雲の王 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 177
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453409

作品紹介・あらすじ

気象台に勤務する美晴は、息子の楓大と二人暮し。突然届いた手紙をきっかけに、自分たちが天気を「よむ」能力を持つ一族の末裔であることを知り……。かつてない“気象エンタメ"小説!(解説/大森望)

感想・レビュー・書評

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  • 気象学×ファンタジー小説。

    雰囲気はあるのだが、話にどうも落ち着きがなくて結果的には少し残念な印象だった一冊。


    最序盤のうちはシンプルな、小五の息子を持つお母さん主人公によるお仕事小説。
    こういったファンタジックな物語において成人女性、しかも結構大きな子供を育てている母親が主役、という趣きが珍しく感じたのでどんなものか楽しみではあったのだが、話が進行していくにつれどんどん’日常’が置き去りになっていき、母という設定がほぼ活かされていなかったように思う。

    また各人物の描写が弱く、尚且つ物語の筋もメリハリが無いのでボリュームの割に内容があまり残らず。特に印象に残ったフレーズも無く、なんとも言えない読後感。


    1刷
    2022.3.23

  • 気象ファンタジー。
    ゲリラ豪雨や台風を科学的に解き明かし、コントロールしようとする兄と、空を観る不思議な能力を持ち、人々を誘導する役目を与えられた妹の物語。

    解けないナゾに科学とファンタジー双方から挑もうとする試みは、面白い。
    けれど、この文量で描かれたキャラクターがよく分からない。道徳的にどうこう言うより、寄り添えない、という一言に尽きる。

    多かれ少なかれ、感覚で天候と接することは、太古から動物が得てきた能力であった。
    その感覚が機械化されることで、むしろ、人間はその能力に見離されることにもなる。
    そうした、得たものと失われたものの中で、さて人間には何が出来るのか、また何が出来てはいけないのか、考えさせられる所もある。

    小説としては味気ないのだけど、こういう分野に興味がある人には面白いはず。

  • すごいなあ、気象エンタメ小説だっ。
    科学的にもガチに勝負してますわ。さすが川端さん。

    個人的に、紀伊半島とか房総半島の奥のほうって、ここ1000年くらいかわっていない感じがします。
    房総半島の南に主人公の出身地「雲の一族の里」があっても不思議じゃない感じがします。ナイス土地勘。
    20151130

  • のっけから「空の一族」が出てきてありゃりゃ?と思ったんだけど、ゲリラ豪雨とダウンバーストの場面で一気に引き込まれた。アジア編は中だるみの感があるけど、ラストは映像を見るような迫力があった。
    登場人物の中では、ベテランの高橋技官がいいねぇ。でも本書の主役は雲だね。
    改めて、ちゃんと雲を見なくては、と思いました。

  • ‹内容紹介より›
    気象台に勤務する美晴は、息子の楓太と二人暮らし。ある日、自分たちが天気を「よむ」能力をもつ一族の末裔であることを知る。美晴にも天気を予知する不思議な能力が出現し、特別研究チームへの参加を任命される。それは、代々"空の一族"が担ってきた「外番」の仕事をすることを意味していた。「外番」とは、そして一族の「役割」とはいったい何なのか?かつてない気象エンタメ小説、ここに開幕!

    ーーー
    前半のあたりはけっこうおもしろかったのですが、後半になるにつれ、話が複雑になっていった印象でした。
    美晴の「天気の見え方」の描写もいまいちピンとこない部分が多くなってしまい、よくわからなくなって終わったなあ、というのが正直な感想です。
    「文学的」というのとは少し違うような気もしますが、擬人化してみたり、形容詞を多用してみたりしていて、逆にわかりにくくなってしまっているように感じました。

    結局、一族の歴史みたいなものも全部紐解かれたわけではないし、美晴の家族(両親)についてもわからないことが多かったかな…。

  • この人の作品が好きで読んだ。天候を読むことが出来る一族に絡んだ話。
    他の作品に比べると、読むのに時間がかかった。

  • 始まりは良かったが、読むにつれてめんどくさくなってしまった。
    残念。

    H27.12.7~12.20読了。

  • ダイナミックな気象の動きが目に見えるよう。空を眺めたくなる。

  • 雲(天気)を読めるシングルマザーと
    家族、一族の活躍。
    読めばお天気博士になれるかも?
    解説図がほしかったなぁ。

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著者プロフィール

1964年兵庫県明石市生まれ、千葉県千葉市育ち。文筆家。東京大学教養学部卒業。日本テレビ勤務中、1995年『クジラを捕って、考えた』でノンフィクション作家としてデビュー。退社後、1998年『夏のロケット』で小説家デビュー。小説に『せちやん 星を聴く人』『銀河のワールドカップ』『算数宇宙の冒険』『ギャングエイジ』『雲の王』『12月の夏休み』など。ノンフィクションに『PTA再活用論』『動物園にできること』『ペンギン、日本人と出会う』『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』など、著書多数。現在、ナショナル ジオグラフィック日本版および日経ビジネスオンラインのウェブサイトで「・研究室・に行ってみた。」を連載中。

「2020年 『「色のふしぎ」と不思議な社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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