短編少年 (集英社文庫)

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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455892

作品紹介・あらすじ

人気作家陣が「少年」をキーワードに紡いだ短編作品9本を収録したアンソロジー。家族や友人との関係に悩む繊細な心情や、背伸びするいじらしさなど、少年の魅力がぎゅっと詰まった1冊。(解説/壇蜜)

感想・レビュー・書評

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  • 人気作家陣が、「少年」をキーワードに紡いだ短編集9編。
    まずは、伊坂幸太郎「逆ソクラテス」
    読みたかったので、こちらに収録されていてラッキーです。無知の知を知らぬ逆ソクラテス教師に それを知らしめようとする小学生達。
    あさのあつこ「下野原光一くんについて」
    少年を書かせたら間違いない、あさのさん。憧れて高校まで同じにしようと頑張った少女の前から、中学卒業と同時に親の倒産で何処かに去ってしまった少年。時を経ても残像が残る。最後は、時をかける少女風。
    佐川光晴「四本のラケット」
    友人や脱サラの父親との関係に悩む清い高校生。
    朝井リョウ「ひからない蛍」
    保護施設の少年達の寄り添い方。
    ジョーカーゲームの柳広司「すーぱーすたじあむ」思うように身長が伸びなかった元エース。
    それでも彼は負けてない。
    空中ブランコの奥田英朗「夏のアルバム」
    山崎ナオコーラ「正直な子供」
    小学生って、考えてるし、わかってる。
    小川糸「僕の太陽」
    自分の感情に正直な母親と支えるよくできた息子。
    親の背中を見て育つは、死語なのかしら。こんな素敵なよくできた息子が居たら、私なら真摯に生きていきます。
    4TEENの石田衣良「跳ぶ少年」
    石田さんの書く少年達が好きなんですよね。
    この少年は、打ち込んでいたバスケを怪我で諦め、今を悩む。カメラマンに声をかけられたところから、何かが変わっていく。危うい少年から青年になっていくんだろうなあ。

    小学生から高校生まで、少年達のきらめいた時間を堪能できます。

    • 土瓶さん
      集めたメンバーが凄いな。
      聞いたことないのは佐川光晴さんくらいか。
      集めたメンバーが凄いな。
      聞いたことないのは佐川光晴さんくらいか。
      2023/11/21
    • 土瓶さん
      続編として作家を変えて「短編少女」とか出してもおもしろそうだ。
      続編として作家を変えて「短編少女」とか出してもおもしろそうだ。
      2023/11/21
    • おびのりさん
      明日は、短編少女です。
      明日は、短編少女です。
      2023/11/21
  • めちゃくちゃ豪華メンバーの短編アンソロジー。

    「逆ソクラテス」
    めちゃくちゃいい!
    ラストまで読んでから冒頭を読み直した。
    青春だー!
    最高!
    「僕は、そうは、思わない。」
    名台詞!!
    これはいい。

    「僕の太陽」
    これはもう最低。
    信じらんないこんな母親。
    でも稀にいそうだよなー!
    こういう弱い人。
    息子が可哀想すぎる。
    いくら夫のことが大好きだからって、
    これはないでしょ。
    こういう憤りを持たせることを意図して書いた作品なのか?
    小川糸さん、つるかめ助産院とかツバキ文具店とか好きだったけど。
    いやー、分からん。
    これで何を伝えたいの?

    私が息子を溺愛しすぎなんかもしれんけど、
    一般的には夫より子どもに傾倒するのが普通じゃない?
    子育てに必死で他のこと考える余裕もないし。
    息子が可哀想すぎるよ。


  • 『少年』をモチーフにした9人の作家によるアンソロジー
    9人のうち4人は、初読みの作家で、お得感満載

    大人から見れば、どうってことないだろうけど、子供時代には子供なりの思いやルールがあり、その中で懸命に生きている姿が愛おしい 
    少年を描く9人それぞれの切り口が面白く、どれもありだなと納得する

