慈雨 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 452
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087458589

感想・レビュー・書評

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  • 警察小説というよりは、重厚な人間ドラマですね。
    定年退職した元刑事の神場には、忘れられない事件がある。16年前に、おかしい…と思いながらも上からの圧力で終わらせてしまった少女誘拐事件。
    重いものを背負いながらの16年間。そして退職した後もその重さは変わらない。
    そして今また、あの時と酷似した少女誘拐事件が起こる。
    理想を持って始めた仕事なのに、組織の中で目を瞑らなければならない…これはとても辛いことだろうと思います。立場上、間違ったことを間違っていると言えない苦しさ。そして、人として、そんな自分を自分自身が許せない苦しさ。だけれども、自分が声を挙げれば大切な人を巻き込むことになる苦しさ。
    神場の苦しみが、妻と回る四国お遍路の旅とリンクして描かれ、読み応えたっぷりでした。




    • こっとんさん
      あ( ꒪Д꒪)
      佐方貞人シリーズですねσ(^_^;
      あ( ꒪Д꒪)
      佐方貞人シリーズですねσ(^_^;
      2024/03/25
    • yyさん
      (笑)(笑)(笑)
      気付きませんでしたよ~。
      でも、わかる、わかる。
      気付いちゃった本人は気になりますよね。
      私なんか、しょっちゅう...
      (笑)(笑)(笑)
      気付きませんでしたよ~。
      でも、わかる、わかる。
      気付いちゃった本人は気になりますよね。
      私なんか、しょっちゅうです。(∀`*ゞ)テヘッ
      2024/03/25
    • こっとんさん
      (∀`*ゞ)テヘッ
      (∀`*ゞ)テヘッ
      2024/03/25
  • 半年に一度、とても仕事が忙しい時がある
    今だ

    それなのに、この本を選んだ理由はわからない
    楽しい気持ちになる本ではなかった
    フィクションだからこそリアルなところもあり、読んでいて辛くなることも多かった

    特に千羽鶴さんの話は泣けた

    神さんや緒方さんのような刑事さんだらけだったらいいのに

  • 超絶胸アツ、刑事の信念と家族愛の描写がお見事! 元刑事の信念が涙を誘う警察小説ミステリーの傑作 #慈雨

    退官した主人公である元刑事は、妻と一緒に四国遍路にでる。
    地元で少女誘拐事件が発生したことを知った主人公は、かつて自らの疑問にもっている過去の事件に酷似していた。お遍路参りを続ける中、現役の刑事と捜査を進めていく。自身の因縁と事件は解決できるのか。

    作者お得意の警察小説、そして家族愛であふれる作品ですね。こんなの書かせたら、ホント一級品ですね、もう最高!
    魅力的な男性を描くのが大変お上手な作者ですが、本作でも渋すぎるっ カッコいい!

    過去の背景と現在の事件が少しずつ判明してくるこの感じ、まさに警察小説。お遍路参りの旅情描写もお見事で、道中で交わされる長い間連れ添った妻との会話は、深すぎて言葉になりません。

    本作で一番すばらしいところは、主人公と家族が歩んできた警察官としての迷いと信念です。正義感といった陳腐な一言では表しきれない、様々な思いが読み手の胸をうちます。そして家族への愛情も深く深く描写されていて、人間ドラマが豊潤な作品でした。

    ストーリーは序盤中盤なかなか物語に進展がなくてうずうずしますが、後半からは怒涛の展開が待っています。読後感もすっきりポジティブで、これからの自分の生き方を見つめなおす、良い機会になりました。

    仕事や家族の問題で悩んでいる人がいたら、ぜひおすすめしたい作品でした。

  • 定年退職した刑事が
    現在の少女誘拐事件と
    16年前 操作にあたった少女誘拐事件に四国遍路の旅をしながら向き合う

    話にスピード感を持たせず
    じわり…じわり…と話が進んでいき
    これがまた現職刑事ではない感じを醸し出す。

    刑事もそうだが、なんの職業でも
    【罪を犯すのも、罪を裁くのも…神ではなく、ただの人間】その難しさがつまった一冊でした( ノД`)…

  • あぁ、泣いた。
    これは背表紙にミステリーとありますけどね、ミステリーなのかしら。
    ジャンル:胸アツ
    これにしよう。
    刑事モノ、全然ハマらなかったのですが、熱すぎる!
    すっかり柚月裕子信者の私です。

    • 風鎮さん
      私は偶然この本を読んで、一気に柚月裕子のファンになりました。素晴らしいの一言です。
      私は偶然この本を読んで、一気に柚月裕子のファンになりました。素晴らしいの一言です。
      2022/11/19
    • にゃんちびさん
      風鎮さん

      こんばんは♪

      素敵でした〜慈雨!!
      私もすっかり柚月さんの虜になってしまい、本棚にどんどん積読が増えてにまにましております。
      ...
      風鎮さん

      こんばんは♪

      素敵でした〜慈雨!!
      私もすっかり柚月さんの虜になってしまい、本棚にどんどん積読が増えてにまにましております。
      早く読みたい…。

      嬉しいです!ありがとうございます!!
      2022/11/20
    • 風鎮さん
      そうですね!

