世界でただ一つの読書 (集英社文庫)

著者 :
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本棚登録 : 53
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087457599

作品紹介・あらすじ

『坊ちゃん』、『アラビアンナイト』、『海の上のピアニスト』、『博士の愛した数式』など、古今東西の名作を点字で読み、心に感じた世界を描く。唯一無二の瑞々しい読書エッセイ。全17編。(解説/桂 文珍)

感想・レビュー・書評

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  • 読書エッセイ。
    本の中で感じられる「音」がたくさん紹介されているが、筆者の言葉を通してさらに音が豊かに鳴っているような心地になった。
    そして、「音」の世界だけで終わらせず、筆者の幅広い知識と深い考察で、本の世界を何倍にも広げてくれる。
    読み応えがあって面白かった。

  • 「坊ちゃん」から騒がしさを感じるとは、さすが三宮氏である。同じ本を読んでも感じ取れるセンサーの違いによって色んな見方・感じ方が出来るのだと今更ながら納得。

    ただこの手の本では当たり前だろうけれど、自分が読んでない本については、、同じ土俵に立てないので、今後のためにとっておくしかないなぁ。

  • 私の場合、読書というのは文字を目で追い、文意を捉え、そのうえで描かれた世界を視覚的に想像し、まれに音や匂いや手触りや温度なども想像しながら世界を構築し、登場人物に感情移入をしたり、反感を持ったりしているのだろうと思う。

    4歳で「シーンレス」になった彼女の読書はそれとはまったく違い、点字を指で読んだり、朗読を耳で聴いたりして得た言葉を、視覚を除く感覚のすべてで味わっている。
    一言たりともおろそかにせずに受け取った言葉を感じる元となるのは、実際の彼女の体験による部分が大きい。

    国内も海外も、彼女の行動範囲は広い。
    わからないことをわからないままにしない彼女の知識欲が、自身の体験・体感を物語の言葉に紐づけていく。

    だからなのか、「読書エッセイ」ということになっているが、この本は論文集のようでもある。
    一冊一冊に込められたテーマ、仮説とそれを検証する過程・結論という流れと、多くの知識に支えられたしっかりとした論理。

    こんな骨太な読書体験もあるのだと驚いた。
    そして、オスカー・ワイルドの「カンタヴィルの幽霊」を読んでみたく思った。

  • 毎日新聞2018129掲載

  • 著者の感性が素晴らしい、シーンレスの方だからだけではなく、深い読み取りと言葉の巧みさに圧倒されました

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著者プロフィール

エッセイスト。東京都生まれ。
高校時代、米ベンロマンド・ハイスクールに留学。上智大学文学部フランス文学科卒業。同大学院博士前期課程修了、修士号取得。現在は外資系通信社で報道翻訳に従事。
デビュー作『鳥が教えてくれた空』(NHK出版/集英社文庫)で第2回NHK学園「自分史文学賞」大賞を、『そっと耳を澄ませば』(NHK出版/集英社文庫)で第49回日本エッセイストクラブ賞を受賞。そのほか、第2回サフラン賞、第11回音の匠賞、第46回点字毎日文化賞などを受賞。
主な著書に『ルポエッセイ 感じて歩く』(岩波書店)、『ロング・ドリーム──願いは叶う』『世界でただ一つの読書』『四季を詠む──365日の体感』(以上、集英社文庫)、『おいしい おと』『でんしゃはうたう』『かぜフーホッホ』『センス・オブ・何だあ?』(以上、福音館書店)などがある。
失明直後からピアノ、リトミック、ソルフェージュなどのレッスンを開始。複数の専門教師のレッスンを継続し、現在はパリ国立高等音楽院教授の上田晴子氏に師事。大学・大学院時代は学内の古楽器アンサンブルでリコーダーとチェンバロを担当。新井満氏との合作で『この町で』を作曲したほか、講演やトークコンサートなど幅広く活動を続けている。
趣味はバードリスニング。

「2022年 『フランツ・リスト 深音の伝道師』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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