にじいろガーデン (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455823

作品紹介・あらすじ

夫との関係に苦しむ泉はある日、電車のホームで思い悩む女子高生と知り合う。互いの悩みを相談するうち二人は惹かれ合い、共に暮らす決意をする──。新たな家族の形と幸せを問う感動長編。

感想・レビュー・書評

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  • 夫との関係に悩む一人息子を持つ女性 泉。
    自殺を考えている女子高生 千代子。
    千代子は後に妊娠していることもわかる。
    二人は惹かれ合い母二人、息子、娘の4人で家族に。

    LGBTの問題と家族のあり方が描かれています。

    「家族というものは、きっと最初から家族の訳ではなく、毎日毎日、笑ったり、怒ったり、泣いたりしながら、少しずつその形が固まっていくものだと思う。だから、その努力を怠ると、いくら血がつながっている家族でも、壊れてバラバラになってしまう。」

    「虹色憲法
    自分には決して嘘をつかない。
    一日一回は、声を上げてげらげら笑う。
    うれしいことはみんなで喜び、悲しいことはみんなで悲しむ。
    絶対に無理はしない。
    辛かったら、堂々と白旗をあげる。」

    「結婚ていうのはね、たぶん、幸せ探検団を結成するみたいなものよ。時には髪を振り乱したり、大きな敵と闘ったりしながら、それでも幸せのために前へすすんでいくの。ふたりにとって幸せは、同じものなの。」

    前半はLGBTの問題との戦い、後半は家族のあり方から生き方まで。
    あっという間に読んでしまいました。

    個人的にはLGBTでも堂々とすれば、全然問題ないと思っている。
    法律的なものは、まだ時間はかかるかもしれないけれど。
    多様性は認めるべきだと思っています。
    家族が幸せなことが一番幸せだと思いました。

  • 読み終わって。
    カバーの絵を見てちょっと涙がでます。
    普通の絵なのに。
    広い芝生の広がる、自然溢れるところに位置する一軒家。そこに家族4人が手を取り合って散歩している。
    この家が大好きだった4人。

    なんてことない、そんな一つの風景なのですが。
    泣けてきます。

    一生懸命生きてきた、4人。
    そうなんですよ。その4人の姿が、小説を読んだ後にまたこのカバーからよみがえってきます。
    一生懸命生きている、っていいですね。
    自分が少し違うから。それでも大事なものはちゃんとある。
    ひとがなんと言おうと、自分が大事にするものは大事なんだ。世間体なんて関係ない。
    だからね。
    家族はかけがえないもの。

  • レズビアンがテーマの小説、初めて読みました。
    マイノリティとして生きることの葛藤や奮闘の描写がとても細かく描かれており、初めて読んだジャンルですが、自分にとって良い刺激になりました。

    4章からなる構成で、それぞれの章がタカシマ家の4人のメンバーの視点でリレー形式に描かれていました。
    同じ家に住んで、同じ時を過ごしても、考えていることの違いがこんなにもあるんだなと思いました。

    日本ではまだ認可されていない「同性婚」。マイノリティとして生きる覚悟を決めた泉と千代子が、年齢差やこれまでの境遇も全く違うにも関わらず、2人で共に歩んでいく姿に沢山の勇気を貰えた気がします。

    レズビアンカップルとして生きる2人の子供である草介と宝の章も印象的でした。
    草介は物心ついてからのタカシマ家での生活でした。本当に心の優しい少年だった草介は、すんなり2人の母親を受け入れているように見えて、実は心の内では彼なりに引っかかる部分もあった描写が良かったです。
    宝は、「ミラクル宝」として、タカシマ家が始まってから舞い降りた天使のような存在で、宝の存在が駆け出しのタカシマ家を支えていたと思います。ピュアに育った宝の成長してからの葛藤が良かったです。
    2人は子供ながらに色々なことを考えていて、2人の母親と上手くいかないこともあったけど、それでも子供たちが母達を大切に想っていることが伝わってきました。