    私が好きな作品は、『逆ソクラテス』『4本のラケット』
    『夏のアルバム』
    『正直な子ども』の栄君も、愛おしい

    小さい頃、親に言われて一番嫌だった言葉
    「子供は、知らなくていい。黙っておけ」
    「大きくなったら分かる」

    こんな一言で片付けずに、分かりやすく説明したり、子供には子供の思いがあることをわかってほしかった

    ミニ社会を葛藤し、子供なりの修羅場をくぐり抜け、折り合いをつけながら、成長し、大人になっていくのだろう

    どの作品も共通して、少年たちに良心がちゃんと育っていること。少年なりの気遣いを見せたり、思いどどまったりするところが好ましいと感じた
    現代のいじめなどの報道を見ると、目を背けたくなることが多い
    これらの作品が書かれた頃より少年を取り巻く世界は厳しくなっているということか
    現実は、そう甘くないと言うことか

    「短編少女」は、どんなふうに少女時代を描いているのだろう。かつては少女だった私は、そちらにも興味がある

  • 壇蜜さんの解説にエロが、みたいなことが書いてあったけど、いまいちエロはわからなかった。壇蜜さんは変化の途中、みたいな意味で使ったのかな?
    逆ソクラテスは相変わらず励まされる。

  • ⚫︎感想
    「逆ソクラテス」 伊坂幸太郎
    爽やかで切ない。
    「ぼくは、そうは、思わない」とはっきりと大人に言える軸のある少年像。涙。カンニング作戦、プロ野球選手の学校訪問。すごく良かった。

    「ひからない蛍」 朝井リョウ
    児童福祉施設の話。最後の手作り家族には泣けた。

  • 2022/1/3読了。

    9人の超豪華作家さんたちによるアンソロジー。
    奥田英朗さんの「リバー」を読んだ流れで手に取った。

    どの短編も秀逸。
    長編を書くのはそれはそれは苦労もあると思うけれど、短いストーリーの中に世界観を埋め込むのはまた違う力が試されるのでは、と考えずにいられなかった。

    「逆ソクラテス」が人気だけれど、私個人としては、あさのあつこさんの「下野原光一くんについて」と、
    奥田英朗さんの「夏のアルバム」、そして小川糸さんの「僕の太陽」もとても好き。

    こんな素敵なアンソロジーに出会えて幸せ。

  • どの短編集も、「そこで終わっちゃう?!」というほどの絶妙なタイミングでふっと結末となり、読後感が良くないものもあった。けれど、私たちの記憶の中にある小学生のときの思い出は断片的なもので、印象に残っている出来事以外は削ぎ落とされていて、そう考えてみるとこの小説はそういった昔の思い出でしか陥らない感じを掴んでいて、少年時代にタイムスリップしているような気持ちになった。まあ私は女だけど。今回は「少年」だったが、次は「少女」も読んでみようかな。

  • 逆ソクラテスが1番良かった。

  • 2022/01/28

    少年たちのお話
    どれもキラキラした男の子たちの一夏を描いてるなぁという感じで、爽やかさを感じられた。
    一番好きなのは逆ソクラテス、下野原光一くんきついて、僕の太陽、かなぁ。伊坂幸太郎、あさのあつこ、小川糸が著者なんだけど、他の短編も有名どころの方が書いてた。

    逆ソクラテスの中で,他人に何か言われても,
    僕は,そうは、思わない。
    というの,すごく心打たれたなぁ

  • 『少年』をテーマに9人の作家が書き上げた短編集。それぞれに異なる物語や世界から、あらためて少年ってなんてドラマチックなんだろうと。それぞれの作家さんが挨拶がわりに書いた作風、この本の魅力のひとつ。

  • 【正直な子ども】
    嘘をついちゃいけないよ
    子供の時その言葉の真意がわからなかった。

    大人こそ嘘をつくじゃないか。都合が悪くなれば「冗談だよ」て言葉を盾にできる。思ってもない言葉を述べて「お世辞」なんて違った言葉にも変えられる。
    それなのに自分に向けられた「嘘をついちゃいけない」は、なんだか損をした気分ですんなり受け止められなかった。

    ある言葉を知った
    「別に嘘をついたっていいんだよ」
    「傷つける嘘、自分を守る嘘、誰かのための嘘、救われる嘘 いろんな嘘がある。だから大人になるほど嘘が必要になる。」目から鱗だった。ほれ見ろと言ってやりたかった。
    言葉は続いた「けど、嘘をつき続けられると何が本当なのかわからなくなる」
    「自分を救うための少しの嘘で誰かが被害をうける事もある。嘘をつかれた事でその人を信じていいのか悪いのかわからなくなる。場合によっては友達を失うことになるかもしれない」
    「子どもたちにそうはなってほしくないから「嘘はついちゃいけないよ」て伝えるんだよ」と。


