かえっていく場所 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460315

感想・レビュー・書評

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  • R2.11.30 読了。

     「岳物語」「続・岳物語」からの椎名家のその後の話。仕事で行った旅先でのこと、更年期障害の妻を思う気持ち、それぞれ自立して離れて暮らす子供たちのことなどなどが描かれていた。
     離れていても互いを思う気持ちがあれば、家族は家族でいられる。そんな家族をうらやましく思う。
     続編出たら、また買って読みたい。

  • 長年のシーナファンだけれど、隊長の執筆量たるやものすごく、とても全部は読めていない。あまり読んでいない時期もあったので、ちょっとさかのぼって読もうかと思い、特に好きな「私小説」シリーズで未読のものを文庫や古本で入手。

    まずこれをしみじみ読み終えて、本棚の椎名本の列に加えようとしたら、なんと! 同じのがあるじゃん! 読んだことあったのか。この手の話は珍しくもないけれど、自分だけは無縁だと思ってたのに…。

    ええ、面白かったですよ。しみじみ読みましたよ。葉ちゃんも岳君も遠く離れようと、「家族」はいつも「かえっていく場所」なんだなあと思いながら。きっと前もそう思ってしんみりしたんでしょうよ。全然覚えてないけどさ。むう。

  • 久しぶりに椎名さんの本。
    「あ〜 こんなに月日が経ったんだなぁ」と感慨深いものがあった。

    『岳物語』
    『続 岳物語』
    『春画』
    『かえっていく場所』
    と続いた私生活をつづったエッセイ。

    この人の本を続けていると、ちょっとした知り合いの家族のような気がしてくる。
    岳くんも 葉ちゃんも 立派な大人に育ち、なんだかうれしいのと、椎名さんはだんだん元気がなくなっているようで、少し心配。
    でも この家族は、これからも、遠く離れながらもうまく励ましあって支えあって、素敵な家族でいくと思う。

  • 非常に落胆してしまった一冊...、椎名さん好きなので正直つらい...!

    椎名さんを知らない、読んだことがない人にとっては本書は何が面白いのか分からない一冊だと思う。

    そして椎名さんや怪しい探検隊が好きだった人は、みんな心から落ち込むと思う。「どうしちゃったんだよ!」と...。

    子供たちは海外の大学に通い、都心の高級マンションに簡単に引っ越せて、多くの連載をもってて、仕事で海外に時にはファーストクラスで頻繁で出かける、、、それなのにまったく羨ましさを感じず、感じるのは寂しさだった...。

    もっとショックだったのは「年上の旅人の友人」だ...。
    本当に野田さんなのだろうか、酒と眠剤におぼれて人にあたるって本当に終わってるし、「何やってるんだ」って...。芯の曲がってないみんなが尊敬していたあの野田さんはどこにいっちゃったんだよと...。
    ただ本書は2006年刊行。ちなみに僕自身、野田さんには2010年にあるイベントでお会いしてて、そのときは病気の様子は微塵もなく素敵なカヌーイストの野田さんであった。2019年の今現在も川ガキ養成講座を開き、子供たちに愛され尊敬されている。

    人生どうなるか分からない...。心の病は本当に怖い。お酒は美味しいけど、気を付けなければいけない。。。。

  • 中学生だった続岳物語での岳少年は,月日が過ぎ既に成人としてアメリカ西海岸暮らし.手を離し,目を離し,でも心は常につながり,お互いに帰る場所を意識した生活が第三者的視点で描かれる.前作まで親と子の関係性を中心に描かれた本シリーズは,本作では,他家では真似のできない,ある一つの家族の有り様を,世界の多様な視点から描く.これこそグローバリズムという言葉を使うに相応しい有り様ではないか.

  • 岳物語から10数年。椎名さんの2003年の私小説。長女、長男ともにアメリカで暮らすようになり、椎名夫妻は引越をする。不眠症に悩む椎名さん、体調不良から回復しつつある奥様。かつての友人たちもそれぞれに変化している。チベット旅行で健康を取り戻す奥様と、かつて訪れた地を再訪し、思いにふける椎名さん。

    断片的な状況がまとめられている書なので、一貫したストーリーがあるわけではないのだが、岳物語の時代からの読者は、もうそんな時間が過ぎてしまったのだな、と感慨にふけりつつ読むことができる。
    人生後半を迎えた一人の男性が生き方を模索する様子には、身につまされるものもありました。

  • 家族と旅の話。独特な擬態語の多いシーナさんと違い、トーンの低めな椎名氏の文体、という感じ。が、読みやすく引き込まれる。それぞれの足場があってめったに揃わない家族だけど、離れていても思いあっている。岳物語やあやしい探検隊など読んできて、あの子がこんなに大きく、と感慨深くなったり。尊敬する年上の旅好きの方ってもしかしてあの方ですか…。とショック受けたり。

  • 大分前の本なのですが、既に岳物語の時代から遠く離れて、人生の里程が見え始めた椎名さんの姿が垣間見えます。理想の家族像だったご一家ですが、子供は2人ともアメリカに移住し、夫婦2人の生活。忙しい夫婦なので擦れ違い状態でお互いに精神が少し病んでいるようでした。離れていてもお互い思いやっている家族で有る事がとても伝わってきますが、やはり夫婦ずっと離れていると寂しいもんですよね。

  • 「家族4人それぞれが違う国にいる」
    物書きさん うらやましい限りだが 99.9%が庶民の日本では
    反感買いますよ。人生金があれば何でもできる。いい暮らし方してるよ椎名さん。羨望です。ボーとした雰囲気は好感が持てます

  • 買って読み進めてみたら、なんか読んだことあるなあと。
    まさかの2冊目を買ってしまいました。
    変わっていく椎名さんと奥様、それは外的要因、内的要因に依るもの。個人的には椎名さんの尊敬する方がアルコール中毒になった話がショックだった。現在は元気とちょこっと書いてあったのが唯一の救い。
    でも新しい椎名家の生活スタイルの中の変わらない部分を読んで安心感を覚えた。

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著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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