生きいそぎ (集英社文庫(日本))

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 77
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460124

感想・レビュー・書評

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  • 読解力がなさすぎでよくわからないものもあったけど、夢を見ているような感じ。
    哀愁漂う老後のほのぼのしたお話なのかと思ったら、仄暗いミステリーのような怖い雰囲気でした。

  • 【本の内容】
    定年を迎えたり、親しい友人が亡くなったり、親やきょうだいの法事に集まったりするとき、ふと胸をよぎるのは、幼かった頃のことや、最も輝いていた時期のことだ。

    人は皆、戻るべき故郷があるというけれど、戻ればそこは、変わり果て居場所さえもままならない。

    でもまた生きてゆかなければならない。

    老いに向かう人生の「秋」を叙情豊かに描く短編小説集。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    本作品集は八つの短編からなる。

    どれも老境にさしかかりつつある男性が語り手となっている。

    ほの暗いタッチの、苦渋に満ちた作品ばかりなのだが、その割には読みやすい。

    なぜかというと、文章が端正で、過剰な表現や無駄がなく、人物や情景の描写が非常に巧みになされているからだ。

    そのおかげで物語世界に入り込みやすいのだ。

    どの作品もNHKの夜10時からのドラマに似合いそうな佳品である。

    印象に残った作品をいくつか挙げておこう。

    「うつせみなれば」では、夫婦の亀裂の背後にある、夫の取り返しのつかない行為が仮借ないほど残酷に描かれる。

    「燐火」では、山歩きをする主人公が出会った、奇妙な老婆とのいささか滑稽な交流が、やがて不気味なラストに至る。

    「逃げ水」では、悪夢のようなシュールな展開に、足元が崩れてゆくような感覚が味わえる。

    私にとってはこの作品が本作品中のベスト。

    「赤い記憶」は母親の死にまつわる忌まわしい記憶の呪縛が、一人の男の人生を狂わせてゆくという、哀しく怖い作品である。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 文章がとても美しいので 大好きな志水辰夫氏。
    実は父が入院・手術を受けると知る前に少し読んでいた本。
    タイトルが縁起が悪いので、中断していました。
    父も順調なので続きをを読みました。
    人生の秋をテーマにした短編集「生きいそぎ」。
    すごくきれいな文章で、読んでいてとても気持ちよくなります。
    本当に文章力を感じます。
    一番最後の「赤い記憶」はちょっと怖い話で最後はとても悲しくなりました。

  • 新規購入ではなく、積読状態のもの。
    2010/1/4〜1/5

    様々な過去を振り返る男達のそれぞれの人生の秋を描く短編集。「人形の家」、「五十回忌」、「こういう話」、「うつせみなれば」、「燐火」、「逃げ水」、「曼珠沙華」、「赤い記憶」の8つの宝石。四の五の言わずに正座して読め。

  • 最近、短編集ばっかり。

  • 人の人生には転機がある。それが定年という年であったら、そんな年齢の人の短編集

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著者プロフィール

1936年、高知県生まれ。雑誌のライターなどを経て、81年『飢えて狼』で小説家デビュー。86年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、91年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年『きのうの空』で柴田錬三郎賞を受賞。2007年、初の時代小説『青に候』刊行、以降、『みのたけの春』(2008年 集英社)『つばくろ越え』(2009年 新潮社)『引かれ者でござい蓬莱屋帳外控』(2010年 新潮社)『夜去り川』(2011年 文藝春秋)『待ち伏せ街道 蓬莱屋帳外控』(2011年新潮社)と時代小説の刊行が続く。

「2019年 『疾れ、新蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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