よだかの片想い (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 674
レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453614

作品紹介・あらすじ

顔に大きなアザがあるため、世の中に居心地の悪さを感じている大学院生のアイコ。ルポ本の取材がきっかけで映画監督の飛坂に出会い、恋をして……。瑞々しく切ない恋と成長の物語。(解説/瀧井朝世)

感想・レビュー・書評

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  • 身体的なコンプレックスを抱える者には共感できる内容。タイトルから終わりは想像できたが...。弱さの受容と依存、強さの社会性と自己防衛。人はそんなに器用には振舞えないし、分かってもらえるとも考えていない。そんな葛藤とストレートな恋情が描かれた良作。読後感も良です。

  • うわあー、良かった。。。

    顔にアザのある女の子と、若手映画監督の恋。
    話の筋は大体想像できたけれど、アイコのキリッとした空気と、自然な弱さにじーんとくる。
    それから、一人の男性をひたむきに好きになってしまう姿も、とても良かった。

    昔から、島本理生さんとは相性が良い。
    人によっては、テーマの選び方、キャラクターの強弱のつけ方が気に入らないとも思うんだろう。
    でも、アイコという女性が、ちゃんとストーリーを生きていく。私には分かりようのない境遇にいながら、なぜだか分かるのが小説の良さなのかもしれない。

    「あなたに出会ったとき、僕は夏の夜空を思い出した。
    美しくてあまりに果てしない夜空を、その小さな体に抱いていた。」

    キレイすぎる、けれど、頷いてしまう形容。
    読み終わるまで、ドキドキした。
    タイトルと、宮沢賢治の『よだかの星』との重ねかたも、すごくすごく素敵。
    楽しめました。

  • 今まで読んだ本の主人公の女の子は、大抵パッとしなくても透き通るような白い綺麗な肌をしていた。世の中の女の子も大抵綺麗な肌をしている。
    綺麗な、人並みの肌であることは、私にとって恋をする資格のある人のことだった。私は汚いから、色々駄目だと思っていた。そう思う心が、内面が、外見に反映されることにも長く気付けなかった。それなのに自分は一人だ不幸だと嘆いて、勝手に傷付いて自分の弱さに人を巻き込んでいた。未熟で身勝手だった。
    けれどアイコのように、この顔でなければ、体でなければ、気付けない人の弱さが沢山あった。私はこの体でなければもっと傲慢で品のない人間になっていたと思う。この体でよかったとまでは思えないけど、この体だから色んな事が見えた。それは紛れもない事実だった。

    ここで描かれるのは、自分に自信が持てなかった女性が、
    ようやく「自分をないがしろにしない」という決断ができるようになる、その過程なのだ。

    この解説の言葉で私がなぜこんなにこの本に既視感を覚えるのか分かった。私もこの決断をするまで24年もかかった。自分という人間を受け入れる、という決断に、こんなに長い時間をかけた人間が、私以外にも、いた。それだけで、救われた。ありがたかった。アイコが観た十四歳の女の子のように、こんな些細な私の人生の決断を拾い上げてくれた、と思わずにはいられなかった。
    島本さんのお話の女の子は弱くて儚げでか細い人ばかりだったから、アイコみたいな人も書くんだなって少し驚き。こういう人を、また主人公に据えてほしい。
    独白、終わり。

  • たぶん自分とまるっきり性格が違うからなんだろうけど、アイコに感情移入するというよりは、友達や家族のように側で見守っているような感覚で読んだ。
    恋をしたらそうだよねって共感したり、傷ついて泣くことになるんじゃないかって心配したり、それでも相手に向き合おうとするアイコを応援する気持ちになったり。
    こうやって客観的に見たら飛坂さんのことはあんまり好きになれないけど、こういう人に惹かれてしまう気持ちはよく分かる。
    飛坂さんには、一緒に幸せになれる相手といつかちゃんと出会ってほしいな。

    個人的には、アイコがミュウ先輩のお見舞いにいく場面がこの作品のハイライトだと思った。痛みを知っているから、人の痛みを感じることができる。人に優しくなれる。泣いている人に寄り添って、幸せを心から願うことができる。
    始めから何もなければそれはそれで幸せだったかもしれないけど、痛みを知らなければ気づけなかったこともたくさんある。それはとても得難い特別なものなんだよね。

