ZOO 1 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 10734
レビュー : 1166
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460377

感想・レビュー・書評

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  • 「seven rooms」の無駄の無さが凄い。
    こういうプロットの映画を2~3見たことがあるけれど、この作品の方が映画らしく豊かに表現されている。

  • たぶん初めて読んだのがこの作品だったかと。
    二度と読むまいと決めているので昔の記憶しかない。
    ただ読後感はとてつもなく悪い。いい意味で。
    私には刺激が強すぎたのか、その後何ヶ月か気持ちの悪い感覚と不気味さ理不尽さがないまぜで影響されまくってしまった。
    ここまでに自分が影響されたのは初めてで、嫌なのに懲りもせず別作品も読んでいる。

  • カス

  • 「カザリとヨーコ」の母親やカザリは、なぜヨーコをあれほど虐待しても平気でいられたのか? 彼女たちは本当は何がしたかったのか、どんな背景を持っていたのか? ……そんなのわからない。だって本編のどこにも書かれてないから。

    この、乙一特有の“人物描写の浅薄さ”については次回『ZOO 2』のレビューで書こうと思うのだが、「SEVEN ROOMS」に出てくる殺人鬼にいたっては、その姿かたちも声も殺害の理由も、なぁ~~んにも描かれていない。ただ影のような存在が何か悪いことをしてるだけ、みたいな。でもだからといって、この作品は登場人物の肉付けが全く足りない、などと非難することなかれ。それどころか「SEVEN ~」は紛れもなく本書中の白眉、いや、乙一の短編の中でも最高傑作になっているといえるのではないだろうか。

    一列に7つ並んだ、一辺3mの立方体のような部屋。そこに犠牲者が無差別に拉致、監禁され、毎日ひとりずつ順番に殺人鬼のチェーンソーよって惨殺されていく。ひと部屋だけは成り行き上ふたり一組で監禁された姉弟が入れられていて、こちらが本編の主人公。弟の体の小ささを利用して自分たちの絶望的な状況を知り得たふたりは、死を覚悟しながらもほとんど可能性ゼロの脱出のチャンスに全てを賭ける。
    ……というとよくある『悪魔のいけにえ』パターンのやつかと思われるかも知れないが、何が凄いといってこの作品では、どうにかふたりとも助かって犯人を返り討ちにして……というのではなくって、結局だれも殺人鬼の魔手から逃れることはできなかった……でもなくって、なんと、姉を監禁部屋に殺人鬼と一緒に封印して、その隙に弟が犠牲者全員を解放、脱出するというのだ。この、見事ではあるが意外にもほどがある解決法には唖然。生きることを完全に諦めていた犠牲者たちが一転逃げだすことができたのは彼らにとって歓喜の極みだろう。が、一方でひとりだけチェーンソーを持った殺人鬼と同じ部屋に閉じ込められるなんて、その時の姉の心中ってどんなんだってーの!
    しかしそれにしても、結果彼女だけ助からないって、お話的に妙にしっくりくるゾ。なぜ?

    殺人鬼の人となりの描写は皆無。ここでちょっとでもディテールを加えると(たとえば常にタバコを吸っていたとかクロックスを履いていたとか)、人物像が出てきてしまって全くダメ。なぜなら殺人鬼はここでは人智を超えた運命の象徴なのだから。よけいな描写をはぶくことで殺人鬼は、いくらその所業が理不尽でも人間は無抵抗にそれを受け入れるしかない存在なのだ、ということが印象付けられている。
    しかし、そんな人間が太刀打ちできないもの、おとなしく観念するしかない絶対的なものでさえも、抑えることのできる唯一の力があることを我々は知っている。それこそが「人柱」たる少女の存在だ。姉は自らが犠牲となり、弟を含めた犠牲者全員を助けようとする。この姉の発想の出どころは、ひとりの少女が命を捧げれば必ず、荒ぶる神はおとなしくなり、人々は全員救われるはずだ、という我々の心の奥に共通に潜む「人柱」の記憶ではないだろうか。その記憶を共有する我々は、だからこそこの衝撃的な結末が非常に腑に落ちるのだ。

    本ブログでもかつて紹介した『ヴィジット』の姉弟は、祖父母になりすました殺人鬼を撃退してふたり手を取り合って逃げのびることに成功する。この映画はこの映画で素晴らしいデキだったのだが、「SEVEN ~」のこの結着のつけ方は、とてつもなく予想外かつ当然中の当然。シャマランのみならず誰にも思いつくことができなかった、見事としかいいようのない終わり方だった。あっぱれ!

  • 125

  • 世界観

  • ホラーとSFと精神の病がミックスされてた。残虐なシーンは読んでて怖い。でも淡々とした文章だから目を背けず読める。映像がリアルに浮かんで物語に入っていけるのは計算されてるのと筆力があるんだろう。「陽だまりの詩」はアニメで映像化されてると最後の対談にあったけど見てみたい。私的には「SO-far」が心に残った。子供の願いはいくつになっても両親が仲違いせずにいることなんだろう

  • ホラーかと思えばミステリー、コメディかと思えばヒューマンありな5つの短編集。

    虐待、拉致監禁、死の世界…中には残虐で陰鬱で背筋がぞわりとする描写もあるけれど、どれもストーリーが明快で読みやすい。
    本作では『SEVEN ROOMS』が印象的。密室の中で姉弟にじわりじわりと恐怖が迫り、追い詰められていく描写は恐ろしいけど惹き込まれた。ラストにほんの少し光を残してくれる作品が多いのが救い。

  • 初の乙一作品。 SO-farと陽だまりの詩は良かった。SEVEN ROOMSは、犯人は誰?目的は?と期待していたら、まさかのそこには触れないという…
    一応、2も読みます。

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著者プロフィール

乙一(おついち)
1978年福岡県生まれ。山白朝子(やましろ あさこ)、中田永一(なかた えいいち)の別名義で執筆する小説や、安達寛高(あだち ひろたか)という本名名義で脚本を記すこともある。
1996年に『夏と花火と私の死体』で、第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。
2003年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞受賞。2012年、『くちびるに歌を』(中田永一名義)で第61回小学館児童出版文化賞。
代表作として、映画化もされた本屋大賞ノミネート作『くちびるに歌を』のほか、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『失はれる物語』などがある。作品の多くが漫画化、映画化された。

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