七つの会議 (集英社文庫)

  • 集英社 (2016年2月19日発売)
4.01
  • (620)
  • (1217)
  • (497)
  • (38)
  • (6)
本棚登録 : 9325
感想 : 675
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784087454123

作品紹介・あらすじ

ありふれた中堅メーカーでパワハラ事件の不可解な人事をきっかけに、次々と明らかになる会社の秘密。
会社とは何か、働くとは何かに迫る全国民必読の傑作クライム・ノベル。(解説/村上貴史)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ひっさびさの池井戸潤♪

    著者の作品の中で、最も積読期間の長い本書を本棚から引っ張り出してみましたが…

    のめり込む程に面白い(=^▽^=)

    池井戸作品って、多くが映像化されてますよね♪
    1作も見たことないんですが…^^;
    世間を騒がせた「半沢直樹」ですら、見たことない<( ̄︶ ̄)>

    でも絶対に面白いんだろうなぁ~ってのはよく分かる(((uдu*)ゥンゥン

    きっと本書で池井戸作品の積読が残り1冊になった気がしますが…

    ちょっとでも積読減らすためにガマンするしかないかなぁ(;_;)

    (´ρ`*)コホン
    では、本書の内容について。

    企業の不祥事を巡る群像劇を描いた作品であり、読者に社会の構造や組織の論理について深く考えさせる内容となっています。

    東京建電という中堅電機メーカーを舞台に繰り広げられるストーリーは、会社の隠蔽体質や利益優先の経営方針が、どのようにして従業員の人生を左右するかを鮮明に描き出しています。

    物語の中心にいるのは、営業一課の課長・坂戸宣彦と、万年係長として軽んじられていた八角民夫です。

    冒頭では、八角の怠慢な態度が問題視され、坂戸が厳しく叱責します。しかし、坂戸は逆にパワハラの罪で告発され、職を追われることに。

    この出来事をきっかけに、坂戸が行っていた不正行為が社内で浮き彫りとなり、原島万二をはじめとする同僚たちは戸惑いながらも真実を追求していきます。

    本作の大きな魅力の一つは、登場人物がそれぞれの立場や葛藤を抱えながら企業の不正に関わってしまうという、人間ドラマの奥深さです。

    会社員として働く人々の心理や組織の論理がリアルに描かれており、読者は登場人物たちと自分を重ね合わせながら「自分ならどうするか」と問いかけることになります。

    特に、会社の方針に従うか、自分の信念に従うかというテーマは、多くの人が共感できる部分でしょう。

    また、池井戸潤ならではの緻密なストーリー展開も魅力的です。
    企業の実態を鋭く描きながら、テンポよく進む物語は、読者を引き込んで離しません。
    企業の不祥事や内部告発は現代社会においても頻繁に報じられるテーマですが、本作はそれを小説という形で深く掘り下げ、実際に働く人々の視点を通じて伝えています。
    この点において、単なるサスペンス小説ではなく、社会派小説としての価値を持っている作品といえるでしょう。

    『七つの会議』は、企業組織の中で働く人々にとって、自らの働き方を考え直すきっかけになる作品です。
    読了後には、会社と個人の関係性や組織のあり方について、深く考えさせられます。

    会社という巨大な組織の歯車として働くことの意味や、不正を見過ごさない勇気の重要性を、物語を通じて改めて認識させられる一冊です。

    企業の闇を描きつつも、最後には正義が勝るような結末が描かれており、読後感も爽快です。

    この作品を通じて、読者それぞれが自身の働き方や倫理観について考える機会を持てるのではないでしょうか。

    <あらすじ>
    企業の不祥事をめぐる群像劇です。一部上場企業ソニックの子会社である中堅電機メーカー・東京建電を舞台に、社内の会議を通じて不正が明らかになっていくストーリーが展開されます。

    物語は、営業一課の坂戸宣彦課長が万年係長の八角民夫を厳しく叱責する場面から始まります。しかし、坂戸はパワハラ委員会にかけられ、課長職を解かれることに。新たに営業一課の課長となった原島万二は、八角に真相を問いただし、坂戸が強度不足のねじを使用し、不正にコストカットを行っていたことを知ります。この不正は社内で隠蔽されていましたが、八角がマスコミにリークしたことで、世間に公表されることになります。

    この作品は、企業の隠蔽体質や組織の論理に翻弄される社員たちの姿を描いており、池井戸潤らしい社会派のストーリーが展開されます。2013年にはNHKでドラマ化され、2019年には映画化もされました。興味があれば、ぜひ読んでみてください!

