みかづき (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 4502
感想 : 297
  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087458060

感想・レビュー・書評

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  • 親子3代にわたり学習塾を舞台に、教育に携わる家族の在り方と奮闘する姿が描かれた物語。

    約600ページの大作に躊躇しつつも、前読のカラフルが良作だったことが、有無を言わさず私の背中を押した連休中日。

    塾という立場から教育の変遷を、小説という形で読めるのがとても新鮮だった。

    そして教育に携わりながら家族として、人としての成長や繋がりが描かれていて、またもや、あっという間に私の感情は作中へと連れ去られ揺さぶられてしまう始末。

    先ほど読了したところだが、率直に良い本を読んだ充実感と余韻に浸っている。

    自分が子どもの頃はどうだっただろうか。
    親は私に何を望んでいただろうか。

    そして私も親となり。
    私は子どもに何を望んでいるだろうか。

    改めて過去を振り返り、今を見つめ考える機会を貰った一冊だった。

    ズバリ

    私は優秀な子ではなかった。
    親は私を見放さなかった。

    私が我が子に願うこと。
    優秀でなくて良いから、常に考えることを怠らない人であってほしい。

    以上。

    最後に、本作に綴られていた言葉が私のハアトにぶら下がって離れないので、ここに記しておく。


    「常に何かが欠けている三日月。欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むのかもしれない」

    • ベルガモットさん
      akodamさん、いつもいいね!ありがとうございます。
      昨日夜散歩で三日月ではなかったのですが、奇麗だなと思っていました。
      塾はとても想...
      akodamさん、いつもいいね!ありがとうございます。
      昨日夜散歩で三日月ではなかったのですが、奇麗だなと思っていました。
      塾はとても想い出深い場所だったので教育の変遷も読めるのは興味深いです。素敵な本のご紹介ありがとうございます。
      2021/10/16
    • akodamさん
      ベルガモットさん
      おはようございます。こちらこそ、いつも『いいね』とコメントまでありがとうございます。

      お月さま、見ちゃいますよね。
      私も...
      ベルガモットさん
      おはようございます。こちらこそ、いつも『いいね』とコメントまでありがとうございます。

      お月さま、見ちゃいますよね。
      私も仕事からの帰宅中、ついつい探してしまいます。

      本作品は教育がテーマの柱にあるのですが、親も子も、指導者も追随者も、満ち欠けしながら生きてるのだと改めて感じさせてくれる作品でした。

      今後ともよろしくお願いします^ ^
      2021/10/16
  • かなり「分厚い」文庫本だなぁ、と。
    森絵都さんの作品は初めて読むし、最後まで読めるのかなぁ、しかも、「教育」という、あまり面白くもなさそうなテーマだし。

    2017年本屋大賞で、あの「蜜蜂と遠雷」に次いで第2位ということでなければ、おそらく手に取ることのなかったであろう小説。

    読み始めると結構ぐいぐいと行けました。
    「走馬灯のような小説」といった印象。
    戦後教育を、塾の経営者の視点から描く。

    僕は第2次ベビーブーマーの世代なので、受験戦争がドンピシャだったりする。今はどうかわからないけど、当時の塾って学校に比べると、怪しい部分もあったよな。人気講師も癖がある人が多かった気がするし。

    塾は教育を陰から支える、学校が太陽とすれば、まさしく月のような存在。しかも、決して満つることができない「みかづき」。
    理念があっても、経営してかなくてはならず、なかなか到達できない歯痒さ。
    なるほど、深いタイトルだ。

    さらに最後の最後で、主人公・吾郎の孫の一郎が生活困窮世帯のための「学習支援」の団体を主宰する。鮮やかな、そもそもへの原点回帰で、それにも唸らされた。

  • 昭和36年から物語が始まり、約50年間にわたる戦後からの日本の学校教育と塾の現状と、時代を先取り個人塾を創設した大島家三代のお話。
    フィクションではあっても、現在は当たり前に存在する塾がこのような軌跡を辿りながら今に至るのかと初めて知りました。
    塾の運営と共に描かれる大島家の移り変わり。
    吾郎さんの憎めない人柄と千明さんの熱意。頼子さんがいて、個性的な子どもたちのそれぞれの人生や物語がとても魅力的に描かれており、本当に朝ドラを一年かけて観ているような壮大さがありました。

