ファンタジスタ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 106
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460360

作品紹介・あらすじ

首相公選制がしかれた近未来の日本。投票を明日に控え、かつてサッカーのスタープレイヤーだった政治家・長田が圧倒的な支持率で最高権力者になろうとしている。人々はこの清新で危険なにおいのするカリスマに夢中だ。だが、果たしてこの選択は正しいのだろうか?わたしたちはどこへ向かっているのか?忍び寄るファシズムの空気を濃厚に描く、第25回野間文芸新人賞受賞の傑作小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 野間文芸新人賞受賞作。こういったマジックリアリズムの手法を用いた作品を読むと、現実を批判する虚構の愉しみ方を勉強させてもらえる。

  • タイトルと表紙から感動系サッカー小説を期待して手に取ったら大火傷を食らうであろう、意欲的な実験作。表題作「ファンタジスタ」は、パラレルワールド的な日本で、フットボールの英雄が大統領選に立候補したという「お話」には収まらずに、ファシズムや全体主義、多数派の共闘といった暴力の現れを描いている。収録作それぞれが、人間が産み出した非人間的で強大な力と闘っているように感じた。フィクション故の鋭い視点が、現実に立ち向かっている。文章から、泥臭さと熱気が立ち込めてくるようで、本気で本を読んでいるんだ、と思わず実感してしまうような作品。

  • おもしろかった。
    ユニフォームじゃなくてマルチフォーム、最高。
    スポーツがもたらす一体感が閉塞感を伴うことがあざやかに表現されていて、読後も満足感があった。

  • 【作家の読書道:第104回 星野智幸】なので読んでる。
    どれもSFと社会派の要素がドレッシング。
    "ハイウェイ・スター"が一番両要素が濃くて楽しめた。

  • 5/3
    あくまで書物(=フィクション、非現実)であることの意識は失わず、そのうえで政治を語る表題作。

  • 2009/2/24購入

  • 星野さんの野間文芸新人賞受賞作。あざやかで生臭い感じの表現が特徴。

  •  今年の春にこんなタイトルとカバーで平積みにされていたもんだから、てっきりあの手の小説だろうと、ついつい安易に手を出してしまったのが失敗。歯を食いしばって最後まで読んだけど、おいらにはダメ。さっぱり楽しくない読書でした。

     おいらは思うのだけど、活字っていうのは映画や音楽と違って、こちらが読みにいくという行為が必要なのですよね。放っておけば物語は進まないし曲も聴こえてこない。なので、まずは読みたくなる物語を書くべきですよ。その裏で何を仕組もうと構わないけどね。

  • 2006/09/06購入。
    2006/09/19『砂の惑星』まで読了。
    はじめての星野智幸です。『砂の惑星』『ファンタジスタ』『ハイウェイ・スター』の三短編を収録。『砂の惑星』は、地球に飲まれる(という認識でよいと思う)夢を持った、しがない記者の話。この世界は、死者が朽ちた世界の上に成り立っている。そこに発生した、小学校給食への毒物混入事件。小学生たちに拡がる無常観は、巧妙にドミニカ移民のやるせなさに重なって、主人公は一つの解釈を得る――のだけれど。というお話。はじめての星野智幸ですが、面白い文章を書く人だと思った。世界のとらえ方が非常に独特で、かといって無常観だけではない。これが2000年代の切な系なのかなあ、という感じ。ちょっと追いかけてみようか、と思わされる作者でした。

    2006/09/25 全部読了。『ファンタジスタ』は、日本の全体主義が含むものを描いているようで、実は日常的な、もっと皮膚的な嫌悪感を描いているのだろうか。『ハイウェイ・スター』は、わかったとは言い難いけれども、世界が人の、生物の積み重なりで出来ている、という思想をあまりにも直球に描いていて、ちょっとイマイチかな、とは感じた。ハイウェイ・スターというより、消化器系・スター、なのだろう。たぶん。

  • 4月21日購入。7月19日読了。うーん…面白いんだけど,肌が合わないような感じだな。ハイウェイスターは惹き込まれました。

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著者プロフィール

1965年、 アメリカ・ロサンゼルス市生まれ。88年、 早稲田大学卒業。2年半の新聞社勤務後、 メキシコに留学。97年 「最後の吐息」 で文藝賞を受賞しデビュー。2000年 「目覚めよと人魚は歌う」 で三島由紀夫賞、 03年 『ファンタジスタ』 で野間文芸新人賞、11年 『俺俺』 で大江健三郎賞、15年 『夜は終わらない』 で読売文学賞を受賞。『呪文』 『未来の記憶は蘭のなかで作られる』 など著書多数。

「2018年 『ナラ・レポート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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