- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087458442
感想・レビュー・書評
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三浦英之『南三陸日記』集英社文庫。
朝日新聞に連載された『南三陸日記』の文庫化。文庫化にあたり『再訪 2018年秋』『文庫版のためのあとがき』を収録。
泣いた。泣けた。涙が止まらない。涙無しには読めなかった……東日本大震災後の1年間に亘り宮城県南三陸町で被災した人びとの心を伝えたノンフィクションである。
南三陸町は気仙沼市の南に位置し、歌津、志津川、神割崎など風光明媚な観光地を持つ、自然豊かな小さな町である。あの日、信じられない規模の津波が町を襲い、町を完膚無きまでに破壊尽くし、さらには多くの人びとをも飲み込んだ。犠牲になった人びと、奇跡的に生き延びた人びとに一体何の罪があったというのか……
新聞コラムの僅か35行の文章と写真から、愛する人と死に別れても、一夜にして全てを失っても、再び立ち上がり、前に進み続ける健気な姿が伝わって来る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初から最後まで、泣き通した。私はいつも喫茶店やスーパーなどで本を読むから恥ずかしくてたまらない。この本ほど泣かされた事は、ちょっと記憶にない。
作業用ジャンパーを母親に貸して、仕事場に戻ってしまった長男。命からがら撮った広報課職員の屋上に押し寄せる津波の写真。不登校児の変貌。「大したことはしていない」がれきの道をつくった男。骨組みだけになった防災対策庁舎の解体を決意する町長、記憶をどう未来に繋げるのかという課題。「コンビニって何だろう」鮮やかに一瞬だけ見せる地域の店の役割。毅然とした遺族の帰り際の一言「政府は子供たちに借金ばかり残さないで欲しい。次世代に残すのは、夢や希望であるべきだ」。新聞の自宅配達はないのに、子供たちがつくった戸倉小学校校舎いっぱいの大きさの「ありがとう」の垂れ幕。大船沢という地名、なみという母親の名前、津波を語り継ぐ活動、海から2キロの小学校で犠牲者ゼロ。
私が栞を挟んだ記事だ。全ての記事に心動かされたのだが、それでも、単に御涙頂戴にはさせない、人間の事がひときわわかったり、未来につながる記事を選んでいたようだ。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で、この人のジャーナリストとしての問題意識には信頼感を持っていたが、それを改めて感じた。その彼の大きな曲がり角が、南三陸町だったことは間違いない。35行の新聞コラムは、最も取材と文章の実力が出る形態だと思う。著者は此処で1年間鍛えられた。ジャーナリストを目指す人は、この本をひとつの(あくまでも一つの)規範にすべきだと思う。
シリーズのように書かれたエピソードがある。新婚1週間で夫を亡くした女性と、その2つの家族と、新しく生まれた娘。それらを読ませて貰って、改めて表紙の写真を見ると、この8年間の、南三陸総ての家族の祈りに似たものを感じて、やはり感無量になるのです。
2019年3月12日読了-
素敵に本書を要約なさりましたね。
作品を読みながらこれでもかというくらいに泣かされた後なのに、このレビューを読んで再び涙腺が弛んでしまいま...素敵に本書を要約なさりましたね。
作品を読みながらこれでもかというくらいに泣かされた後なのに、このレビューを読んで再び涙腺が弛んでしまいました(恥)。2019/03/29 -
2019/03/30
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単行本発売時から、ちょっと気になってはいた1冊。
東北出身者なら、読まなければいけない1冊だろう。
いや、日本人なら、かな。
文庫化されてからでなく、刊行当時に読みたかったと後悔。
(その当時には、まだ直視できない現実でもあったので…)
筆者も作中で語っているように、"記録"がいかに大切かが身に染みた1冊だった。
写真もしかり、
事実の記録もしかり、
執筆者のその時々の"想い"もしかり。
最初の2~3編目から涙腺がおかしなことになり始め、読み終えるまでついにゆるみっ放しだった。
電車の中で嗚咽の声が漏れそうになり焦ったくらい。
