パリ行ったことないの (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455700

感想・レビュー・書評

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  • 色んな境遇の女性たちがそれぞれパリに憧れ、一歩を踏み出す物語。描き出された女性像に自分を重ねてみてしまう。

    2部構成は面白いなと思った。
    皆が揃っての食事会の場面を微笑ましく感じる一方で、(8月のパリは凄惨だとしても)パリではなく南仏に集まったことに違和感を感じた自分もいた。

    残念だったのは、出てくる男性たち、それから表紙のデザイン。私が手に取った本には別のデザインのカバーがかけられていたが、元の絵だったら買わなかったと思う。

  • 「あのこは貴族」を読んで、山内マリコさんのファンになりました。

    山内マリコさんの描く女性が大好きです。この作品に登場してくる女性たちも本当に魅力的。

    心に渦巻く暗い部分や、人との比較で生まれた劣等感、人生の選択に対する様々な葛藤…。
    みんなそれぞれの分岐点で、ふと立ち止まるのだけれど、ちゃんと前を向いて歩き始める。

    この作品の登場人物たちのように、あ、私ここで生きていくんだ。ってストンと落ち着ける場所って必ずある気がします。私もそんな場所を見つけたい。

  •  様々な年齢、性格の人が様々なきっかけからパリに興味を持ち、パリにて出会うまでの短編小説。思い立ったが吉日。実際に行動に移すことができた人たちだから、あの空間を過ごせたのだなと思うと少しうらやましかった。
     セ・ラ・ヴィ(これが人生さ)

    p127「なんにもないから、どこにでも行けるんだよ」

  • 環境も年齢も違うたくさんの女性がパリに憧れて、パリに行くという短編集。
    一番印象的だったのは、第二部で再び登場する「あゆこ」の物語。
    第一部では夢・憧れはあるけど、今の生活が一番自分らしく、自然でしっくりくると現実に満足しているあゆこ。でも、一本の映画をきっかけに積極的に動き出し、第二部ではすっかりパリの住人と化している!!
    結末だけみると(現実は小説みたいにうまくはいかない)と以前の自分なら思うけれど、山内さんが書くから(現実はそんなものかもしれない)と思えた気がする。
    山内まりこさんは、物事や心情を美化せず、ありのままを文章に起こす作家さんだと感じた。

    • もちっちさん
      よんでくれて、ありがとう♡パリへ移住の美化ばかりせず、実際の暮らしも書いてて好感が持てた!
      よんでくれて、ありがとう♡パリへ移住の美化ばかりせず、実際の暮らしも書いてて好感が持てた!
      2021/08/29
    • あんころ餅さん
      こちらこそ、貸してくれてありがとう!パリの美化どころか(そんなに汚いの!?)って驚いたけど、行ってみたくなったよ!
      こちらこそ、貸してくれてありがとう!パリの美化どころか(そんなに汚いの!?)って驚いたけど、行ってみたくなったよ!
      2021/08/29
  • フランスではバカンス休暇が5週間、時間外労働もサービス残業もありえない!とのこと。それが当たり前の社会って、とても豊かだなぁと思う。
    憧れの場所に行ったからといって簡単に何かを変えてくれるわけではないけれど、一歩踏み出すことは自分を大きく変えるチャンス。
    まだ行ったことのないパリ、行ってみたい気持ちと、憧れのままにしておきたい気持ちと・・・
    でもやっぱり行ってみたい!

  • パリに憧れる女性たちの短編集。
    ディデーヌという映画を探し求める女性の結末がわかる「わたしはエトランゼ」が良かった。

    こういう女性の機微を描いた描写に実感できるのは女性で良かったかも。性別で括る話ではないかもだが。

    ======
    その只中は目の前のことしか見えず、深く考える間も無く通り過ぎて行くけれど、あとあと記憶に残り思い出として刻まれる、特別な時間というものがある。日々起こるたいていのことは忘れていく。でも人生の中にぽつりぽつりとそういう特別な時はあって、ふとした瞬間に思い出し、しばし心を奪われた。毎日は駆け足で明日へ明日へと進むけれど、そういう記憶に残った思い出たちが、飛び石みたいに自分の来し方をしっかりとマークしてくれているのだ。これがあなたなんだよ、と。
    ======
    という文に共感した。旅行の思い出とか一瞬の楽しかった体験とかそういうものが人生を支えていてくれる気がする。

  • いろいろな人生が、フランス行きのツアーで交錯する。フランスに憧れ、フランスを夢見る、いろいろな人たちの滑稽だったり切なかったりするエピソード。
    「フィガロジャポン」に掲載されていたとは、なかなか憎いね。
    パリ好き女子としては他人事とも思えない作品。
    山内作品のなかでも結構好き。

  • "パリ"に希望や未来を託すような話、かと思えば最後では「本質的にはなにも変わってないのかもしれない」という。「本質的には何も変わってない」の文章は、私が書いたのかと思うほど当てはまった。夢の中のパリは無くなった、といった言葉が印象に残る。

  • 2024.4.19
    パリに行きたい女性達の短編集。
    パリって聞くだけでおしゃれで素敵な街のイメージだけど、実際は曇り空が多くて乾燥している。予想と違ったけれどなぜか惹かれてしまう、そんな街らしい。
    短編が短めで読みやすかった。
    私もパリ、行ったことないなぁ。

  • 掌編が連なっていて、最後で繋がる連作短編(掌編?)集。パリへの憧れと一口に言ってしまえる動機も、少し深掘りすれば十人十色。読み応えはまあまあ。

著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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