ZOO 1 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460377

作品紹介・あらすじ

何なんだこれは!天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集が「1」、「2」に分かれて、ついに文庫化。双子の姉妹なのになぜか姉のヨーコだけが母から虐待され…(「カザリとヨーコ」)、謎の犯人に拉致監禁された姉と弟がとった脱出のための手段とは?(「SEVEN ROOMS」)など、本書「1」には映画化された5編をセレクト。文庫版特別付録として、漫画家・古屋兎丸氏との対談も収録。

感想・レビュー・書評

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  •  16歳のデビュー作に衝撃を受けながらも、沼にもハマらず、他の方の〝祭り〟にも加わらず(^^)、時間が経過してしまいました。
     なにせ、我が愛しの積読本集団が、小さいマエナライをして並び(中には割り込みするヤツも)、目を輝かせながら指名を待っているんです。この悩ましい状態、皆さんも同じでは?

     本来2003年に刊行された『ZOO』の文庫化にあたり、5作品がそれぞれ5人の監督で映画化され、その5篇が収められ、分冊したその1が『ZOO1』とのことです。

     内容は、いわゆる「黒」あり「白」ありで、共通テーマや統一感は感じません。どちらかというと黒ですが、黒は黒でも漆黒のような全てを吸い取る闇のような暗黒でなく、透明感のある黒またはブルーブラック寄りの色味を感じます。
     理不尽な虐待、殺人、絶望の監禁、死体などの状況そのものは強烈な黒ですが、人の感情を含めた他の部分は淡々と柔らかく描写され、そのコントラストが強く、独特の世界観が構築されているようです。つまり、ホラーなのにクールなんですね。他の幽霊、SF、幻想っぽい話も、不思議な魅力を放っています。

     「黒乙一」ワールドが醸し出す、不気味さ・怖さの中毒性を垣間見る気がした本書でした。引き込まれるように、続けて『ZOO2』へ移ります。

    • かなさん
      本とコさん、こんばんは!
      我が愛しの積読本集団の下りに
      激しく共感します(*'▽')
      私の場合、図書館で借りる本がよく割り込み、
      積...
      本とコさん、こんばんは!
      我が愛しの積読本集団の下りに
      激しく共感します(*'▽')
      私の場合、図書館で借りる本がよく割り込み、
      積読本に手が付けられなくって…!

      『ZOO2』のレビューも読ませていただくの、
      楽しみにしていますね!
      2023/09/15
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      かなさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます!
      積読本‥、一生改善しませんね。でも、ある意味うれしい悩みでもあり、上手に付き合ってい...
      かなさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます!
      積読本‥、一生改善しませんね。でも、ある意味うれしい悩みでもあり、上手に付き合っていきたいものです。

      乙一さん・・・カメレオンみたいで凄いですね。
      読者視点でのジャンル分けも、意味をなさないような、
      そんな天賦の才能ではないかと感心させられます。
      2023/09/16
  • 乙一 著

    初読みだった「平面いぬ。」が面白かったので、
    作家、乙一さんの世界観をもっと感じたくて、
    ブク友の土瓶さんに色々紹介して頂き、先ずはもう少し短編集で入りやすいように、次に本作を選んで読了。
    こちらも5つの短編集で構成されていた。

    カザリとヨーコ
    SEVEN ROOMS
    SO-far そ.ふぁー
    陽だまりの詩
    ZOO

    もう少し怖いホラー感覚を想像していたが、
    怖さと切なさを融合したようなストーリー仕立てになってたと思う。
    「カザリとヨーコ」は毒親か?悲惨な状況にも慣れがあるのか…子どもの哀れな感情を剥き出しにされて、何だか落ち着かない感情になった。ラストはそれでも少し希望の光が見えた気がした。
    「SEVEN ROOMS 」は映画の「ソウ」を彷彿した。姉弟の愛に救われたかな。
    「そ.ふぁー」と「ZOO」は何だか不思議~(・・?)
    ドラマの一部を観ているような感覚がした。

