リアルワールド (集英社文庫(日本))

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1644
レビュー : 247
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460100

感想・レビュー・書評

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  • 高校生特有の青臭かったり、悲観的で、大人を軽蔑するような気持ち。
    それをとっくに手放してしまった大人が読むと、なんとも言えない気持ちになる。
    結局は大きな社会の中のちっぽけな存在であり、何にも抗えないんだよな…と、なんだか高校生の時の感情が懐かしくなる。

    事件自体は大きく扱っておらず、とくにどんでん返しもない。
    最後はかなりスピーディに終わる。取り残された主人公の行く末が気になる。

  • はじめての桐野夏生作品。

    「あなたたち仲良しグループは、隣の少年が逃げているのを知っていて、皆で応援していたのではないかと。それを寺内さんが知って、怒って通報し、思いがけない事故で東山さんが亡くなられたので、責任を感じて寺内さんは自殺したのでは」

    物語りを単純に表すと最後の刑事さんの言う通りなわけだが、それをこんなにも緻密に、濃く、ストーリーや人物を構築していける事に驚く。

    人物に主役、脇役、がないところが一層、実世界、リアルワールドぽさを感じた。

  • 行為の代償は安くない。

  • うーん、、、全員病んでる。
    友人でもなんでもない、ましてや顔も知らない殺人犯に、携帯を新規契約して渡したり、のこのこ会いに行ったり。

    「理解不能」 だった。

    どの登場人物も魅力がなく、惹きつけられるものもなく。
    ただ、字面を追うだけの読書になってしまった。

    とくにテラウチの「あだー」という言葉使いと、「超哲学的人間で抽象的思考の持ち主」と自己陶酔している性格が、読んでいて疲れた。

  • 読んだことを後悔する風ではなかったけれど、闇が濃くて、気分が悪くなるようだった。特に母親殺しの男子高校生の章は彼にとっては当たり前のように語られる思考や逃亡中故の不潔さが強烈で気持ちが悪かった。一読しただけではわたしにはよくわからなかった遺書や手紙を通して、違う人間だから簡単には理解出来ないそれぞれの考えやその流れが人の中には詰まっていることを強く感じた。全体的に読んでいて心地好くはなかったけれど、それぞれの深いリアルがとても書き切られているように感じられた。

  • 何を選んでも絶対誰も救われなさそうでずっとヒヤヒヤしてた…闇が深すぎる

  • すごい話。
    隣の家の少年が母親を殺して出ていった。
    そんな少年に興味を覚えた四人の少女は、逃走中の少年とコンタクトを取る。
    ゲーム感覚の異常な展開に背筋が凍る。

    2018.3.6

  • 隣に住む同級生が、ある日母親殺しの犯人として逃亡。逃亡中に主人公の友人たちにコンタクトをとり、少しずつ交わっていく。

  • 登場人物は高校生ながら、いつものようにグロテスク。単純に見えて悩みが深い。他の選択肢なんて思いもつかない、それくらい世界が狭かったっけ、と自分の昔を振り返る。もう一回読みたい。

  • 完璧な自分を生きられないなら死ぬ。

  • 文庫版2006年初版。
    BOOKOFFで108円で購入し積んでいたもの。ハードカバーも古本で買っていたが、未読のまま。
    今回も、桐野毒に中てられた。

    母を殺したミミズについて、「取り返しのつくこと」と捉えるテラウチの心の闇の描写が素晴らしい。
    著者は、一歩間違えるとこうだった?

    物語は、高校3年生の山十四子の隣の少年(ミミズ)が母親を殺し逃走。その際、十四子が自転車に忘れていた携帯ごと盗んで逃走する。ミミズは、十四子の携帯のアドレスにあった友達、レズであることに悩んでいるユウザン、可憐で純情のふりをしながら実は遊んでいるキラリン、頭が良く自己中毒に罹っているテラウチに電話する。
    まず、十四子が警察からの取り調べに自分の自転車が使われたことを言わない。次に、ユウザンは別の形態を契約し、自分の自転車と一緒にミミズに渡す。キラリンはわざわざ逃亡中のミミズに高崎まで会いに行き、一緒に逃亡することになる。テラウチはミミズから犯行声明を書くことを頼まれるが、キラリンとミミズの行動の単純さが我慢ならず警察に二人の潜伏先を密告する。
    警察が近くに迫っていることを知ったミミズとキラリンは、タクシー強盗をして東京に戻ろうとするが、ミミズが誤ってタクシー運転手を殺してしまい、タクシーが対向車に激突しキラリンも死んでしまう。
    キラリンが死んだという知らせを十四子から聞いたテラウチは、キラリンたちが死んだことも理由の一つとして十四子に遺書を残して自殺してしまう。
    密かに、テラウチを慕っていたユウザンは、卒業を前に学校に来なくなる。
    こう書くと、絶望的な話だが、高校生の心情がよく書かれており、じぶんも若いころは自分を持て余していたなぁと思いながら読み、読後はちょっと切ない。