    本の概要
    きっかけはパワハラだった! 会社の業績を牽引する稼ぎ頭のトップセールスマンであるエリート課長・坂戸宣彦。彼を社内委員会に訴えたのは、歳上の部下で「居眠り八角」と呼ばれている万年係長・八角民夫だった。そして役員会が下した結論は、不可解な人事の発令だった。いったい二人の間に何があったのか。いったい今、会社で何が起きているのか。事態の収拾を命じられた原島は、親会社と取引先を巻き込んだ大掛かりな会社の秘密に迫る。決して明るみには出せない暗部が浮かび上がる。ありふれた中堅メーカーを舞台に繰り広げられる迫真の物語。日本の今、企業の正体をあぶり出す、大ベストセラーとなった衝撃のクライム・ノベル。
    目次
    第一話 居眠り八角
    第二話 ねじ六奮闘記
    第三話 コトブキ退社
    第四話 経理屋稼業
    第五話 社内政治家
    第六話 偽ライオン
    第七話 御前会議
    第八話 最終議案

    著者について
    池井戸 潤(いけいど・じゅん)

    岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。

    「果つる底なき」(講談社文庫)で江戸川乱歩賞、「鉄の骨」(講談社文庫)で吉川英治文学新人賞、「下町ロケット」(小学館文庫)で直木賞を受賞。

    他の作品に、『半沢直樹』シリーズ①「オレたちバブル入行組」、②「オレたち花のバブル組」、③「ロスジェネの逆襲」(すべて文春文庫)、④「銀翼のイカロス」(ダイヤモンド社)、『花咲舞が黙ってない』原作本「不祥事」、「空飛ぶタイヤ」(それぞれ講談社文庫/実業之日本社文庫)、「ルーズヴェルト・ゲーム」(講談社文庫)、「民王」(文春文庫)、「下町ロケット2 ガウディ計画」(小学館)、「七つの会議」(集英社文庫)、「なるへそ」(Kindle Singles)などがある。


  • 本屋で何度も手に取っては
    なんとなく戻してを繰り返して
    満を持して読みました。

    いや、さすがッスね!
    面白かった。

    数ある会議一つ一つが繋がっていて
    最後は正義が勝つ!っ訳でもないんだけど
    それがまた良い味を出してます。

  • 色々な人に感情移入できて楽しめました。

    映画も観ようと思います。

  • のらりくらりと一見ぐうたら社員の六角さんと小さな不正からバカでかい不正まで大企業の子会社で働くサラリーマンのお話。

    パワハラで訴えてやる!から始まった社内闘争その背景には、ノルマ、出世、妬み僻み、人の目、派閥そして不正などなどネチネチネチネチした会社の嫌なとこが浮き彫りに、そこを切っていく八角さんの正義。今更ながらめっちゃ面白かった!

  • すごく読みやすい。読者を置いていかないシンプルさ。サラっとした書き言葉ではあるが創造すればするほど登場人物の人間味を強く感じる。

    上場企業ソニックの子会社である東京建電を舞台に繰り広げるお話。
    短編とも言える構成。章ごとの主人公たちの活劇、苦悩、思惑。

    会社という組織のあるべき姿とは。利益追求の行く末とは。
    最近じゃダイハツから始まったトヨタグループの不正が頭に浮かぶかもしれない。

  • 長編かと思いきや、それぞれの短編作品が繋がって、次第に物語の全貌が見えてくる。


    電機メーカー・東京建電を舞台に繰り広げられる物語。

    パワハラをきっかけに、営業成績の良いエリート課長が更迭される。
    パワハラを訴えたのは、会議となれば居眠りをするぐうたら万年係長だった。
    そんな男の訴えが何故人事に通ったのか??

    一体会社の中で何が起こっているのだろうか??

    役職も部署も異なる社員の物語が交わる時、親会社と取引先を巻き込んだ大掛かりな秘密が見えてくる。


    作品を読んでいる間中、頭の中はタカタのエアバッグに占領されていた。
    このニュースがモチーフだったのかな?
    その辺は想像だけど。。。

    ものづくりの現場では無さそうでありそうなお話で、他人事じゃないような気にさせられる。

    私は経理のおばちゃんだが、どうもこの本に出てくる経理の人、みんな印象が悪くて(^_^;)
    そんな経理って悪者なの!?

