ユートピア (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 453
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087457483

作品紹介・あらすじ

太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町。事故が原因で車椅子生活を送る小学生・久美香と、彼女を広告塔に支援団体を立ち上げる大人たち。善意が人間関係を歪める緊迫の心理ミステリ。(解説/原田ひ香)

感想・レビュー・書評

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  • 先祖代々からの住民とユートピアを求めてやって来た新しい住民が混在する町、鼻崎町。
    15年振りに商店街で祭が開催されることになり、実行委員に選ばれてしまった菜々子は、新住民であるすみれと5年程前に夫の転勤でこの町にやってきた光稀と親しくなる。
    菜々子の娘の久美香は数年前の事故で車椅子生活を余儀なくされており、すみれは久美香を広告塔に車椅子利用者を支援するブランドを立ち上げるのだが……。

    2018年7月5日読了。
    閉鎖的な土地とネットという世界が作り出す心理ミステリー。
    昔のようにイヤミスだけではなく、人の弱さがしっかりと描かれているのが印象的でした。
    最後の章については湊さんならこう来るだろうなと、読めていたので衝撃は受けませんでしたが、消えてしまったある登場人物のその後がなかったので、ちょっと消化不良でした。

  • 承認欲求の強さが人のプライドを高めたりしているのではないかと思う。

    本書の3人の主人公のうち2人はこの承認欲求の強い面倒くさい女だ!

    しかし、それ以上に人への妬みや、善意に迄ケチを付けるという行為は本書の中だけでなく我々の世界にも強く存在しており、人の心を歪めてしまう一つの原因ではないかと思う。

    それと、地元の人は地元の良さを知らず、街の良さを最初に発見するのは余所者であるという事と、その余所者を地元の人は中々受け入れてくれないというのは本書の世界観だけで無く、現実世界にも大いにあるものと考える。


    そんな現代の人の嫌な部分を上手く寄せ集めた良作かと思います!

    女性陶芸家と作文の上手な小学生、車椅子の小学生とその母親達がひょんな事から慈善活動を始める!しかし、その事前活動をしているうちに、変な噂がれはじめる!!!

    それとラストにビックリ!!!

  • 上手いとしか言いようがないなあ。ラストの、子ども目線で、三人は仲良しだったけど、それぞれに少しずつ文句がありそうで、親友には見えませんでした。だからまた会いましょうねって別れたけどママたちはもう会わないんじゃないかと思いますっていう表現、これがもう言い得て妙というか、あるなあ!という感じ。そして子どもの頃から引っ越しばかりしてきてどこが故郷なのかいつまでたってもわからない私にはユートピアというタイトルも良かったし、主人公3人の女性それぞれに感情移入してしまいました。

  • 主観と主観と主観と主観。       
    一つの事象に対して無数の主観。     
    たったひとつの真実は、多勢に無勢の主観に負ける。    
    真実は主観の中に埋もれて見えなくなる。    
    これが現実。  
    人は見たいと思うものを見ようとし、見たくないものから目をそらし、見せたくないものは隠す。    
    真実とはあまりにも脆く拙く儚く弱い。      

    そんなお話。 面白かった。

  • なんとなくもっと事件があるのかと思っていたので、物足りない感。
    すみれ目線がラストは子ども目線になってまとめられた。
    田舎に来て活動する芸術家と地元の人たち。
    上手くいけば素晴らしいけど、実際ユートピアは狭い現実社会であることに変わりはなく、幻想抱きすぎるとツライ。
    そういう感じは伝わった。
    実際光希は最後嬉しそうだし。

  • 善意とか悪意とかでなくて
    よく見てなかったり
    よく考えてなかったりしてるだけってこと
    本当によくあるから
    どうしようもない。

  • 久しぶりに湊ワールドに浸れたので、がしがし読んでしまった。もやもや、この後味ですよ。それぞれのユートピアって。。。ゴダイゴを思いだしたのは私だけか。

  • 愛のある生活を私の人生の生活です、そして、誰でもとすべての面において毎日私の幸せを共有すること。
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  • 湊かなえが描く「女」は頭がいい。
    価値観に忠実に、理路整然と論理的に自分を傷つける。けして賢くはないんだけど、傷つき方に筋が通っている。

    鼻先町という片田舎でずっと暮らしてきた「女」と、
    旦那の転勤で数年だけお邪魔している「女」。
    そして鼻先町の魅力発信に使命感を燃やすよそ者の「女」。

    それぞれがそれぞれをやっかみ、
    どうにか自尊心を保ちながら距離感を模索する。

    独身の若い女同士なら気が合わなければ自然と離れていくのだろう。
    だけどそれぞれの子供たちが親しかったり、
    コミュニティの役割を持ち合ってたりする「大人」の女同士だとそうはいかない。
    本心を探りあいながら、下に見られないように虚勢を張り、だけど時には下手に出ながらうまく付き合おうとするんだ。

    この物語には車椅子の女の子をめぐる「善意」と「偽善」の話や、数年前の殺人事件をめぐる町のごたごたが描かれているけれど、
    やはりどこを切り取っても、頭が良くて賢くない女たちの話だと思う。
    それは私のようで、ちょっぴり悲しくもなる。

  • あ〜〜 湊かなえだなぁ〜という感じ。心理描写が。

    最後はあっさり終わったから、あれれ?ってなったけど
    後味の悪さはやっぱり嫌いじゃない…

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プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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