    テラウチ
    『私は大人が恐ろしくなった。病んだ心に手当てができると思いこんでいる、科学へのお目出度い信頼感を抱いている楽観に。そして、病んだ心を持つ子供に手当てをしなければならないと信じている大人の強迫観念に』
    『愛する親が信じられなくなっても受け入れる子供は、いつしか自分を信じられなくなる。見ろ、ミミズ。これが「取り返しの付かないこと」なのだ。母親を殺すことなんかじゃない』
    解説には、本当に取り返しの付かないことを「永久に終わらなくてずっと心の中に滞って、そのうち心が食べ尽くされてしまう怖ろしいこと」としているが、見つけ切らなかった。
    タイトルは、テラウチの遺書から『わたしはリアルワールドに旅立つ。だって、自分の死こそが超リアルの中になるほんとのリアルってもんだろ』

  • 少しずつ登場人物の本来の本質や過去をだしながら物語が進む流れが面白かった。自分が高校生の頃を思い出しながらあの頃と比較し、懐かしい感情や記憶が蘇る場面が多くあった。
    きらりんのゲイ友だちはある程度真相を知っているため最終的には警察にバレてしまうのではないか。個人的にはユウザンとトシはこのまま日常生活を続けながらも一生消えない深い記憶として苦しみ続けてほしい。最後までもやもやした息苦しさを残したい。

  • 2015.4/9〜11。大人では感じることのできない、高校生の心理。今の子がこうであるかはわからないが。子どもにも大人にもなりきれない不満や葛藤が痛々しくもあり、少し懐かしい気持ちにもなった。

  • ひとりひとりの闇がそれぞれあって、描き方がよかった。

  • 2015/02/02再読。
    前に読んだときも感じたが、リアルワールドってタイトルがあまりピンとこない。

    母親を殺した男子高校生(ミミズ)と同じ年齢の4人の女子高生(ホリニンナ、キラリン、テラウチ、ユウザン)。
    ホリニンナの携帯をミミズに盗まれたことがきっかけで4人の女子高生は男子高校生の逃走を助けてしまう。
    それぞれがミミズを見る視点や、ミミズが中心に入ることで普段見えなかった女子高生同士の関係性が少しずつ見えてきて面白かった。

  • 2014.12.07

    こういう小説最近どこかで読んだ気がする…と思ったら湊かなえ著『夜行観覧車』でした。
    ストーリー展開は少し違いますが、登場人物ごとに章が分かれていて、それぞれの視点で殺人事件が語られるところが似ているなという印象。

    母を殺したミミズの気持ちがわかるようなわからないような。
    女友達同士がお互いをどう思っているか、そしてそれぞれが深い悩みを抱えながら、友達を大事に思ってることが伝わってきた。
    高校生の、子供から大人になる過程の複雑な感情と危なっかしさがうまく描かれていた。ここを乗り越えられれば大人になれたのに、みんなちょっとずつレールを外れてしまったんだと思う。そういう青春ストーリー。
    最後の結末はハッピーエンドではないけれど、意外な終わり方が良かったと思う。

  • 私としては、なんだか不思議な感覚を抱いた本。隣に住む男の子が殺人を犯し、彼に人質として逃亡を共にさせられるのだが、次第に恋愛関係へと発展してしまい、最後は衝撃のラストとなる。

  • 仲良し四人組の女子高生が、とある事件をきっかけに人生を狂わせていく( ´ ▽ ` )ノ。
    皆が裏と表の顔を合わせ持ち、自分だけが各人の裏の顔を知っていて、自分の裏は隠し通せていると思い込んでいる( ´ ▽ ` )ノ。
    でも、自分で思っている「裏」は本当の自分じゃないんだな( ´ ▽ ` )ノ。
    その勘違いが、物語を不幸な結末に追い込んでいく......

