リアルワールド (集英社文庫(日本))

著者 :
  • 集英社
3.30
  • (58)
  • (201)
  • (455)
  • (56)
  • (14)
本棚登録 : 1642
レビュー : 245
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460100

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 昔の自分が
    こんな道を進んでいた可能性もあったから
    主人公にとても感情移入してしまった

  • (ややネタばれあり?)

    話の粗筋は、数年前にコミックを読んでいたので知っていた。しかしながら、活字での読み応えはすさまじいものがある。
    それぞれの登場人物の抱えるものと、それぞれの武装。社会的には最も重い罪を犯した者が、実は最も単純明快。それは自らの在りようの落としどころを外の世界に求めるか、自身の内側に向けてゆくかという分岐の末にある「取り返し」の可否であり、あるいは、男女の違いであるかもしれない。
    桐野作品においては、たびたび、性差というものが重要なファクタとして存在する(という印象を持っている)。
    殺人犯の少年というアイコンを取り巻く、罪のない好奇心や自尊心が物語をうごかす。その過程で、浮き彫りになってゆくもの。浮き彫り、という表現では生温いほどに、まさにえぐり出すといっていい。
    一方、アイコンは最後まで鉄のようにゆるぎなくアイコンなのである。この対比もあざやかな印象を残す。
    白昼夢のような逃避行、それに絡む人間たち。罪を打ち遣り、是非すらも問うことなくただただ突き詰めた先に、自分の身をもって引き受けたもの、それだけが『リアルワールド』へと導く。
    逡巡の末に、それぞれが見出すリアルワールドとは。

  • 大学受験が終わり、東京駅のキオスクで偶然発見。
    新幹線の中、読み終わると泣きそうになった。

    物事にタイミングというものがあるのなら、
    あの時の自分にはこの本が必要だったんだなと思う。
    「取り返しの付かないこと」が余りに悲しく、余りに圧倒的。

    おそらく私はこの本を再び読み返すことはない。しかし、私の本棚からなくなることもないだろう。

  • 桐野夏生の文章の書き方が好きです!


    4人の女子高生と、殺人を犯した1人の男子高生のお話。

    「ミミズ」とあだ名をつけて小馬鹿にしてた隣の家の息子が母親を殺した。
    その「ミミズ」と携帯電話でつながることになった4人の少女たち。
    それぞれの悩みが、ミミズの逃走劇と共にむき出しになって、加速していく。

  • みんながみんなそれぞれの不幸を背負ってるように見えるのは、偶然この本の登場人物がみんなそうだったからか、桐野夏生がそう読ませたのか、それとも現実の女子高生がそういうもんだからなのかな。混乱したまま読み終わる。桐野夏生の文章には貫禄を感じる。荒々しさが安っぽくない。

  • 女子高生・トシの隣家に住む男子高生・ミミズが母親を殺して逃走した。ミミズの逃走を、なぜか手助けするトシとその仲間たち。


    高校生の彼らは、表向きはごく普通の――頭がよかったり、勉強ができたり、みんなの人気者といった、ありふれた高校生だ。だが、それぞれが誰にも言えない、誰にも見せられない闇や秘密を抱えている。


    テラウチは不倫する母親を責められず自分に絶望し、ユウザンは早くに母を亡くした喪失感とレズビアンであることを打ち明けられない苦しさを抱え、キラリンは好きな男に手ひどく裏切られて出会い系サイトで男とむなしく遊びまくり、ミミズは自分勝手な欲望を押し付ける両親を憎悪している。


    ただ一人、トシは、ほかの4人のような屈折は抱えていないのだが、その代わり、彼女が最終的に、ほかの4人の痛みをすべて引き受けることになるのだ。


    嫉妬や憎悪、軽蔑が5人の間を駆け巡る。結末に向かうにつれ、彼らがひっそり抱えている苦しみがむき出しになって、読むだけでもヒリヒリする。それにしても、テラウチの、ミミズへの批判は深遠だ。こんな女子高生、いたら恐ろしい。でも過度にセンシティブなあの年齢なら逆にありえるのかもしれない。

  • 「リアル」な10代像ではないかもしれないですが、最後までとどまるところのない勢いのある展開で、一気に読んでしまいました。

  • (再読)

  • 発端は隣に住む名門校の高校生による母親殺し。

    なんとなくほんとのことを言いそびれてしまったとか、
    ゲーム感覚、TVや映画や漫画で既視した行動を
    リアルワールドで無分別にしてるうちに、
    取り返しがつかなくなって悲惨な結末を迎えることになる・・・
    明るい高校生たちが主役の小説。

    いまどき、びっくりするような事件の大半は
    こんな感じでやってるんだろなって思いました。

  • 一気読みしました。

    章ごとに主観が変わるタイプ。
    女子高生四人は、トシちゃんを除いてお互いに本当の自分を隠している気でいる。トシちゃんだけは、外界に、いわゆる道ですれ違う人に。そして仲良しで、信頼し合っているはずなのに、自分は完璧に相手を欺いていて、自分は相手が隠しているものを知っていると思い込んでいる。
    この感じ、すごいわかる。だから時々核心に迫られるとどうしようもなく焦ってしまうのだ。
    そして母親殺しの逃亡犯ミミズ。
    勉強ばかりさせられて、賢かったはずなのに気付けば劣等生。やり場がない焦燥はスケベ心に傾斜し、それすら母親の支配下で制御されそうになってキレる。
    これもわかる。高い自尊心と激しい劣等感は身を切り裂くのだ。

    全員が思い思いに軽はずみに重ねた行動は、雪だるま式に大きくなって速度を増し、気付けば誰も止められなくなってしまっていた。



    ぞっとしたのは「ミミズ」と「ミミズ2」の心境の違い。
    ミミズがどんどん狂っていく恐怖。

    ハッとさせられたのは私がこの本と同じ、高3の夏休みを過ごしていること。
    節々で彼、彼女か自分と同い年だということを気付かせられる。

    今私の周りでこんなことが起こったら?
    私は迷わず警察に通報します。
    一章で話が終わっちゃうね。

著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞を受賞。2015年、紫綬褒章を受章した。近著に』『奴隷小説』『抱く女』『バラカ』など。

「2016年 『猿の見る夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

リアルワールド (集英社文庫(日本))のその他の作品

リアルワールド 単行本 リアルワールド 桐野夏生

桐野夏生の作品

ツイートする