ユートピア (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1540
レビュー : 143
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087457483

作品紹介・あらすじ

太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町。事故が原因で車椅子生活を送る小学生・久美香と、彼女を広告塔に支援団体を立ち上げる大人たち。善意が人間関係を歪める緊迫の心理ミステリ。(解説/原田ひ香)

感想・レビュー・書評

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  • 題名の『ユートピア』に皹が入っていることに、この物語の行く末を予感させられる。
    かつては賑やかだったが、今はさびれて、それでも美しく豊かな自然がが残る、そんな現代日本の典型的な地方の町を舞台に、三人の女性を中心として、旧来からの住人と新しく越してきた芸術家たちとの微妙な付き合いも絡んだ心理ミステリー。
    女性同士の表面上の付き合い、そしてその裏面のドロドロした心理をこれでもかと詳細に描き出す著者の本領が、本作でも如何なく発揮されている。
    殺人事件の行方と、さらに少女たちの誘拐事件?も発生し、否応なく湊ワールドに引き込まれる。

  • 多分私の理解力の問題だと思うけど、他の湊かなえさん作品に比べて「そういう事だったのか……」要素が少ないような気がした。なんかモヤモヤする部分があるけど何がモヤモヤしてるのかも分からないので時間置いてもう一度読むことにします。
    解説にあった表現だけど、「主観の殴り合い」っていうのが本当にぴったりだと思った。狭い田舎だからこそ起こるトラブルとか噂話とか、3人の女性たちが表面は友達だけど内心で毒づいているところとか、リアルすぎて……いや〜〜さすが、後味が悪い(褒めてる)

  • 三人の女性がクララの翼という陶芸の商品を販売し、寄付する活動を通して、家庭の話に踏み込んだりする。
    三人の女性は、地元の婦人、陶芸家、旦那の赴任地のため一緒に来た婦人という境遇も性格も違った。
    表面と内面での声をうまく表現している作品で面白かった。

    湊かなえらしい、かなり暗いイメージ。
    だけど、夢中になって読めるので不思議な作家だ。
    次に何を起きるか気になるのだよね。
    心の声を本当にうまく表現している。
    今の声、普段の生活でもあるのではないかな?って共感する。
    だけど、そこまで書かれると、普段の人間関係もぎくしゃくしちゃいそうだ。

    田舎だからっていい人がいっぱいるわけではない、
    噂を使っていじめることもある
    という文章が頭の片隅に残った。

    謎が少し残った。
    健吾さんは悪いことをしたのかどうか。不明だ。
    もしかしていい行動をしようとしたのかもしれない。

  • 言葉にしない心の声。
    人間不信になりそう。

    でも人間はそういう生き物。

  • 湊かなえさんの作品はいつもイヤミスなので、心が強い時でないと読めないですが、今回は殺人云々のイヤミス感が少なかったからか読みやすかったです。
    イヤミス好きな方には物足りないかもです。

  • 星4かな
    今まで読んだ湊かなえの中では 1番わたし好みかも。
    基本的に 湊かなえを自分で選ぶことはなく 湊かなえ好きの友人から 回ってくるのを読むのみの関係です 笑。
    回ってくるたびに あー来たぞー と若干どんよりした気持ちになりますが 断るほどではありません。と いうか 今度はキライじゃないかもよ と期待もあり。
    今回の解説を読んで 湊かなえの作風がやっと掴めた感じ。
    すごくいい解説だった。わかりやすく湊かなえが理解できた気がする。
    確かに 同じ事でも 見方感じ方で全然別のことかと思うくらい違うことってあるし。言葉を尽くしても分かり合えないこともあるし。若い頃は そういうことがあまり解ってなくて ??と思うことも少なくなかったなぁ。
    そういうことに鈍感だから はっきり理由は分からず湊かなえって ちょっと苦手 と感じてたのかも。

  • 太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町。先祖代々からの住人と新たな入居者が混在するその町で生まれ育った久美香は、幼稚園の頃に交通事故に遭い、小学生になっても車椅子生活を送っている。一方、陶芸家のすみれは、久美香を広告塔に車椅子利用者を支援するブランドを立ち上げを思いつく。出だしは上々だったが、ある噂がネットで流れ、徐々に歯車が狂い始め…。緊迫の心理ミステリー。

  • 健吾や子どもたち側の主観ももっと読みたかった。

    親の人間関係にも敏感な聡い彼女が罪悪感や後悔が全くなく、反省の色すらみられない。子どもの純粋性だけで片付けて欲しくなかった。これが帯の「善意は悪意より恐ろしい」ってことなのかと思うとなんだか違う。

    人物描写をこれほど上手に書く作品に初めて出会いました。芸人横澤夏子の女子あるある並に、日常にいそうなリアルなキャラクターです。特に3人の女性の心情描写は、鋭角で、どす黒い感情部分を持っていて、心臓の音や汗ばみ、怒りの熱量まで伝わります。

    健吾の描写が足りなく感じます。異質性を出して対比になるぐらいのインパクトが欲しかったけど、正直良く分からない人のままでした。人殺しもするのに、口実なのか子ども達のために狂言誘拐までして。家燃やされて、「芝田」になっちゃって。ただ金が欲しかったのか、、。謎と膨らみじゃなくて、良く分からない人のままなのが勿体無い。

    五年前の殺人事件がどう関係していかのか楽しみに読んでたけど、尻すぼみで、綺麗に作った感が否めないし、書かれていない部分をミステリアスに受け取ることもできなかった。
    菜々子のあの終わり方も、あんな妄想を楽しみにウハウハする軽い楽天的な人じゃないのになーと。後半の文書が駆け足でさくさく終わっちゃったのが残念( ´・ω・` )


    この本は、映像化したらつまらない。小説だからこそ面白い。読みやすくて、珍しく短い期間で読めました。女同士の戦いは、読んでいて刺激的でヒヤヒヤさせられました。

  • 先祖代々からの住民とユートピアを求めてやって来た新しい住民が混在する町、鼻崎町。
    15年振りに商店街で祭が開催されることになり、実行委員に選ばれてしまった菜々子は、新住民であるすみれと5年程前に夫の転勤でこの町にやってきた光稀と親しくなる。
    菜々子の娘の久美香は数年前の事故で車椅子生活を余儀なくされており、すみれは久美香を広告塔に車椅子利用者を支援するブランドを立ち上げるのだが……。

    2018年7月5日読了。
    閉鎖的な土地とネットという世界が作り出す心理ミステリー。
    昔のようにイヤミスだけではなく、人の弱さがしっかりと描かれているのが印象的でした。
    最後の章については湊さんならこう来るだろうなと、読めていたので衝撃は受けませんでしたが、消えてしまったある登場人物のその後がなかったので、ちょっと消化不良でした。

  • いっきに読み終えた。
    後味の悪さはさすが。
    後半の盛り上がりが本当に面白い。

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著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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