      沢山読みましょう!

      そして、柚月裕子ファンをどんどん増やして行きましょう!
      そうですね!

      沢山読みましょう!

      そして、柚月裕子ファンをどんどん増やして行きましょう!
      2022/11/20
  • ミステリアスな展開を想像していたが、主人公をはじめとする登場人物の心情や思想、生き様が描かれたヒューマンドラマ。
    主人公の神場、遍路の旅路で出会った鶴のセリフには何度か心を打たれた。

  • 柚月裕子『慈雨』集英社文庫。

    文庫化されたので再読。文庫化で楽しみなのは解説であるが、本作の解説は元さわや書店の松本大介さん。松本さんは夏目漱石の『夢十夜』を引き合いに出し、面白い視点で本作の構成に隠された秘密を見事に解説してくれている。

    重たくも、何とも凄い警察小説だ。新しい形の警察推理小説と言っても良いだろう。

    過去の事件への贖罪の念に苛まれる元刑事を中心とした人間ドラマと共に現在進行形で進展する事件のどちら共に目が離せない展開の面白さ。晴れやかな気持ちになる感動のラスト。読み返しても非常に満足のいく作品であった。

    定年退職した刑事・神場智則は妻と共に42年の警察官人生を振り返る遍路旅の途中、16年前の事件と酷似した幼児殺害事件の発生が発生する。16年前の事件が冤罪であることで贖罪の念に苛まれる神場は旅先から非公式に警察の捜査に協力することに…

    清水潔の『犯人はそこにいる』に描かれた北関東連続幼女誘拐殺人事件に酷似した事件が、この小説の根幹を成しており、16年前の事件に苦しめられながらも、未だに事件解決に執念を燃やす男たちの姿が素晴らしい筆致で描かれている。

    本体価格760円
    ★★★★★

    • 黒猫ぽちさん
      「真犯人はそこにいる」を読んだ直後に、関連を全く知らないで手にとった(友達から勧められた)この作品、ものすごい既視感の中で読んだのですが、一...
      「真犯人はそこにいる」を読んだ直後に、関連を全く知らないで手にとった(友達から勧められた)この作品、ものすごい既視感の中で読んだのですが、一切中だるみすること無く、ドキュメンタリーにはない様々な人物が紡ぎ出す物語の中を心地よく読み進むことが出来ました…実に素晴らしいミステリーだと思いました。
      2019/12/28
    • ことぶきジローさん
      素晴らしいミステリーでしたね。
      素晴らしいミステリーでしたね。
      2024/03/02
  • この設定か秀逸。四国のお遍路と事件が同一進行。過ちを認める強さについて考えさせられました。深いけどわかりやすく、刺さります。

  • 「警察やめますか?人間やめますか?」
    究極の二択…

    刑事を定年退職して、過去の償いも込めて、お遍路さんしてる。(心は刑事のまま…)
    でも、そのお遍路してる最中に、幼女殺人…過去の冤罪だと思っているのに関連が!
    冤罪に絡んだ元同僚と元部下現場で捜査開始!自身は、奥さんとお遍路さんしながら、連携して、四国と現場との二元同時中継で話は進む。
    上層部の意向もあって、冤罪と思われるものに、目を瞑ってたけど、自身も元同僚(年下やけど階級は上)、ずっと被害者の幼女の夢を見る。やっぱり、自身が是としない事するとあかんねんな。

    お遍路さんが終わりに近づくと時を同じくして、事件も良い方向へ…
    人間をやめない選択で、痛手は大きいけど、良い夢見れそうな感じ(^_^)v

  • 警察官を定年退職し、妻と共に四国八十八ヶ所、お遍路の旅に出た神場。

    お遍路の途中知った少女誘拐事件は、16年前自らが捜査にあたった事件に酷似していた。
    手がかりの無い捜査状況に悩む後輩は神場を頼る。
    神場は後輩に協力しながらも、16年前の少女誘拐事件への忸怩たる思いを思い出す。
    過去の事件では胸の裡に隠していた悔恨があったのだ。

    お遍路の旅で事件解決のヒントに出会い、後輩たちに伝える神場。
    神場のお遍路の目的とは、またこの難事件は解決するのか。
    そして、16年前の事件の真相は!?


    柚月先生の作品は、どの作品ももの凄い重厚感。
    そして、もの凄い期待感を持って読んでしまう。

    この作品も作者買いをしたので、物語のペースの遅さに
    途中漫画に走ってしまいました。ごめんなさい(^-^;

    前半はとにかく、八十八ヶ所を回っているだけでちっとも物語が進展しない(^-^;
    ここら辺でくたびれてしまったが、後半半分は一気に畳みかけてくる展開。
    これぞ柚月先生。

    最後はしっかり満足させられたが、前半のゆるやかな展開がキツかったので
    ★×3。厳し目ですみません(^-^;作者への期待感からです。

    漫画もいいけど、やっぱり小説好きだなぁ~♪

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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