リアルワールド (集英社文庫(日本))

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1643
レビュー : 247
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460100

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物は高校生ながら、いつものようにグロテスク。単純に見えて悩みが深い。他の選択肢なんて思いもつかない、それくらい世界が狭かったっけ、と自分の昔を振り返る。もう一回読みたい。

  • 文庫版2006年初版。
    BOOKOFFで108円で購入し積んでいたもの。ハードカバーも古本で買っていたが、未読のまま。
    今回も、桐野毒に中てられた。

    母を殺したミミズについて、「取り返しのつくこと」と捉えるテラウチの心の闇の描写が素晴らしい。
    著者は、一歩間違えるとこうだった?

    物語は、高校3年生の山十四子の隣の少年(ミミズ)が母親を殺し逃走。その際、十四子が自転車に忘れていた携帯ごと盗んで逃走する。ミミズは、十四子の携帯のアドレスにあった友達、レズであることに悩んでいるユウザン、可憐で純情のふりをしながら実は遊んでいるキラリン、頭が良く自己中毒に罹っているテラウチに電話する。
    まず、十四子が警察からの取り調べに自分の自転車が使われたことを言わない。次に、ユウザンは別の形態を契約し、自分の自転車と一緒にミミズに渡す。キラリンはわざわざ逃亡中のミミズに高崎まで会いに行き、一緒に逃亡することになる。テラウチはミミズから犯行声明を書くことを頼まれるが、キラリンとミミズの行動の単純さが我慢ならず警察に二人の潜伏先を密告する。
    警察が近くに迫っていることを知ったミミズとキラリンは、タクシー強盗をして東京に戻ろうとするが、ミミズが誤ってタクシー運転手を殺してしまい、タクシーが対向車に激突しキラリンも死んでしまう。
    キラリンが死んだという知らせを十四子から聞いたテラウチは、キラリンたちが死んだことも理由の一つとして十四子に遺書を残して自殺してしまう。
    密かに、テラウチを慕っていたユウザンは、卒業を前に学校に来なくなる。
    こう書くと、絶望的な話だが、高校生の心情がよく書かれており、じぶんも若いころは自分を持て余していたなぁと思いながら読み、読後はちょっと切ない。

    テラウチ
    『私は大人が恐ろしくなった。病んだ心に手当てができると思いこんでいる、科学へのお目出度い信頼感を抱いている楽観に。そして、病んだ心を持つ子供に手当てをしなければならないと信じている大人の強迫観念に』
    『愛する親が信じられなくなっても受け入れる子供は、いつしか自分を信じられなくなる。見ろ、ミミズ。これが「取り返しの付かないこと」なのだ。母親を殺すことなんかじゃない』
    解説には、本当に取り返しの付かないことを「永久に終わらなくてずっと心の中に滞って、そのうち心が食べ尽くされてしまう怖ろしいこと」としているが、見つけ切らなかった。
    タイトルは、テラウチの遺書から『わたしはリアルワールドに旅立つ。だって、自分の死こそが超リアルの中になるほんとのリアルってもんだろ』

  • ひとりひとりの闇がそれぞれあって、描き方がよかった。

  • 2014.12.07

    こういう小説最近どこかで読んだ気がする…と思ったら湊かなえ著『夜行観覧車』でした。
    ストーリー展開は少し違いますが、登場人物ごとに章が分かれていて、それぞれの視点で殺人事件が語られるところが似ているなという印象。

    母を殺したミミズの気持ちがわかるようなわからないような。
    女友達同士がお互いをどう思っているか、そしてそれぞれが深い悩みを抱えながら、友達を大事に思ってることが伝わってきた。
    高校生の、子供から大人になる過程の複雑な感情と危なっかしさがうまく描かれていた。ここを乗り越えられれば大人になれたのに、みんなちょっとずつレールを外れてしまったんだと思う。そういう青春ストーリー。
    最後の結末はハッピーエンドではないけれど、意外な終わり方が良かったと思う。

  • 仲良し四人組の女子高生が、とある事件をきっかけに人生を狂わせていく( ´ ▽ ` )ノ。
    皆が裏と表の顔を合わせ持ち、自分だけが各人の裏の顔を知っていて、自分の裏は隠し通せていると思い込んでいる( ´ ▽ ` )ノ。
    でも、自分で思っている「裏」は本当の自分じゃないんだな( ´ ▽ ` )ノ。
    その勘違いが、物語を不幸な結末に追い込んでいく......

  • 【本の内容】
    高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。

    ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。

    そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。

    遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。

    登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。

    高校生の心の闇を抉る長編問題作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    桐野夏生ならではの生々しい心理描写。

    何が生々しいかというと、語り手である四人の女子高生たちの生態はもちろんのこと、親しい友達のようでいて彼女たちがほとんどわかりあえていないということだ。

    高校生の時点では、まだ少年少女はそれぞれの家庭に重く縛られている。

    そして家庭のことは他人に理解しにくいところが大きい。

    たとえばここで描かれているテラウチの絶望。

    信じられないながらも母親を愛すことで、自分自身も信じられなくなる。

    これが「取り返しのつかないこと」だとテラウチは絶望する。

    だがこの小説で語り手になっている他の三人のうち、誰がこの絶望を理解するだろう。

    おそらく皆、うっすらとしか理解できないだろう。

    女子高生たちは母親殺しのミミズ少年に、「何かが自分と共鳴するかもしれない」と感じる。

    しかし感じ方は皆ばらばらで、当のミミズ少年は、何とあきれるくらい単純でバカなのだ。

    皆が違う世界を見ている。

    そして高校生のリアルとは、他人とけして共有できない絶望のなかにしかない。

    そんなリアルワールドに引き込んでくれる。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 自分にもこんな時期があったのだろうか。あったんだろうな、都合良く忘れてしまったけど。絶望的な闇。なんとか逃れた人だけが前に進んできたんだね。

  • 一夏でこんなに状況が変わってしまうとは…てくらいな展開。読みやすかった。

  • うんうん、こんな感じの子いたなぁって高校時代を思い出しながら読み始めたら、その子達が歯車を回し始めて、あっと言う間に話が進んでいき、気が付いたら最後まで読み終わっていた。
    桐野夏生さんの作品らしく、人間臭くて、生臭い登場人物が10代になるとこうなるのか、と面白く感じる。
    ていうか、これもある意味 青春物語 。
    バッドエンドでもなく、グッドエンドでもない、心にちょっとひっかかる、そんなお話。

  • 初めて読んだ桐野夏生作品がグロテスクで、それが終わってる大人のドロドロだったから、こんな風な未来ある少年少女の消えてゆく希望も書けることに感動した。桐野夏生作品いっぱい読んでみよーっと。

著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞を受賞。2015年、紫綬褒章を受章した。近著に』『奴隷小説』『抱く女』『バラカ』など。

「2016年 『猿の見る夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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