとりでも生きていくのが精いっぱいの時代に、乳飲み子をかかえる苦労は並たいていのものではない。それでも男はやっきになって自分の生のこぼれ火を女に植えつけようとする。そんな男を浅ましいとも身勝手とも思わず、女たちはむしろ嬉々として子どもを生み育てようとするのだ。自分がそんな女の一人かわからないまま、万亀は重太郎を抱く。
自分はそういう人間なのだ。勇気も決断力もない、人のために生きていく人間なのだ。あらためてそう思った。しかし他にどんな道があるのだろう。中央線の通路にしゃがみながら、万亀は同じことを繰り返しつぶやく。
万亀が林真理子のお母さんのことなんだね。
万亀の学生時代は、優等生と言われるのがプレッシャーとか、東京で遊び呆けるとか、自分っぽいなと思うところがあって、
大人になって色々なもの失ってでも本屋を開く強さは、これから自分もそうなるのかなって、
等身大で響いた本でした。
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☆3.5