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本 ・本 (546ページ) / ISBN・EAN: 9784087455229
作品紹介・あらすじ
明治二十年代中頃、東京の外れに佇む三階建ての灯台のような異様な本屋「書楼弔堂」。無数の書物が揃うその店で、時代の移り変りの中で迷える人々と彼らが探し求める本を店の主人が引き合わせていく。
感想・レビュー・書評
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京極夏彦さんは京極堂シリーズ(は途中まで)、今昔百鬼拾遺のシリーズなどを読んできましたが、この書楼弔堂シリーズも前から読んでみたかったんです。
江戸の町の書楼弔堂の亭主は「ただ一冊、大切な本を見つけられればその方の仕合わせ」と云っている本屋です。
しほるという小童がひとりいます。
高遠という弔堂の常連客が主人公で、探書 壱から探書 陸までの六話に渡って現れる客に弔堂の主人がその客に合った一冊の本を薦める話です。
以下ネタバレありますので、これから読まれる方はお気をつけください。
高遠の連れてくる客は臨終間際の絵師、月岡芳年。書生時代の泉鏡花。哲學館を創設し、後に妖怪博士と呼ばれた井上圓了。ジョン万次郎の連れで勝海舟に「名を捨てて生きろ」と云われた男、岡田以蔵。児童文学者となった巌谷小波。そして登場人物ではありませんが夏目金之助や尾崎紅葉、福沢諭吉などの名前も出てきます。
エンタメ度は他の作品より低いと思いますが、近代文学の好きな方は楽しめる作品なのではないでしょうか。
時代を超えた格調の高いビブリオミステリーで、私にはちょっと難易度が高い作品でした。 -
「書物はそれを記した人の生み出した
まやかしの現世、現世の屍
読む人がいるならばその屍は蘇る
文字と云う呪符を読み、言葉という呪文を誦む
読んだ人だけの現世が、幽霊として立ち上がる
その人だけの現世
人は自分だけのもうひとつの世界をば、懐に入れたくなる」
京極夏彦の本は何度か読もうと試みたが
長さと読みづらさで
挫折していました
本屋のお話であり、なんだかカッコいい本だったので惹かれて読んでみたのですが
思いのほか読みづらさもなく、
弔堂の常連になってしまったようです
「自分だけのもうひとつの世界」
まさに自分が本を読む理由が書かれていました
当然続きも読みますよ!
文庫でよみましたが
単行本で重さを感じながら
表紙を撫でながらまた読みたい気分
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探書をめぐる明治初期の物語ですね。
まことさんの本棚レビューを見て、とても気になり直ぐに買い求めましたが、面白過ぎて読むのに時間がかかりました。
とにかく、ワクワクしながら堪能しました。
まことさん、ありがとうございます。
連作短編の六篇の探書です。
京極さんの本は、これが初読みです。
魑魅魍魎、怪奇、妖怪小説のイメージが強い方なのかなと、勝手に思い込んで敬遠していましたが、この本は違います。
確かに、その類いの話は出てきますが、「人は何故、怪を好むか?」の理路整然とした、京極さんのポリシーがよくわかる内容になっています。
近代文学に興味があって、三十才頃にこの時代の随筆を中心に読み漁った事があります。歴史小説や時代小説も同時にかなり読んだ年齢でした。
私の読んだ知識と(頭が悪いので、うろ覚えですが?)、かなりリンクして、京極堂さんの軽快でいて、知的な語りに魅力されながら、酔うように読み進めました。
京極堂さん、人気の秘密は色々あるように思いますが、なんとなくファンの気持ちがわかるような気がします。
まだ、一冊目なので、このシリーズを続けて読んでみたいですね。
京極堂さんの他の作品とリンクしている登場人物や事変がありますが、あまり気にせずに読めますから、まずはこのシリーズを探書してみたいです。-
ひだまりトマトさん、こんばんは♪
『書楼弔堂』読まれたのですね。
私は、京極堂シリーズから入り、まだ、最初の4冊くらいですが、次に河童とか...ひだまりトマトさん、こんばんは♪
『書楼弔堂』読まれたのですね。
