教団X (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
2.97
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  • (72)
本棚登録 : 2382
レビュー : 272
  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455915

作品紹介・あらすじ

謎のカルト教団と革命の予感。4人の男女の「運命」が重なり合い、この国を根底から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。世界で注目を集める著者の最長にして圧倒的最高傑作、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 中村文則『教団X』集英社文庫。

    中村文則の最長にして最大の傑作などと様々なメディアが絶賛しているが、それほどの作品ではなかった。頭の中に全く画像が浮かんで来ないし、登場人物の性格描写も薄っぺらいように感じた。元々、中村文則は人物描写に力点を置く作家ではないが、これまでの多くの作品は善と悪を描くことで、人物描写の手間を省いていたのではと勘繰ってしまう。

    にわか仕込みの知識の羅列とAV見て書いたのかと思うような安っぽい性描写…

    楢崎は自分の前から姿を消した立花涼子の捜索を知り合いの探偵の小林にに依頼する。そして、新興宗教とおぼしき団体の存在を知る。その団体を主宰する松尾と、松尾と袂を別ち、教団Xというセックスを教義とするカルト組織を立ち上げた沢渡…お馴染みの善と悪の構図が見えてくるが…

  • *謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何かを問いかける長編*

    うーーーーーん。としか言いようがない。よくこの仕上がりで本が出ましたね…。
    まず、登場人物が薄っぺらく、全く魅力がない。どの人がどの人だっけ、と何度も頁を戻るくらい覚えられない。おまけに、純文学風に小難しくこねくりまわした題材がごった煮のように詰め込まれ、何が何だか全く理解出来なかった。性描写に至っては…バカなの??の一言。時間がもったいなかったなあと思った本は久しぶり。

  • 期待度が高かったために、得られた結果に失望することは時としてあるけれども、『教団X』はその典型である。読む前はずいぶん期待していたのだ。怪しげな宗教団体、とりわけカルト教団の雰囲気をまとっている点にも、どんな物語になるのだろうと期待した。
    全てがダメだったわけではない。前半で松尾が語る、人間(生物)はたえず原子レベルでは入替え(代謝)が生じていて、常に新たな自分に生まれ変わっていることを根拠に、肉体の一部である脳と己の意識を分離する考え方に言及するところは、その内容の真偽は措くとしても新鮮な驚きがあった。
    読み進めると、松尾に対立するカルト集団である「教団X」は、性の解放を目指す教団として描かれる。当然、セックスシーンの描写も多く出てくる。が、いつしか彼らはテロリストと化す。その過程で、テロの契機がアフリカで出会った飢餓問題であったり、しかしテロの最中に叫んでいるアジテーションでは、靖国神社や大戦への批判であったりする。それらの演説めいた叙述は、どれもそれなりにペダンティックではあるけれども、主張に一貫性がない。だから共感を喚起されない。
    かつて地下鉄にサリンを撒き散らし、テロを起こした集団を想定していたのだろうか。しかし、物語の世界で、ペダンティックになるのはいいけれども、特定のイデオロギーに依拠することなく、その時々で主張していることが変化する教団というのはあまりにリアリティに欠ける。これが、この物語に失望させられた理由である。
    最後に人類平和めいた内容でカタルシスを導こうとしたようだが、散々衒学趣味をふりまいて、読者をあちこちひっぱり回した挙げ句、この結論はあまりにもステレオタイプすぎないか? 小説はフィクションであり、原則としては何を書いてもよいことは理解しているが、一貫性がなく納得感の薄い物語には辟易せざるを得ない。文庫版六百頁におよぶ長篇を読まされるのではなおのこと。

  • キューバ旅行のお供。★2.9。かなり辛めですが。
    よく調べてあるな、すごい知識量だな、宗教に関する見解や思想は興味深いな、とは思います。ところどころ(松尾や高原の過去とか)物語として面白いところも、あります。
    しかし、全体として物語として、小説として読み通した時にやはり魅力的ではありません。
    個人的には作者の思想、主義主張が透けて見えて物語がなおざりになっていると萎えます。キャラクターもほぼ立体化してこなかった。松尾が少し、くらいであとはどう言う人物なのか魅力が全然伝わらない。誰に共感していいのかもわからない。ストーリーもいまいちワクワクさせてきらず置いてきぼり。
    無理に小説という形式を取らなくてもよいのではないでしょうか。