(幸いにも家族親類友人知人に犠牲者は出なかった自分でさえ、東北出身というだけでここまで"くる"のだから、、、当事者の方々はもしかしたら、まだこの本を読むことができないかもしれないとも思ったら。)
そんな中で、祖母が明治三陸沖地震の生き残りだという老人のエピソードが胸を打つ。
記録、そして伝承。大切だよね……。
この本が、きっとそういう"伝承"中の
小さな欠片の一片になるれくらいに、広く多くの日本人に読んで欲しい。
★4つ、9ポイント半。
2019.03.28.新。
※この本のレビューに書くにふさわしいか自信がないけど……
……
……
……
※うん、やっぱり、"記録"って大切よね。
アニメ「ちびまる子ちゃん」に出てくる
"タマちゃんのパパ"
なみに、ことあるごとに娘にカメラを向けてきたこと、10年超。。。
はじめはそれこそズバリそのまんま「タマちゃんのパパかいっ!」と周囲に突っ込まれていたけど(苦笑)、
先日、親子三人でじっくり振り返ってみたら、、、、、、
相方にも
娘にも
ちゃんと感謝されたし(^_^)v
とてもいい時間を過ごすことができたもの。 -
南三陸ホテル観洋で購入。
震災後の南三陸についてのルポルタージュ。
帰りの飛行機の中で、涙を流しながら読んだ。
被災者に寄り添う視線が暖かい。
取材に答えられる、被災者の言葉も、暖かい。
暖かく、切なく、哀しい。
震災を語り継ぐために、ご一読をおすすめします。 -
原発のせいで、震災といえば原発被害の方につい意識が向いてしまっていた。
いやいや津波で15000人くらいの人がお亡くなりになっている。えっ?15000人?
数字としても大きいけれど、数字ではない。一人一人の人間だ。震災がなければ津波がなければ普通に暮らしていた人間だ。
南三陸町では600人近い方がお亡くなりになった。
軽々と感想は言えない。
もし自分がその立場だったらと考えると、息が詰まってしまう話の連続。こんなことがあっていいのかと思ってしまう。
あ、軽々しい感想は書かないのだった。
表紙の女の子が希望の光だ。
ダメだ。言葉が軽すぎる。
お亡くなりになった人たち、その人たちを失った人たちのことを祈りたい。
思い出すこと、想いを馳せることが祈りに通じると信じたい。 -
先月、震災後初めて南三陸町に行ってきた。作者の方が泊まっていたホテル観洋は、90年代の始めの頃何度か宿泊したことがあります。本当に涙無くしては読めない本です。でも読み進めることをやめられない本でもあります。何年たっても震災の事は忘れていけないのです。子供の成長とは大きなものですね。表紙の可愛い女の子が今後共健やかでありますように願っております。
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1年に1度、思い出したように「忘れない」というのは簡単なこと。
でも、「忘れない」ことが単なる目的になってはいないか。いや「忘れない」こと、それ自体も大切ではあるけれど。
でも、その先にあるのは?あるいは、その後にあるのは?
生きたかった2万以上の命。ここにあったはずの2万以上の夢、笑顔、日常。30分の間に守れたかもしれないたくさんの人生を、これから先失わないために。
8年。表紙で恥ずかしそうに微笑む少女。彼女の「これから」が幸せでありますように。 -
電車内で読まなくて良かったと思う小説に出くわした経験はたまにあるが、これはもう事実だから、本当に最初の数ページで鳥肌が立ってしまい、涙が押さえられず、家の中なのにその後数日間、手に取れず続きを読めずにいた。
もちろん、本書は全くお涙頂戴的に書かれているのではなく、本当に多くの人に読んで欲しいと思う「記録」だった。
著者は現在は福島にいらっしゃる。
そちらでの記録を、また本書のように書籍化してくれることを切に望む。 -
著者の三浦さんが大学の授業に(リモートで)来てお話をして下さり、この本を勧められていたので読みました。その授業の前はジャーナリストになるつもりは全くなかったのですが、三浦さんの、やりがいのある仕事ですというお話を聞いて、この本を読んで、ジャーナリストになりたいなと思いました。人間って、過去のこと、特に嫌な事は忘れてしまいがちです。でも、より良い未来を築くためには過去の教訓から学ばないといけない。人間学び続けることが大事ですね。
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