ラメルノエリキサ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 233
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087457001

作品紹介・あらすじ

女子高校生・りなの信条は「やられたら、やり返す」。その彼女が夜道で何者かに背中を切りつけられる。りなは復讐を果たすため、犯人捜しをするが……。第28回小説すばる新人賞受賞作。(解説/池上冬樹)

感想・レビュー・書評

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  • 16歳の女子高生・小峰りなのモットーは、どんな些細な出来事でも自分にとって不愉快であれば、絶対やり返すということ。
    付いたあだ名は『復讐の申し子』
    そう、彼女は復讐に取り憑かれているのだ。
    ある日、りなを襲う通り魔事件が発生。
    何者かが、夜道を歩く彼女を背後から切り付けたのだ。
    りなは犯人を追いかけるも
    激しい痛みと怒りで意識が混濁し、逃げられてしまう。
    犯人が残した唯一の手掛かりは
    『ラメルノエリキサ』という謎の言葉。
    怒りに燃えるりなは、退院後、自らの手で犯人を捕まえ復讐するため、独自の捜査を始める。
    そして、彼女がたどり着いた事件の真相とは…。
    第28回小説すばる新人賞受賞の、痛快青春ミステリー。


    いやぁ~、面白かった!
    一人称で語られる自らのルールに従い生きる主人公の物語といえばハードボイルド小説だが
    あとがきにもあるようにこの作品も
    まさに女子高生ハードボイルドと呼ぶべき痛快さで、
    主人公、小峰りなの魅力で溢れている。

    ユーモラスでリズミカルな文章、スピーディーに転がる物語展開、
    誰にでも必ず復讐するという
    過激で、不謹慎極まりないストーリー。
    主人公の小峰りなも攻撃的かつ身勝手で
    普通なら不快になっても仕方ないキャラなのだけれど、
    いやはや、コレが面白いし魅力的なんだから仕方ない(笑)
    (宮部みゆきが絶賛したのも確かに頷ける)

    彼女のモットーに共感できるかどうかはともかく、
    いつか復讐するその日に向かって
    わきめもふらず猪突猛進する彼女の姿にどんどん惹かれていく。


    完璧な母へのコンプレックスから
    完璧な母の作る完璧な家族をぶち壊したいという欲求を密かに抱くりな。

    完璧な母であるための装飾品としてしか娘を捉えられない、
    本気で娘を愛せない母親。

    そして、妹であるりなの復讐癖をなんとか止めさせようと奮闘する完璧な姉。

    この家族三人の関係がどうにも切なく、
    特に大好きな姉に本心を言えずに
    一人傷ついていくりなの葛藤は、
    思春期だからこそのアンビバレンツな感情がひしめき合い、
    はるか昔に思春期を経験した僕自身も激しく共感してしまった。

    そんなこんなで、いろんなことをぐるぐると思い悩む
    実はナイーヴなりななのだけど、
    ひとつ特筆すべきことがある。
    彼女は、どんな時も決して暗くはならないし、
    自己憐憫に陥ったりはしないのだ。

    大好きな姉に嫌われたと感じ、心の動揺が隠せない時も、
    私は私が好きだから自分を大事にするんだと、
    あくまでも、自分を真っ直ぐに肯定していこうとする。
    この心根に僕は激しく惹かれたし、
    スゴい女の子だなと感動すら覚えた。


    自らのルールに従い、一直線に進む
    りなだが、
    作者の渡辺 優は思春期の少女らしい弱さや脆さや寂しさや
    心の揺らぎをすっ飛ばすことなく繊細に描いているので
    ミステリーというより、青春ストーリーとして秀逸だし、

    とんでもないストーリーの中に
    一本筋が通っているりながいて、
    傍若無人な彼女が
    ときおり見せる『弱さ』にこそ、
    読む者はどんどん惹かれていくのだろう。


    懐かしの北欧バンド、Pineforest Crunchの『Barbie』をBGMに描かれるクライマックスは
    実にエモーショナルで、
    青春の残像、恋の残り香が胸を刺し、
    何度も読み返したいほど、切なく僕の胸を撃ち抜いた。

