明智小五郎事件簿 「悪魔の紋章」「地獄の道化師」 (XII) (集英社文庫)
- 集英社 (2017年4月20日発売)
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感想 : 10件
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Amazon.co.jp ・本 (504ページ) / ISBN・EAN: 9784087455786
作品紹介・あらすじ
顔を潰され、石膏で塗り固められた女性の死体。道化服に身を隠した悪魔の智恵が生み出した執念のトリックに挑む! 明智小五郎ものの戦前最後の作品。シリーズ堂々の完結!!(解説/北村 薫)
感想・レビュー・書評
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明智小五郎の解決した事件を発生順に並べたシリーズ。
『悪魔の紋章』は1934年3月〜4月27日、『地獄の道化師』は1934年5月の事件です。
二つとも大人向けの陰惨な殺人の物語です。
戦前に手掛けた事件はここまで。次の巻からは戦後編。
1934年の世界と日本の出来事は、ドイツではヒトラーが総統になり、東京宝塚劇場開場、ベーブ・ルース来日、南満州鉄道では最新の特急が動いた。
あとがきの解説では、明智小五郎は日本のスパイ教育とか諜報活動に使われてたんじゃないのという推測がされています。
このシリーズを事件発生順に読んでいくと、たしかに戦争間近の雰囲気があります。
『悪魔の紋章』
会社重役の川手氏のもとに不気味な脅迫状が届いていた。川手家に深い恨みを持つという者が、川手氏と二人の娘を手にかけると脅してきたのだ。
川手氏は、法学博士で素人探偵の明智小五郎…は、海外の(政府依頼の事件というので、明智小五郎は素人探偵と言うより諜報部員みたいなもの!?)仕事に駆り出されていたので、明智と同じくらい高名な素人探偵の法学博士・宗像博士に事件解決を依頼する。
宗像博士は犯人の指紋を入手した。それは世にも珍しい渦巻きが三つある「三重渦状紋(さんじゅうかじょうもん)」だったのだ。
その時から、幾重もの警備にも関わらず川手家の内部に「三重渦状紋」が押される。この不気味な犯人は幽霊のように家を自由自在に出入りできるのだろうか?
ついに恐ろしい事件がおきて…。
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明智小五郎は最後の方に出てきて解決だけ示します。
これは名探偵小説として良い方法かもしれない。最初から名探偵出しちゃうと事件を防げないけど、最後だけ出てきたらそれまでの犯行は名探偵の手抜かりではないからね。
事件の真相は、犯人は確かに気の毒(-_-;) だけど、被害者に落ち度はないので被害者も酷い…(-_-;)
しかし…。私はこの「明智小五郎事件簿」シリーズを順番に読んでいっているのですが、『悪魔の紋章』の真相が、シリーズ最初の方で読んだお話とほぼ同じ(^_^;)
この頃の探偵小説はトリックを下ろすことが当たり前だったようです。(以前読んだ横溝正史エッセイでもふつーに書かれてた)
『地獄の道化師』
彫刻に塗り込めた女の死体が見つかった。女性の身元は、確認に来た女性野上あい子の姉、野上みや子だとわかる。野上あい子は、数日前姉のみや子に不気味な道化師の人形が届いたこと、同じものが今日自分の元に届いたことに怯えていた。
そしてあい子の周りに顔を真っ白に塗り、水玉の赤衣装、紅白だんだら帽子という出で立ちの道化師が姿をみせるようになった。
野上家の姉妹と親しい青年の白井精一は、素人探偵明智小五郎に事件の解明を依頼するのだった。
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ちょっと珍妙なゲスト、貧相な芸術家の綿貫創人(わたぬきそうじん)がいるのですが、陰惨な事件がコミカルな感じになってました。
真相は、犯人の行動力がすごい(-_-;) いくらここまで恨んでもここまで実行できるのか…犯人も被害者も、まさに地獄の事件…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズ最終巻。どちらも1934年(昭和9年)の事件。「悪魔の紋章」のほうは、復讐もので、なおかつ、明智探偵がなかなか登場せず、別の探偵がまず謎解きをするも実は・・・という、ぶっちゃけオチまで含めて「蜘蛛男」と同じパターン。おかげさまで犯人が誰かすぐわかってしまうという(苦笑)しかし明智探偵の出番の少なさでは、こちらのほうが多分上。300頁程の話だけど、明智探偵は250頁目くらいにならないと出てこない(笑)そんなわけで、解決の仕方が雑すぎてちょっと消化不良な気も。全部のトリックが説明されるわけではないし、あと3人目の助手の林くんだかいう青年は追跡の途中で急に出てこなくなったけど、どこに消えてしまったのか謎・・・。