    物語の始めと終わりではアイコの印象がまるで変わっていて、柔らかく自然体の彼女はすごく魅力的。
    いい恋をしたね、と抱きしめてあげたくなった。

  • 2015年31冊目。
    重くなりたくないけど、重くなってしまう、のはわっかるなぁ~と思った。学生特有の感覚かなあ。
    「私がこんなに会いたくて必死になっている間に、飛坂さんはべつの用事を優先させていた。私たちの関係性は、きっと変わらない。この先も。」
    「出会った頃だったら、私はこの言葉だけで、一生、満足できただろう。でも今は知ってしまった。求められることの幸福を。そうしたら、もっと欲張りになっていた。約束は守ってほしいし、私と会うことを1番楽しみにしてほしい。相手にも、こちらが想うのと同じくらい、好きになってほしい。付き合っているのに片想いみたいな状態じゃなくて。」

    相手にとっては、これは重いなあ。温度が同じひとなら、良いけれど。
    原田くんとは、もう少し軽やかに恋ができるんだろうなあ。
    だけど、飛坂さんに惹かれちゃうの、わかるなあ。

  • 主人公の持っているコンプレックスは、人が誰しも持っているそれをわかりやすく表現したものなんだろう、なんてレビューが出てきそうなお話だなと思った。
    とても読みやすくて読後感もさわやかで、さくっと読めるお話だった。
    アイコの重力を受け止めて立っている感じと、恋に恋している浮遊感と、それを咀嚼し飲み込んで歩いていくところが、彼女のこれからの人生に幸あれと願わずにいられなくなる。願わなくともきっと素敵な未来が待っているのだろうけれど。
    原田君推してたからやった~!と思いました。

  • 読んでみたいと思っていた作家さんのひとり。
    初めて読んだのが、この『よだかの片思い』

    顔に大きなあざのある大学院生のアイコ。
    「顔にあざや怪我をおった人」をテーマにした本の取材を受け、その本の表紙に。
    それをきっかけに、恋愛には心を閉ざしていたアイコが、映画監督の飛坂に恋をする。

    ミステリーが大好き。
    ほっこりした話が大好き。
    そして、ラブストーリーが大好き。
    この本はすっぽりとはまりました。
    一気読み。
    島本さんの他の本も読んでみたい。

  • コンプレックスと恋愛を重ねた女性が
    変化を感じながら感情を覚えていくお話。

    文体はシンプルですらすらと読了。

    起こり得そうな、でも少し手が届かないような
    そんなシチュエーションの設定が
    親近感を覚える作品。

    浸れる、とか呑み込まれる、といったような
    惹きつけられる瞬間は無かったが
    コンプレックスに対して共に歩む姿勢や
    憧れに恋い焦がれる主人公の様子は共感しやすい。

    「一緒にいるっていうのは、
    相手を肯定しながら同じ場所にいること」

    「もし原田君のことを好きになっても、
    ならなくても、
    今日という日を永遠に忘れない。」

  • 飛坂さんの作る映画がすごくいいなぁ。
    ほんとに観てみたい。
    きっと号泣。

    よだか、がわからずに読んだけどすっきり。
    しっかりがっちりはまったタイトル。

  • 駆け引きとはずっと遠くにある、まっすぐな恋のお話。

    まっすぐさが心地よく、まっすぐさとともにある洞察力や勇気がかっこよく、人としての心の動きがみずみずしく、少し悲しいけど素敵なお話でした。そう、彼女は逃げないのですよね。

    顔に大きなアザがある主人公アイコは、私の目から見て、とても魅力的。だけど、実際に彼女が身近にいたら、妙に気をつかってしまったり、どう接しすればいいか考えすぎたりで、うちとけた関係には、なかなかなれないかなぁ。

    この物語では、彼女の恋の相手以外にも、彼女のまわりに暖かい人たちがいます。お母さんとの関係が、ちゃんと愛情でつながってるけど、ある種の微妙さがあったり、大学院の先生や先輩の存在とか、なかなかによいです。

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著者プロフィール

一九八三年、東京都生まれ。一五歳の時に「ヨル」が「鳩よ!」掌編小説コンクール年間MVPを受賞。二〇〇一年「シルエット」が群像新人文学賞優秀作に。〇三年『リトル・バイ・リトル』で野間文芸新人賞、一五年『Red』で島清恋愛文学賞受賞。一八年『ファーストラヴ』で第一五九回直木賞を受賞。

「2020年 『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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