私は、京極堂シリーズから入り、まだ、最初の4冊くらいですが、次に河童とか、鬼とかのシリーズを読み、次にこのシリーズを手に取りました。このシリーズは、破暁の次の、炎昼をまだ、積んでいます。長編なので、なかなか、手を出せずにいます。
もし、このシリーズが、気に入られたら、京極堂のシリーズも是非!2023/05/20 -
まことさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
まことさんのレビューを見て、書籍にまつわる話らしいと、興味がわきました。
ホラー...まことさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
まことさんのレビューを見て、書籍にまつわる話らしいと、興味がわきました。
ホラーやオカルトは苦手なのですが、あるいはと思って、読んでみて正解でしたね。ありがとうございます。
このシリーズなら、私は楽しめそうです。
おっしゃる通り、かなりのページ数になりますから、読むのに時間がかかりますが、楽しみが増えました。
短歌も少しずつ調べています。
まことさんが、レビューで色々なヒントを出されているので、大変役にたっています。こちらも、ありがとうございます。
ゆっくりですが、どちらも楽しみたいと思います。
これからもよろしくお願いしますね。2023/05/20
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傍らに珈琲を。さん、はじめまして。こんにちは。
本棚を拝見していて本の表紙にとても惹かれる物がありました。恥ずかしながら有名な作家さんなの...傍らに珈琲を。さん、はじめまして。こんにちは。
本棚を拝見していて本の表紙にとても惹かれる物がありました。恥ずかしながら有名な作家さんなのに作品を読んだ事がないので、ぜひこちらを読んでみたいと思いました。
レビューが参考になりました。ありがとうございます。またお邪魔しますのでよろしくお願いします。2023/10/27 -
アンシロさん、はじめまして!
コメントとフォローを有難う御座います、嬉しいです♪
しかも本棚も見てくださったとのこと。
嬉しいです~♪
い...アンシロさん、はじめまして!
コメントとフォローを有難う御座います、嬉しいです♪
しかも本棚も見てくださったとのこと。
嬉しいです~♪
いえいえ、私こそ有名な売れっ子作家さんの小説なのに読んでいなかったりして、お恥ずかしい限りです。
好みが偏ってまして。。。
それでもブクログの皆さんのお陰で、昔よりかなり間口が広がって参りました♪
弔堂シリーズは第1弾が本書『破暁』、第2弾までが文庫になっていて『炎昼』、第3弾は『待宵』です。
私も『炎昼』を積んでいるので、そのうちまた読み進めようかと思っています。
また是非お越しください。
後程アンシロさんの本棚、お邪魔させて頂きますね。2023/10/27 -
コメント、本棚見ていただきましてありがとうございます。おはようございます。
弔堂シリーズは3作品あるんですね。楽しみです(^^)
今後とも...コメント、本棚見ていただきましてありがとうございます。おはようございます。
弔堂シリーズは3作品あるんですね。楽しみです(^^)
今後ともよろしくお願いします!2023/10/29
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京極夏彦の作品の中では比較的薄い。
厚さは文庫でたったの2センチだ。
さて、時は文明開花:御一新から時のたった明治二十年代。
書楼弔堂(しょろう とむらいどう)という変わった屋号の本屋の物語。
そこにやってくるのは東洋大学の祖、井上圓了や泉鏡花と言った歴史に名を残す人々。
彼らがそこで出会った本は、彼らの人生をさらに高みへ連れていく。
「人が大人になるように、国も文化も大人にならなくてはいかん」(258頁)
「出来ることを出来る範囲で遣れ、出来ないならば大言壮語を吐くな、出来ると云っておいて遣り遂げられるなら、その時は威張っていないできちんと償え」(326頁)
私は管理職ですらない、表彰もされたことがないいたって普通の、つまり一般社員。
