嗤う名医 (集英社文庫(日本))

  • 集英社 (2016年8月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (312ページ) / ISBN・EAN: 9784087454765

作品紹介・あらすじ

天才的心臓外科医の隠された顔、最高の治療の為には誰にも妥協を許さない名医、患者の嘘を見抜いてしまう医者……。現役医師が描く、リアルで怖くて面白いミステリー短編集。(解説/仲野 徹)

みんなの感想まとめ

医療の裏側を描いた短編集は、心臓外科医の視点から患者や医師の複雑な心理を浮き彫りにします。全6編からなる物語は、認知症やコンプレックス、完璧主義といったテーマを扱い、登場人物たちの内面に潜む恐怖や葛藤...

感想・レビュー・書評

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  • 初めましての作家の作品を手に取る時は、良さが掴みにくい短編集はなるべく選ばないようにしているのだが、タイトルに惹かれ手に取ってしまった。

    ブラックユーモア...んむぅ、だとするとなんと優しいブラック。強いて言うなら「名医の微笑」が程よいぶっ飛び具合で楽しめました。エロもグロも弱いですが、世界観が好き。
    着地点の優しさに萎み続け、最後のお話ではおじ様の長いスピーチに貧血を起こしそうになる。校長先生の朝礼のお言葉を思い出した。

    長編でリベンジしたいと思います( ¯•ω•¯ )

  • 久坂部医師による短編集でしたが、結構マニアックな内容の作品もあり、先生の以外な一面を感じました。

  • ブラックなテイストに対しての人々の反応は、三つくらいに分けられると思う。
    ①ブラックユーモアが分かる人 ②面白さが分からない人 ③怒り出す人。
    この本は①に該当する人にお勧めしたい。
    かなり濃い。
    そしてお医者様の書く医療物は本格的であり、ああ、こんな患者に悩まされているんだろうなー、そりゃ気晴らしも必要だ、と思う。

    【寝たきりの殺意】
    寝たきりの高齢男性・守山(もりやま)のモノローグで終始する。気難しくわがままな老人だ。
    舅の介護が嫌でたまらない様子の嫁だが、なぜか嫁の方の肩を持ちたくなってしまう。
    守山はついに嫁に殺意を抱き、さてどうやって殺してやろうかと想像するくだりが、ブラックユーモア。
    首を絞める、小便を漏らす。毒を飲ます、泡を吹いて・・・やっぱり小便を漏らす、うははは、と妄想する守山。
    実は・・・

    【シリコン】
    豊胸手術に失敗した「運の無い」女の復讐。復讐の手段が・・・
    おっぱいと一緒に良心もいくらか切り取られてしまったのだろうか。

    【至高の名医】
    清河武史郎(きよかわ たけしろう)は、神の手を持つと言われる外科部長。ストイックで正義漢。医師にも患者にも厳しすぎるのが玉に瑕。
    ふとした事で、病に対する恐ろしい体験をし・・・

    【愛ドクロ】
    文京大学医学部の解剖学講座の技術員である原山良人(はらやま よしと)は頭蓋骨マニア。
    良人は多くの標本を管理するうち、人の頭蓋骨が透けて見えるようになった。
    自分だけの美しい頭蓋骨を手に入れたくて仕方がない。

    【名医の微笑み】
    矢崎逸郎(やさき いつろう)42歳。0.1ミリの狂いが血管を突き破りかねないカテーテル治療の第一人者。そのほか、朝から外来診察、患者への治療説明、医療機器メーカーとの打ち合わせ。病棟の患者の診察では愚痴を繰り返す半身不随の老人、中途半端な医療知識を振り回すわがままな家族にも、矢崎は丁寧な対応と微笑みを崩さない。
    自宅では三年前に脳梗塞で倒れた父の食事の介助。妻から、息子の学力についての愚痴。息子は塾の勉強について行けず、妻は進学校に入れることだけが正義と思っている。自分の家族のわがままに対しても、矢崎は丁寧な対応と微笑みを崩さない。
    このストレスに見合うほどの息抜きはあるのか?