  • 本屋さんで「話題の本」とあったので読んでみたのですが、、
    ダメですね。
    私は仕事関係で気功の話や怪しげな宗教の話などの内容には、かなり免疫があるのですが、ただそういった本から抜粋しただけなような教祖の言葉とか、長ったらしい独り言などが多すぎて、読み飛ばすべき箇所が多すぎです。
    話の流れとしても小説としても評価できる点はないと思います。

    • ことぶきジローさん
      はじめまして。評判の割りにはつまらない作品だったと思います。テレビで文化人面した芸人が絶賛していたのが、評判を呼んだ原因でしょうか。
      はじめまして。評判の割りにはつまらない作品だったと思います。テレビで文化人面した芸人が絶賛していたのが、評判を呼んだ原因でしょうか。
      2017/07/15
  • 初・中村文則さん作品、と言いたいところだが、かつて「銃」を20P以内で挫折したので、リベンジまでに手に取る。

    リトライがこれで良かったのか不明だが、ひとまず読み切れた(というか目を滑らしてどうにかページを繰った)。

    筆者の世界が非常に壮大で、思慮深く、知識に溢れていることは大変よく分かった。よく分かったが、それと物語の面白さは、ぜーんぜん別の次元なんだなぁ、ということがよく分かった。(でも松尾の説法で、随所に気になるところもあったが)

    性描写が多いとかなんとかは、そういう世界だしそういう内容だし、と思うのだがどうにもこうにもチャチイのは、 “その気はない/むしろ拒んでいるのに、卓越した男性の技術により気持ちと裏腹に悦んでしまう女性(しかもすぐ心変り)” の人物描写が浅はかだからではないだろうか。

    そういうパターンの女性は創作物内によく出てくるけどさ、
    そんなやついるのかっての。って思ってしまって。
    イヤよイヤよもなんとかって、展開がダサ過ぎる。

    あの集団の倒錯したような性をそう表現したかったのか、或いは作者の想像の限りがこれだったのかは、大きな差である気がする。

  • 星4に近い3。Amazonのレビューがえらく低評価だけど、なまじ読書芸人で紹介されたことで、需要と供給のミスマッチが起きたのでは? 確かに未完成っぽさがあるんだけど、星1ってことはないと思う。人物のかき分けがわざとなのか曖昧で少し混乱したけど。

    かくゆう私も読書芸人の影響で文庫待ちしていたわけだが、読みにくい純文学なんだろうと思ってた。でも、読んでみたら意外に読みやすい。
    確かに教祖の理屈が長々続くのでダメな人はダメでしょうが、衒学的ミステリが好きな人はいけるのでは?
    前半は割とエンタメ感がある。教祖の話がどう物語に絡んでくるのか先が気になって、厚い割にはすいすい読めた。
    ただ!やっぱり純文なんだなって終わり方。語られることはたくさんあるけど、それが伏線となってスッと解けてスッキリ!みたいなエンタメ系の面白さではなかった。

    レビューが辛くなっていた理由の一つの性描写、第二部の冒頭があまりに露骨で電車で読んでて焦ったw まあこれで興奮したくて読む人はあんまりいないだろうけど、そういうの求める人は薄い本読んだ方がいい。それくらいバリエーションのないエロで、洗脳に薬を使ってるとかがあるのか描写がなくて不明なので、なおのこと稚拙でワンパターンに感じる。私は不快というより笑っちゃった。

    もう一つ辛口レビューで指摘されてた先の大戦や右傾化への警鐘だけど、それも政治的なメッセージはメインじゃないように思える。
    結局これは「救い」とはなにかのためのギミックで、あるものは性に溺れることで、あるものは右傾化することで、あるものは死を玩ぶことで、思うようにならない人生から救われようとしているだけ。
    作者の想いは松尾の「私はすべての多様性を愛する」や芳子の「この世界の一部でも肯定し出来るようになりましょう」にあるんじゃないかな?と感じた。