    「陽だまりの詩」が自分的には一番好き。
    やっぱり、私って…ロボット好きなのかな。
     
    何冊か中古本をネットで注文したので、
    届いたら引き続き読んでみたいと思う。

    • hiromida2さん
      どんちゃん、ありがとうございます♪
      また、注文本届いたら、乙一ワールド
      楽しみたいと思います♪
      本好きの人は皆…
      抱えている問題だと思います...
      どんちゃん、ありがとうございます♪
      また、注文本届いたら、乙一ワールド
      楽しみたいと思います♪
      本好きの人は皆…
      抱えている問題だと思いますが、積読本を
      減らしつつマイペースに読む問題(・・;)
      最近、一冊の本を読んだ後、
      積読本の中から次、何を読もうか悩んでしまいます(´-`)
      2022/07/10
    • 土瓶さん
      楽しい悩みですよね~
      (((o(*゚∀゚*)o)))
      楽しい悩みですよね~
      (((o(*゚∀゚*)o)))
      2022/07/10
    • 土瓶さん
      体調が良くなりますように( ˘ω˘)スヤァ
      体調が良くなりますように( ˘ω˘)スヤァ
      2023/03/08
  • 映像化された短編集。幾つか見た記憶。
    ブラックオープンエンディング(言わないかな?)感。構成力とか文章力とか関係なく世界観で読ませてしまう。
    「カザリとヨーコ」
    双子の高校生カザリとヨーコ。姉カザリは、虐待を受け、妹ヨーコは母の愛を受ける。理不尽さが際立つ。全てを受け入れているヨーコは、優しい老女と巡り合う。が、その幸福感も短く再びヨーコは全て失う。しかし、ここから、現状からの脱却の行動を起こす。
    「Seven Room 」
    誘拐・監禁・殺害。7部屋に囚われる女性達。一人の少女が身を挺して理不尽に立ち向かう。
    「So-far」
    無視し合う夫婦の間を取り繕う息子。いつしか、父親が見えなくなる。発想が面白い。両親を想う気持ちが父親を喪失させる。タイトルも良い。
    「陽だまりの詩」
    白乙一かな。近未来社会、人類滅亡した世界で自分を埋葬する為サイボーグを作る。その人間的成長と悲哀。
    「Zoo」
    おっ黒乙一。自身の殺人を認められず迷走する男。その迷走とZOOの看板を結びつけた秀作。だけど、グリーナウェイのZOOがモチーフ?後日見てみたいです。

  • H31.4.14 読了。

     SEVEN ROOMSは、死を待つ者の恐怖感でハラハラドキドキが止まらなかった。
     陽だまりの詩はアンドロイドを通して、他人に対しての愛などの感情や感覚について考えさせられた。
     「天才は深夜ラジオでつくられる」で伊集院光氏の深夜ラジオで生きる希望やダメな自分でも肯定してくれる人がいて勇気づけられたことが対談形式で掲載されており、とても得した気持ちになれた。また、当時の伊集院光氏の深夜ラジオを聞いてみたいと思った。

  • SNSで知り、評価も高かったので読んでみた。

    短編5つがまとまった作品だったが、正直なところ個人的にはあまり刺さるものがなかった。
    ホラーやSFを読み慣れていないのも原因かもしれないが、作者が伝えたいことがいまいち掴めず。例えるなら、国語の教科書で読んだ小難しい文学作品に対し、作者の意図が問われているような、どこか試されているような感覚(ちなみに学生時代、それ系の選択問題は全外ししていたタイプ。笑)

    収録作品は以下の5つ(完全ネタバレ要注意)
    ①「カザリとヨーコ」
    双子の姉妹でカザリは溺愛され、ヨーコは虐待される日々を送る。ある日の夕方、カザリとヨーコが服を入れ替えて帰宅したところ、二人を取り違えた母がヨーコに扮したカザリをベランダから突き落として殺してしまう。
    双子でも流石に親は間違えないだろう!とつっこまずにはいられないのと、めちゃくちゃ怖いかというとそこまででもないし、何が言いたいのかよくわからなかった。

    ②「SEVEN ROOMS」
    謎の犯人に拉致監禁された姉と弟。姉弟の部屋と合わせて7つの部屋があり、そこでは1日1人殺害される。ついに姉弟が殺される日が到来。姉が犯人を唆している間に弟だけ脱出する作戦に成功。犯人が何者なのか、なぜ監禁されたのかもわからないし、姉は殺されてしまう為、ハッピーエンドでもない。やはり、作者が何を伝えたかったのかよくわからなかった。