「地獄の道化師」は、これまた乱歩先生お気に入りの女性を殺害して彫刻に塗り込めたやつから始まり、次々と美しい女性が狙われるパターン。なおかつ、こちらも一種の復讐もの。ただ新しいパターンだなと思ったのは復讐の動機で、今までのこのシリーズの復讐犯はだいたい親の仇、親の代からの仇のパターンが多かったけれど、今回はずばり「嫉妬」。ゆえに犯罪動機そのものが醜く、復讐犯にあまり同情したくならないのが特徴。まあ気の毒といえば気の毒だけれど。毎回犯人が逮捕前に毒物自殺しちゃうのはお約束。横溝正史の金田一シリーズでもこのパターン多かったっけ。
というわけで全12巻、シリーズ終了。一応、これは「戦前の」明智小五郎事件簿だそうで、戦後にも明智ものはいくつかあるらしい。どうせならそれも読みたい気もするけれど、1作目の「D坂の殺人事件」ではまだ20代だった明智先生も、この巻に収録されている1934年の時点では四十路。戦後ともなればもっと高齢になって、すっかり少年探偵団のほうにおまかせになってしまうようなので、ここで終わるのが美しいのかもしれません。とりあえず乱歩を読み直すよいきっかけになるありがたい企画ものでした。明智もの以外もぼちぼち読み直していこうと思います。 -
明智小五郎事件簿、全12巻は本書で完結。
『悪魔の紋章』も『地獄の道化師』も好きだった。本書収録作はどちらも『江戸川乱歩』という作家の特徴を余すところなく伝えていると思う。 -
シリーズ最終巻。大正から昭和初期の時代背景、雰囲気や当時のエンターテイメントも含めて、十分に楽しめた。
「悪魔の紋章」「地獄の道化師」どちらもどこかで読んだような展開だったが、子供向けの説明過多なナレーションも控えめで、読みやすかった。
家族関係や男女の関係の前提となっている感覚に・描写に時代を感じる。現代もまだまだ窮屈さを感じるものの、ずいぶんとマシにはなってるんだと思う。 -
江戸川乱歩『明智小五郎事件簿 12「悪魔の紋章」「地獄の道化師」』集英社文庫。
戦前の名探偵・明智小五郎の活躍を事件発生順に並べた興味深いコレクションの最終巻。
『悪魔の紋章』『地獄の道化師』共に犯人が次々と猟奇的な殺人を犯すという、江戸川乱歩らしい、おどろおどろしい雰囲気と見事なトリックが堪能出来るハードな作品。
『悪魔の紋章』。明智小五郎はなかなか登場せずに、法医学博士の宗像隆一郎が探偵役を勤め、ストーリーは展開する。H製糖株式会社の取締役・川手庄太郎は何者かに脅迫され、二人の娘が次々と脅迫者の毒牙にかかる。現場に残された悪魔の紋章…三重渦状紋。脅迫者の目的は…そして、正体は…
『地獄の道化師』。踏切で発見された死体入りの石膏像を発端に次々と相沢家を見舞う道化師による怪異、殺人…恐れべき犯人に明智小五郎が挑む。
『D坂の殺人事件』で颯爽と登場した明智小五郎。初期の作品で印象深いのは、この『D坂の殺人事件』と『心理試験』である。両者ともに優れた本格派の探偵小説であり、自分の現在の読書の嗜好を決定付ける作品だった。
時代を感じる江戸川乱歩の探偵小説と共に、毎回巻末に収録されている平山雄一の『明智小五郎年代記』と喜多木ノ実による味のあるイラストも大きな魅力となっている。
今回も巻末に平山雄一の『明智小五郎年代記』が収録されており、作品の背景、登場の風俗や世相を知ることが出来る。 -
明智小五郎事件簿 12 をなんとか読み終わった!
久々にオトナ向けのみの2作。
これだよコレ!と、このドロドロな感じが戻ってきた!
「悪魔の紋章」
流石に怪しい人は比較的早めに気づく。
しかし犯人、スゴい執念だわ。
「地獄の道化師」
これはね、わかりませんでした。
なるほどね、そういう事から自分を嫌い、
人を憎み始める動機にもなり得るのね。
動機が後付けじゃなくて良いです。 -
これで12冊読破。
解説で「戦後しばらくのミステリ作家は、ひとつのトリックをまず大人物で使い、次に捕物帖に回し、最後に少年物に下ろすのが常識だった」と書かれている。だから同じトリックが何度も出てきて、「あれ以前読んだ本」と思った訳だし少年ものトリックには辻褄が合わないものもあった。 -
読了 20250123
著者プロフィール
江戸川乱歩の作品