  •  この作者の本は読んだことがなかったのだが、ただ文庫版の発売日に地下鉄のなかに張られた広告を見て、その足で本屋に行ったのだ。それでもまだ読むかどうか迷っていたのだが、ペラペラとめくってベンジャミン・リベットの実験への言及があったのを見て決断した。
     いや、そもそも単行本が出た時点で気にはなっていたのだ。小説のタイトルに「教団」とあったら、いい教団のわけがない。悪い教団の話に違いない。しかも教団X、怪しいったらない。
     でも又吉直樹がこの小説をテレビ番組で絶賛し、それを見た人が読んで失望してamazonのサイトに酷評をたくさん書いているなんてことは知らなかった。そんな難解な純文学なのか? 否!

     楢崎は恋人ともまだいえないような関係の立花涼子の行方を追って、2つの新興宗教団体に遭遇する。最初のは実は新興宗教ともいえないし、団体ともいえないようなもの。松尾という自称アマチュア思想家の変な老人が妻と暮らす家にすぎないのだが、彼の講話を聞きに自然発生的に生じたサークルだ。
     他方、名前のない教団、仮に教団Xと呼ばれる教団はしっかりした組織を持つセックス教団だ。そしてその教祖・沢渡は松尾と因縁があるらしい。
     楢崎が主人公なのではない。群像劇、といっていいだろう。高原は以前、松尾のもとにいたが、実は教団Xのナンバー2である。しかし教祖を裏切りつつ、大それたテロを計画しているらしい。松尾の下にいながら高原を愛する峰野。立花も高原と強いつながりがある。他の登場人物もそれぞれに苦い人生がある。いずれも人生から、世間から「弾かれた」人たちといえようか。

     松尾は第二次世界大戦で肉体的にも精神的にもひどく傷ついたのだが、今は宇宙論的・原子論的・機械論的運命論を基底にした人生肯定主義を説いている。沢渡がどのような人物かは終盤まで明かされない。帯に「絶対的な悪」とあり、それが沢渡のことだと思うが、誤読だろう。沢渡が執着するのは善と悪との絶対的なコントラストなのではないか。そしてそれがカリスマ性の源泉なのだ。また帯には「圧倒的な光」とあるが、それが松尾のことかといえば、まったくそんなことはない。「光」があるとすれば、それはわれわれひとりひとりの中に宿った圧倒的に小さな光のことである。松尾の人望はそうした小さな光を見出す能力か。

     松尾が病に倒れ、教祖に感づかれたかも知れない高原のテロ計画が見切り発進し、話は後半大きく動いていく。
     そしてこの小説は現政権、あるいは右傾化する社会情勢への批判ともなっている。「特攻隊の人たちの手記は涙なしにはとても読めない。だが彼らの魂の純粋さを、あの戦争が正しかったような印象操作に利用するのは死者に対して失礼だろ? あの魂をそのように利用しかつ金儲けの手段にしてる奴までいる始末だ」って誰のことだろうねえ。

  • 官能小説かと思うくらい生々しい描写が多いし、最終的になにを言いたかったのかよくわからなかった。

  • わたしには理解出来ず。期待して読んだだけにとても残念に思いました。恐らく自分にはこの方の作品合わないのかもしれません。何作か読んだけどどれも理解できなくて…。

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著者プロフィール

中村 文則(なかむら ふみのり)
1977年愛知県生まれ。福島大学行政社会学部応用社会学科卒業。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。『遮光』で野間文芸新人賞、『土の中の子供』で芥川賞、『掏摸』で大江健三郎賞、『私の消滅』でドゥマゴ文学賞を受賞。2014年にはノワール小説への貢献から、デイビッド・グーディス賞を受賞している。
その他の代表作に、映画化された『去年の冬、きみと別れ』『悪と仮面のルール』などがある。

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