    ③「SO-far そ・ふぁー」
    ある日突然、父には母が、母には父が見えない状況になってしまい、ぼくは父と母の会話の連結役となる。そして、ぼくを板挟みとした大きな夫婦喧嘩をきっかけに、母の世界で生きることを決めた結果、父の姿が見えなくなってしまった。
    てっきり、両親を事故で失ったぼくが、幽霊になって現れた両親と生活しているのかな?と思いきや、実はこの状況は父と母による演技(お互いが死んだものとして生活する)だった。
    ※それを間に受けた結果、本当に父が見えなくなってしまったというのがみんなの解釈。
    最後三行の、"僕なりの解答"(父と母の別れを防ぐ為)が良かった。

    ④「陽だまりの詩」
    主人の死後を埋葬する為に生み出された人型ロボットの私。当初『死』の概念が理解できなかったが、兎の死をきっかけに『死』に対する恐怖心を知ることになる。
    SFだけれど、死生観が単調に美しい文章で表現されていて、なんなら4つの中では一番文学作品感が強い印象。読む時の心理状態によって、響くときとそうでもないときが変わりそうな不思議な感覚。普段SFは読まないが、短編でサラッと読めたのが良かった。

    ⑤「ZOO」
    彼女を殺害遺棄した男が、"行方不明になった彼女を探す懸命な彼氏"を自作自演する物語。やっぱりこちらも、男の感覚がよく理解できなくて共感できず…。

    評価の高さと自分の感覚がマッチせず、読解力の無さにもどかしい気持ち。
    数年後読み返した時に、少しでも理解できるように、人生経験を重ねつつ、もっといろんな作品に触れるよう励みます!

  • おぉー。これは私好みの世界観。

    カザリとヨーコ
    SEVEN ROOMS
    SO-far そ・ふぁー
    陽だまりの詩
    ZOO

    全話おもしろかったです。
    乙一さん好きな予感がしてきたので他の作品もさっそく読んでみたいと思います。

  • こちらの本棚登録で乙一さんの本を見かけて
    以前読んだcalling you泣いたなァと思い出し、早速読む事に!短編なので就寝前に読んだ所 脳が興奮して寝つきが悪くなってしまいました。「seven rooms」怖かった。「カザリとヨーコ」ラストでのヨーコの心持ちの変化が良かった。

    読了後なんだか切なくなる。

  • 短編の一つ「陽だまりの詩」は読みながら2回目では?と思って過去読んだ作品を調べてみたら「短編工場」でやはり読んでいた。
    主人公がロボットを作り出し2人だけの世紀末を一緒に暮らすと言う話。丘に墓を作って、自分が作ったロボットに埋葬させると言う話。アニメ化されている様です。この短編が一番良かったかも。

  • ずっと前から読みたかった乙一さんの短編集。

    期待通り、いやそれを上回る短編が多かったです。

    元々、乙一さんの小説は好きだったのでこの独特の世界観も自分はハマりました。

    ホラーというか少しグロテスクな場面も多いですが、それが読んでいる人により緊張感を与え、作品の世界にのめり込むことが出来るのではないかと思いました。
    少なくとも僕は夢中になって読み進めていました。

    個人的には「SEVEN ROOMS」と「陽だまりの詩」が好きです。

    乙一さんの世界観を楽しむことが出来た良い短編集でした。

  • 乙一さんぽいなーと思った。いくつか乙一さんの小説に微妙に重なってる所もあってそれも良かった。「陽だまりの詩」ほのぼのした。

  • 正に乙一ワールドですね。

    著者の好きなように好きな話を書いた。
    そんな感じ。

    カザリとヨーコとseven roomが、
    私は特に著者らしくって好きでした。

  • 5話の短編小説。世にも奇妙な物語のような不気味でダークホラー要素が強いお話が多いです。

  • 乙一さんて、初めて読みました。短編が5つ入ってます。全部めっちゃ面白かった!「カザリとヨーコ」は一卵性の双子の姉妹が、一人は母に溺愛され、一人は疎まれ、虐待されて成長しているっていう、薄気味悪い設定の物語。最後の最後まで気味が悪くて恐ろしかった。「SEVEN ROOMS」は意味もわからず何もない四角い部屋に監禁された姉弟の話で、体の小さな弟は下水道代わりの溝をつたって、並んで存在している隣の部屋、更に隣の部屋へと移動する。そして7つの部屋が並んでいて、毎日順番にその部屋に入れられた人が殺されていくという超恐ろしい法則を突き止める。自分たちが殺されるのがいつなのかもわかる。他の部屋の人たちにも、その法則を伝える。事実を受け入れるしかない隣人は、手紙や、十字架のネックレスを弟に託す。別れ。生き残るために、姉が考えた賭け。恐ろしすぎる!
    表題作の「ZOO」も恐ろしくて気持ち悪かった!
    映画化された(?)「陽だまりの詩」だけは、少々切なく、美しい物語だったけど、やっぱりこれも自分が主人公の女性だったらと考えると気が遠くなりそうな、なんともグロテスクな話ではある。
    読みごたえありました。