    最終章は涙無しには読めませんでした。人生山あり谷ありだと思いますが、「エピローグ、じゃなくて、これから」タカシマ家には前進していってほしいです。

  • 小川糸さんの「ツバキ文具店」「キラキラ共和国」を読了し、大好きになったので、こちらもいつか読もうと積んで置いた。

    さぁ、読んでみると意外な話の展開に正直チト怖気付く。

    LGBTQの理解を広げる?
    そういう浅はかな内容のもんではない、と思った。

    正しいか、正しくないか、そんなではない、とも思った。

    家族4人の視点で、時期も変わって、4章で出来ているのだけど、私は草介視点が一番苦しく、心に残った。草介が大好きだ。

    みんな愛する人と生きていきたい、生き続けたいけど、それが叶わない…辛いな。

  • レズビアンのカップルとそれぞれが産んだ子どもが一人ずつ。
    それぞれの親と子どもの縦の血縁しかないけれど、紛れもない家族がそこにいる。
    世間一般が定義している家族って一体何なのだろうか?と考えずにいられなくなった。
    同性同士で婚姻関係(入籍)できない理由は?
    ただの誰かの縛られた価値観でしかないのだろうか?
    今の時代、もっと多様性を認めてオープンにしても良いのではないだろうか。
    同性愛を認めず、婚姻関係が結ばせないことは何かの解決策になるのだろうか?そうは思わない。
    今までも同性愛について否定的な気持ちはなかったけれど、これを読んでより一層それを強く感じるようになった。
    反対に異性愛(?)の人たちがマイノリティーの立場だったら?きっと同じような苦悩を感じるだろう。
    そのカップルで子どもを産めるかどうかという物差しだけで決めているならナンセンス。
    養子縁組での親子関係も認められているのだし、色々複雑でクリアさせなくてはいけない問題もあるのかもしれないが、もうそろそろ一歩前進させても良いのではないか、と思った。
    ママ(おチョコさん)とニーニー(草介)については悲しいけれど、長年かけてしっかり作られた家族は続いていくんですね。

  • 最初から、涙ばかりでした
    死にたいと、ホームに立っていてから、
    奇跡のように人生が繋がっていった
    家族って素敵にしてゆくものなんだと
    感じた
    人生って、そうだなって思う
    優しいソースケは、やっぱり
    パキンと壊れてしまったのかもしれない
    でも、ふと、ママを想っていたんじゃないかな?
    とも思う
    カカも、宝も、素敵に生きていて欲しい
    素敵な本と出会えた

    • 想いの岳さん
      karinさん
      初めまして‼︎
      新しい家族のカタチとキズナを考える事が
      出来た素敵な物語でしたね

      草介はきっと目を覚まして
      くれる事を...
      karinさん
      初めまして‼︎
      新しい家族のカタチとキズナを考える事が
      出来た素敵な物語でしたね

      草介はきっと目を覚まして
      くれる事を願います

      感想にいいねをありがとうございます
      2020/07/08
  • あらすじを見て購入。同棲愛の話とは。。。
    それに加え血の繋がらない家族が本当の家族になっていく。温かくてちょっとせつないストーリー。
    自由に強く生き、それぞれの生まれてきた役割みたいなものも感じられた。
    少し羨ましくもある。こんな風に生きれたら幸せなんじゃないか、と。
    パートナー、子供たち、それは違う愛ではあるけれど、どちらも大切で欠かせない愛。
    読んだ後、色々考えさせられた。暫く余韻が残る。
    愛とは何か、家族とは何か。
    小川糸さんの著者は何冊か読んだことがあるが、これはまた違う感じで好きな一冊になった。
    読後、少し優しくなれたような、強くなれたような気持ちになった。
    そして、優しくなりたい、強くなりたいと思った。
    素敵なストーリーだった。

  • 前半は、ちょっと読み進めにくかったけど、途中から一気に物語の世界に入り込めた。

    家族のあり方について深く考えさせられた。
    同性愛者とか異性愛者とか関係なく、家族がいつも笑顔で、お互いを思い合いながら過ごせるってことが幸せだよなぁと思った。

    異性愛者だって、お互いに尊重できてなかったら、幸せな家庭は気づけない。だから、異性愛者だとか同性愛者だとかってそんなに重要じゃないのかも。だから、やっぱり、同性愛者でも普通に結婚が認められたり、子どもが持てたりすることって、すごい大事なことなんだなと思った。今まで、そういう問題に対して、無知だったし、正直自分とは関係ない世界みたいな見方をしてしまっていた自分に反省。

    すごく深いお話で、色々と考えることができました。

  • 読み進めるとタイトルの意味に納得。性の彩もあるけど、私のようなネクラおばさんも世の中の彩には必要かもしれないと気づくことが出来ました。

  • 家族4人それぞれの視点から紡がれた章で描かれた、ひとつの家族の物語。
    この世界にはいろんな人がいて、それぞれが精一杯自分の色の花を咲かせているんだ、ということを素直に感じられます。
    現実の世界では、なかなか人は「異質なもの」に対して厳しくて、鍋を投げ入れていた頃のボスみたいな人もたくさんいるかもしれないし、理解されないまま終わってしまうこともたくさんあるかもしれない。
    でも、泉や千代子のマチュピチュ村での暮らしのように、ありのままの自分たちの姿で生きていくことを受け入れてもらえる世界がいいな、と思いながら読み進めました。
    今は読み終えたばかりなので、ラストの展開の意味をどう受け止めたらいいのか考えあぐねてしまっていますが、少し落ち着いてから読み返して、また考えてみたいと思います。

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著者プロフィール

作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。その他に、『喋々喃々』『にじいろガーデン』『サーカスの夜に』『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『ミ・ト・ン』『ライオンのおやつ』『とわの庭』など著書多数。

「2023年 『昨日のパスタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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