  • 【本の内容】
    高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。

    ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。

    そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。

    遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。

    登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。

    高校生の心の闇を抉る長編問題作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    桐野夏生ならではの生々しい心理描写。

    何が生々しいかというと、語り手である四人の女子高生たちの生態はもちろんのこと、親しい友達のようでいて彼女たちがほとんどわかりあえていないということだ。

    高校生の時点では、まだ少年少女はそれぞれの家庭に重く縛られている。

    そして家庭のことは他人に理解しにくいところが大きい。

    たとえばここで描かれているテラウチの絶望。

    信じられないながらも母親を愛すことで、自分自身も信じられなくなる。

    これが「取り返しのつかないこと」だとテラウチは絶望する。

    だがこの小説で語り手になっている他の三人のうち、誰がこの絶望を理解するだろう。

    おそらく皆、うっすらとしか理解できないだろう。

    女子高生たちは母親殺しのミミズ少年に、「何かが自分と共鳴するかもしれない」と感じる。

    しかし感じ方は皆ばらばらで、当のミミズ少年は、何とあきれるくらい単純でバカなのだ。

    皆が違う世界を見ている。

    そして高校生のリアルとは、他人とけして共有できない絶望のなかにしかない。

    そんなリアルワールドに引き込んでくれる。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 4人の高校生の微妙な人間関係
    隣の暗い高校生が、母親殺し
    その逃走に4人がそれぞれの異なる考えで関与する。内容は平凡な事件だが4人の関与の仕方や、考え方の違いで描いている。
    ただし、こんな女子校生グループはありえないかな?

    題名もちょっと違和感感じる。

  • どういう読み方をすればいいのかわからないまま読み終わってしまった…。ありきたりで平和な高校生活を送っていた自分には合わない本だった。

  • 5人の異なった視点からの文章には最初は戸惑ったけど、こういうのも悪くない。途中までの展開と結末の落差がやっぱり桐野ワールドなんだなぁ・・・毎回ショックを受ける。今の時代、リアルワールド=いつでも厳しすぎる現実のような気がする。

  • 自分にもこんな時期があったのだろうか。あったんだろうな、都合良く忘れてしまったけど。絶望的な闇。なんとか逃れた人だけが前に進んできたんだね。

  • 昔の自分が
    こんな道を進んでいた可能性もあったから
    主人公にとても感情移入してしまった

  • 高校生の心の闇を描いた作品。ぐんぐん引き込まれたし、みんな一筋縄じゃいかないってのは理解できるけど、救いがない結末はあまりにも悲しい。取り返しがつかなすぎる。

  • 女子高生の表の顔と裏の顔、対する友達によって顔を変えていったり、本当の気持ちを隠したり。それは誰にでもあることだと思う。しかし、そんなちぐはぐな気持ちから思いもよらぬ事態に巻き込まれてしまう。

  • 高校三年生の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。
    ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。
    そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。
    遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。
    登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。
    高校生の心の闇を抉る長編問題作。


    昔だったら考えられないけど、現代だったらもしかしたらこんなことありそうかなと思った。周りとの関わりが上手くできなくて、わかんなくなって、善悪の判断が出来なくなる…
    怖いなと思った。

  • どぉなってしまうのか?
    気になってどんどん読み進めて、1日で読み終わった。

    あまりにも現実味がない。
    登場人物の女子高生の4人、誰一人として行動に共感出来なかった。
    なんでそぉなるんだ。と思う行動ばかり。
    それは私が現代の女子高生ではないから、理解できないのだろうか。
    自分が高校生の頃、ここまで後先を考えずに今を打破したいと思ったことがあったか?私にはない。

    みんなが選択を誤って、人生が狂ってしまう。読めば読むほど不幸せな結末に向かっていく。

  • 一夏でこんなに状況が変わってしまうとは…てくらいな展開。読みやすかった。

  • うんうん、こんな感じの子いたなぁって高校時代を思い出しながら読み始めたら、その子達が歯車を回し始めて、あっと言う間に話が進んでいき、気が付いたら最後まで読み終わっていた。
    桐野夏生さんの作品らしく、人間臭くて、生臭い登場人物が10代になるとこうなるのか、と面白く感じる。
    ていうか、これもある意味 青春物語 。
    バッドエンドでもなく、グッドエンドでもない、心にちょっとひっかかる、そんなお話。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞を受賞。2015年、紫綬褒章を受章した。近著に』『奴隷小説』『抱く女』『バラカ』など。

「2016年 『猿の見る夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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