  • 別名、中田永一さんの作品は読んだ事ありましたが、乙一さん初読みになります。

    乙一なんて名前なので、勝手に甘いファンタジー系な作品を書く作家さんだとばかり想像してました。だって明らかにペンネームだし、乙という字から乙女という言葉しか連想できなくて…。浅はかではありますが(照)

    だけど、いい意味で裏切られびっくりです。

    映像化された5編を集めた短編集でしたが、どれもストーリーの完成度が高い!
    残酷でありながらスカッとするような、でも切ない読後感。好きです。

    余談ですが、乙一さんは’78年福岡生まれ。(わー、同い年で出身も同じ)
    そして久留米高専に在学しておられたとの事(きゃー、高専つながりじゃん。)
    と、勝手に親近感をもっちゃいました。

    カザリとヨーコ/SEVEN ROOM/SO-farそ・ふぁー/陽だまりの詩/ZOO

  • 陽だまりの詩がダントツで好きです。
    ゾゾっとする他の作品ももちろん大好きなんですが、こんな優しい物語アリですか??と思って泣けました。

  • 「世にも奇妙な物語」のような短編集。
    ちょっとグロテスクで気持ちの悪い話があったり、かと思うと温かく穏やかな物語があったり。
    全体的に読みやすいけれど、文体が独特だなー。

  • もう本当に衝撃的だった
    乙一さんの本を初めて読んだのがこの作品で、本当に天才だなと思った
    特にSEVEN ROOMSが衝撃的すぎて忘れられない。

  • 昔読みましたが、「SEVEN ROOMS」が怖くてでも引き込まれるように面白い物語で忘れられません。1度読んだ小説の内容も忘れがちな私にしては珍しいことです。でも恐ろしくてまた読もうとは思いません。

  • 短編集です。
    奇抜な設定にも関わらず、乙一さんが紡ぎ出す物語の強さにグイグイと引き込まれます。
    全ての作品がとても面白かったですが、最も好きな作品は『陽だまりの詩』です。
    作られたロボットである主人公が、世界と触れ合い人間の感情を獲得していくという話です。
    これだけなら奇抜でも何でも無いですが、やはり乙一さんらしく仕掛けが施されており、驚きとともに、心がじわっと暖かくなりました。感情の機微の表現が素晴らしく、登場人物達の行動の端々から滲み出る人間臭さに惹かれること請け合いです。

    続編である『ZOO 2』も読んでみようと思いました。

    短編集なので、隙間時間にするりと読めてお勧めです。

  • 乙一の短編集。
    【カザリとヨーコ】
    救いようのない苦しみの中で一筋の光を見られるのは、救済とかではなくて普通に苦しみだからな?極限まで苦しんでその後に少し明るくなるのは、ただ単に緩急にやられてるだけで、総合的に見たら普通に苦しみです。
    【SEVEN ROOMS】
    こういう普通に生活してたのに急に死と隣り合わせになる展開が、本当に苦しすぎて嫌。1人やったらまだ耐えられた。兄弟っていうのが本当に無理。読み終わった後、心抉り取られすぎてしばらくため息しか出なかった。
    【SO-far そ・ふぁー】
    もし親になってもこれはしたらダメだと思った。短いし読み終わったあともう一回見たら、辻褄が合わせられて二度楽しい。いや楽しくないけど。
    【陽だまりの詩】
    黒乙一が蔓延る中、唯一の白乙一。展開はなんとなく読めたけど、それを越える文章表現の美しさに圧倒された。晴れの日に空を見たくなる。
    【ZOO】
    主人公は気が狂ってると思うけど、少し気持ちが分かる。短い時間だったら耐えられることも、数年続けたらしっかりと気が狂うんだなぁと思った。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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