    厚い一冊で読むのに時間がかかりましたが、読み終わった時の達成感と読み終わってしまった寂しさがとても大きい本でした。

    • workmaさん
      ドラマ化された後に、本書を読みました。塾の成り立ちと歴史、吾郎さんと千明さんの関係、娘、家族と塾事業、学校教育など、様々なことに想いを...
      ドラマ化された後に、本書を読みました。塾の成り立ちと歴史、吾郎さんと千明さんの関係、娘、家族と塾事業、学校教育など、様々なことに想いを馳せることができ、読みごたえがありました。
      2021/06/05
    • にゃんちびさん
      workmaさん
      コメントありがとうございます!
      本当に、すごく読みごたえのある作品でした。本と一緒に50年を過ごした気持ちになり、読み終わ...
      workmaさん
      コメントありがとうございます!
      本当に、すごく読みごたえのある作品でした。本と一緒に50年を過ごした気持ちになり、読み終わった後は何やら達成感が凄かったです!
      ドラマ化もしているんですよね。やはりNHKという感じですね。私も機会があればドラマも観てみたいと思いました!
      2021/06/05
  • 面白かった
    教育をテーマに高度経済成長の時代から、現代まで親子三代の家族の物語
    教育関係の方々には必読の書でしょう

    本書の中で、学校教育を「太陽」、塾を「月」にたとえ、学校教育で落ちこぼれた子供たちを陰ながら支えていく形で塾経営をスタート。
    しかし、激動の時代の中、塾間の生存競争に生き残るため、補習型塾から進学型塾への変遷、教育方針か経営かといった難しい問題も浮き彫りにしています。

    物語としては昭和30年代から

    小学校の用務員の吾郎は先生にはなれなかったものの、子供達から慕われ、子供たちに勉強を教えてあげることに。その教え子の一人が蕗子。
    その母親でシングルマザーの千明は、当時の学校教育に反感を持っており、教え方がうまい吾郎をスカウトして、学習塾を開くことに。
    そして、二人は結婚し、蘭、菜々美と二人の娘を授かります。
    家族4人のほっこりした物語と思いきや、ここから塾経営、教育界という流れの中で、波乱万丈の物語といった展開です。
    当時の塾の位置づけ
    たびかさなる文部省の方針変化
    学校週休二日やゆとり教育
    生き残りをかけた塾の経営の難しさ
    教員の引き抜き、中傷ビラなどなど

    さらには、この家族の関係
    熟の経営方針の違いから別々の道を歩むことになった千明と吾郎
    前半は千明と吾郎の物語

    学校教育に反感をもつ千明に対して、学校の先生になった蕗子
    がり勉からキャリアウーマンになった蘭
    両親の学習塾とは別に個別指導塾を立ち上げます。
    落ちこぼれて海外にいった菜々美

    物語は、3姉妹の人生も語られていきます。

    そして後半は蕗子の息子の一郎の物語
    教育には携わらないとしていた一郎は、ひょんなことから貧困改定の子供たちのための無料の勉強会を立ち上げます。
    そして、再び、学習塾の思想の根幹に戻ります。
    それに触れた時、ちょっと心がしびれました。

    --
    教育は子どもをコントロールするためにあるんじゃない。浮上入りに抗う力、たやすくコントロールされないための力を授けるためにあるんだ
    --

    これはお勧め!!

  • 教育を舞台に親子3代の生き方を描いた作品。
    共感できるところも、できないところも。
    全体的には本当によくできた小説だと思います。

  • 家族団欒ものかと思いきや、、、
    長編でしたがどんどん先が読みたくなる作品でした。
    時間の進度が大きく、スピーディーとは違う展開がなんかスッキリさせてくれました。スポットのあたる人間が変わっていくところも良かったかな。

