左目に映る星 (集英社文庫)

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  • 集英社
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087457872

作品紹介・あらすじ

小学生の同級生で「完璧な存在」だった吉住君を想い、誰のことも愛せないと孤独を感じている早季子。ある日、吉住君と共通点を持つ男性・宮内の存在を知り……。すばる文学賞受賞作。(解説/沢田史郎)

感想・レビュー・書評

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  • 奥田亜希子、二冊目。
    以下、ネタバレ注意。



    26歳の早季子には、小学生のまま時を止めた想いびと、吉住くん以上に好きになれる人がいない。
    そのことを認識してからは、割り切った関係しか築けなかったのだが、早季子と同じ乱視を持つ男性の話を聞き、吉住くんに近い匂いを感じる。

    しかし、その男性は、吉住くんどころか、リリコというアイドルのために休日を費やす、真性のオタクなのであった。

    早季子にとっては吉住くん、宮内さんにとってはリリコは、偶像崇拝の対象だ。
    当の吉住くんが変わってしまっても、リリコが実は不倫していても、そのこととは無関係に、あの日あの時の彼、彼女が二人の心を占めている。
    また、そのことだけが、二人を繋ぐ脆い橋にもなっている。

    でも、そんな二人を見ていても、なぜか否定的な気持ちにはならない。
    二人は、現実世界をシャットアウトしているわけではないからだと思う。
    そこでは誰にも分かってもらえないことを分かりながら、ただひたすら分かってもらえる世界に足を浸すことが、いじらしいからだ。

    ちょっと厨二病というか、アオいんですね。

    なので、お互いが「分からなくてもいい」相手になってゆく後半は、早季子の年齢から考えると、「りぼん」かと思うくらい甘酸っぱい(笑)
    そこに元カレが登場して、というお決まりパターンまで踏襲するわけだけど、そこは26歳設定だからか、割と生々しい。

    「俺のコト一番好きじゃねーんだろー」とキレて、勢いで別れて、まもなく別の彼女と結婚するくせに、早季子に付き纏っては許せない元カレ。
    この人と結婚しなくて正解だと思います。

    子供時代を抜けきれなかった男女の、青春小説と思って読んで欲しい。

  • 好き!「勝手にふるえてろ」然り、学生時代の恋愛って神格化してしまう。それが叶わないものだとしたらなおさら。虚像なんだけどね。宮内にも早季子にも苛立ったところはあるけど、それを上回る可愛さ。あ〜わかるわかる。宮内、可愛い〜!宮内〜!!!

  • 主人公の神田早季子は都内の文具メーカーで仕事をしている26歳。小学校の同級生で大好きだった吉住君のことが忘れられずに、その時の刷り込みで孤独を抱えて生きています。他人に恋愛感情が持てずに、合コンで出会った男とその時だけの関係を結ぶこともあります。ある合コンの時に、吉住君と同じ片目を瞑る癖をもつ人の話が出て、紹介してもらいます。その同じ癖をもつ宮内は、女性アイドルを追っかける、早季子とは全く違う人でした。宮内と話をするために、福岡でのライブに同行し、なぜか度々アイドルイベントに同行するようになります。その度に、宮内と自分との違いを感じます。
    早季子と3年間付き合った元カレは嫌なやつなので触れませんが、特に後半、甘くて幸せな感じが、心を満たしてくれます。

  • 子供の頃に世界の見方を教えてくれた人。その人に救われたこと。そして大人になっても忘れられないこと。同じように見てくれた人はその人だけ。なかなかうまく馴染めない世界で自分を守る方法。世界の見え方は人それぞれで、でもそれが相手に伝わらないもどかしさ。人と違うこと、感じ方の差。同じ場面で笑えなくても、泣けなくても、だからこそ楽しいってことがあるはず。全てが同じなら一人と同じなのかもしれない。同じじゃないから孤独も感じるけれど一人じゃないと感じることもできる。そして世界は広がる。

  • 孤独を抱える早季子は、かつて存在した『完璧な理解者』と同じ癖を持つ人の存在を知り…。奇妙で愛しい出会いの物語。第37回すばる文学賞受賞作。
    現代社会を安寧な精神で生き抜くためには、自分のネガティブな部分を愛さなければならない。そして誰かの共感を得るか、または誰かに共感するか。それが人間関係の構築と愛の形成に繋がるのだろう。

  • こじらせ女子の話って書いてあったけど、そこまでこじらせてなかったからその部分が残念。

    恋愛において、共通言語の多い方が良いのか全く逆の方が良いのかというのは結構平凡な議題ではあるが、そうゆうお話。
    現在全く正反対の旦那を持つ主婦としては、ふと無性に共通言語を持つ人と話がしたくなるけどね。
    うーんなんちゅーかあくまでも私個人的な好みの問題になるけど、
    もっともっと底意地の悪い小説が読みたかったです。
    終盤で主人公が『孤独ぶってる』と元カレにやり込められるところは良かったけど、
    宮内側からももっとやり込められて欲しかった。
    私が主人公に感じる嫌悪は完全に同族嫌悪であり、人とは違うと思ってる自分、
    傷ついている自分、人を信用できない自分、孤独な自分、
    私を分かってくれるのはあの人だけ、他の人達とは違う感覚を私は持ってる、
    アイドルに心酔する人達、合コンに来る人達の浅さ、その人たちを心の中で見くびって蔑んでる自分、
    みたいなものをもっとぐちゃぐちゃにしてほしかった。

    そこまでしてようやくこじらせ女子の話でしょう。笑

  • 主人公の早季子(26歳)は、小学生の頃の「吉住くん」のことが忘れられず、現実の恋愛にのめり込めない。ただし、現在の吉住くんに会ってもその時の感情を持つことは出来ず、好きだった吉住くんはあくまで小学生の頃の吉住くん。早希子も、小学生の頃の吉住くんは、周りに気を使っていたために無理にふるまっていたと分かっているが、その幻想の吉住くんのことが忘れられない。
    この小説を読んで谷崎潤一郎の『春琴抄』を連想した。
    ところで、早希子がなぜ、オタクの宮内に惹かれたのかよく分からなかったのだが、どこか読み落としたのだろうか…。

  • 読み終えて、作者のプロフィールを見てみて、なるほど哲学科なのね納得と思った。
    全体的に明るい話ではなくて、人と自分がみているものは同じじゃないと、過去の経験から刹那的な人間関係を通りすぎていく主人公の早季子に、だけれど希望を持たせるラストが秀逸。

  • 好きだった人がもういない
    付き合えなかった好きな人って最強
    それを更新できることってなかなかない
    でも、また別の部分を別の人と通じ合って、新しいものを積み重ねて大人になっていきたいなと思った

  • 装丁が可愛くて気になっていた1冊。読後感がとてもいい恋愛小説でした。忘れられないキラキラした思い出は誰しもどこかに抱いているものではないだろうか。それとどう向き合い、前に進んでいけばいいのだろう。また読みたいと思える作品でした。

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著者プロフィール

奥田亜希子

1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部卒業。2013年、「左目に映る星」ですばる文学賞を受賞しデビュー。『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』など著書多数。

「2020年 『愛の色いろ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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