出世ミミズ (集英社文庫(日本))

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460186

感想・レビュー・書評

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  • アーサー・ビナードさんの日本語によるエッセイ。翻訳ではなく、あくまで御本人が日本語で書いている。外国人に対して(ただし、アジア人には言わないだろうが)、「日本語がお上手ですねえ」などという域をはるかに超えたもの。あなたに謡曲が謡えますか?あなたに歌が詠めますか?彼、ビナードさんはこれらを易々とクリアーするのだ。日本語の語彙にしても「ヒサカキ」なんて知っていますか?本書を読むと、彼の思考がまさしくグローバルなそれであることに気がつく。英語と日本語の垣根を越えると、そこに新たな世界が開けるのだろうか。
     ご本人にも会ったことがあり、知っているというと言いすぎだが、少なくとも面識はあるビナードさん。彼のフレクシブルな思考の柔軟さはすごいと思う。

  • きっと
    英語で寝言も言えるし
    日本語で夢を見ることもできるのでしょう

    どんな事柄に対しても
    どんな現象に対しても
    しなやかに
    したたかに
    きちんと
    ご自分の母語と外国語(日本語)で
    とらえ
    そして誰にでも
    わかりやすく発信できる
    その感性と語学力に脱帽です

  •  アメリカ人の詩人アーサー・ビナードさんの日本語によるエッセイ。っていうか、この人は日本語で話すところしか見たことないのでむしろ普通のエッセイ集。丁寧に日本語を勉強しているからか、そのセンスは普通の日本人よりも数段優れている。これほど日本語の特性と文化を活かした言いまわしができるのは、この人とデーブ・スペクターさんぐらいだろう。リベラルさが目立つアーサーさんだが、本書ではそうした主張よりも日常の風景を粋にスケッチしたものが多い。とはいえ、日本やアメリカあるいは世界の現状に対する風刺も忘れてはいない。この人の言葉は半端な偽善政治家の言葉よりも強力な説得力を持つ。

  • ビナードさんのしなやか日本語エッセイ。素直に面白い。

  • 巧みな日本語に圧巻。
    外国人だからこそ感じる、日本の摩訶不思議がたくさん。

  • 名エッセイだと思います。

  • 日本在住の米国人詩人アーサー・ビナードさんのエッセイ。これまた小粋で、うまいなぁと感心する。日本語の文章が瑞々しいのもさることながら、きっと彼自身が良い人なんだろうなぁと思う。

  • アメリカ人の著者が日本語で書いたエッセイ。詩人だけあって言葉への興味津々。私も言葉、日本語も外国語も文化も何も大好きなので、好みぴったり。英語との対照も面白い。日本語の一人称の話には納得。それにしても、日本人でも知らないような詩や俳句に通じてて、日本人としてちょっと焦ったりもしたり(笑)

  • 長島茂雄監督のインタビューを英訳した話が秀逸

  • ただひたすらにおもしろかった。
    495円也で買える幸せ。

    普通に読んでもおもしろい文章だけど、書いているのがアメリカ人、というのがスゴイ。しかも、名文。趣のある日本語。ごく自然な文脈で「藪から棒に」などと書いてあってたまげた そんなのの連続でした。生粋の日本人であっても、凡人にはあんな名文は書けない。ガイジンでありながら素敵で美しくしかも簡潔な日本語を書くセンスはなんなのだ、と悔しくなってくるほど。

    それにつけても、自分の母語で、何の苦労もせずに、世界のたいていの地域の人たちと意思の疎通ができてしまうアメリカ人が、いったいナゼ、イタリア語を勉強して、インドでヒンドゥー語を勉強して、それに飽き足らずに「表意文字」である「漢字」に夢中になって、日本語を勉強しようという気になったのか。語学オタクにもほどがある。脱帽です。嫁さんも日本で得たそうで、なんかこのまま日本で文筆活動を続けてくれそうで、それは大変喜ばしい。もうこの本は永久保存版です。漢字に出会ったときに中国語か日本語かで迷い、食べ物がOKだったら文化もOK!と、お見合いのような感覚で日本料理屋に行ったらしいが、そこがおいしい日本料理屋さんで良かったです。口に合わなかったら中華料理に負けていたかも。

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著者プロフィール

詩人。1967年、米国ミシガン州に生まれる。高校時代から詩を書き、ニューヨーク州の大学で英米文学を学ぶ。卒論の際、日本語に出合い、魅了されて来日。日本語での詩作も始める。『釣り上げては』で中原中也賞、『日本語ぽこりぽこり』で講談社エッセイ賞を受賞。2022年春、宮沢賢治の英訳『やまなし Mountain Stream』を出版。

「2022年 『ハナミズキ A Hundred Years』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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