赤と白 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 247
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453935

作品紹介・あらすじ

雪深い町で暮らす、高校生の小柚子と弥子。明るく振る舞う陰で、二人はそれぞれの事情を抱えていた。そんな折、小学生の頃に転校した京香が現れ……。第25回小説すばる新人賞受賞作。(解説/斎藤 環)

感想・レビュー・書評

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  • 多感な時期の思い込みの極致

    雪深い東北のある街で火災事件が起こった。
    遺体は母とその娘だと思われていたが娘ではなく娘の友人だった。
    高校生の弥子と小柚子は仲が良い、しかしお互いの家庭環境に問題があり、それがしこりとなり段々と大きくなっていく。
    思い込みの激しい友だちの苺美
    ずっと昔一緒に遊んでいてこの街に帰ってきた双子の京香
    小柚子の母とその彼氏の大島
    弥子の母と叔父と関口くん
    全ての人間が何かと問題あり。小柚子は嫌になり酒に逃げる。弥子は叔父との関係に嫌気がさす。
    積もり積もった事が爆発すると自分でも思っていない行動を起こす事になる。

    初めて読んだ作家さんでしたが人間のドロドロとした感情の表現がよく書かれています。高校生という何かと色々な事を吸収する時期にキャパをオーバーした出来事に出くわすとどういう状況に陥るか凄く伝わりました。
    「日照時間と自殺率は比例するらしいよ」南国に住んでいる自分はこの言葉がなぜか響きました。この作家さんの他の作品も読んでみたいが読んだら落ち込みそう……。

  • 小説すばる新人賞の受賞作。新潟の雪深い地域を舞台にした、心も体も冷え冷えする物語です。

    エピローグで紹介される2つの記事。1つは真冬の中越地方を襲った大停電。もう1つはその停電の夜に起きた民家の火災。発見された遺体は2体で、同家に住む母娘のものかと思われたが、母と娘の同級生の遺体だった。物語に登場する娘の同級生は数人いて、遺体はいったいどの少女のものなのか、最後までわかりません。

    登場する少女たちはみんな、母親と歪んだ関係。小柚子(こゆず)の母親は男を取っ替え引っ替え。過去に小柚子は母親の相手から性的虐待を受けたこともあるけれど、それを誰にも言えません。酒の味を覚えた彼女は17歳ですでにアル中。弥子(やこ)の母親はひきこもりの弟(=弥子の叔父)を溺愛し、彼の面倒を見させるために弥子を産んだのだと断言。しかし、小柚子も弥子もそんな母親に従順。それが事件を引き起こします。

    話中に出てくる映画は『ピクニック at ハンギング・ロック』(1975)。ピクニックに出かけた女子たちが行方不明になってしまうあの映画はものすごく不気味で、観てから何十年経った今も忘れられません。この小説もそんな不気味さを兼ね備えていますが、後々まで心に残りそうかと言えばそこまでではない。重さがくっいてきたら、もっと読み応えがあるかもしれません。

  • 病床に伏せていた一週間で読んだ本。

    雪で閉ざされた田舎町を舞台に、身勝手なことしかのたまわない大人(主に母親)から抑圧されまくっているせいで夢も希望もない日常を送る女子高生たちが、そのフラストレーションを大爆発させるまでの行程を描いた話。
    正直、読後感のいい小説ではないっす。だけど、僕はスカっとした。登場する大人の大部分がそろいもそろってクズばかりで最終的にそいつらみんなヒッドい目に合うから、ざまぁみろ、って思えるってところが、そういう要因を作ってるんだと思う。特に小柚子の母親は逝ってよし。

    だけど、病気のときにこんな小説読んだら余計に具合悪くなるわwww

  • なかなかすさまじい内容でしたね。メンタル状態があまりよろしくないときには、読むのは避けたほうがいいかも(これほめてますよ、それくらい真に迫っていたということ)

    母と娘の関係は本当に難しくて、自身も実体験をしているし、親であっても捨てていいとも思うこともあるし、親だからこそ捨てられないというのも事実。

    血縁は人間関係の中で最も汚いものだから(私個人の考え方です。そんなことはないと断言できる方が私はうらやましい)

    ホーンテッド・キャンパスシリーズとは全く違う世界観で、さすがに驚きましたね。

  • まさに毒親という言葉がぴったり。
    女子同士のドロドロした心の闇も、田舎特有の閉鎖感もあるあるだな~。

  • だがいっても無駄なことはわかっていた。
    だって、堰は切れてしまったのだ。


    ーーーーー
    ・2人目線。それぞれの視点から丁寧に描かれている。
    ・ミステリー要素は少なめ。例えるなら、なだらかな丘をゆったりと登っていたら、急な坂道が現れて最後一気に下っていきまたながらかに登るよう。

  • オンナノコの抱える問題、のあるあるが
    坂道を転がって、想像以上に大惨事になる話。

    「赤」と「白」はあまり感じなかったな。炎と雪かな?

    どちらかと言うと、ウイスキーの琥珀色と、カワイイ小物のパステルカラー。

  • 2020年、4冊目は、まとめ買いしてきた櫛木理宇。

    雪深い街に暮らす、女子高生の小柚子と弥子は、小、中、高と一緒の仲。そんな二人でも、それぞれには知らせていない家庭の事情を抱えていた。そこへ小学校の時に転校していった双子の妹、京香が現れる。それをきっかけに、小柚子と弥子の関係に変化が訪れる。

    雪国の冬の閉塞感、思春期の不安定さ、各々のイビツな家庭環境、となかなかへヴィーな題材が揃った一作。それが導入で書かれる、そして、大規模停電の夜の出来事へとつながっていく。

    へヴィーな題材を取り扱ってはいるし、かなりの閉塞感はあるものの、比較的読み易い。もちろん、「ソレしちゃう⁉️」的なコトが出てきて、顔をしかめる場面もあるが、重くドロドロしたモノはそれ程感じナイ。

    ★★★★☆評価は、3.7のややオマケ的な感じ。

  • 暗い気持ちになる内容ですが、今は毒親というコトバもポピュラーになり、こんなコドモたちは多いのかもな、って思いました。
    自分の中にあるドロドロが出てくる内容かもしれません。
    メンタル不安定な人には、読むのがしんどいストーリーかもしれませんね。
    それか、逆にスッキリするかも!
    どっちに出るかは博打みたいになっちゃう気もします。。

  • 雪深い田舎町の設定が物語の物悲しさをさらに深くする。実際に住んでみないとわからない細かなところまで描写しているのがとても印象的。
    複雑な事情を抱えた女子高生が登場し、友人関係で悩み
    とまではありそうな展開だったが
    お酒に手を伸ばしたり、犯罪に手を染めていったりする辺りは度を越している。
    こんなことあってはいけないと思いつつもページを繰る手がとまらないのは作者の筆力なのだろう。
    このあとの作品の残忍さがなりをひそめていたのは幸い。
    読むほどに辛くなっていったお話ではあったけれど。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年、『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。瑞々しいキャラクターと読みやすい文章で読者モニターから高い支持を得る。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。

「2020年 『ホーンテッド・キャンパス 最後の七不思議』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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