    教育に携わる人って尊いなぁと前から思っていましたが、この大島家の人達は凄まじいほどの情熱です。でも、みな少しずつ偏ってるところに人間味がありました。

    「みかづき」=途上の月
    欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むのかもしれない。


  • 「教育」と「家族」の物語です。
    月が少しずつ満ちて満月に近づいていくように、どこまでも教育の真髄を追いかけていった人たちの生涯が描かれています。

    昭和36年。学習塾の設立を企てていた千明が、小学校の用務員だった大島吾郎をスカウトしたことから全てが始まりました。
    当初は世間から白い目で見られていた塾というものが、戦後のベビーブームや高度経済成長を背景とした受験競争の過熱化によって、その存在感を高め、揺籃期を迎えます。

    そんな最中、吾郎・千明夫婦と3人の娘たちの間にも様々な問題が勃発。。。
    激化する塾の生き残り合戦と、家族の危機…
    章を読み進めるごとに新しい展開がどんどん繰り広げられていき、ページ数は多いですが一気に読めてしまいます。
    特に、千明の視点で話が進む後半は、同じ女性として感情移入しまくってしまいました。


    時代の移り変わりとともに、「どのような教育が良いのか?」という問いに対する答えも変化していくものだと思います。
    完璧な答えはきっと見つからないのかもしれませんが、それでも考えて悩んで、この難しい問題に真正面からぶつかっていった人たちの存在に、胸が熱くなりました。

  • 学習塾を経営する家族三代のお話。
    ボリューム故に積読となっていましたが、読み始めると面白く読み応えのある一冊でした。

    登場人物が皆魅力的で、それぞれの教育に対する真っ直ぐな思いが伝わってきます。
    月が太陽に勝とうとした始まりから、紆余曲折ありつつも遂には太陽と月が一つになり、込み上げるものがありました。

  • 題名の「みかづき」とは、太陽=学校に対する塾のことだとか。
    「太陽の光を充分に吸収できない子どもたちを、暗がりの中で静かに照らす月。今はまだはかなげな三日月にすぎないけれど、かならず、満ちていきますわ」と語る、主人公(千明)。
    戦時下そして戦後の学校教育に反発する彼女の、塾への熱い思いに圧倒されながら読み進め、文庫本606頁もアッというまに。
    17年本屋大賞で第2位を受賞したこの作品は、教育小説であるとともに、家族三代にわたる家族小説となっている。
    シングルマザーの千明に押し切られるように結婚し、塾の共同経営者となった吾郎、彼らの娘たち3人、さらに孫、そして千明の母頼子、それぞれがそれぞれの思いで教育に塾に、携わって存在感を示している。
    ハラハラドキドキとともに、ほっこりもする大河小説。
    「教育は、子どもをコントロールするためにあるんじゃない。不条理に抗うちから、たやすくコントロールされないための力を授けるためにあるんだ」
    孫の一郎が気づく思いは、著者の思いでもあるだろう。

  • 森絵都のみかづき、素晴らしかったな。
    泣いてしまった。

    塾というものが当たり前ではなかった創成期から、塾が認められていくまでの1つの親子、家族の話。

    女にはだらしないけど、素晴らしい教育者。
    大島五郎という男が実際に目の前にいるかのような気持ちになる素晴らしい作品でした。

    この家族、その子供たち、孫たちが、家族の思いが今も千葉のどこかで生きていることを願います。

    • yhyby940さん
      初めてコメントさせて頂きます。みかづき、面白いですよね。ご感想に全く同感です。NHKでドラマ化されたものを見ました。大島五郎役が高橋一生さん...
      初めてコメントさせて頂きます。みかづき、面白いですよね。ご感想に全く同感です。NHKでドラマ化されたものを見ました。大島五郎役が高橋一生さん、脇の甘さはあるものの素晴らしい教育者を演じていました。永作博美さんが野心家の妻、役名を失念してしまいましたが。原作と比べると若干コミカルな構成にはなっていましたが、機会があればご覧になられてはいかがでしょうか。原作の方が、素晴らしいのはもちろんですが。差し出がましさ、ご勘弁ください。
      2021/06/23
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著者プロフィール

1968年生。『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。産経児童出版文化賞、小学館児童出版文化賞など受賞多数。06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞。著書に『カラフル』『みかづき』等。

「2021年 『〈きもち〉はなにをしているの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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