    今回 正直な子どもを読み、上のことを思い出した。

    自分が壊した時計を元々落ちてたことにする事も、普段作っていたキャラと違うキャラで母親と接することも、別に誰かを傷つけたりはしない。

    何も間違っていることではない。
    ただ、それだけで人は離れていく。「そういう子」として受け取め、確実に仲間は少なくなっていく。
    大人でもいるよな…そう思わせる話だった。

    たくさんスッキリする話がある中で、自分の中を読後ずるずる占めるのはこの話。

  • 逆ソクラテス
    伊坂幸太郎
    顔を洗って、ちゃんと自分の目で見てみろ。

    下野原光一くんについて
    あさのあつこ
    リアルなものとファンタジーな事がうまいこと絡んで表現されて気持ちいい。でもこの星の環境に対応できなくなっただなんて 笑

    四本のラケット
    佐川光晴
    子どもの事よりお父さんの思いきりに憧れてしまう。でもこんな父親の子どもだから何でも思いきりしないと気が済まない性格なんだろうね。

    ひらかない蛍
    朝井リョウ
    子どもは子どもで考えている。大人の勝手な基準で子どもを判断してはならんのや。

    すーぱー・すたじあむ
    柳広司
    よくわからなかった。

    夏のアルバム
    奥田英朗
    自転車の補助輪と親戚の伯母さんの病気。

    正直な子ども
    山崎ナオコーラ
    太っちょの栄君。と
    不器用な子にはさみを担当させたのは誰?駄目じゃない
    って担任にいわれてしまう子。
    そうゆう人が教師でいて何の問題も起こらなかった日本。
    良かったのか悪かったのか。

    僕の太陽
    小川糸
    お母さんと2人だけの生活。
    母は太陽。

    跳ぶ少年
    石田衣良
    エロいんだよ この時期は。
    無意識だと思い込んでいても。

  • 読んでいる間中、なんか「全力少年」がずーっと頭の中で流れてた。
    でも少年はよくわかんないなーってのが正直な感想。

    どれも悪くはないけど、ずごくよかったってほどでもない。
    朝井リョウくんのは途中で「世界地図の下書き」だって気が付いてちょっと感動した。

  • 好きな作家さんがたくさんいらしたので読んでみた。伊坂さんのこういうテイスト好きだ。

  • この前読んだ「短編少女」がなかなか良かったので、先月出たこの本も買ってみた。
    こちらもなかなか豪華なラインアップ。
    伊坂…この作者らしい言葉の力や言葉の遊びが溢れる。けど、まあ普通。
    あさの…これは少年の話か?光一くんの存在は無視できないけど、どちらかと言えば、主人公は少女のほうだよな。
    佐川…初読みの作家。巧みな運びで印象良い。
    朝井…悪い話じゃないが、ちょっと辛気臭いなぁ。
    柳…この人、こんな感じの話も書くんだ。これまで読んだものとはテイストが違いちょっと意外。
    奥田…これも辛気臭いし。この人、こんな感じだっけ?
    山崎…どう反応して良いか、ちょっと感性が違います。
    小川…これもまた別の意味で、母の感覚、息子の感性、理解しづらく。
    石田…最後にこれか。う~ん、むむむ。
    全般的になんだかスカッとしない話が多く、少年とはウジウジして斯くも分かり難い生き物なのかと嘆息を誘われる。
    今回はラインアップの割にはちょっと残念だったかも。

  • どこか懐かしい、逞しくも繊細な少年時代の物語集で、サクッと読めた。
    特に「ひからない」と「すーぱー・すたじあむ」にひかれた。
    70冊目読了。

  • あさのあつこ氏の短編が子の国語のテキストで取り上げられていたので読んでみた。どれも秀逸、ひたむきな主人公が繊細に描かれてる。なさそうでありそうな話。電車に揺られながら読み、途中自分事ととらえ、母と海外旅行に行ったことを思い出したり、子のわがままを甘えとして受け入れてあげられてるかと自省したり、歩みをとめて自分を振り返ることができたひととき。

  • 短編〇〇シリーズ!
    いろんな作家さんと出会えて、やっぱり面白い!!
    こりゃ絶対に再読だな〜
    短編少女も気になるー!!!

  • 伊坂幸太郎のこの話、ええ話やったよなぁ。てか、山崎ナオコーラ、なんやこの話?

