みかづき (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
4.13
  • (10)
  • (8)
  • (4)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 361
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087458060

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 森 絵都さんは「カラフル」以来です。
    「カラフル」は傑作でした。
    当時中学生の娘にすすめて、好評でした。
    今回はテーマとして「塾」を取り上げ、一家三代に渡る大河小説になります。昔読んだ北杜夫の「楡家の人びと」を思い出しました。
     内容は、個性豊かな、特に性格なキョーレツな女性に、人に教える才能を持った男性が振り回される、ものがたりですね。
    1970年小学校4年生の時から、塾に行っていた自分と重なると言えば重なりますが、小学校の反動で、中学、高校とは塾的なものは敬遠していました。おかけで、浪人して駿台予備校のお世話になりましたが。
    5年ほど年下のいとこは、日能研というチェーン塾に行ってました。
    息子がその後中学受験で日能研にお世話になった。
    娘は小学生2年からサピックスに通った。
    子どもたちも考えてみると、基本中学、高校と塾などへ入っていない。

  • (新春のドラマ化の報を聞いて夏休みに図書館の本にて読了済みだけれど、せっかく文庫になったので手元におくべく入手。ドラマを見るときにまた読み返したくなるだろうし)

  • 新刊の広告を見て、早速とばかり本屋さんに行く。

    昭和36年に千葉で学習塾を立ち上げた夫婦と家族の50年に亘るお話しが600余頁にずっしり。
    細かな経緯の描写を排して昭和から平成の時代をダイナミックに切り取る章立て。
    淡々とした筋の運びだが、私たちの世代が歩いてきた道と重なることもあるからか、何気に最初から惹き込まれる。
    教育に対する思い、教える側と教わる側の呼吸、理念と経営の両立、夫婦の情愛の機微、子育ての苦労、血の繋がりの不思議…、色んなテーマが綯い交ぜになった連続テレビ小説の体。

    夫々のテーマについて考えさせられるところがあったけど、仕事に悩む今の私の心には、登場人物の誰もが自分のやりたいことを探し出し人生をかけてしっかりとそれに取り組んでいる姿がしみじみ沁みた。
    せちがらい競争で人生潰してきたかもしれないけどさぁ…、もう戻れないもんね。
    『どんな子であれ、親がすべきは一つよ。人生は生きる価値があるってことを、自分の人生をもって教えるだけ』という言葉に、もう一度立ち上がる気持ちを貰ったと思おう。
    人生まだまだ『満月たりえない途上の月』と。

    最後の章だけ多少トーンが違ったが、かつて私たちが受けたに違いない“子どものための教育”が能力主義と国家主義に取って代わられてきている現状に対する失望と憤りが、小説として無理のない形で分かり易く語られていて、これには共感。
    全編通じて、色々響くところがあったが、最後の終わり方も余韻あり、じんわりときた。

  • 467ページにも及ぶ大長編小説。
    題材は〔塾〕です。

    それも、
    「ジュク、それは何ですか?」
    「近ごろじゃ勉強教室のことをそう呼んだりもするそうで」
    という時代の昭和36年から平成20年までの塾業界を、三世代にわたって奮闘し続ける家族の物語です。