    【嘘はキライ】
    水島道彦(みずしま みちひこ)38歳、独身。都立新宿医療センターに勤務。去年、内科医長に昇進。
    嘘が見抜けるのでは?と看護師。嘘を言う人間は、後頭部からすっと黄緑色の狼煙が立ち上る。
    その能力を、教授選に利用される。

  • 医療に関わる短編集。
    ストレスが溜まる医師のストレス解消みたいな話もあって、正直ちょっと怖かった…
    あと、やっぱり患者側も怖いよねって話も…

    2025.3.16

  • 【医者、患者は何を思う】
    医療ミステリー短編の6話。
    「寝たきりの殺意」は後の長編「老乱」の様な認知症高齢者が主役。認知症の人がどう世の中を見て、聞いて、感じるのかは分からないはず。認知症は不可逆的であるからだ。それは死の瞬間や死後が分からないのと近いのだが、恐らくこの様なのだろうと怖くなる、擬似認知症体験小説である。
    「嘘はキライ」は超能力SF短編といったところか。軽い話として楽しめる。

  • 医療もの6作品が収録された短編集。面白かった。著者は医師でもあり、書かれている内容がリアリティがある。「至高の名医」は短いストーリーの中に、いくつかの山があって特に面白かった。「嘘はキライ」だけは、主人公の特殊能力が非現実で、教授選まで持ち込むのは話が大きくなりすぎで違和感があり残念。でもこの著者の別の作品は、ぜひ読んでみたい。

  • 大阪大学医学部卒、現役医師の久坂部羊。初めて読んだ『廃用身』は衝撃的でノンフィクションかと思ったほど。その後に読んだ何冊かの長編すべて、読むたびに「病院ってこんなものなのか」と思わされ、同様に病院を舞台にした海堂尊にユーモアまみれの作品も見受けられるのに対し、こちらはいつも相当ヘヴィー。そんな久坂部さんの短編を初めて読みます。

    収載されている6編は『寝たきりの殺意』、『シリコン』、『志向の名医』、『愛ドクロ』、『名医の微笑』、『嘘はキライ』。

    自分が正気であると疑わず、おざなりな介護をする嫁に殺意を抱く老人。貧乳にコンプレックスを抱き、ついに豊胸手術に踏み切る女性。自他ともに認める完璧主義者だったのに、ある患者の亡き後に自分のミスに気づいてしまった医師。骨フェチで、もはや女性を選ぶ観点が頭蓋骨の美しさになってしまった技術員。終始ニコニコ、その実はどす黒い感情を抱えている医師。患者をはじめとする周囲の人々の嘘を図らずも見抜いてしまう医師。それぞれの主人公はそんな者たち。

    5編目までが皮肉に満ちた話です。ホラーっぽい展開の『愛ドクロ』、こんな話を書く久坂部さんって変態じゃないかと思ってしまう『名医の微笑』など、笑うに笑えず読後はぐったり。しかし6編目のホッとさせられるオチに、やはりこの人は医者としても優れているのだろうと思わずにはいられません。こっちは患者で、信頼する先生にからかわれ、最後は安心させられたような気分です。

  • ブラックユーモア満載の作品。 文体は読み易いし、生理的に受け付けないものもない。 ただ、読んだ後に何も感じない。 時間つぶしと言えば語弊があるが、読書の醍醐味というか心に響くものがまるでない。 多分最近少し難解と言うか考えさせられる本ばかり読んでたからか。 読み時期を間違えたかもしれない娯楽本。

  • 短編。
    裏の顔がある医者の話は リアルで想像すると怖すぎる。

  • 医療関係のお話が6編入った短編集。ミステリー、とあるけど…どうなんだこれは(^^; どのお話もかなり毒がきいてて、結構好きだな~。現役医師の書いた小説だと思うと、エロもグロもあんまり生々しく感じないというかうっすらエタノールの匂いがするというか…そんなん私だけか? 私はいわゆる軍艦頭なので『愛ドクロ』に出てきたような、自分の頭蓋骨の3D映像をぜひ見てみたい!(笑)

  • 医療小説で6話構成短編集。結構前に読了していました。
    医療分野の方でなくても読みやすいかとは思います。
    背表紙側の帯に書いてある、「本当の事なんて、言うわけがない。」が本当にリアルでゾクリと背筋が凍るような思いで、あー、あるある、わかるわかると思いながら購入。
    最高に皮肉がきいている「至高の名医」がすごい好きです。あと「寝たきりの殺意」も読みやすくて面白かったです。

    「名医の微笑」だと回診中の不定愁訴盛りだくさんな患者さん、医療関係者の家族の面倒くさいことこの上ない感じが本当にリアルで目に浮かんでしまいました。
    収録されてる中でも「名医の微笑」は、かなーり人を選ぶ作品だろうなあと思いますが、自分で体験していないのに目の前でありありとそういう行為が行われていそうな描かれ方に脂汗出てました。
    胃もたれしそうな読者にとって「嘘はキライ」で少し救われるような、そんな構成だったような気がします。

    解説に愛がある本は良作ですね。

  • 医療関係の短編集です。
    専門用語などはありますが、そんなに難しいこともなく、医者の世界のおかしさ・世界の狭さなどがうまく描かれています。
    医療に携わる人間であれば、シニカルに笑えるという感じだと思います。
    もっと他の著作も読んでみようと思います。

