ユートピア (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 930
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087457483

作品紹介・あらすじ

太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町。事故が原因で車椅子生活を送る小学生・久美香と、彼女を広告塔に支援団体を立ち上げる大人たち。善意が人間関係を歪める緊迫の心理ミステリ。(解説/原田ひ香)

感想・レビュー・書評

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  • 題名の『ユートピア』に皹が入っていることに、この物語の行く末を予感させられる。
    かつては賑やかだったが、今はさびれて、それでも美しく豊かな自然がが残る、そんな現代日本の典型的な地方の町を舞台に、三人の女性を中心として、旧来からの住人と新しく越してきた芸術家たちとの微妙な付き合いも絡んだ心理ミステリー。
    女性同士の表面上の付き合い、そしてその裏面のドロドロした心理をこれでもかと詳細に描き出す著者の本領が、本作でも如何なく発揮されている。
    殺人事件の行方と、さらに少女たちの誘拐事件?も発生し、否応なく湊ワールドに引き込まれる。

  • 太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町。先祖代々からの住人と新たな入居者が混在するその町で生まれ育った久美香は、幼稚園の頃に交通事故に遭い、小学生になっても車椅子生活を送っている。一方、陶芸家のすみれは、久美香を広告塔に車椅子利用者を支援するブランドを立ち上げを思いつく。出だしは上々だったが、ある噂がネットで流れ、徐々に歯車が狂い始め…。緊迫の心理ミステリー。

  • 先祖代々からの住民とユートピアを求めてやって来た新しい住民が混在する町、鼻崎町。
    15年振りに商店街で祭が開催されることになり、実行委員に選ばれてしまった菜々子は、新住民であるすみれと5年程前に夫の転勤でこの町にやってきた光稀と親しくなる。
    菜々子の娘の久美香は数年前の事故で車椅子生活を余儀なくされており、すみれは久美香を広告塔に車椅子利用者を支援するブランドを立ち上げるのだが……。

    2018年7月5日読了。
    閉鎖的な土地とネットという世界が作り出す心理ミステリー。
    昔のようにイヤミスだけではなく、人の弱さがしっかりと描かれているのが印象的でした。
    最後の章については湊さんならこう来るだろうなと、読めていたので衝撃は受けませんでしたが、消えてしまったある登場人物のその後がなかったので、ちょっと消化不良でした。

  • 前半はなんと幸せな話と淡々と読み、中盤は徐々に深まる亀裂にハラハラし、後半は納得できない展開に拍子抜けしたかに思えた。それを最後の告白でストンと腹落ちさせるテクニックは流石としか言いようがない。

  • 多分私の理解力の問題だと思うけど、他の湊かなえさん作品に比べて「そういう事だったのか……」要素が少ないような気がした。なんかモヤモヤする部分があるけど何がモヤモヤしてるのかも分からないので時間置いてもう一度読むことにします。
    解説にあった表現だけど、「主観の殴り合い」っていうのが本当にぴったりだと思った。狭い田舎だからこそ起こるトラブルとか噂話とか、3人の女性たちが表面は友達だけど内心で毒づいているところとか、リアルすぎて……いや〜〜さすが、後味が悪い(褒めてる)

  • ネット上への書き込み・誹謗中傷などが出てくるのが少しだけ現代風に感じた。
    全編を通して登場する鼻崎町で過去に起こった殺人事件についての解説場面が簡単すぎて物足りなさを感じた。

  • 田舎の嫌な空気があるあるで共感できた

  • 三人の女性がクララの翼という陶芸の商品を販売し、寄付する活動を通して、家庭の話に踏み込んだりする。
    三人の女性は、地元の婦人、陶芸家、旦那の赴任地のため一緒に来た婦人という境遇も性格も違った。
    表面と内面での声をうまく表現している作品で面白かった。

    湊かなえらしい、かなり暗いイメージ。
    だけど、夢中になって読めるので不思議な作家だ。
    次に何を起きるか気になるのだよね。
    心の声を本当にうまく表現している。
    今の声、普段の生活でもあるのではないかな?って共感する。
    だけど、そこまで書かれると、普段の人間関係もぎくしゃくしちゃいそうだ。

    田舎だからっていい人がいっぱいるわけではない、
    噂を使っていじめることもある
    という文章が頭の片隅に残った。

    謎が少し残った。
    健吾さんは悪いことをしたのかどうか。不明だ。
    もしかしていい行動をしようとしたのかもしれない。

  • 昔からの住人には慣れ親しんだつまらない場所でも新しく来た芸術家達にとってそこはユートピアとなるのか。
    陶芸家・プリザーブドフラワー作家・仏壇屋の3人の女性が核となり物語が動く。みんながみんな自分本位。自分に都合の良い解釈ばかりで安定のざらり感。
    流石に読ませる力は絶大であっという間に読了。
    最後はちょっと薄味だったかな。
    狂言誘拐を企てたあの人は何処へいったんだっけ?

  • いつもよりはドロドロしてなかった!

    そのせいか、ちょっと、物足りなかったかな…

    なんとなく、先もよめたし

    菜々子さんの夫はどうしたのかとか

    火事を起こしたのは結局
    子供達で

    前の殺人はどんなだったのか
    どうして
    すみれを呼び寄せたのか…

    深みがなかった気がしました
    (´・ω・`)

    でも、作品として
    楽しめはしました!

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著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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