鼻に挟み撃ち (集英社文庫)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 集英社 (2017年11月17日発売)
3.89
  • (2)
  • (4)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 51
感想 : 7
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (184ページ) / ISBN・EAN: 9784087456639

作品紹介・あらすじ

御茶ノ水で奇妙な演説をするマスク男。男には鼻がない。私こそがどうやら彼の鼻らしい。マスクをした数千人の群衆が「鼻」をめぐりシュプレヒコールを挙げる。第150回芥川賞候補作。(解説/沼野充義)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 純文学的な小説かと思いきや前衛的。小説を書くって、誰かになることなんだと再認識した一冊だった。いとうせいこうさんの才能ほとばしる三扁が収録されている。
    「今井さん」は、ちょっと暗いトーンがありつつも妙に落ち着くしっかりとした土台があって、不思議な魅力があった。
    「鼻に挟み撃ち」は、時間と空間を超えた妄想というか社会派というか、本当にアミダクジ的に進んでいくお話。とはいえ、「小説って誰かになることなんだよ、そうなんだよ」と、私のどこかに共鳴してきた。今まで感じたことのない読後感。
    「フラッシュ」は、いちばん好きなお話。
    どれも文体が違って独自性があって、いとうせいこうさんって、なんて才能のある人なんだ!

  • 初読み作家さん。
    文通相手と文通読書会しようと持ち掛け、その第一冊目に選んだ本。文庫本発売の時購入。表紙いいよね。
    一応短編集の仲間に入るのかな。


    『今井さん』
    テープ起こしで生計をたてている鵜殿さんが編集者から「その場で話していない内容が書き足されているようだが」と電話を受けて、それについて、テープ起こしとはいったいどんな仕事なのかを説明というのか、説得をしている、電話で、と思い込んで読んでしまった私への、オチ。
    『私が描いた人は』
    大学時代に出会ったPQを私は長い時間をかけていくつかの絵を描いた。PQとの思いでと、その絵たち。
    『鼻に挟み撃ち』
    ある日男はマスク姿で公共の場で唐突に演説を始めた。
    彼はゴーゴリの鼻を語りながら、自らの鼻もかの小説のごとく消えたのだと語る。そんな彼の反対側には朝起きた瞬間に自分が鼻であることに気付いた男がこれからを、そして自身が書いた小説の話を追いかけだす。
    そして世界は挟み撃ちの果てに。
    『フラッシュ』
    女に舐めさせた薬は、彼女を何かに駆り立てた。彼女は机の下で屑籠のなかから拾い出してきたコピー用紙に自分のことを、そして彼女と男の境目を舐めて崩す砂糖菓子のように壊していく。そして時間までが溶けることもなくくっついていく。

    お話、と言っていいのかわからないけれど、何故か引きつけられていく文体なのか言葉選びなのかが面白かった。今度は同じ作者の『存在しない小説』も読みたい。

  • 中編になる表題作のほか、3編の短編を収録。表題作はなかなか面白かった。御茶ノ水駅の傍で街頭演説をするマスクの男が語る、ゴーゴリ論や後藤明生論、それがやがて著者自身の私小説風となったり、しまいには後藤明生の「鼻」が警察に尋問されたりして、「鼻に挟み撃ち」というより「鼻が挟み撃ち」にされてる感じ。ゴーゴリ『鼻』『外套』も、後藤明生『挟み撃ち』も私は未読なので、俄然読みたくなってきました。他の短編はイマイチ。

    ※収録作品
    今井さん/私が描いた人は/鼻に挟み撃ち/フラッシュ

  • ちょっと嫌味だなあと思いながら引き込まれた。

  • 鼻に挟み撃ちは不思議な小説。ひと筋縄ではいかないいかない。

  • 文通友だちさんからいただいた本です。
    いとうせいこうさんの本を読むのは久しぶりですが、登場人物の語りにぐいっと惹き付けられました。面白かったです。
    どの語りも奇妙でしたが、表題作が好きでした。
    わたしも病で一時期マスク人間だったのですが、確かにあれは安心します。
    誰でもない人になって、誰でもない人を眺める。例え、鼻が無くても分からないよな、と思いました。
    「民族衣装かと思うくらいマスク。」に笑いました。
    読んでしまった今の気持ちを上手く表現出来ないですが、風変わりな読書体験でした。

  • 私には何が面白いのかを説明することはできない。それでも、とても面白く、(分量か少ないこともあるが)あっという間に読み終わった。

    文体は、基本的には一人称。ただ、読んでいる途中で、いつのまにか語り手が変わっている。それでもなぜか違和感なくどんどん読める。

    内容は不条理。カフカやカミュみたいには不安な気持ちにはならなかった。むしろ、ニヤっとしてしまうユーモアが感じられた。

    頑張って感想を書いてみたが、やっぱりよく分かってない気がする。でも、面白かった。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1961年生まれ。編集者を経て、作家、クリエイターとして、活字・映像・音楽・テレビ・舞台など、様々な分野で活躍。1988年、小説『ノーライフキング』(河出文庫)で作家デビュー。『ボタニカル・ライフ―植物生活―』(新潮文庫)で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』(河出文庫)で第35回野間文芸新人賞を受賞。近著に『「国境なき医師団」になろう!』(講談社現代新書)など。

「2020年 『ど忘れ書道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

いとうせいこうの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×