生きて候(上) (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460049

感想・レビュー・書評

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  • 本書にて倉橋政重という武将の存在を初めて知りました。
    安倍氏の視点で読む限り、政重の地位や権力を求めず義理と民衆の安寧を重んじる生き方はこの時代には珍しく清々しい。
    一方で秀吉の朝鮮主兵はどの本を読んでも救いのない愚挙であり、それまでのサクセスストーリーの末期を汚すものですね。家康は天下泰平を求める理想は素晴らしいもののそこに至るまでの政略はえげつないし、信長は非武装民への容赦ない攻撃は許し難い。三英傑と後世まで称えられているものの、いずれも長所と短所の差があまりにも大き過ぎて好きになれないなぁ。
    本書に戻ると、政重がどのように生きてゆくのか後半が楽しみです。

  • 本多正信の次男正重を主人公にした作品。故あって敵討ちに手を貸し徳川家を出奔。前田利家に見込まれ朝鮮の役の現地調査に派遣される。帰国後は宇喜多家の内紛、徳川家復帰への吟味など徳川家、兄正純の陰謀などに巻き込まれる。

  • 始まりから面白い。槍の使い手のみならず、父から受け継ぐ、人としての生き様に感動する。

  • 本多正信の子息、故あって倉橋家の養子となった武辺者、政重。親友戸田蔵人のために仇討ちを果たし、徳川家を出奔。前田利家の依頼で弘安の役の状況を視察しに朝鮮に渡り、現地の悲惨な状況を目の当たりにする。帰国後、兄、本多正純の陰湿な策謀と対峙する。
    武を極め、世情を的確に把握しながら、義に殉じようとする一本気な政重、読んでいて気持ちがいい。
    後編では、正純との対立が激化しそう。

  • 主人公の政重が、それほどかっこよくない。
    上巻は、架空設定と思われる女性が登場してくる。この女性とのロミオとジュリエット的な恋愛にあまりときめかず。だからか、上巻は少し退屈。
    下巻で、関ヶ原が始まると、ドキドキして、読むスピードが速まった。

    それよりかっこよく描かれているのが、宇喜田秀家。
    純粋で一本気で、かっこいい。それに妻の豪姫との間に交わされる愛情も素敵。

    三成が関ヶ原で敗北に向かう様子は誰の本で見ても、かわいそうで、泣けてくる。今回の三成は、豊臣家からも見捨てられ、たくさんの虚偽を一人で飲みこんで、同情を禁じ得ない。小柄さを強調しており、頼りない三成の姿が痛々しく、また性格がかわいい。

  • 本多正信の次男でありながら、関ヶ原の戦いでは西軍についた本多政重について書いた本です。

    本多政重は、関ヶ原の戦いでは西軍で戦ったり、前田家に仕えた後、上杉家で直江兼続の娘婿となったり、兼続の娘が死ぬと前田家に戻ったりと、変わった経歴を持っていることを知っていましたが、この本では、なぜそのような行動を取ったのかがよく分かるような内容となっていました。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-ce79.html

  • さぁ、下巻だ。

  • 正信次男坊のお話。予想以上に面白くて半日で読んでしまった。

    物語らしい脚色もありながら、目を背けたくなるような現実も突きつけてくる。本当に朝鮮の役はむごい。どうしてこんな事をしたんだろうと思うが、理由なんかいらない。こんな事してはいけないのだ。強くてカッコいい主人公だが、結局は無力で見過ごしているところもちゃんと書いているのが現実的だった。

    登場人物もみんな魅力的!本当に20代なのかってくらいおっさん臭いしっかりした主人公(でも子供の泣き声に弱い)録より何より自分の生き方にこだわる天晴な人物。
    秀家はかっこいいし、三成の姿勢には泣けた。近衛信尹さんが愉快。そして正信パパがなんか可愛い←

    事実かどうかわからないが、宇喜多騒動が複雑すぎる!!
    まだ読み終わってないのに、著者の他の本が読みたくなった。
    久しぶりに読書に夢中になったおすすめの本。

    下巻に続く。

  • 関が原の戦いの頃の話。徳川家康の右腕であった本多正信の次男に生まれながら,二代将軍秀忠の近習を切り殺し徳川家を出奔し,関が原では宇喜多秀家の先方として徳川方と戦いつつも生き残り,合戦後は秀家の逃走や助命に奔走し,最後には加賀前田家の筆頭家老に迎えられた本多政重の話。徳川を出奔して浪人になっても,宇喜多家で2万石,前田家で5万石で召抱えられるのだから,どのような人物だったのだろうというところから,著者は興味を抱いたらしい。ただ,親である本多正信が家康の懐刀だから,家康との橋渡しにという思惑が少なからずあったようには思うが,金沢市にある本多蔵品館の修蔵品の政重所用の大身槍を見ると,一概にそうではないように思われる。「名槍」相州正俊と検索すればその業物が見れる。なんと穂の長さが83センチもあるのだ。
    本書では,あまり一般的に知られていない本多政重を取り上げているが,本書を読めば一発で政重の魅力にとりつかれるであろうと思われるほど,かっこいい生き方をしている。宇喜多秀家しかり,本多正信しかり。また,政重の一の家来である,竹蔵は後の宮本武蔵という設定になっているが,そこは?である。竹蔵,宇喜多家と聞いて,んっと思ったが,やはり最後の最後にそのようなながれになっていた。
    また,上杉景勝の家臣直江兼続は政重を婿養子に迎え,一時期は直江大和守勝吉と称していたこともある。NHKでも登場していたと思うが,忘れてしまった。
    各章の終わりには,万葉集などから取り上げた和歌がさらりと書かれているが,それもすごく良い。まさに,その場面を一言の詩であらわしているように思われ,このようなところに対しても著者の造詣のの深さが読み取れる。
    宮城谷氏や司馬氏のようにまでとはいかないものの,もう少し,著者の作品を読んでみようと思う。
    全2巻

  • 本多政重が主人公の小説です。父は本多正信、兄が本多正純ですが、彼らのような謀略家ではなくまさに豪傑という人物で、この小説でもその武勇が強調されていますね。対照的な性格の正信・正純と政重のやりとりは見応えがあります。しかしなんといっても戦場での描写が迫力十分!あくまでも武辺者としての意地を貫いたその生き様には心が震えます。

    読了日 2006年2月

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著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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