嗤う名医 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 501
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087454765

作品紹介・あらすじ

天才的心臓外科医の隠された顔、最高の治療の為には誰にも妥協を許さない名医、患者の嘘を見抜いてしまう医者……。現役医師が描く、リアルで怖くて面白いミステリー短編集。(解説/仲野 徹)

感想・レビュー・書評

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  • 初めましての作家の作品を手に取る時は、良さが掴みにくい短編集はなるべく選ばないようにしているのだが、タイトルに惹かれ手に取ってしまった。

    ブラックユーモア...んむぅ、だとするとなんと優しいブラック。強いて言うなら「名医の微笑」が程よいぶっ飛び具合で楽しめました。エロもグロも弱いですが、世界観が好き。
    着地点の優しさに萎み続け、最後のお話ではおじ様の長いスピーチに貧血を起こしそうになる。校長先生の朝礼のお言葉を思い出した。

    長編でリベンジしたいと思います( ¯•ω•¯ )

  • 【医者、患者は何を思う】
    医療ミステリー短編の6話。
    「寝たきりの殺意」は後の長編「老乱」の様な認知症高齢者が主役。認知症の人がどう世の中を見て、聞いて、感じるのかは分からないはず。認知症は不可逆的であるからだ。それは死の瞬間や死後が分からないのと近いのだが、恐らくこの様なのだろうと怖くなる、擬似認知症体験小説である。
    「嘘はキライ」は超能力SF短編といったところか。軽い話として楽しめる。

  • 医療もの6作品が収録された短編集。面白かった。著者は医師でもあり、書かれている内容がリアリティがある。「至高の名医」は短いストーリーの中に、いくつかの山があって特に面白かった。「嘘はキライ」だけは、主人公の特殊能力が非現実で、教授選まで持ち込むのは話が大きくなりすぎで違和感があり残念。でもこの著者の別の作品は、ぜひ読んでみたい。

  • 大阪大学医学部卒、現役医師の久坂部羊。初めて読んだ『廃用身』は衝撃的でノンフィクションかと思ったほど。その後に読んだ何冊かの長編すべて、読むたびに「病院ってこんなものなのか」と思わされ、同様に病院を舞台にした海堂尊にユーモアまみれの作品も見受けられるのに対し、こちらはいつも相当ヘヴィー。そんな久坂部さんの短編を初めて読みます。

    収載されている6編は『寝たきりの殺意』、『シリコン』、『志向の名医』、『愛ドクロ』、『名医の微笑』、『嘘はキライ』。

    自分が正気であると疑わず、おざなりな介護をする嫁に殺意を抱く老人。貧乳にコンプレックスを抱き、ついに豊胸手術に踏み切る女性。自他ともに認める完璧主義者だったのに、ある患者の亡き後に自分のミスに気づいてしまった医師。骨フェチで、もはや女性を選ぶ観点が頭蓋骨の美しさになってしまった技術員。終始ニコニコ、その実はどす黒い感情を抱えている医師。患者をはじめとする周囲の人々の嘘を図らずも見抜いてしまう医師。それぞれの主人公はそんな者たち。

    5編目までが皮肉に満ちた話です。ホラーっぽい展開の『愛ドクロ』、こんな話を書く久坂部さんって変態じゃないかと思ってしまう『名医の微笑』など、笑うに笑えず読後はぐったり。しかし6編目のホッとさせられるオチに、やはりこの人は医者としても優れているのだろうと思わずにはいられません。こっちは患者で、信頼する先生にからかわれ、最後は安心させられたような気分です。

  • ブラックユーモア満載の作品。 文体は読み易いし、生理的に受け付けないものもない。 ただ、読んだ後に何も感じない。 時間つぶしと言えば語弊があるが、読書の醍醐味というか心に響くものがまるでない。 多分最近少し難解と言うか考えさせられる本ばかり読んでたからか。 読み時期を間違えたかもしれない娯楽本。

  • 短編。
    裏の顔がある医者の話は リアルで想像すると怖すぎる。

  • 医療関係のお話が6編入った短編集。ミステリー、とあるけど…どうなんだこれは(^^; どのお話もかなり毒がきいてて、結構好きだな~。現役医師の書いた小説だと思うと、エロもグロもあんまり生々しく感じないというかうっすらエタノールの匂いがするというか…そんなん私だけか? 私はいわゆる軍艦頭なので『愛ドクロ』に出てきたような、自分の頭蓋骨の3D映像をぜひ見てみたい!(笑)

  • 医療小説で6話構成短編集。結構前に読了していました。
    医療分野の方でなくても読みやすいかとは思います。
    背表紙側の帯に書いてある、「本当の事なんて、言うわけがない。」が本当にリアルでゾクリと背筋が凍るような思いで、あー、あるある、わかるわかると思いながら購入。
    最高に皮肉がきいている「至高の名医」がすごい好きです。あと「寝たきりの殺意」も読みやすくて面白かったです。

    「名医の微笑」だと回診中の不定愁訴盛りだくさんな患者さん、医療関係者の家族の面倒くさいことこの上ない感じが本当にリアルで目に浮かんでしまいました。
    収録されてる中でも「名医の微笑」は、かなーり人を選ぶ作品だろうなあと思いますが、自分で体験していないのに目の前でありありとそういう行為が行われていそうな描かれ方に脂汗出てました。
    胃もたれしそうな読者にとって「嘘はキライ」で少し救われるような、そんな構成だったような気がします。

    解説に愛がある本は良作ですね。

  • 医療関係の短編集です。
    専門用語などはありますが、そんなに難しいこともなく、医者の世界のおかしさ・世界の狭さなどがうまく描かれています。
    医療に携わる人間であれば、シニカルに笑えるという感じだと思います。
    もっと他の著作も読んでみようと思います。

  • 帯の煽りがミステリーだったので購入しましたがミステリーではないと思う…
    唯一 嘘はキライ はちょっとミステリーぽくてラストの爽快感がよかった。
    1番好きなのは 名医の微笑 。主人公の裏の顔より表の顔のがよっぽどグロいと感じる。
    読みやすくてちゃんと面白いけど中々に不愉快な描写もあって、こういうのは好きです。
    解説が相当愛がある感じで、読み物としても面白いので星一つは解説に捧げます。

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著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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