御不浄バトル (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 540
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453706

作品紹介・あらすじ

僕の会社は悪徳商法のブラック企業!? 退職を決意し詐欺の証拠集めに奔走し、会社とは違う“ある場所"で日々繰り広げられるバトル。表題作ほか短篇一篇を収録した新芥川賞作家の話題作。(解説/古市憲寿)

感想・レビュー・書評

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  • 羽田圭介、初読み。
    文章も読みやすくて面白かった。
    えっ、これで終わり?って感じで、話がプツッと途切れるように終わるところもなんだか不思議なあと味を残して良かった。
    ただ便所飯だけは、共感できず・・・でした。

  • トイレ(うんこ)という、表立って取り上げられることが少ない、しかしながら人々にとって極めて身近なテーマがタイトルになっている本作では、生活リズムの中で多くの人がすれちがう「公共の場所にあるトイレ」がキーポイントになっています。
    会話をするわけでもなく、どこの誰か、何をしている日とかも知らないけれど、毎朝のトイレで顔を合わせたり、隣り合う個室で時間を共有する他人との時間や、職場のトイレでの一幕など、物語の要所要所ででてくるトイレでの過ごし方の描写は、生々しくリアルです。

    ブラック企業で働く主人公を描いた「御不浄バトル」とそのスピンオフ作品である「荒野のサクセス」が収録されています。

    たしかに、「きっとこういう人はいるよね」という感想は抱きますが、読み終えて爽快かと問われると少し悩みます。

    社会で(あるいは会社で)自分の仕事に自信が持てない若手の悩みを描いているようにも感じましたし、作者の「らしさ」が良く出ている作品であるようにも感じました。

  • めっちゃウンコしてるしめっちゃ若い

  • 羽田さんは、前から興味があり、初めて作品を読んだ。良く言えば、超現代風。悪く言えば、下品。正直、あまり好きな作品ではない。

    御不浄バトル
    荒谷のサクセス

  • ブラック会社に勤める主人公の安らぎ場所はトイレ。

    トイレの順番争奪戦かと思ったのですが
    普通に主人公がトイレに入って仕事して…な
    トイレの描写が多い小説でした。
    こんな会社に勤めたくないな、というのが本音ですが
    確かに、仕事をやめると大変です。
    躊躇していると、大変な事になったりするわけですが。

    職場でもトイレ、と思っていたら、そこでの食事。
    驚いていれば、芳香剤を勝手に変えたり
    色々持込んでみたり、とすごい方向に。
    会社に便秘用のお茶までふるまっているのが
    用意周到というか何というか。

    無事、仕事辞められる事を願います。

  • 事細かに描写される男子便所の様子にゲンナリする。主人公の気持ちとシンクロしてる…のかな? 見たくないものを見せられているという点で。
    そうだとしても生理的に無理。

  • トイレが物語にリズムを作っているなぁと感じた。

  • ブラック会社に入社した主人公がトイレで食事をする(通称便所飯)、というテーマに惹かれて読んだが、なんとも汚い画の描写が多く、読み終わった後には不快感ばかり残って実に後味が悪かった。

  • トイレを舞台にしているというのが、斬新で面白かったです。ただ単にトイレの争奪戦だけでなく、休息の場としてのトイレの面も見せてくれて新鮮でした。トイレという一瞬の場でも個々の人の人間性が垣間見えるのが興味深いですね!段々と変態じみたトイレの使い方になっていくのはご愛嬌…ですかね笑

  • 羽田圭介によるブラック企業小説でありトイレ小説でもある本作。

    社会人にとってトイレとはある種の憩いの場である。労働時間であろうとそこにいる時は労働から逃れることが可能となるのだ。
    本作で主人公は高額な教育商材を売り捌く悪徳企業に経理として勤めている。パワハラをそれなりに横行している社内には「言い訳禁止、結果史上」なんて標語も貼られるようなブラックっぷりだ。
    ブラック企業という概念は本作発表当時まだ生まれて間もない、もしくは生まれてないような時代だったようが、この社会的なテーマを作品に混ぜ込んでいる羽田圭介の着眼点は流石である。
    羽田圭介の作品の特徴といえばやはり肉体的表現にあると思える。言葉選びとしても遠回りなものを選ばず大便の排出描写を入れたり、女性に対する欲情のうごめきをそのまま描き出したりもする。こういったものは一部の層からは気持ちが悪いなどと思われるであろう要素であるが、直接的な肉体の表現というのもは人間自身の最も根源的な感覚を呼び戻させ、純文学としての人を描く素直さの表れの一つとも言えよう。

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著者プロフィール

1985年生まれ。2003年『黒冷水』で文藝賞を受賞しデビュー。「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞。『メタモルフォシス』『隠し事』『成功者K』『ポルシェ太郎』『滅私』他多数。

「2022年 『成功者K』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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