    「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」

    太陽の光を十分に得ることができない子どもたちの暗がりを 静かに照らし導く月でありたい。
    今は三日月でも いつかは満ちるー。 と。

    戦前の軍国教育。敗戦後ガラリと変わり民主主義教育へ。

    塾に入るが珍しく、コソコソ隠れるように通う時代から(そんな時代があったなんて知らなかった!)塾通いが当たり前の受験戦争時代へ。

    ベビーブームから少子化、高度経済成長から 不況など、刻一刻と変わっていく時代の流れの中、
    ともに変動していく 学校教育や塾に求められるもの。

    目指してきた、子どもが自分の力で考える力を身につけるための教育。

    しかし求められるのは、志望校に合格するためだけの能力。

    追い求めていたものと、追い求められるものとの間で、自分たちはどう在るべきなのか。

    とにかく 日本の教育学のあゆみ、歴史が見てとれるように組み込まれていて、
    森絵都さんの仕事っぷりにため息。。脱帽です。

    これは教育業界に携わる人はもちろん、そうでない人にも是非読んでいただきたい。

    登場人物のキャラクターもすごく良くて、それぞれ違ったキャラクターの子どもたちの成長も楽しみのひとつ。

    長い時間をかけて、その家族の繋がりと共に物語を読み進めていくうちに、どんどん涙腺が緩んで…終盤結構泣けました。

    読後、やわらかな光を纏うような、あたたかな感動に包まれて良い本を読んだなぁと、じんわりと胸に沁みました。

    作中には、太陽や月で情景が表現されている部分が度々あって、それも良かったです。



    もう、三日月の欠けた月端で 傷つくこともない。
    満たない光に 不安を感じることもない。

    この本を読んだ人にはきっと見える、
    空に浮かぶ三日月の
    満月にはないその強さ。

    満ちよう。
    満ちようとしよう。
    そうやって 生きていこう。

    そんな道しるべを照らしてくれるような一冊。

  • 【冒頭文】
    冴えた目をした子だ。最初のひと目から、吾郎は蕗子に引きつけられた。知の萌芽をほのめかす大人びた風情に、ほかの子どもとはちがう光の暈を見た思いがしたのだ。

  • 【状態】
    貸出中(予約0)

    【内容紹介】
    昭和36年。放課後の用務員室で子供たちに勉強を教えていた大島吾郎は、ある少女の母・千明に見込まれ、学習塾を開くことに。この決断が、何代にもわたる大島家の波瀾万丈の人生の幕開けとなる。二人は結婚し、娘も誕生。戦後のベビーブームや高度経済成長の時流に乗り、急速に塾は成長していくが…。第14回本屋大賞で2位となり、中央公論文芸賞を受賞した心揺さぶる大河小説、ついに文庫化。

    【キーワード】
    文庫・塾・昭和・ドラマ化

    【映像化情報】
    2019年1月26日ドラマ化
    出演:高橋一生、永作博美


    +++++1

  • 昭和から平成にかけて、教育行政と塾業界と社会の関わりを背景に大島吾郎とその家族が歩んだ道を登場人物の心情と共に見せてくれる。彼はのんびり、妻はシャカリキ、子供たちは様々に。
    私が過ごした小中高時代の教育と自分の子供たちが受けた教育を深く考えた事は無かったと気付く。教育だけで人間が出来上がるわけではないけれど、人としての核をどう作るかは大事だと思う。

  • 長々と語られる親子三代ものにしては、盛り上がりが今ひとつ。月の表現は良かったけんど。

  • 戦前は軍国主義の教育を受け、敗戦により180度価値観を転換した戦後の民主主義教育により青春を過ごしたひとりの青年の半生を軸にした一族の物語。大島吾郎は昭和36年、小学校の用務員をしていたのですが、用務員室で勉強が出来ない子に自主的に勉強を教えていたのでした。そんなある日、蕗子という一人の利発な生徒との出逢いが、彼のその後の人生を大きく変えて行きます。学習塾の黎明期から現代に至るまでの塾の変遷が吾郎の生き方を中心として、4代に渡って描かれます。
    かなりの長編の筈ですが、長いとは感じず一気に読み終えました。吾郎の妻の千明がもう一ひとりの主人公ですが、彼女独特の価値観を基準に塾経営に邁進する姿は、家庭との両立という一般に言う難しさに通じていて、それこそ波乱万丈、飽きない展開でした。彼らの子どもたちや孫の生き方も感動物でした。

  • 「みかづき」
    NHK総合 土曜21時00分
    放送開始日:2019年1月26日
    キャスト:高橋一生、永作博美、工藤阿須加、大政絢、壇蜜、黒川芽以、風吹ジュン
    http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=15024

全15件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

森 絵都(もり えと)
1968年、東京都生まれの小説家、翻訳家。早稲田大学第二文学部文学言語系専修卒業。
1990年、『リズム』で第31回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。2006年、短編集『風に舞いあがるビニールシート』で、第135回直木賞を受賞。
2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞し、2008年に映画化もされた。2017年『みかづき』で第12回中央公論文芸賞を受賞、2017年本屋大賞2位。ほか、多数の文学賞を受賞している。

みかづき (集英社文庫)のその他の作品

みかづき 単行本 みかづき 森絵都
みかづき (集英社文庫) Kindle版 みかづき (集英社文庫) 森絵都

森絵都の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮下 奈都
恩田 陸
辻村 深月
村田 沙耶香
有効な右矢印 無効な右矢印

みかづき (集英社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする