- Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087453577
作品紹介・あらすじ
不況にあえぐ零細広告代理店の次なるクライアントは、閑古鳥が鳴く「さくら通り商店会」。がけっぷち同士がタッグを組んで、起死回生を目指すが……。ユニバーサル広告社シリーズ第3弾!(解説/北上次郎)
感想・レビュー・書評
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荻原氏の本は3作目。「浩」繋がりで有川浩氏と混同して買ってしまう。
内容は読み始めてすぐに「神様から一言」を思い出した。アクの強い登場人物達が会社のために活躍する姿が、商店街に代わったように思う。このままで良いとする旧勢力に立ち向かう改革派。これをベースに純粋な男女の微笑ましい恋愛のやり取り、主人公と離婚した後の切ない娘との手紙のやり取りなど、見どころが詰まった楽しい小説となっている。
あとがきを見るとシリーズ3作目のようであり、他の本も読みたくなってしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ユニバーサル広告社シリーズ第三作、今回はさびれた商店街を盛り上げる話。ヘルキャーとジストマのライブを聴きながら揚げ大福を食べたい。今回も、早苗ちゃんが可愛いかった。
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これは少し私の好みとは異なって、読み進めるのに難儀した(^_^;)
何処が悪いっていうわけではないのにな、、、何でだろう。いつもみたいに調子良くページを捲ることが出来なかった(^_^;)
倒産寸前のユニバーサル広告社が、オフィスを都心から離れたさくら通り商店街へと移す。
そこはスーパーの進出などで寂れてしまったシャッター街だった。
コピーライターの杉山は、シャッター街に生き残り、商店街を変えたいと立ち上がる青年たちと共に商店街活性化の為に協力する。
古くからの商店街の重鎮たち、新しい商店街の若者、様々な障害を乗り越えて、商店街の住人が心を1つに繋いでいく、ほんわかストーリー。
長編大好きな私が冗長ではないかと感じでしまう厚みだったが、大衆に評価されている作品が悪い作品なわけもなく、最後はほわっとほっこりいい気持ちになる。そんな温かいストーリー。 -
どっぷりとユニバーサル広告社シリーズにハマって、最後の作品がこれで良かった。
すっかり杉山氏のキャラクターに魅了され、私自身もさくら通り商店街の一員になったかのように物語の中に入り込んでしまった。最後まで愛娘の早苗のことで頭が一杯だったのだが、住んでいる商店街の人々とかかわらざるを得ない状況の中、仕事と生きていくということを新たに考えさせられたに違いない。きっと娘との関係も明るい未来しかない。杉山自身にも環境の変化がありそうだ。続きがあったらな~。 -
読みながら気分が明るくなって元気がでるのが、萩原 浩さんが書かれた「花のさくら通り」という一冊。桜色の表紙と優しいタッチの表紙絵が、書店の平台で目を引く一冊だ。
倒産寸前のユニバーサル広告社は、都心のオフィスを追い出されるように引っ越すことになった。社長の石井とコピーライターの杉山、アートディレクターの村崎と紅一点のバイト猪熊の4人は、中型トラック一台での寂しい引っ越しとなった。
環境の良いオフィスに移転すると思っていた社長以外の三人だったが、コンビニもカフェもない地方の駅前商店街に到着し、和菓子屋の二階にある新しいオフィスを見上げてため息をつくことになった。
ユニバーサル広告社が新たにオフィスとした建物は、少子化やスーパー進出で寂れた”さくら通り商店街”というシャッター通りの一角。”さくら通り”とは名ばかりで桜の木はずいぶん前に伐採され、商店街の面々も過去の栄光を引きずって商店街の活性化には前向きではない様子だ。
毎年行われている「さくら祭り」のチラシを頼まれたことをきっかけに、杉山は少しずつ商店街の面々と付き合い始めることになる。その縁で商店街に出没する放火魔を追いかけることになったり、さくら祭りを盛り上げることになったりするが、根本的な商店街の活性化には程遠い内容だった。
それでも、さくら祭りが思いがけず成功したことや、高齢化が進む団地での販路を見出だし始めたことで徐々に商店街の面々が活性化に動き始めていく。しかし、そこに立ちはだかったのは、商店街独特のヒエラルキーと古い体質の古参達だった。
この物語は「商店街の活性化」という縦軸に沿って、商店街に住み商売を営んでいる人々の悩み、若者の恋が横軸となって絡みながら進んで行く。また、主人公である杉山のプライベートなやりとりについても、じんわりと心を温かくしてくれる。
なによりも、一生懸命に愚直に頑張る人々の努力が、少しずつだが実っていくという過程には読んでいて勇気付けられる。それも単純にスイスイと物事が運ぶのではなく、時には挫折したり時には思わぬ妨害にぶつかったりと読んでいてハラハラする。
しかし、読み終わった時に心の中に流れるのは「努力は報われる」ということであり、「大切なのは人の縁だ」ということを感じることができるだろう。
545ページとなかなかの長編なので気軽に読むという訳にはいかないが、秋の夜長にじっくりと読みには最適の一冊だ。 -
大好きな荻原 浩さんの作品、今回も最高でした。
読み終わってからシリーズものの第三作目ということに気付いたのですが、全く気にならず読めました。気づかなかったし。
閑散とした商店街に曲者ぞろいの「ユニバーサル広告社」が引っ越してくるのですが、この商店街の寂れ具合の描写が細かくて、砂煙の舞う通りが目の前に浮かんでくるほど。
そんな街を見かねて、主人公の杉山が立ち上がるわけなのですが…。
荻原さんを好きな理由に、登場人物が「敗北」を知っているということがあります。
「失敗」と言い換えてもいいですが。
そこに人生の苦みというか、突っ走るに突っ走れない、人間臭さがあります。
杉山はまさにそんな男で、大手の広告会社を退職し、奥さんとは離婚。一人娘とは離れ離れ。さらに転職先の会社も前述のとおり寂れた商店街に引っ越さなければならないほど。
商店街の面々も協力どころか邪魔者扱いする始末で四面楚歌。
そんなところからどう事態を切り抜けるか。どう人々の心が変わっていくかが見所です。
一番最後の映像のシーンが、さくら通りが一つになっていく様を象徴的に表しています。
よそ者、若者、馬鹿者が地域を変える、なんていいますが、本当にそんな感じなんだなぁと思います。
一生懸命日々を生きる方々にお勧めです。 -
1.2のほうが面白かった、かな…
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シリーズ第3段。寂れていきそうな商店街の人々が、広告社の面々とともに商店街の再生に立ち向かう姿、日常と活躍が描かれる。余韻も残しつつ大団円で面白かった。
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さくら通り商店街のお話
これが第3弾であることに読み終わって気がついた… -
やっぱり、荻原さんの群像劇が好き。
出てくる人が、みんなどこにでも居そうなのにアクが強い。
人数は多いけど、個々のキャラクターがきちんと立ってるから、バラバラにならない。
かっこ悪い大人達をシニカルに描きつつ、誰一人として投げ出さずに温かい目で見守るような空気感は、作家さんが人間好きなんだろうなぁ…というのをこちらに感じさせてくれる。