    物語とは全く関係ないが、経理ってただでさえ印象悪いだろうから気をつけなくちゃなぁ。。。と思いましたw

  • 2016年6月、読書を趣味にしようと思い立ち最初に選んだ一冊。なんでこれに決めたのかはさっぱり思い出せないが、オビに「絶好調」と入っているし目立つ良い場所に積まれていたからだろう。

    8話構成。
    タイトル通り『会議』がキーワードとなっており、それぞれ

    第一話・定例会議
    第二話・経営会議
    第三話・環境会議
    第四話・計数会議
    第五話・編集会議
    第六話・営業会議
    第七話・御前会議
    第八話・家族会議

    といった塩梅。
    いかに日本企業が会議好きかが窺い知れようというもの。8話目は単行本化に際して加筆された話との事。確かに全体のエピローグがあった方が収まりいい感じ。

    この本を手に取った30歳目前時点にして「社内政治」(p234)という感覚を初めて知る。
    そこから更に6年経ち、私自身も昇進を経験し、そろそろ会社員生活15年に手が届こうかという今になって、時間差で内容がしみじみと沁み渡ってきた。

    この作品に’勝利者’はいない。

    我が身の振り方を考えさせられた作品。


    4刷
    2022.7.17

  • 「サラリーマンって、難しいね、お父さん」

    なぜぐうたら社員八角は坂戸をパワハラで訴えたのか?
    なぜ北川は可愛がっていたエリートの坂戸を更迭したのか?なぜ役員会はそれを承認したのか?その裏にはどうしても隠したい秘密があった。会社の秘密に迫るクライム・ノベル。

    20年前の出来事が八角を苦しめる。あの時行動に移していれば。
    ノルマ未達成だと罵倒され、ノルマを達成してもさらにノルマが増えるだけ。ノルマに追いこまれていくサラリーマンの苦悩と葛藤。そして…今、変わらない体質に八角は爆弾を投げる。

    8つの短編にひとりひとりの人生が丁寧に描かれ、この人はなぜこのような人間になったのかがわかってくる。
    ひとつひとつの話が面白く、全体の物語に深みを増す。
    親の影響、人との出会い関わりって大事だなと思う。

    恋愛に失敗し、前向きに生きようとする浜本の物語に元気がもらえた。(パン屋さんがいい人やし)

    「ただ徒らに過ぎ去っていった日々はもう取り戻すことはできないけれど、未来なら変えられる。そして、変えるためにはまず自分が変わらなければならない。」

    村西の父親の言葉も素晴らしい。
    「仕事っちゅうのは、金儲けじゃない。人の助けになることじゃ。人が喜ぶ顔見るのは楽しいもんじゃけ。そうすりゃあ、金は後からついてくる。客を大事にせん商売は滅びる」

    映画は原島と浜本さんがクスッと笑わせてくれる。いいコンビで会社の八角の秘密を探っていきます。

    私は映画の方が好きかも。八角がメインで動き回るし、八角と北川の同期の友情もよかったし、何より豪華共演陣の熱く濃い演技に痺れるし笑えます。

    • ひとしさん
      こんにちは!
      わたしも映画で観ました。
      野村萬斎と香川照之、いい味出してましたねぇ♪
      こちら、小説は未読なんですが、映画の方が良かった...
      こんにちは!
      わたしも映画で観ました。
      野村萬斎と香川照之、いい味出してましたねぇ♪
      こちら、小説は未読なんですが、映画の方が良かったですか。
      映画観てから小説を読むのはちょっとと思っていたので踏ん切りがつきました(笑)
      2019/02/26
    • あいさん
      ひとしさん♪

      お久しぶりです(^-^)/
      野村萬斎さんと香川照之さんよかったです!
      どちらも負けていませんでしたね。
      原作では...
      ひとしさん♪

      お久しぶりです(^-^)/
      野村萬斎さんと香川照之さんよかったです!
      どちらも負けていませんでしたね。
      原作では八角はあんなに目立ちませんから私は映画の方が好きですが、小説は1人ずつが丁寧に描かれそれはそれでよかったですよ(⁎˃ᴗ˂⁎)
      ねじ六さんとかカスタマー室の人とか可哀想な扱いでした。
      でも、原島、浜本コンビが好きなら映画だけでいいと思います(*≧艸≦)
      2019/02/27
  • 2023年1冊目
    池井戸潤さんの作品はこれで2冊目なんですけど、やはりとても面白かったです♪
    中堅メーカーの物語で逆転劇で最後まで読まないとわからない本でした!
    会社関係で悩んでいる人や逆転劇などスッキリしたい人におすすめです♪

  • 池井戸潤さん、読むのは初めてです。
    ドーナツの話が箸休め的な感じでよかったです。ただ、人間の一番深いトコロを突いているのもこの話だと思いました。
    金額の大小関係なく、一番タチが悪い気がしました。
    映画も近いうち観よう。


全675件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池井戸潤の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×