国の要職についているわけでもなければ、ウェブ上にだってどこかに影響力のある人間ではない。
けれども、人を育てる立場ではある。
自分のためだけではなく、誰かを育て未来をつなぐために、こうした言葉はたくさん自分の中に入れておきたい。
素晴らしい言葉に見合うような大人物になれずとも、私のような名もなき人々が歴史を、社会を作ってきたから。
本は不思議だ。
確かに読まれなければ死んでいる。
だが、ある日出会うべきして言葉は惹かれ合う。
この本屋が、私を読んだのかもしれない。
そういう意味では、私は確かに書楼弔堂に、行ったのだ。 -
初めて読んだ京極夏彦先生の作品。
表紙の「弔堂」はドールハウス⁉︎ 凄い。
六話収録。
この物語は’奇’ではあるが’怪’ではない。
明治二十年代の東京。「燈台みたいな変梃な」(p21)書舗を訪れる種々の客たち。
この客たちというのが普通の客ではないのだが、その正体は各話とも初めは伏せられており、その正体が明かされるまでのワクワク感が堪らない。
また、真名が伏せられている間の会話等に所々ヒントとなるような情報が散りばめられており、客が誰かを推理することも決して不可能ではない…というよりも詳しい人ならばすぐにピンと来るのかもしれないが。
どの話も好きだが、〈探書肆 贖罪〉が特に良い。「鯨を捕ったり金を採ったり」(p288)した中濱という男…こちらはまだわかりやすい。ではもう一人の男は誰?…え⁉︎
これはたまげました。
これらは勿論、京極先生による創作ではあるのだが、実際ほんとうにこんな出来事があったのではないだろうかと思わせられる凄味がある。
まるで夢幻のような小説。
1刷
2022.3.21 -
久々の京極作品。
あぁ、これは面白い。京極節が炸裂している。
江戸の匂いが残る明治で弔堂と言う名の、今で言う古本屋での話。
話の中で有名人登場させ、その有名人のエピソードがまた面白い。
本は読まれなければ死んだと同じと言う弔堂の主人。
成る程、確かにそうだ。
この本を読んで私は再読しないであろう本たち400冊を売ることを決めました。
読書とは本当に底無しだと思う。
面白い作品に出会えば、もっと面白いものがあるだろうと更に読んでしまうし、
余り面白く感じない作品ですら、次こそは!と読んでしまう。
私は自分の人生の一冊となる本に出会える事が出来るでしょうか。
本書は、本がもっと好きになってしまう、そんな一冊だと思います。 -
かなり面白かったです!
久しぶりに夢中になって読み、物語の世界に浸ることができました。
物語の中で書楼弔堂を訪れるのは勝海舟やジョン万次郎などの歴史上に実在するの人物。
私は歴史好きなのでこの設定もハマりました。
どの章も面白かったですが、好きな作家の1人である泉鏡花が出てきた話は特に印象に残っています。
弔堂の主人曰く、「生涯に必要な本はただ一冊」。
ならば私にとっての一冊はどんな本なのだろうと考えてしまいます。
著者プロフィール
京極夏彦の作品






仰る通り、格調高いビブリオミステリーって感じでした。
でも、解決時の弔堂の決め台詞があったりと、水戸黄門のよう...
仰る通り、格調高いビブリオミステリーって感じでした。
でも、解決時の弔堂の決め台詞があったりと、水戸黄門のような、崖っぷちで犯人を追い詰める火サスのような…←スミマセンっ笑
私は好きなタイプだったので、このシリーズも長く続くことを願いますが、サブタイトルが夜明け、真昼、夕暮れとなっているので、朝から晩までぐるりと回ったら終わってしまうのでしょうかね。
京極先生の作品は、「京極堂シリーズ」、「ルー=ガルー」と揃えたつもりでいたのですが、
自宅書棚を確認したら「百鬼夜行―陰」や「百器徒然袋」の雨や風も持ってたみたいです。
内容、忘れてしまったー汗
読み直しはいつになるのやら…です。
京極さんの、作品たくさん、読まれているのですね!
私は、弔堂は、破暁のみで、あとは、百鬼夜行シリーズと、...
京極さんの、作品たくさん、読まれているのですね!
私は、弔堂は、破暁のみで、あとは、百鬼夜行シリーズと、京極堂シリーズの『鉄さの檻』?の前までしか読めていません。とにかく、京極さんは、長い!です。
読み直しまで、されるなんて、凄いです(*^^*)。