  • なかでも"逆ソクラテス"と"下野原光一くんについて"が
    好き。

  • 人物一人一人がどこか気になる要素を持っている、感情移入がしやすいなど全体的に面白いと思える作品が多くてよかったです。

  • 少年をテーマに綴られた短編作品9編を収録したアンソロジー。

    お気に入りは、
    *「逆転ソクラテス」 伊坂幸太郎
    小学生の頃、理不尽に向かって「僕はそうは思わない」そう言える人がいたらヒーローですよね。展開のドキドキ感、懐かしさも感じられる作品で面白かった。

    *「ぼくの太陽」小川糸
    お母さんの亡くなった旦那さんへの喪失感と、僕の痛いほどのお母さんへの気持ちが伝わってきてきて胸が痛くなりました。
    もの悲しい雰囲気なんだけれど愛に溢れた優しい物語。希望を感じるラストも良かった。

  • ちょっと面白いかなと思えたのは、伊坂幸太郎の逆ソクラテスぐらい。

  • 個人的には逆ソクラテスが特にお気に入りです。
    小学生の頃を振り返ると、個人的には目上の人の意見・考えは正しいと信じている節があったなぁと今更ながら思います。親・先生が良いと言ったら良い、悪いと言ったら悪い。
    安斎君ほど主張が強かったら疎まれるかもしれないけど、子どもの頃こそああいう強さが必要だよなと思いました。

  • 何といっても、伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」が良かった。冒頭のシーンで、テレビを消した男が何を思ったか、が気になる。

  • 「少年」にクローズアップした短編集。
    思春期で不安定な心や身体、自分一人では生きられない・自由に居られないもどかしさ、その全てがほろ苦く甘酸っぱいものでした。
    「少年の世界」をこっそり覗いてしまった……というソワソワした気持ちになりました。

    ラストの『跳ぶ少年』(石田衣良)が生々しくてとても良かった……
    少年の気だるさと苦痛、全てが色褪せてしまった感覚、そしてそれを繕うことなく裸のまま写そうとするカメラマンの女性。
    心身ともに裸になった少年は美しいだろうな。

  • 短編という限られた中で、ひとつひとつの物語がとても立っていたなあという印象。世界の狭さ、不可解さ。幼なくて儚くて愛しくて不安定。それぞれ色があって、すべての話で以って“少年”を感じることが出来た。
    あとこういう様々な作家さん参加型の短編集は、文章の雰囲気や描き方に違いが感じられるので面白い。
    特に、伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」、小川糸さんの「僕の太陽」とても好き。

  • 伊坂幸太郎、あさのあつこ、朝井リョウなど有名作家九人の短編集

    すべての話が「少年」をテーマにしている
     伊坂幸太郎「逆ソクラテス」は☆5
    教師に「何をやってもダメな子供」とレッテル貼りをされている友人に協力し、「僕はそうは思いません」と自己主張することを教えた少年。特に子供に対しては先入観を持って接してはいけない、と実感した。

    他の作品も、みんな面白かった。
    女の子から見ると(特に小学生の時は)幼稚でバカな男の子たちだったが、彼らなりに繊細で健気だったのだと、なんだかいじらしく思えた

  • 伊坂幸太郎、あさのあつこ、佐藤光晴、朝井リョウ、柳広司、奥田英朗、山崎ナオコーラ、小川糸、石田衣良という豪華な作家によるアンソロジー作品です。
    どの短編も、タイトルの通り「少年」がテーマで、中学生や高校生(場合によっては小学生)の男子が主人公となっており、その頃に体験していた思い出や当時の気持ちを振り返りながら読むことができました。
    どの作品も短いながらも読みごたえがあり、中高生だけでなく、昔「少年」だったすべての男性が楽しめる作品ではないでしょうか。

  • 井坂さんが始めにガツンと来過ぎて。。。
    天才かよぉってなって。

    もちろん井坂さんだけじゃない。

    インパクト強かったのは「正直な子供(子ども、かも)」山崎ナオコーラさん。
    なんかこう、後味が良くなくて・・・よかったなあ。

    小川糸さん。
    とても好きだ、とても好きだ。

    壇蜜さんの解説も、僕が存じ上げなかっただけで、
    賢い方なんだなあって。

    短編集はいろんな味が味わえるところが魅力だなあ
    ドロップみたいな。
    好きな味も普段食べない味もあって
    全部込みでドロップの楽しみだもんなあ。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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