    周りになんと言われようとも
    好きなことを好きと言えたり、
    自分自身を肯定できるということは
    何よりカッコいいってことを
    小峰りなは僕に改めて教えてくれた。

    『悲しみよこんにちは』
    彼女がそう言える日が来ることを、
    いい女になった彼女にまたいつか会える日を、
    僕は心待ちにしている。

  • 復讐することを心にきめている女の子のお話。いろいろと屈折しているし、社会的な正義や道徳とはずれているのだろうけれど、主人公の女の子含め皆憎めないところがある。読み終えた後、なぜか爽快な気持ちになる。
    2019/3/14

  • 小説すばる新人賞受賞作。
    あらすじの紹介や集英社の公式サイトでのインタビューなど、主人公のユニークな造形に注目されたものが多い。確かに面白いキャラクター造形だったが、個人的には姉の造形の方がかなり黒いのではないかと思うw
    主人公は良くも悪くも悪意や敵意をストレートに表現するが、姉はそうではない……というか、寧ろ姉の方が空恐ろしいのではないだろうか。但し、『ストレートさ』というのは重要で、彼女が青春小説の王道の主人公である理由がこれだろう。

  • これは面白かった。主人公とお姉さんの性格のぶっ飛び方が小気味いい。これはなんだかお姉さんの方が将来的にはやばい感じがします。
    復習がテーマの話だけど、ドロドロした感じはないし、意外にさらっとしてる。文章のテンポもいいのでさらりと読めますね。

  • 映画と映画の間が空いたので薄い本を1冊くらいなら……と思ってたら目が合った作品。すげー昔に名前を聞いたこともあったので良い機会でした。
    作中で起こっている出来事はラノベの雰囲気なんだけど、登場人物達の心情の掘り進み具合は小説の域という印象を受けた、なんだか不思議な作品。復讐をモットーに生きる主人公のスタイルにあまり共感できなかったことと、目的が「犯人捜し」となるとどうしてもクライマックスに意外性とか鮮やかなトリックを期待してしまう自分がいたのでその観点から星2をつけてしまったけど、「女子高生」という枠組みから逸脱しない程度にキャラが立ちまくりな小峰りさがとても可愛かった。あと、最後のお姉ちゃんもセットで可愛い。
    主人公に共感できないと普通はそれで読むのが嫌になっちゃう自分なんですが、それが全く気にならずに軽快にページをめくることができたのは、青春としての軽やかさとブラックなユーモアが良いバランスで調合されたこの人の文体のおかげかもしれない。ありがとうございました。

  • タイトル+帯を見て購入を決めた本。
    復讐をメインに据えているのに、重苦しくなく、スピード感があり爽快。
    普通の感覚とひとつ(?)の異常を持つ主人公(と姉)が魅力的。

  • いきいきした文章。面白く読めた。

  • 誰しも少しは持っている感情だと思いますが、復讐心の強すぎる主人公には特に共感できる部分はありませんでした。
    お姉ちゃんの方も冷静な分より怖いです。

    文は読みやすく、お話も面白く読めました。
    完璧なママという表現には少々引っかかりを感じました。

  • 小さい頃から自分が害を受けたら、きっちり清算しないと気がすまない「復讐の申し子」小峰りな。
    そんな彼女はある日背後から腰を刺されてしまう。
    退院後、復讐するためにさっそく犯人を探しはじめるりな。
    手がかりは犯人の言った言葉「ラメルノエリキサのためなんです、すみません」。
    一体「ラメルノエリキサ」とは何なのだろうか?

  • 過激とも捉えられるほど復讐に執着する女子高生が主人公。見た目が可愛いだけあってこんな子が本当にいたら脅威だろうなあ

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著者プロフィール

1987年宮城県生まれ。宮城学院女子大学卒。2015年に『ラメルノエリキサ』で第28回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『自由なサメと人間たちの夢』『地下にうごめく星』がある。

「2019年 『行きたくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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