  • 帯の煽りがミステリーだったので購入しましたがミステリーではないと思う…
    唯一 嘘はキライ はちょっとミステリーぽくてラストの爽快感がよかった。
    1番好きなのは 名医の微笑 。主人公の裏の顔より表の顔のがよっぽどグロいと感じる。
    読みやすくてちゃんと面白いけど中々に不愉快な描写もあって、こういうのは好きです。
    解説が相当愛がある感じで、読み物としても面白いので星一つは解説に捧げます。

  • 短編集。
    しょっぱなからひねりが効いてた。
    医者や病院の裏側を垣間見た感じで面白かった。終盤に向かってさすがにエスカレートしてる気はしたけど、ほんとにあんなことあるの?嗤

  • 初めての著者本。単行本の時から、気になってたけど、基本文庫本しか買わないので、文庫発売日に、いそいそと購入しました。

    奥田英朗の「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」と精神科医の伊良部シリーズを読んだ後だったので、お医者さんの話とはいえ、
    患者視点のメディカルコメディ(?)伊良部シリーズとは毛色の全く違う本作。あらすじにも「ミステリー」と銘打っているので、
    どんな感じなのだろうと、わくわくしながら読み始めました。

    最初の話「寝たきりの殺意」を読み始めた時、ちょっと身構えました。
    「ひょっとして・・、ミステリーはミステリーでも、”イヤミス”の類・・?」と不安になりました。
    というのも、あたしは、ミステリーは好きだけど、「イヤミス」と呼ばれるものは、苦手だからです。
    真梨幸子の「殺人鬼フジコの衝動」と乃南アサの「犯意」を読んで、「ストーリーは面白いけど、心理的ストレスが半端ない」
    と思いました。トラウマ的というか、読後感(読んでる間もですけど)の心理的負担というか・・、とりあえず、自分には合わなかったようです。

    話は逸れましたが、それがあったので、この「嗤う名医」も全編そうなのかな・・と読み始めから不安になりました。
    ネタバレになるので、オチは避けますが、結果的に言えば、あたしが心配した「イヤミス」ではありませんでした。
    なので、2話、3話・・と読み進めて、オチは分からないけれど、話の方向的には安心して読めるな、という印象でした。

    ただ・・1点、「名医の微笑」、これだけは、顔をしかめながら本を読みました。
    そういえば、矢崎のストレス発散の場・・似た趣味を持つもの同士の場の描写が、漫画「サイコドクター」にもあったことを思い出しました。
    本作だけしか読んでなければ、「男性作家の妄想の域」なのかなと思いますが、他作でも似た場面があったとなると・・
    ほんとにこういう世界があるのだろうかと思うと、恐怖です。真相はわかりませんが。

    上記を除けば、全体的に面白かったのですが、個人的には、最初の「寝たきりの殺意」と、一番最後の「嘘はキライ」が好きです。
    「寝たきりの殺意」は、自分含め、誰でもそうなりそうだな・・という印象。決して他人事ではないと思います。
    最後の「嘘はキライ」は、他の5編とは若干異なると思います。というか、表現が面白くて、ニヤニヤしながら読んでしまいました。
    一番楽しい話なので、そういった意味では、最後にもってきて正解だな・・と思いました。

    • taka092767さん
      いいねありがとうございます。同じ話が気に入ったのですね
      いいねありがとうございます。同じ話が気に入ったのですね
      2018/07/17
  • 介護、整形、医師のストレスなど、医療現場を舞台にした短編集。とても読みやすい文章で、描かれる世界にすんなり入っていける。

    最初の3編は展開に目新しさが無いものの楽しく読めた。特に「寝たきりの殺意」のクソジジイっぷりときたら!次の2編は異常な趣味嗜好を持った医療関係者の話が続いて気分が悪くなったけれど、最後の1編、白い巨塔の派閥争いに巻き込まれる男の話「嘘はキライ」は面白かった。

    他の作品を読んでみたくなる程の魅力は感じなかったが、短編集ということもあり気軽に一気読みできた。

  • 「笑う」じゃ無くて「嗤う」。笑えないお話ばかり。名医の裏の性癖‥‥ちゃんと治してくれればと思い、そんな人に触れられたくないとも思い‥‥複雑。七つのお話に出てくる医者は作者の分身?と感じた瞬間があったけれど、まさかね‥‥

  • 何と感想を書いてよいやら。医師あるあるとは極論過ぎて言えないけど、軽く読めてしまった

  • 久坂部さんの作品は、医者も人間なんだなーと感じさせられる。そして病気と患者と医者同士の確執とかストレス多そう。

    個人的に好きなのは「シリコン」。美容整形に失敗した運のない女子が、これからの人生に希望を見出す、光のある感じが良かった。

  • 現役医師の紡ぐフィクションは妙にリアルで怖いけど面白い。

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著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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